和歌山県田辺市の南方熊楠顕彰館が、熊楠が友人等と写ったガラス乾板503枚が見つかったと発表した。503枚すべてに熊楠が写っているのかは知らないが、凄い事である。熊楠を作っていなくて良かった。 人物を制作する場合、資料になる写真は、無いのなら1カットでもかまわない。無いのだから誰も知らない。思ったように作れる。一方困るのは、作った後に、見たことのない、別角度からの写真が出て来ることである。『中央公論Adagio』の制作時。創立100年を超える中央公論新社のアーカイブから毎回資料がどさりと届くと思っていたら、アーカイブなどなく、自分で資料を集めるはめになった。主に図書館を利用したが、止む終えずヤフオクで落札する場合もあった。当然揃う資料も限られるわけである。そんな時、疑問を持ったのが夏目漱石の鼻筋である。このことについては何度か書いた。 眉間からまっすぐに延びる鼻筋は、漱石のトレードマークといっても良いだろう。しかし私は写真師による修正を疑った。私が知る限り、漱石は横を向かないし。 配布直後に『江戸東京博物館』で漱石展がある。会場には私が見る事のできなかった写真があるのではないか。危険を回避するため漱石は正面を向かせた。結局、会場には驚くような写真はなかったかわりに、見事な“ワシ鼻”のデスマスクがあった。
オイルプリント制作法
インキング映像↓
http://youtu.be/kZozcEqgKsE
過去の雑記
HOME