英語道(トラスト英語学院のブログ)

トラスト英語学院(長野県伊那市)塾長。英語指導や自身の英語学習雑感、趣味のランニングと筋トレについて綴ります(^^)

文学をつなぐ

2007年10月12日 | 閑話
人生は一行のボオドレエルにも若かない
芥川龍之介『或阿呆の一生』冒頭の一章(「時代」)にある余りにも有名な言葉です。

私が最初にこの言葉を目にしたのは、高校3年生(17歳)。早稲田大学政治経済学部の国語の入試問題(1988年)を過去問演習として解いていた時です。
大問二の問題文は次の文章で始まります。
「芥川の言葉じゃないが、人生は一行のボードレールにもしかない」という言い廻しは、よく口にされることがある。何気なく発せられるこの種の表現は・・・
この問題文の出典は、板坂元『日本人の論理構造』。日本語では「~ではないが、」と前置きをしていながら、ご丁寧にもその人の言葉をそのまま引用するという論理的にまったく矛盾した表現がまかり通っていますが、その成り立ちを扱った言語評論です。

早稲田大学合格後、言語論に興味を持った私は、『日本人の論理構造』の原書を購入して読みました。しかし、冒頭の有名な言葉の引用元である『或阿呆の一生』は、数ページを立ち読みした程度で、腰を据えて読んではおりませんでした。

読書の秋で、ふと純文学に触れてみたくなり、本屋で芥川を手に取りました。そして、少し読み始めると、瞬く間にその文章に引き込まれている自分がいたのです。

読了後は、フランスの詩人ボードレールも読んでみたいと思います。

コメント (1)
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