なぎのあとさき

日記です。

其の二 歌

2005年08月30日 | ビーに降る愛の歌 2002

 季節は梅雨。雨で散歩もできないので、外に出る気がしないCと私は、家でボブ・マーリーの歌を一つ一つ覚えようとしていた。

wake up turn I lose,
for the rain falling.

「雨が降ってるうちにいっとけ、みたいな」
「そっか『caya』って梅雨の歌だ」

 ワンフレーズごとに、歌詞の意味を考えながら覚えていく。

I feel so high I even touch the sky
above the falling rain.

「すんげ~ハイになっちゃって」
「雨を越えて空に手が届きそう」
 歌うたびに、雨雲の上に広がる青空のイメージが浮かんできて、梅雨も悪くなかった。

I feel so good in my neighbourhood
so here I come again.
I got have caya now.

「地元にいていい感じ! だから帰ってきたぜ! さあいっとけ!」
「なんか変な歌詞だけど、ニュアンスはわかるね」

 梅雨のボブは、『caya』だけではない。

Misty morning don’t see no sun.

「湿った朝、太陽さえ見えない」
「見てないよね~最近」
「先週一週間の日照時間、35分だって」
「どおりでうちの動物たち、元気なかったわけだ」
「うちの猫たちは雨でも外に遊びに行ってずぶ濡れで帰ってきた」
「ビー、洗われて毛まで剃られて元気になったの?」
「うん、二日間くらいへこんでたけど、三日目にはすっかり忘れて元気になった」
 三日目にはネズミ狩も再開し、シラッと獲物をくわえて帰ってきた。ビーは賢いので、同じトリモチにかかることはないと思った。
「うちの動物は猫だけじゃないからね」とC。
「何?」
「旦那と旦那の兄貴。毎晩群れをなして、ゲームばっかやってる」
「あはは。梅雨も晴れも関係ないじゃん」

I know you out there somewhere having fun.

「君は外に出てどこかで遊んでる? 変な歌詞だね。前後関係がよくわからない」

One of my best friends say,in a reggae riddem.

「友達が言った、レゲエのリズムで」
「イナレゲリデム!」

Don’t jumping the water,if you can’t swim.

「泳げないなら飛び込むな」
「当たり前だっつーの」

 太陽が恋しくて次に選んだのは、
『Sun is shining』。

Sun is shining,the weather is sweet.

「この曲さあ、こんなに晴れがましい歌詞なのに、メロディはねっとりしてるよね」
「ほんと。しかもなんか暗いってゆうか」
「ビートルズの『good day sunshine』とかまさに太陽の中散歩する感じなのに」

To the rescure, here I am!
want you to know ya,here I stand!

「マンデモーニン、変な歌だね」
「チューズデイーブニン、こんな曲ボブにしか作れない」
「ウェンズデモーニン、このぐったりした感じ」
「サースデイーブニン、でもさ」
「フライデーモーニン、何?」
「ジャマイカとか、ほんとに暑いとこのぐらいぐったりしちゃうのかもね」

 そして、大好きな『Time will tell』。

Time alone,oh time will tell.
Think you'er'in heven but living in hell.

「あんたたちは天国にいると思ってるかもしれないけど、ここは地獄なんだぜ!」
「そんな歌詞だったんだあ。もっと優しい感じの歌かと思ってたのに」
「ファンシーなメロディなのに。重い歌詞だったんだね」

『Time will tell』を覚えたあたりで梅雨が明け、真夏のボブ、『Africa Unite』にとりかかることにした。

Africa unite,Cause we are moving right out of babylon.
And we are going to our father's land

 私とCがこの世界に生まれて間もない頃、ボブ・マーリーが来日し、中上健二がインタビューをした。紀州の土にまみれた中上と、すでに神様のように地球を俯瞰するボブとの、ちっとも会話がかみ合わないそのインタビューの中でボブがいっている。
「ラスタファリズムは黒人だけのものじゃない。それぞれの国で、それぞれの時代で解釈があっていい」
 私とCにとってラスタファリズムとは、私がCで、Cが私で、私はビーで、ビーは殿で、殿は世田谷観音の桜の木で、桜は私で、といった感覚。わたしはあなた、あなたはわたし。

 『Africa Unite』を完璧にマスターして、いくつか台風が通り過ぎて、暑さがピークに達した頃、ビーが家出した。

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2 コメント

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 「カヤ」は (いぶくろ)
2005-09-19 03:06:41
好きなアルバムです。

聴き飽きないです。
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いぶくろ様 (なつか)
2005-09-20 21:10:47
私も一生聴いてると思います。

カヤは唯一ラブソングが入ってますから、

ボブの中でも特別です。



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