帆∞翼(セイル バイ ウイング) -太陽そして風と供に- 

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Eberspacher B3LP(プラス)の修理

2019年02月16日 | 雑記 修理等

友人が、去年買い替えたキャンピングカー。

ところがそのFFヒーターが不調。

一度は起動した物の、 その後がダメだったらしく、 その修理依頼が来た。

ところが、このユニット、 ブロアーファンの制御が、 今の物に切り替わる一つ前の物で、

かといって遙か以前の物でもなく、 丁度技術的に移行する過渡期の代物なんです

彼のはバナゴンベースのキャンピングカーで、 本当なら配線を全部外して持ってきてもらいたかったのですけど、

実際にそれやると大変なことになる・・・ 内装前剥がし・・・・・

で、なんとか外してもらったのが、 本体とコントロールモジュール、とメインハーネス。

 

とりあえず、センサー類やモーターその物、他配線やら、 コントロールモジュールのケースも開けて中を調べた物の、 特に異常は見当たらない。

友人の話しでは、一度だけ完全動作したという事らしく、 となると、 半導体系の故障可能性が大。

 

そこで、 ハーネスに簡易回路を設け、実際にバッテリーを接続する通電テスト。

とても珍しい型式と言うこともあって、 手に入る技術書は全部ドイツ語  あ~~~~~

 

このヒーターの年式は 1996~2000年頃の物ですから、このロールモジュールの最終段で、大きな電力を使う部分は、まだリレーがまかなっている。

半半導体で、でもとても良く出来ている。

正し、制御は勿論、プログラムチップだ。

 

テスト回路から始動信号を入れると、 リレー音がして、 グローは加熱している。

この辺はわかりやすい、ところがブロアーファンが廻らない。

リレー音は二つするので、一つはブロアーファン用だと推定できる。

 

そこで、ブロアーファンをコントロールモジュールからの信号で制御する、ECUを疑った。

クリックすると大きな図面が見られます。

見ての通り、 ECUにはモジュールからのパワーが供給されて、それをECU内部のチップがアンプ(FET二つ使った差動電圧信号に変換して)を介して、 PWM方式でフアンを廻すようにしていると推測できる。

これはマルチテスターでモーターに行く電圧を計った結果としておおよそ判ることです。

 

モーターには速度を検出するセンサーが付いていて、それをECUにフィードバックすることで、

モジュールへ今どのくらいの回転数でブロアーファンが廻っているかという値を戻している。

 

モーターを直接回転させているのはECUの上のFETの二つ、もしくはどちらかなんだけど、

図面等出るはずが無いので、 PWMの理論からして、まず二つのFETの交換を試みてみた。

航空便でアメリカから届いたFETを ECUに半田するのですけど、 元来ユニット丸ごと交換が原則の物で、ユニット上の単体部品交換は想定していないので、作業はかなり大変。

で、なんとか作業終了。 ふ~~~

 

早速テスト、 ところが・・・・・・・やはり動作しない。 うな~~~~!

となると、後はECUのメインチップ(FETに信号を送っている)の故障としか考えられないわけで、

友人に連絡して、いったんここで修理は中断。

ここまでが昨年までの流れでした。

 

 

 

で、買えば15万以上する高価な物故、やはり修理したいという友人の希望で、再度ヒーターを預かっての再トライ。

原則通り、ヒーターの制御系の全回路を”あ~だ こ~だ” と理論的に調べて行くと、最後はどうしてもECUにたどり着く。

そこで、友人の許可もらって、 ユニットを取り寄せることに・・・・

 

すぐにDHL軽油でヨーロッパから空輸されてきたので、再修理の開始。

といっても、 作業的にはECUを交換するだけなのだけど、 そんなに事は簡単ではない。

 

なぜなら、 前のECUを破損させるような何かがコントロールモジュールの方にあったりすると、

それが下手に悪さして新品のECUは吹っ飛ぶ。

 

日本で買えば 最低でも5万はするものですから、 簡単に通電などできるはずも無いんです。

 

確実にテスト用の簡易回路を作り、 燃料ポンプが手元に無いので、 それはべべストの物をテスト用に流用。

回路的には問題が無い事をお確認して、 もしもに備えて 重要部分に測定器を接続して・・・・

パワーオン。

おっと! ブロアーファンが正常に起動、 そしてグローも赤熱開始。 イェ~~イ!!

 

このままシーケンスを続けても良いのですけど、 使っているのはあくまでもテスト回路。

なので、動作確認だけにしたいので、ここで終了。

 

すぐに彼に連絡して、 実際に取り付けてもらい、 動作を確認してもらうことにしました。

ちなみに、このテスト時の時のブロアーフアンの回転は、エバスペッヒャーの始動時に自己診断機能へ送る信号の為の、正規回転数程度だったので、確実に回転制御はされていると判断できるので、ほぼこれで修理は完了と思う。

後は、グローとかですがで、、これは初めからOK今回も OK。

起動要素の最後となる燃料ポンプですが、 ただ、これはべべストの物を流用して、単なるコントロールモジュールの初期自己診断をごまかすための物ですから、 実際にそのまま動作させるのは良いことでは無いので、そこまで見ているのはやめにしておきました。

 

で、僕が出来るのはここまで。

後は友人が取りに来て、 車に取り付けて問題なく動けば 全修理完了という事です。

 

以上、エバスペッヒャーの特殊タイプヒーターの修理でした。