明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



四十年近く使っていた、手回しロクロを忘れて来たのは不覚であった。仕方がない、直径三十センチの物を入手。壊れる物ではないし、これを死ぬまで使う事になるだろう。陶器で何体か人形を作ったあと、別な工芸用粘土で作り始めようと思った時、全くやり方を知らず、学校から借りたままのロクロの上に、まず芯を立たせる方法が判らない。上から吊るのか後ろで支えるのか。インターネットの時代でもなし、そこで盆栽用のアルミの針金をガムテープで止めて作ることにした。アルミは柔らかいし、盆栽用はコーティングしてあるので錆びにくい。以来ずっとこのやり方である。欠点と言えば柔らかいので、バランスが悪いと倒れてしまう。昔はよく倒れた。83年日本テレビの『アートナウ』という番組に出た、司会は榎本了壱さんとマリアン。スタジオとは別に制作風景も撮影された。ところがその頃はまだバランスが悪く、また腹の出た人物を作ったものだから余計フラフラする。そこで焼酎の瓶を支えにし、撮影が始まったらどかすはずが、忘れてしまって、すっかり焼酎の瓶に寄っ掛かったまま放映されてしまうという、痛恨の出来事であった。その時の音声は、後のスウインギンバツパーズの吾妻光良さんであった。それから幾年月。今は倒れることなど全くない。フラフラしたまま倒れずに完成したなら、自動的にバランスは良く完成する事になる。良く自立しますねと感心されるけれども、そういう事情による。よって撮影の時はどこでも撮影が可能である。自己流で始めた方法のおかげで、写真に撮るようになって助かった、という話である。

タウン誌深川】〝明日出来ること今日はせず〟連載第16回『トラウマ』
『石塚公昭 幻想写真展き続ける作家た18年7/25~9/2 リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.Pyoutubeこ2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界


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