明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



出張所で転居届けを出し、郵便局へ。ウロウロしていて昼時、暖簾が破けた食堂が目に入った。男はどうしてもボロボロに惹かれる所がある。中がまた、殺伐というかムード満点というか、この辺りは何処の駅からも遠い地域で置いてけぼりの風情がある。メニューはしみじみ、激安、年寄り兄弟が営んでいるようである。これはお手軽にさすらい人の気分、またつげ調を味わえる。 塩サバに味噌汁付ご飯の中を頼んだが、大盛り客の大盛りに驚く。案の定ドンブリ飯が来た。塩サバもペラペラを想像していたらドスンと分厚い。破けた暖簾に誘われた結果である。私がムシヨ帰りであったなら、まずここで高倉健のように瓶ビールを飲むことにしよう。

タウン誌深川】〝明日出来ること今日はせず〟連載第16回『トラウマ』
『石塚公昭 幻想写真展き続ける作家た18年7/25~9/2 リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.Pyoutubeこ2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界


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私にとっての東京は、一回目の東京オリンピック以前の東京である。以降東京は行き先も見えないまま変貌していった。おかげで何が東京から無くなろうと、まったくの不感症になってしまった。そこで、引っ越しを機に、私の趣味に徹する事にした。 引っ越しの度に、まずするのは、蛍光灯を外し、白熱電灯に変えることである。今回はさすがにLEDだが、今は便利な電球あり、リモコンで白色から電球色までコントロールでき、勿論調光もできる。 金魚坂で撮影に使った琉金を飼う事になっている。水槽を置く台は、昭和三十年代の茶箪笥で、これで思い出すのは、それこそ東京オリンピック前、夜中にトイレに起きたついでに、飲んで見たくてしようがなかった茶箪笥の中のアンプルの栄養剤を内緒で飲んだ事である。ガラスのアンプルの首にハート型のヤスリでキコキコ、筋を付け、ポキンと折る。細いストローでチューチュー飲む。子供には一回飲めば充分な味であったが、むしろやりたかったのは、キコキコポキンの方だったろう。気が付いたらあの茶箪笥そっくりなのであった。当時父には、ピース缶ぐらい私に開けさせろ、と言いたかった。まあ、あれが楽しみだったのだろう。

タウン誌深川】〝明日出来ること今日はせず〟連載第16回『トラウマ』
『石塚公昭 幻想写真展き続ける作家た18年7/25~9/2 リコーイメージングスクエア銀座ギャラリーA.W.Pyoutubeこ2016年『深川の人形作家 石塚公昭の世界


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