普段、ひとたび寝ようと布団をかぶったら、おそらく十~二十秒で寝ているであろう私も、喝!といっている臨済宗宗祖、臨済義玄を作っていたら、布団をかぶっても寝られず、二時間ほどで目が覚め、すぐに義玄の首に手を伸ばして確認する始末。穏やかにお休みなさい、とは行かないモチーフである。 人形を作って写真作品にする醍醐味の一つは構図であろう。作っている時に効果的な構図を考えながら作っている。日本画、浮世絵の自由さを取り入れたい、と自由を疎外している元凶を陰影と定め、排除した石塚式ピクトリアリズムだが、古典絵画は、こと構図に関しては話が違う。古典絵画の肖像画と来たらほとんど斜め45度、たまに真横か真正面である。 友人が、どうせなら水墨画調にモノクロにしてはどうか、という。「モノクロなんて、自分で被写体を作ってないから、やれることで、せっかく色塗って、モノクロなんかでやれるかよ。」構図も同じことで、せっかく作っておいて、挙げ句に斜め45度だけ、なんて冗談じゃない。