昨日、『現代語訳でよむ 日本の憲法』(アルク)から日本国憲法第9条と翻訳者柴田元幸の翻訳を紹介した。
同書で柴田氏が英語のshallの使い方に関する興味深い記事を書いているので(56ページ)。本日のGetUpEnglishは『現代語訳でよむ 日本の憲法』から、この助動詞shallが使われている条項を紹介する。
日本国憲法第14条の英文は、次のとおり。
◯Practical Example
Article 14
All of the people are equal under the law and there shall be no discrimination in political, economic or social relations because of race, creed, sex, social status or family origin.
この従来の日本語訳は次のようになっている。
「第十四条 すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」
これに対して、柴田元幸は次のとおりに訳している。
「人はみな法の下で平等であり、
人種・信条・性別・社会的地位・家柄などを理由に
いかなる政治・経済・社会的差別も受けてはならない」
このshallがもつ「話し手の決意や強い意志を表わす」やや格式ばった言い方の「(必ず)…するつもりだ、きっと…する」の意味が柴田訳にはさりげなく、そして効果的に出ていると思う。
●Extra Point
このshallは次のように使われる。
◎Extra Example
"I shall go, rain or shine."
「天気に関係なく私は絶対に行く」
"We never shall forget your kindness."
「われわれはあなたのご親切を決して忘れません」
憲法におけるshallの使い方については、『現代語訳でよむ 日本の憲法』56ページの柴田元幸の記事を読んでほしい。
☆Extra Extra Point
第14条の後半は次のとおり。
★Extra Example
Peers and peerage shall not be recognized.
No privilege shall accompany any award of honor, decoration or any distinction, nor shall any such award be valid beyond the lifetime of the individual who now holds or hereafter may receive it.
従来の日本語訳は次のとおり。
「華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する」
柴田元幸の訳は、『現代語訳でよむ 日本の憲法』をご覧いただきたい。