米を契約栽培してもらっている小田原の農家から、毎年もち米を貰う。このもち米が美味しいので、4軒分を集めて、チマキをつくっている。去年も集めた。でもなかなか作らなかった。シャーミー、干貝柱、干シイタケと言った材料はいつもそろえてはある。明日は子どもの日だ、そうだ、チマキを作ろう、でないとせっかくのもち米をだめにしてしまう。
干海老のシャーミー、干貝柱、干シイタケはそれそれボールに入れて水に浸した。このだしが美味しいのだ。干シイタケは津波の被害にあった山田町のどんこ。支援のために買ったものだ。収穫は事故以前のものだから人様に上げても、放射能の心配もない。
夜、豚の肩ロースを大きめに切った。シイタケも厚めに切った。ニンニクとショウガも細切りにした。鍋に油を熱し、ニンニク、ショウガで香りを出し、豚肉を炒めた。シイタケもつけ汁ごと加えた。シャーミー、貝柱、どちらもだし汁ごといれ、酒をがぼがぼ注いだ。内容量が多いので、大きな中華なべでもはみ出しそう。やむなく大なべを出して、そちらへ移そうとしたのだが、中華なべが重くて持ち上げられない。少しずつ移せば移せないことはないのだが、Papasanを呼んで、大鍋に移してもらった。味付けは醤油のみ。
最近はこの味付けのしょうゆ味が、チマキの中身としてはどうしても薄い。佃煮みたいに濃い味の方が後で米になじんでいいのだが、薄味に慣れているので、いまは濃く出来ない。それでもこころして濃く味付けした。味をしみこませようと一晩ねかせた。もち米はといで、水に浸しておいた。
朝、具にもう一度火を入れながら、醤油と酒を足した。味はまろやかになっている。
いよいよ米をチョンロンで蒸す。竹皮は前後を切りそろえて、蒸し器の熱湯の中に突っ込んで殺菌。もち米は3回に分けて蒸した。蒸しあがったもち米を大きなボールに入れて、具の汁を吸わせるのに、分けた方がやりやすいのだ。中華料理は無駄をしないので、具を煮た後の鍋にもち米を入れ、いためて鍋についている美味しい煮汁を吸わせてしまうのだが、量が多いので、煮汁を残しておき混ぜているのである。竹の皮に米を入れ、具の肉とシイタケを真ん中におき、もち米をかぶせ、形を整えて輪ゴムをかける。ほんとはタコ糸をかけるのだが、省略して輪ゴムにしてしまっている。
竹の皮は専門店からkg単位で購入してある、孟宗竹の皮だ。問屋には孟宗竹、真竹、破竹の3種類がある。竹の皮も品種によって、模様が違うし、用途も違うみたいだが、私は孟宗竹の2号を使っている。チマキにはもうひとつ下の細身のでもいいが、蒸羊羹にはもう少し幅広いものの方が使いやすい。
このチマキは香港出身で、新宿飯店のオーナーだった先輩、と言っても大先輩に、出来たのを頂いて、美味しかったので、つくり方を教えて、と頼んで教えてもらったものだ。チマキは香港では端午の節句に作る慣わしがあるようだ。所によっては蒸米ではなく、生米に味付けして、竹の皮に包んでつるしておき、それを蒸すやり方もあるときいた。新宿飯店の厨房のもう一階下のまかない厨房で、先輩の妹さんに教えてもらった。教わったのを、私流に変えてしまったのは、私は化学調味料を使わない、その代わり貝柱とシャーミーの量を増やしてダシにしていることと、ショウガを使うことだ。飯店のオーナーだった先輩はそれからまもなくして亡くなり、思い出の1品になってしまった。
竹の皮で包むのは、単純作業で格別力は使わないはずだが、立ちっぱなしなので、腰が痛くなった。3分の2終えたところで、「もう限界」だと休憩して腰掛けた。持久力がなくなった。それでも、残りの3分の1も仕上げて、ざっと50ケ以上つくったことになる。う~ん、疲れた、チマキ作りは今年で最後にしよう。