なぎのあとさき

日記です。

其の五 木曜日

2005年08月31日 | ビーに降る愛の歌 2002

 ビーが家にいて、これは夢だと気づくと、ビーを探すために目を覚ました。
 猛暑が続き、天気予報は向こう一週間晴れマーク。
 ひととおり近所を探してから世田谷観音に行って、
「ビーが元気でいて、家に帰りますように」と祈ってから仕事に行った。
 職場では、ふだんくだらない話をしたり笑ったりしている同僚に、おかしな様子を悟られないように、昨日に引き続き漫画家の話をしてやりすごした。
「ネコちゃんたちは元気?」というSさんの問いにも、
「元気だよ。殿は暑さでちょっとぐったりしてるけど」と答えた。

 仕事の後、Cが会社まで迎えに来てくれた。
「ちょっとうちに寄って、夕食のおかず持っていきな。Tくんもろくなもん食べてないんでしょ。おいしいとんかつ、買っといたから」
「うん」
「今日見つかるよ」
「うん」

 Cの家にいくと、Cの旦那のYがいて、
「N元気出せよー、戻ってくるよー」とだけいってから、
「マープとリーブ、どっちがいいと思う?」といった。
「え?」
 ヅラの話だ、と気づくと、四日ぶりに自然に笑った。
「まだそんなの必要ないでしょ。わかんないよ」
「いやキテるんだって」
「わかんないってー」
 そこに、C夫婦と同居するYの兄、Sが現われた。
「Nちゃん、ネコ見つかったー?」
 ハゲの話題で軽くなっていた気分が、すぐに現実に引き戻された。
「まだなの」
「そーなんだー。誰かにつれてかれちゃったのかね。保健所とか電話してみた?」

 〝恐れていること〟を耳にして、答える力も出ずに、だまったまま首を振った。〝恐れていること〟を、たやすく口にされるのが嫌で、ビーの家出の話をする相手を慎重に選んでいたけれど、CはCで、自分の家族に話していた。

「別宅があって、どっかで飯でももらってんだろ」Yが軽い口調でいった。
「N、これ持って、先車行ってて」
「うん」
 Cはとんかつの入った袋と、車のキーを手渡した。車に乗ってシートに座ると、膝の下に頭が来るほどうなだれた。保健所、という言葉が重くのしかかっていた。保健所が何をするところなのかはよく知らないけれど、その響きにいやな印象があった。すぐにCが来て、車を出した。
「お待たせ~」
「うん」
「じゃ、行こう。ビー帰ってるといいねえ」
「うん」
 しばらくして、苦いものを吐き出すようにいった。
「保健所、連絡した方がいいよね」
「そうだね。何なら明日あたしが電話しといてあげる。あんたはなにも心配しなくていいよ」
「ほんと?」
「うん」
「じゃあお願い…自分でするの怖くて…ごめんね。めんどくさいこと頼んで」
「ごめんね、とかいう方がめんどくさいよ」
「だね。ありがとう」
 それでも、不安で重くなった心はもとに戻らない。

 ビーのことは、毎日撫でて、抱き上げて、見とれて、のどを鳴らす音を聞いていたから、毛の一本までリアルに思い描くことができる。〝恐れていること〟のイメージも、考えまいと思ってもリアルに浮かんでしまう。胸がドキドキして、猛暑なのに身体がふるえ、吐き気までしてきた。自分の腿の肉をぎゅうっとつねりあげてから、声を絞り出した。
「ねえC、あたし今ほんとにヤバイ…どうしていいかわからない」
「やることはいろいろあるよ。ビーを探すことのほかにも、音楽を聴くこと、歌うこと、何も考えないで泳ぐこと」
 そういってCは、カーステレオのボリュームを少しあげた。ちょうど『CAYA』がかかっていた。

I feel so good in my neighbourhood
so here I come again.

 この部分の意味は、前に歌った時はうまくつかめなかったけれど、この時はしっくりときた。
 ビーはおうちの近所でたのちく遊んでる。そのうち帰るよ。そんなことを考えながら、ボブにあわせて歌った。

 Cには車で待っていてもらって、一度荷物を置きに家に帰った。校了が明けたTがテレビを見ながらたこ焼を食べていた。Tの膝に乗っていた殿を押しのけて、Tの腹に突っ伏して泣いた。Tは何も言わず、私の頭を撫でた。寒気と吐き気がゆっくりとひいていくのを感じながら、Tにいった。
「ビーは、ビーは大丈夫だよね」
 Tは、私の両肩をつかみ、目を見ていった。
「ビーは大丈夫。そんな気がするの」
 何の根拠もないけれど自信たっぷりのTの言葉は、私の頭を少し軽くした。
「それにね、Nちゃんはビーとつながってるの。Nちゃんとビーはそっくりなんだから。だから、Nちゃんが元気にしてたら、きっとビーも元気なんだよ」
 大切な猫が忽然と消えて、元気が出るはずもなく、紙一枚持ち上げる気力もないほどだ。けれど、そんなことではビーを探し出すことはできない。元気を出す方法は、自分がビーとつながっていて、自分が元気ならビーも元気だと信じることだと、Tの言葉で気づいた。ビーは私で、私はビー。ラスタマンは、自分のことを〝I&I〟と呼ぶ。Iが二つあるのは、自分を含めたすべてのラスタマンと、ラスタマンを含めたすべての自然を表していて、すべてがつながっていて区別しない〝one love〟の精神からきている。ビーは私で、私はビー、自分にとって当たり前のことを思い出すと、次にやるべきことを考えた。
「あたしこれからチラシ貼りに行ってくる。T寝てないんでしょ」
「うん、この三日間で寝たの二時間くらいかな…」
「じゃ、とんかつ食べたら今日は早めに寝なよ」
 とんかつとレトルトのご飯を渡して、Cの待つ車に戻った。
「Tくん帰ってたの。じゃあ今日は彼といたら?」
「校了明けで寝てないの。頬がこけて青い顔してんの。今日は家の西側にチラシ貼りたいから、あとちょっとつきあってくれる?」
「ヤーマン。じゃあ少し移動して車止めよう」

 1ヶ月くらい前、駅までの通りの電柱に、猫探しの貼り紙が貼ってあるのを見つけたとき、その猫に会ったら名前を呼べるように猫の名前を覚え、その辺りを歩くときは似た猫がいないか注意していた。 猫が好きな人は、猫を探している人の気持ちがよく分かる。公園や緑道など猫の多い場所、動物病院の前には猫好きな人も多いと思って、重点的に貼っておいた。目立つところに貼っておきたかったので、区の掲示板にも貼っておいた。

「さっきゴメンね。うちのバカ。ひきこもりだから、空気読めないし、人の気持ちわかんないんだ」
「ああ、Sくん」
「帰ったらどやしつけてやる」
「うん。今ね、ビーの話人にふられても、うまく答えられないんだ」
 ビーがなぜ家出したのか、今どこにいるのか、誰にもわからないことを話し合っても仕方ない。
「だよね」
「Yくんはその点」
「ハゲネタで捨て身のギャグ繰り出してたね」
「ええ人や」
「ええ人やな」
「でも、きっかけにはなった」
「きっかけって?」
「近所を探すほかにもやることあるなって。保健所に電話するでしょ。保護されてるかもしれないもんね。あと近所にある学校とか、神社とか、公共施設にも電話して聞いてみる」
「よし偉い。保健所は明日電話しとくから。あとネットで猫探しのマニュアル調べとくよ。あと探す人手増やす?」
「ううん。それも考えたけど、ビーあたし以外の人にはほとんどなつかないでしょ。Tにだって、自分からなついたりしないんだから。あたしが呼んで出てこないのに、ほかの人が呼んでも絶対出てこないと思う。だからいいの」
「だね」

 Cが帰ると、家に戻ってとんかつを食べた。
夜中、自転車に乗って、ボブの歌を歌いながらビーの姿を探した。

To the rescure,here I am!

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雨降り

2005年08月31日 | 日々のこと



靴々との戯れは、おれのひそかな楽しみ



みたなー

朝はお天気で洗濯物を干す。
多少涼しくなったけど蚊が多い。
小さい花のニチニチソウの鉢を、
コンクリートの上で倒して割ってしまって軽いショック。
朝ご飯はベーコン&目玉焼き。
盛夏が終わって、顕著に髪型が落ちついてる。

隣席の甘木さんが夏休みで、ついたらたらして、
仕事がはかどらなくて少し残業。お昼は社食の八宝菜。
音楽友達の甘木2くんに会う。
久しぶりに私を見て「焼けちゃったね~」と、
さも困った、という風にいう。
私は日焼けを気にしていないので、そんな困られても困る。

M駅につくと覆盆の大雨。
ジム用具の中からタオルをだして
ほっかむりしてスタバまで走る。
雨が小降りになるのを待ってから、ジムに移動。
30代も後半になってついにメジャーデビューした
ラス田君のCDを聞く。
Cは早くも折り返し地点、といいながらもつやつやして、
「散れば咲き 散れば咲きして 百日紅」の風情。
腹筋30、横腹筋15ずつ×2、その他。
帰りに三宿の夢吟坊でかきあげうどん。美味。
何の話か忘れたけど、よく笑った。雨やまず。

家に帰って洗濯物を取り込み、洗いなおす。
雨のせいか気分にとりとめがなく、
何をするでもなくたらたらする。

羽のおもちゃで、モンチは一人で大興奮で遊び、
羽をくいちぎりはじめたので、「モンチ!」と呼ぶとこちらを見る。
楽しくて仕方ない顔。
毎日すべてが新鮮で楽しくて、モンチはいいねぇ。
部屋のドアが閉まりかけているとき、
ビーや殿は前足で押したり引いたり、
自在に操って不便がないが、
モンチは今だに前足でドアを動かす方法を知らない。
部屋の中でおもちゃを振って、「モンチ」と呼ぶと、
ドアの隙間が狭くてモンチは部屋に入れない。
モンチは部屋に入りたくて頭から突っ込もうとするので、
顔が挟まれて左右に伸びて、目がつりあがっている。

ダーが帰ると、早くも昨日の内Pを見返す。
どんべえのこくカレー味を少しもらって食べると美味い。
食欲止まらず、ぶどう(ピオーネ)。

「東京焼盡」
百先生も奥さんも、小屋暮らしで体調を崩してばかり。
薬が手に入らないのでただ経過を見守っている。
蚊遣り線香も少しあるだけで、
7月を過ぎると蚊に悩まされている。
この年も、7月の中ごろになっても梅雨が終わらない。

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其の四 水曜日

2005年08月31日 | ビーに降る愛の歌 2002

 水曜の朝。ビーが帰って来てベッドの下にいる夢の途中で目が覚めて、ベッドの下を見るとビーはいなかった。泣いているとダーが起きてきて、「泣かないで、ビーは大丈夫だよ」。テレビをつけて身支度。天気予報は、「今日も午前中から36度を超える猛暑となるでしょう」。

 外に出ると、立っているだけで化粧が流れ落ちるほどの暑さだった。ビーを探して十分も歩くと喉が渇き、ビーに飲む水があるのか心配になった。ビーは狩りが得意で毎日のようにネズミやスズメを捕っていたから、食べるものに困ることはないだろう。けれど、猛暑で干上がったような町で、飲む水はどうするのか。ネガティブな考えが浮かびそうになると、「ビーは元気でやってる、ビーは大丈夫」と三回唱えて追い払う。そして小さな池のある家、神社の池、小学校の池、プール、庭の水道の蛇口の締まりが悪くてできた水たまり、クーラーの室外機の周りの水たまりのことを考えた。猛暑でも、水はあるところにはある。

 真っ白な陽光がアスファルトに降り注いで乱反射し、猫が表通りに出てくるとは思えない。野良猫の姿も全く見かけない。
 世田谷観音に行くと、大きな桜の木が数本で木陰を作り、その下には風が吹いていて暑さを感じない。猫たちは涼しい場所を見つけるのが得意だから、ビーも涼しい木陰でじっとしているだろう。夏の間ビーは、日の出ているうちは家の中の涼しい場所で寝ていて、夜になると散歩にでかける。道に迷ったビーが家を探して動くのも、日が沈んでからだと考えた。
 「ビーが元気でいて、無事に帰りますように」と祈り、仕事に行った。

 仕事場に着くと、女子の間で人気のある「ぴあ」の占いを見た。お盆の時期の合併号で二週間分の占いが載っていた。射手座は絶好調の二週間らしかった。ラッキーアイテムはオニオンリング、乾燥剤とあった。
「乾燥剤がラッキーアイテムってどういうの」
「ハハハ!持ち歩いてみたらどうですか?」隣の席のHさんがいった。
 誰も見ていないとき、おかきの袋に入っていた乾燥剤をポケットに入れた。

 その日、私とHさんのお気に入りのギャグ漫画家が猥褻罪で逮捕された。メールで知り合った未成年を買春、という事件で、被疑者が日本一売れている少年誌で連載中の作者であることで、新聞の社会面で大きく取り上げられた。一緒にファンレターを書き、返事をもらったこともあるHさんと私は、一日中その話をしていた。
「週刊漫画はストレスがたまるんでしょうね~」
「特にギャグ漫画の作者はね。精神病んじゃう人、いっぱいいるもんね。ストレスだけじゃなくて、忙しすぎて若い人だと欲求不満もたまるんだろうね」
「担当がケアしてあげるべきですよ!」
「読者の子供たちもショックだろうけど、大人になればわかるよね」
「早く復帰して欲しいですよね」
「少年誌で復帰は無理かもしれないけど、引く手あまただよ」
「今度激励の手紙でも書きましょうか」
 その話をだらだらと長引かせ、ビーのことを考えずにやりすごそうとした。
 ときどき不安がよぎるたびに、太ももをつねって追い払い、なんとかこの日も仕事を終えた。

 水曜はCとジムに行く日なので、仕事が終わる頃、会社までCが迎えに来た。
「ビーがね、帰って来ないの」
「え~? いつから?」
「おとといの夜。心配で頭が痛いよ」
「そっか。じゃあとにかく探そうよ」
「うん」
「あいつ、別宅でも見つけたか?」
「うん、そうかも。ビー顔はかわいいからね。性格はやりたい放題だけど」
「確かに。あの顔ならファンがいてもおかしくないよ」
「うん、うちのアパートでも知らない人にカリカリもらってるの見たことあるもん。くいもんに弱いから」
「うまいもんにつられちゃったのかもね。でも、今日の夜には帰ってくるよ」

 家に帰ると、殿が玄関の前で待っていた。
「殿ちんただいま」
「殿さま、こんばんわ。いい子で待ってたの」
 殿は嬉しそうにCの膝にすりよった。
 玄関を開けると、ビーの姿はなく、家中探してもビーはいなかった。ビーの好きな、棒の先に小さなネズミの人形がついて振るとシャラシャラ鳴る猫用のおもちゃと、猫缶をポケットに入れてすぐに外に出た。
「まだ帰ってないか」
「うん」
「よし、探しいこ。殿さま、いい子でまっててね」
「殿ち、ビー探してくるから、ちょっとおうちの中にいてね」

 Cと二人で、ビーの名前を呼びながら家の周りを歩き、公園や駐車場など人気がなくて猫の好みそうな場所では、何度もビーの名前を呼んだ。
「ビ~。ビ~」
「ビ~。ビーた~ん
「ビ~。ビ~。おビーさ~ん」
「ビーちゃ~ん」
「ビチ~」
「ビ~たん。ビ~。出ておいで~」
「猫ちゃんを探してるんですか?」
 小さな公園で、犬を連れた若い女性に声をかけられた。
「そうなんです」
「向こうのトイレの裏に、白い猫がいましたよ」
「サバトラなんです。こげ茶色の」
「大きい猫ですか?」
「大きいです。このくらい」
「そうですか…。早く見つかるといいですね」
「ありがとうございます」
 女性と犬が立ち去ると、Cがいった。
「ケータイの番号ちっちゃい付箋かなんかに書いといてさ、 今の人みたいに信用できる人に配っとくといいんじゃない?」
「そうだね。後で書こう。いい人だったね」
「いい人だったね」

 探している間、あの茂みにいるかもしれない、次の角を曲がればいるかもしれない、と期待が途切れることがないので、ずっと続いていた息苦しさを感じずにすんだ。猫のシルエットを見かけるたび、「ビ~」と優しく呼びかけながらゆっくり近づいて、ビーではないとわかると、「ビーが帰るように」と猫に伝えて、次の猫を探した。二時間弱探しても、ビーはいなかった。

「N、なんか食べた方がいいよ」
「だね。Cもおなかすいたでしょ。何か買ってとりあえずジム行こうか」
「うん、少しプールで泳いで、夜中にまた探そう」
「貼り紙も作りたいな」
「じゃあそれもやろう」

 ファーストフードでテイクアウトしてジムへ行った。バルコニーに出ると、細い月がくっきりと出ていて、ビーの爪の形を思い出した。その月が「ビーは元気でいるよ」というビーからのメッセージだと思って、Cに見えないように少し泣いた。何を食べても味がしなくて、異物を口に入れているようだったけれど、ラッキーアイテムのオニオンリングはすべて食べた。

 プールでは、「水の中では愛する人の姿が見える」というフランスの映画を思い出して、ビーの姿が見えるような気がした。 あとは動かす筋肉だけを意識して、何も考えないようにしながら、二百メートルくらい泳いだ。

 家に戻るとすぐパソコンを立ち上げて、デジカメで撮ったビーの写真から、貼り紙にするための写真を選んだ。写真を見ていると、柔らかくて温かいビーに触れることができないことが息苦しくさせた。事務的な気持ちで写真を選び、全身がわかる写真をプリントアウトして、紙、マジック、ハサミ、ノリ、近所の地図を持ってCの待つ車に戻った。
「Tくんまだ帰らないの?」
「校了中でいつ帰るかもわかんない」
「なんかいつも校了中だね」
「肝心なときはだいたい校了中。雑誌2冊やってるからしょうがないけどね」
「Tくんには仕事してもらわないとね。その分あたしが探すの手伝うから」
「ありがとう」

 ファミレスでコーヒーを飲みながらチラシを作った。

【迷いネコ】
大切な猫です。見かけた方はご連絡ください。
お願いいたします。

(写真)

・名前 ビー
・成ネコ、2才、中型
・こげ茶系サバトラ、メス
・首輪なし
・顔小さめ、胴太目、足短め
・しっぽは短くて太く、先がカギ
・あごの辺りが白
・前足に一部毛を剃った跡あり

連絡先○○○・××××・○○○○

 この息づまる状況で、いたずら電話の対応をする余裕は全くないと思い、連絡先はTのケータイにしておいた。地図を見て、どの辺まで貼るかを二人で考えて、この日は家の東側に貼っていくことにした。

 コンビニで50枚コピーして、ビーの名前を呼びながら近所の電信柱にチラシを貼っていく。紙をおさえる係とガムテープを切って貼る係りに別れ、20枚も貼った頃には二人とも無駄な動きなしで素早く貼れるようになった。
「なんかどんどん上手くなるね」
「プロになれるよあたしたち。チラシ貼り職人」
「疲れた~。もうすぐ夜が明けちゃう。残りは明日やろうかな。今日はほんとにありがとう」
「見て、星が出てる」
 東京の夏の夜空とは思えないくらい、星が出ていた。
「ほんとだ。オリオン座もあるよ。夏でも見えるんだね」
「どこどこ」
「ほら」
「ほんとだ」

 空の低いところで光るオリオン座を見ながら、ビーはこの星をどこで見ているのだろうと思った。
 家に戻っても、ダーはまだ仕事から帰っていなかった。疲れきって、その日もすぐに眠りにおちた。

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其の三 月曜、火曜

2005年08月30日 | ビーに降る愛の歌 2002

 仕事から帰ると、ひと息いれる前に夕食の支度をする。クーラーが壊れているので、汗だくで冷やし中華を作った。 調理の一部始終を冷蔵庫の上から眺めているビーに、薄焼き卵をちぎってあげると、噛まずに飲み込む。好みの味ではないらしく、それ以上欲しそうにはしなかった。猫たちの器にも猫缶を入れて、夕食にする。猫たちはものの五分で食べ終えると、家の中は暑いのでベランダに出た。私は雑誌を読んだり、お笑い番組を見たりしながらゆっくり食べた。

 食べ終わって、煙草に火をつけてベランダに出ると、殿とビーがベランダの端に並んで涼んでいた。部屋に戻ってしばらくすると、殿があわてた様子で部屋に駆け込んで来た。何かあったのかとベランダに出ると、向かいの家の塀の上に、体格のいい虎猫がいる。ビーの姿はない。Tが帰り、再度一人分の冷やし中華を作り、食べ終えるのを待って、ビーを探しに出かけた。
「ビー、ビー」
 夜中の一時過ぎで、あまり大きな声は出せないけれど、静かな住宅街なので小さな声でも猫の耳なら聞こえるだろう。
「ビー」
「ナー」、と答えた猫は殿だった。まぎらわしいので、殿を連れて一度家に戻り、窓を閉めてからビーを探した。
 空き地、神社、駐車場、庭など猫のいそうな場所では立ち止まって何度も呼んでみたがビーは出てこない。 
「ビーがこんなに長いこと帰ってこないの珍しいよ」
「うん、いつも二、三時間で腹減って帰って来るからね」
「お腹空いてるはずなのに、帰って来ないなんておかしいよ」
「大丈夫だよ、少しくらい痩せた方がいいんだから、ビーは。この前獣医にちょっと太り気味ですねっていわれたばかりなんだから」
「まあそうだけど。お腹ぶりんぶりんだもんね」
「俺はどっかでうまいもんもらってるんだと思うけどね」
「かなあ。ビーかわいいからねえ。ユニバーサル級のかわいさだからねえ。あたしたちの知らないとこにファンがいてもおかしくないよね。優しい老夫婦かなんかで、うちなんかよりずっと広い家住んでて、うちみたいにクーラーも壊れてなくて、おばあさん暇だから魚屋で買ってきたアラとか自分で煮てあげて、居心地よくて、ついつい長居してるのかもね」
「そうそう。ビーはウハウハでやってるよ。そのうち飽きて帰って来るよ」
 半径50メートルくらい歩いたけれど、ビーの気配はない。殿も一晩帰らないことが最近あったし、明日の朝には戻っているだろうと思って、その夜は寝ることにした。

 次の朝、目が覚めるとすぐにベッドの下のビーの寝床を覗いてみたが、姿はなかった。急いでシャワーを浴びてから、ビーを探しに外に出た。蝉しぐれを効果音に、目の眩むような真っ白い陽射しがふりそそぎ、すぐに汗でTシャツの背中がびしょ濡れになった。
「ビー」
 何度も名を呼んだが出て来ない。こうまで暑いと、アスファルトに出てくるのが嫌で、どこか涼しい場所で眠っているのかもしれない。猛暑の白昼に猫を探すのは難しいと思って、家のすぐ近くにある世田谷観音に行き、「ビーが元気で帰って来ますように」と祈った。つい最近殿が家出したときは、次の日の夜に帰って来た。ビーも夜には戻るだろうと思い、仕事に出かけた。

 仕事中はただ目の前にある仕事をこなしていった。手を止めるとビーのことを考えて、心配で仕事が手につかなくなるので、ひたすら仕事に集中した。
 同じ部のSさんに昼食に誘われて仕事を中断すると、ビーはどこで何をしているのか、そればかり気になり出した。Sさんにはビーがいなくなったことは話さなかった。Sさんはもともと理系で結論を急ぐようなところがあり、猫がいなくなったと聞けば私が〝恐れていること〟を平気で口に出しかねない。上の空で世間話をしながらパスタを食べると、ぼろ雑巾を口に入れているような気がした。

 〝恐れていること〟をイメージしたり、頭の中で言葉にしたりすることを必死で避けた。縁起の悪いことを考えたくなかっただけでなく、〝恐れていること〟が脳裏をかすめただけで、頭がわれるように痛くなり、めまいがし、吐き気がし、動悸がして、仕事どころではなくなる。他人にも口に出して欲しくなかったので、Sさんだけでなく、職場ではビーがいなくなったことは黙っていた。

 別の部の、猫を二匹飼っていて、猫の話をはじめるといつまでも止まらないおじさんにだけ、ビーのことを打ち明けた。
「うちの妹猫が昨日の夜から帰らないんですよ」
「猫砂を家の周りにまいておくといいよ。そしたら匂いで帰って来るからさ」

 集中したせいかいつもより一時間ほど早く仕事を終え、急いで家に帰った。いつものように玄関の前で殿が帰りを待っていた。ビーはたいてい家の中で寝ていて、私の足音がすると玄関先まで出迎えに来る。でもその日玄関を開けても、ビーは迎えには出て来なかった。疲れて寝ているのかもしれないと思い、家中を探してみても姿はなかった。すぐ外に出て、ビーの名前を呼びながら、近所を探した。疲れると家に戻って、ビーを待った。心配で何も手につかないので、疲れがとれ次第、何度も外に出てビーを探した。半径二百メートルほどの範囲を、ときどき自転車を止めて、ビーの名前を呼びながら回った。

 家にいる間も、ベランダからビーの名前を呼んだ。祈る気持ちで空を見上げると、夏の空にしては星が多く出ていて、流れ星を見つけた。流れ星の、ピョーンと短く伸びた曲線がビーの胴のようで、「ビーは無事だよ、元気に遊んでるよ」、というビーからのメッセージだと思うと涙が出た。
 夜になってもやまない蝉の声に混じって、ビーの声が聞こえたような気がしても、次の瞬間には蝉の声だけが聞こえた。   

 殿は、家の中にいるか、ベランダで涼んでいて、遠くへ出かけようとはしなかった。殿は、妹猫のビーの前では、だっこされるのを嫌がって自分からは決して甘えないのに、ビーがいないと人が変わったように甘えてくる。暑い夜も、一度だっこすると抱かれっぱなしになっていた。

 仕事を終えたTから電話があった。
「今から帰るよ」
「うん」
「今日ご飯は?」
「ごめん、何もないの」
「わかった。じゃあ何か買って帰るよ。ヤツは帰って来たの?」
「まだなの」
「そっか。困った子だね」
「早く帰って来て」
「うん、急いで帰るよ」

 一人で家にいると、ビーがいないことがさみしくて泣いてしまう。すると、ベランダで涼んでいた殿が帰って来て「ナー」と鳴く。殿の背中に顔をつけて泣いても、殿は嫌がりもしないで喉を鳴らし、全身にブルルルル、という音が響き渡る。殿が息を吸うときのブルルルルと、息を吐く時のクルルルルという音が、さざ波のように反復して鳴り響き、少しだけ気分を落ち着けてくれた。

 Tが帰ってきて、コンビニ弁当だけでは足りないようだったので、そうめんを茹でて一緒に食べた。

 食べ終わるとすぐに、二人でビーを探しに出た。じっとりと暑い空気が動かない熱帯夜で、少し歩くだけで喉が渇く。喉の渇きを感じるたびに、ビーに飲む水があるのか心配になった。こうした〝恐れていること〟は、言霊になるのがいやなのでTにもいわなかった。ふだんは言霊だの迷信だの全く信じていないけれど、今はどんな可能性にでも賭けたい。〝恐れていること〟が脳裏をかすめるだびに、自分の太ももの肉をぎゅうっとつねりあげた。その痛みで胸の苦しさを紛らわせた。

 歩いて探しては家に戻り、一休みしてから一人で自転車で探しに出かけることを何度か繰り返した。
 車の多い通りを避けて、夜の町を歩いていると、これまで見たことのない猫を何匹も目にした。猫に出会う度に、ビーの姿を念じながら、「見かけたら、家に帰るように伝えて」と、言葉ではなくイメージでテレパシーを送った。

深夜、ベランダに使用済みトイレ砂を 少しおいてから、力尽きて簡単に眠りに落ちた。

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焼肉day

2005年08月30日 | 日々のこと



ひどいめにあったにゃ!



レンゲショウマの花は蝋のよう



レンゲショウマにまた2つ花が咲いた。
また月曜。ダーが会社を休むので、
つられて休日気分の中仕事へ。WJが救い。

お昼は神田でラーメン、味玉入り。まだ暑い。
隣の作業台で仕事をする甘木さんは、
連日4時まで休みなしで働いておかしなテンションに。

帰りは駅でダーと待ち合わせ。
駅について電話すると「まだ家」というので
一瞬キレそうになるけどぐっと我慢。
久々に外食なのに最初から喧嘩してはつまらない。
薬局で柔軟剤とかいろいろ買ったり、
植木屋を覗いたりして待つ。
植木屋ではリンドウがオンシーズン。

トラジの焼肉。ビールを軽く飲んで、
美味いものを食べるうちに、
待たされてムカッときたことはどうでもよくなった。
お腹が減っていたので最初に出たキムチすらめちゃ美味い。
ダーも私も大人らしく、肉は塩・タレカルビ、ヒレ角など計4人前に抑える。
味付け葱と一緒に食べるとさっぱり。
苦しくなる前にシメのコムタンクッパ、ダーはテグタンクッパ。
ダーは「この夏は辛いものばかり食べたくなる」 
クッパの途中で結局苦しくなったけど、完食。牛に感謝。

殿ちんをお風呂に入れてから何日か、
風呂の排水溝に白い毛が溜まるのを取り除いていた。
お風呂に入れると毛がかなり抜けてさっぱりし、
殿を撫でても前ほどは手に毛がつかない。
ビーもお風呂に入れることにする。
ダーはさっそくビーをつれてお風呂へ。
先日は、生半可な気持ちでビーを風呂に連れていき、
一撃必殺の蹴りをくらったけれど、
こっちの覚悟が決まっていると、
ビーも覚悟を決めて暴れはしない。
むしろ怯えて、バスルームからビーのあらん限りの大声が聞こえる。
「にゃーあーおーうー!」 私はタオルを持って外で待ち構えながら、
「ビー、だいじょぶ、だいじょぶだよー、すぐだよ、ビー」となだめ続ける。
殿が来てバスルームの戸に鼻を近づけ、
ビーと一緒になって鳴く。

バスルームから出たビーは、
嫌な時間が終わったことでホッとして、
タオルでくるんでも嫌がらず大人しいので、
タオル3枚でよく拭く。
乱れた毛並みをビーが舐めていると殿も来て、
舐めるのを手伝っているけれど、
毛並みと逆方向に出鱈目に舐めている。
モンチは、誰もいなくなったバスルームをそっと覗いて、
濡れているので飛び退り、何だかよくわからないけど、
ビー姉ちゃんを苦しめたあの2人は極悪人に違いないという風に、逃げ惑った。

夜、寝ようとベッドに行くとビーも来て、
枕元で毛づくろいをするのを眺める。
少し寒かったのか、毛布でくるむとそのまま寝て、
朝まで私の腕の中で寝る。

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其の二 歌

2005年08月30日 | ビーに降る愛の歌 2002

 季節は梅雨。雨で散歩もできないので、外に出る気がしないCと私は、家でボブ・マーリーの歌を一つ一つ覚えようとしていた。

wake up turn I lose,
for the rain falling.

「雨が降ってるうちにいっとけ、みたいな」
「そっか『caya』って梅雨の歌だ」

 ワンフレーズごとに、歌詞の意味を考えながら覚えていく。

I feel so high I even touch the sky
above the falling rain.

「すんげ~ハイになっちゃって」
「雨を越えて空に手が届きそう」
 歌うたびに、雨雲の上に広がる青空のイメージが浮かんできて、梅雨も悪くなかった。

I feel so good in my neighbourhood
so here I come again.
I got have caya now.

「地元にいていい感じ! だから帰ってきたぜ! さあいっとけ!」
「なんか変な歌詞だけど、ニュアンスはわかるね」

 梅雨のボブは、『caya』だけではない。

Misty morning don’t see no sun.

「湿った朝、太陽さえ見えない」
「見てないよね~最近」
「先週一週間の日照時間、35分だって」
「どおりでうちの動物たち、元気なかったわけだ」
「うちの猫たちは雨でも外に遊びに行ってずぶ濡れで帰ってきた」
「ビー、洗われて毛まで剃られて元気になったの?」
「うん、二日間くらいへこんでたけど、三日目にはすっかり忘れて元気になった」
 三日目にはネズミ狩も再開し、シラッと獲物をくわえて帰ってきた。ビーは賢いので、同じトリモチにかかることはないと思った。
「うちの動物は猫だけじゃないからね」とC。
「何?」
「旦那と旦那の兄貴。毎晩群れをなして、ゲームばっかやってる」
「あはは。梅雨も晴れも関係ないじゃん」

I know you out there somewhere having fun.

「君は外に出てどこかで遊んでる? 変な歌詞だね。前後関係がよくわからない」

One of my best friends say,in a reggae riddem.

「友達が言った、レゲエのリズムで」
「イナレゲリデム!」

Don’t jumping the water,if you can’t swim.

「泳げないなら飛び込むな」
「当たり前だっつーの」

 太陽が恋しくて次に選んだのは、
『Sun is shining』。

Sun is shining,the weather is sweet.

「この曲さあ、こんなに晴れがましい歌詞なのに、メロディはねっとりしてるよね」
「ほんと。しかもなんか暗いってゆうか」
「ビートルズの『good day sunshine』とかまさに太陽の中散歩する感じなのに」

To the rescure, here I am!
want you to know ya,here I stand!

「マンデモーニン、変な歌だね」
「チューズデイーブニン、こんな曲ボブにしか作れない」
「ウェンズデモーニン、このぐったりした感じ」
「サースデイーブニン、でもさ」
「フライデーモーニン、何?」
「ジャマイカとか、ほんとに暑いとこのぐらいぐったりしちゃうのかもね」

 そして、大好きな『Time will tell』。

Time alone,oh time will tell.
Think you'er'in heven but living in hell.

「あんたたちは天国にいると思ってるかもしれないけど、ここは地獄なんだぜ!」
「そんな歌詞だったんだあ。もっと優しい感じの歌かと思ってたのに」
「ファンシーなメロディなのに。重い歌詞だったんだね」

『Time will tell』を覚えたあたりで梅雨が明け、真夏のボブ、『Africa Unite』にとりかかることにした。

Africa unite,Cause we are moving right out of babylon.
And we are going to our father's land

 私とCがこの世界に生まれて間もない頃、ボブ・マーリーが来日し、中上健二がインタビューをした。紀州の土にまみれた中上と、すでに神様のように地球を俯瞰するボブとの、ちっとも会話がかみ合わないそのインタビューの中でボブがいっている。
「ラスタファリズムは黒人だけのものじゃない。それぞれの国で、それぞれの時代で解釈があっていい」
 私とCにとってラスタファリズムとは、私がCで、Cが私で、私はビーで、ビーは殿で、殿は世田谷観音の桜の木で、桜は私で、といった感覚。わたしはあなた、あなたはわたし。

 『Africa Unite』を完璧にマスターして、いくつか台風が通り過ぎて、暑さがピークに達した頃、ビーが家出した。

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エクソダス

2005年08月29日 | 日々のこと



ねじゅみをくわえてとくいまんめん!

日曜日。朝から「サマーソルジャー」熱唱。
海岸行きがかかるとダーも起きてきて、
目の覚めない顔で一緒に歌っている。
朝ご飯は、韮入り卵焼き、ウインナー、納豆、ご飯。
クーラーのフィルター掃除。洗濯、庭の雑草を少し抜く。トイレ掃除。

ものすごい音がして、見るとキャットタワーが倒れてた。
猫たちは無事だったけれど、
モンチはびっくりして私が近づくと逃げ、
殿とビーも(危ないやないか!)ってムッとして、
倉庫部屋に篭り、呼んでもつんとしている。
ちょこちょこメンテはしてたけど、
皆タワーで暴れるのですぐにねじがゆるんでしまう。
私もびっくりしたあまり、ダーにチンピラ風にキレる。

Cが迎えに来て、2時出発で鎌倉へ。
車中BGMは卓球→More Poko→Easy Rider。
夾竹桃は少し花が減り、下の方の花が満開。大きい百日紅の木が満開。
  散れば咲き 散れば咲きして 百日紅(千代女)

パリ部トークに熱中して逗子を超え、葉山の方まで行ってしまう。
一度降りてから高速に乗りなおし、横須賀のドライブインで一休み。
鎌倉よりさらに甘い匂いの、なじみのある空気。
陽射しの降るベンチで一服。
さらに誰も居ない木陰のベンチで蝉の声を聞きながら
ソフトクリームを食べていると、口の周りにクリームがついて、
いちいち拭くのも面倒なので、後でまとめて拭こうと思ってたらつっこまれ、笑われた。

鎌倉を降りると、小川にせり出して咲く白い百日紅が見事。
何度来ても、景色をいくら見ていても、
飽きるどころか、できるだけいろいろ見ようと
車の窓から目をきょろきょろ。
由比ガ浜に行くと、ベタ凪の海は、澄んでいて奇麗。
もう4時を過ぎて店じまいの始まる海の家。
露店のおじさんにボンボンマットを借りる。
読書する気満々で本を2冊も持ってくるなんて、
真夏は終わったんだ。
ここでも「東京焼盡」を読みながらときどき海を眺める。
百先生は、家内の熱が下がらず、会社を休んで心配している。

夕暮れどき八幡宮へ。
八幡宮の池の蓮は、白くて大きな花がほっこりと咲いていた。
花の落ちた茎が多かったけれど、まだ蕾も結構あった。
階段脇の大銀杏から、蝉の声がわーんとする。上まで上ると工事中。
小町通りまで歩き、茶店でかき氷。
ふわふわの氷に濃い抹茶と、ゆで小豆の入った宇治金時は、
「ンマーイ!」 Cの小豆ミルクと、3回くらい交換しながら食べる。

帰りのBGMはボブ「EXODUS」がしっくり。One Love熱唱。
フタコに戻ってお金を下ろして返却、スーパーに寄って帰る。

夜、プッタネスカ。
気をひきしめて丁寧に作ったら大変美味しくできた。
新たに生えてきたバジルの葉をつんでまぜる。
朝何かと喧嘩していたダーも、夜はご機嫌。

お風呂掃除を念入りにして、久々のお風呂。
「ハッピー・マニア」最終巻。
ラストの結婚のシーンは、幸せ感どころか違和感しかなくて、
今読んでもシゲタにシンクロ率120%。
続いて安野モヨ子「さくらん」
粋な姐さんが何人も出てくる吉原漫画。
花魁になっていく女の子。
恋する女の気持ちは、昔も今もどんな職種でも変わらない、のが面白い。
「悲しいときも笑っとけ」という話は、
この前の里中さんの沖田漫画、FF10にもあったな。

お腹が減ってしまい、深夜1時にそうめん。
ダーはそうめんを「そうめん美味いなー」と何度もいっていた。

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サマソル

2005年08月29日 | 日々のこと



土曜日。起きると12時。曇りぎみ、でもすぐに晴れる。
桔梗にまた花が咲いた。
ペンタスもひと夏で株が大きくなり、花がとぎれず咲く。

ダーがデビューマンの7年ぶりの2巻を買ってきてくれて、
1巻から読み返す。
トキワかわいくて好き。
トキワの処女をあげてもいい男の子は今のとこなし。ト
ビもかわいいけど、処女でトビはちょっとあれだし。
3巻も出るといいなぁ~。何年でも待つよ!

夕方外に出ると、涼しい風が吹いて気持ちがいい。
三茶は近いし、馴染みの街だし、行くのが簡単。
某くんはいまだに緊張しまくって、お酒を1本飲まないとろくに目も見ない。
ちょっと落とすと、首をうなだれたまま。キャウ、ってますます犬みたい。
この前某オヤジ「Hは2回まで、それ以上すると情がうつる」

日が落ちかかり、喉の渇きをガマンしたまま、吉祥寺まで。
23区を出ると緑も多くて風が気持ちがいい。虫の音。永福町の辺りで、お祭りを見る。
中華屋で、あんかけチャーハンと餃子、ビール。
帰り道、盆踊りを覗く。太鼓の音、赤い提灯の灯り、
浴衣姿で無表情に踊る人々。
あっちの世界に近いような眺めを、あんず飴をなめながらボーッと眺める。
水色の水飴がかかってソーダ味のあんず飴。
マツケンサンバがかかると皆こっちの世界に戻ったかのような笑顔。

夜、「サマーソルジャー」
8月の小さな冗談と 真夏の重い病
天気のせい それは暑さのせい それから先は

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台風明け

2005年08月27日 | 日々のこと



あちょぶ?



ねじゅみはっけーん!

台風一過。早く起きて庭チェックをしたかったけれど、
起きると10時すぎ。
この2、3日は夜更かしが続いて起床時間も遅い。

窓から庭を見ると、せっかく花をつけてたガウラが
すっかりなぎ倒されている。
ゼラニュームの花も枯れている。台風の被害はそれくらい。

上野へ。某社で取材。
取材の合間に、別の某社まで歩いて10分くらいの道を往復。
陽射しがはじけて暑い! まぶしい! 

取材後、某社からすぐの居酒屋で打上げ。
ビール、秋刀魚のお刺身。
オヤジ2人が最高潮に盛り上がってからまれた。
「男には、不慮の事故というものがある!」
といって皆でうなずきあっている。
業界の人でシラフでもギラギラしてるんだから、
お酒が入るともうギンギラギン。
若い女子2人は黙って見守っている。
あまり若くない私が一番絡まれた。
「いつ結婚するの?「別れちゃえば?
「早くしないと、今は綺麗でも女は40になると急に老けるよ、
そういう人いっぱい見てるから
「そうそう!「女は40になるとそれまでの人生が
幸せだったか不幸だったか顔に出る「そう!!」
とリピートしながら勝手に盛り上がっている。
隣に座ってた1コ上の甘木さん「怒っていいですよ」 
ギンギラギンのオヤジたちに怒ってもね。かないまへんがな。
甘木さんは今日来るはずだった人と連絡がとれなくて、
今朝部屋まで探しに行ったけどいなくて、
失踪してしまったらしいという話。

寝る前、「ノラや」を少し読み返していたら、
ビーが家出したときのことを思い出して、
2002年の夏の日記を、少しずつアップすることにした。
殿のマネばかりするモンチは、暑いのに膝の上で寝る。

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其の一 梅雨のあとさき

2005年08月27日 | ビーに降る愛の歌 2002

 近所の大学で実験用のネズミが大脱走し、その辺で大発生しているという噂があった。狩りが得意なビーは、毎日ネズミを仕留めては、得意満面でくわえて帰ってきた。ネズミに慣れない頃の私は、「ちゅごいね~、ビーたんちゅごい!」と褒めながら、ソファの背もたれの上に飛び乗ったり他の部屋に逃げたりして、同居人のTが帰るのをひたすら待っていたけれど、あまりに頻繁にくわえてくるうちに次第に慣れ、ネズミが生きていれば捕かまえて逃がし、死んでいれば裏の空き地に返しに行った。
 ビーはネズミを生かさず殺さず転がしては弄び、殿がうらやましそうな目で見ると、「フウウウウ」と唸った。飽きると放り出すか、気がむくと骨ごと食べることもあった。見ないようにしていてもザリッザリッという生生しい音が聞こえて、家の中が野生の王国だった。
 私がネズミを救出して逃すと、ビーは「フンッ」と鼻を鳴らして再び外に行き、すぐにまた別の獲物を捕まえてくるので、1日に3度もネズミを捕まえてきたこともあった。生きたネズミを部屋で見失い、2、3日後にネズミを救出したこともあった。

 梅雨が始まる少し前、ビーは真夜中にネズミとりのトリモチを全身にべったりつけて帰って来た。
 猫用のシャンプーで洗っても、トリモチは毛にこびりついてとれないので、Cに車を出してもらって、動物の救急病院に連れて行った。
「自分でなめようとするの。トリモチがのどにつまったらどうしよう」
「もうすぐ着くから大丈夫」
 ビーは不安らしくニャーニャー鳴き続けていた。
「毛、剃られちゃうのかな」
 ビーがかわいそうで仕方がなかった。
 獣医がビーを籠ごと引き取ってしばらくした後、看護助手の若い女性が説明にきた。
「深夜料金が1万円、レントゲンが2万円、血液検査が2万円、さらに特殊な方法で洗うのですが、人手もかかりますので、5万ほどになります。それと少し脱水症状が出ておりまして、点滴が1万円。合計すると10万円ほどになりますが、よろしいですか」
Cが目をつりあげて、「お金のことより、ビーは大丈夫か、まずそれを説明してください」
「大丈夫ですよ。五回くらい繰り返し洗えば、完全におちると思います」
「それを先にいってくださいよ」
「でも、お金のことも重要ですから」
「お金は別にいいですけど、ビーは今まで病気をしたこともないし、レントゲンとか血液検査を今する必要はないと思いますが」と私。
「いえ、レントゲンと血液検査をしなくては、お受けすることはできません。救急病院の決まりですから」
 一刻も早くビーをトリモチから解放したくて、「じゃあお願いします」
 校了中で会社にいるTに電話して顛末を説明。「10万だって」というと「あはは」と笑っていた。

 採血の注射を打つためにビーは前足の毛を幅一センチほどでぐるりと一周剃られた。レントゲン写真の説明で看護助手が、「この部分が消化しきれていない食べ物です。ここには便ですね。ここにおしっこもたまっています。あとこの辺は全部脂肪になりますね」 ビーのアーモンド型の丸っこいお腹の中が、食べ物、うんち、おしっこ、後は脂肪ばかりなのが可笑しくて、Tにその写真を見せたいと思った。

 最初にトリモチをつけたビーを見たとき、接着剤かと思って背筋が寒くなった。器量よしで、賢くて、素直で、思いやりのある猫のビーが、人間の邪悪な心の犠牲になることはあってはならない。トリモチでよかった。「ビーは好き勝手に遊んででそんなのつけて帰ってきたんだから、」とTもいった。「ビーは全然かわいそうじゃないからね。」 

 一度ひきあげてから翌朝病院に来ると、ビーは医師たちに、洗ってはドライヤーで乾かすことを五回も繰り返され、帰りの車の中では鳴く気力もなくぐったりしていた。エリザベスカラーをしたビーは、人間の赤ちゃんみたいで可愛かった。

(写真は2002年11月30日)

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台風

2005年08月26日 | 日々のこと





台風は関東直撃。
朝から雨で、駅まで歩くと革のサンダルに水が浸透、
髪ぐしゃぐしゃ。「降りすぎー」と雨にツッコミつつざばざば歩く。

ペイデーなので昼は二代目がハンバーグを私と甘木くんに、
夜は初代がひつまぶしを私とドンちゃんにおごってくれた。
ドンちゃんは家庭菜園が気になって
夏休み旅行に行けないというので、
自動水遣り機のことを教える。

雨脚が弱まったところで神田まで散歩。
「海岸行き」を聞きながら。前に取材で会った女の子に偶然会う。

鰻で帰りが遅くなり、駅に着くと薬局が閉まっていた。
傘を差してもびしょ濡れになりながら、μ―ziq。

ダーも早く帰ったので、
オダジョーのトップランナー、「記入ミスで俳優に」はウケた。
最後照れながら「ちょっとしゃべりすぎた」って、かわい子ちゃん。
蒸し暑くて猫たちはごろごろ。
蒸し暑くても殿とモンチは膝や腹の上で寝る。

深くなるにつれ、雨は強くなる。
そんな中、薬局で買うはずだった
コンタクト洗浄液がないことに気がつき、
夜中の2時半に台風の夜道をコンビニまで買いに行く。

松紳見ながらやっと今週のジャンプ。
デスノは主役だと思ってたライトパパが死んで読む気がしなくなった。

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みんな揃う

2005年08月25日 | 日々のこと



暑いひるま、だらけきって寝るモンチ



ふっかーちゅ!

水曜、パッとしない天気だけれど雨には降られず、
髪型が崩れず気分はいい。
ガウラの花がよく咲く。ペンタスにも花がいっぱい。

朝、地下鉄で「東京焼盡」。
古日さんとの一献は、いつも美味しそうだけれど、
その前夜にお酒の都合がついたときの一献は、格別。
B29が来て、百先生の家がついに焼けるところで涙。無常なり。
その夜、百先生が一番気にかけたのは飼っている鳥たちのこと。
四谷が焼き払われて、最後まで気にかけたのは、四谷駅の燕の巣のこと。
(近所のお屋敷の小屋を借りて、)
○焼け出されたけれど雨露を凌ぐ庵ができたので、これからの明け暮れが楽しみである。
(捨てられずにたまっていた様々なものが一気に焼けて、)
○せいせいし又さっぱりせざるを得んや。
(positive vibration,yeah!)

北斗勝ちの甘木さんからTレモングリーンティ。
クラゲの話。日本海側のクラゲが、
津軽海峡を迂回して太平洋に回りこみ、
直径1mの大きさに成長して大発生してるとか。

夜、前から誘われていた甘木2さんと見附でご飯。
お豆腐、蟹入り湯葉、初物の秋刀魚、
野菜のソテー、サバの糠漬けのお茶漬、マンゴーと夕張メロン。
芸能界通の軽いオヤジと思ってたので軽い気分で行ったら、
4年ごしの思いを乙女チックに語られた。
なぜかオヤジにはキツイことをいえず、優しくしてしまう。

家に帰ってほどなくダーも帰る。
ダー「オヤジってのはだいたい乙女チックじゃん」
「へぇ、そんなことよく知ってるねぇ」(関心)
ダーは怒涛の本誌・コミックス・別冊・小冊子校了・
コミケ・再び本誌校了その他諸々の仕事がようやく一段落、
いっときの休息週間に入った。
ビールと餃子(ダーだけ)。たまってたビデオを見る。
ガキ使の代わりにゴクミのセレブ生活(ダー「顔が勝ち組」、内P。
ダーと私が揃って和室にいると、
猫3匹も和室に来てごろん。
殿はダーの膝上でほっくほくの「苦しゅうない」顔、
ビーとモンはテーブルの上でごろごろしてふるるる。
6畳の部屋にみんなで揃って、ついつい4時近くまで夜更かし。

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海岸行き

2005年08月25日 | 日々のこと



あっは



めずらしいとこにいるだけで
たのちくなってるモンちゃん

渚には 語られなかった 物語が 眠ってるんだ
熱く焼けた 砂浜を歩く 真昼の夢を探してみようか

夏休みが終わって、東京には台風が接近中。
お昼頃は晴れて、如雨露で少しだけ庭の花に水遣り。
ママがくれた一輪挿しの花瓶にルドベキアの花を3つ。
ルドベキアは長く切るとすぐしおれるそうなので、
花の5㎝下くらいのところで短く切って小さい器に活ける。
すぐ後で強い雨が降り、一日降ったり止んだり。
低気圧のせいで気分が今ひとつ。

パチ屋でもらってきたジニアの鉢植えを、結局私が引き取ることに。
鉢植えとジムの道具を抱えてスタバテラスに行き、
家族旅行帰りに直で来たCに会う。
「疲れてないの?」「やり場のないホルモンをジムにでもぶつけたい」
旅行の話、Cママの毒っぷり話など聞く。
妹は私の分のお土産まで用意してくれていて、
包みを開けると、豪華金の箱に入った、
半生のカツオが3本。
猫のためとしか思えない贅沢な逸品。
獣医で妊婦のC妹、本当に猫が好きなのね。有難し。

ジムの駐車場まで行って、うだうだ煙草を2、3本。
雨が降ったり止んだり。なんだかメロウ。
「今週末は車検で車ないの」「台風で天気も悪いしね」
「ってことは、台風一過だ!!」「そうだ!夏だ!」
「夏の予定たてよう!」「やり残したことある?」
「線香花火とレゲエフェス」「レゲエフェスね~」
「去年行ったねスーパーバッシュ」
「踊りまくって9月なのに汗びとびとで」
「9月でも全然夏本番だったよね~」
「Nちゃんはブラダとダンス」「それも今年やってない」
「それも風物詩?」「今週車ないのイタイな~」
「でもまだ残暑もあるし」
「残暑がね。とりあえず夏のイベント段取っとこうよ」
「段取ろう段取ろう」
「煙草もう1本吸おうかな」
「吸いなよ」 
ジムで着替えたりするのが面倒で、
長らく駐車場でうだうだ。すべてにおいて往生際が悪い。

すぐに秋が来て 海には誰もいなくなる
(「海岸行き」)

プールで200m泳いだら閉館の音楽が流れ、
風呂に入って餃子楼買って帰宅。
ニャンコロンズに猫缶に代えて鹿児島産カツオをちぎってあげる。
自分で食べても旨みの凝縮した逸品。
3匹とも喜んで食べる。
特にビーちんは、まな板で切ってるそばから狙いをつけて、
私が隙を見せるとくわえて逃げる。
塊をくわえるビーは、野趣あふれて可愛くて、
わざと隙を見せる。
美味い不味いを瞬時に嗅ぎ分け、
これは美味いと思ったときのビーのキランとした目はとびきり可愛い。
殿は軽く噛んでからあげるとよく食べる。
モンチも、何だかわからないけど食っとけ、ってな調子でよく食べた。

内田百「東京焼盡」より
(4月の春雷の頃)
○雷は空襲と違ってまた不気味なり。しかし音に伸び伸びした響きがあるから空襲よりは上品である。
(5月2日)
○今日は一年中にて一番好きな八十八夜なり。(中略)歩いても汗ばむと云う事もなく、又風に当って寒くもなし。こんな時候が何日続く事かと思う。
(3日にはドイツでヒトレルが戦死し、百先生はラヂオの修理に右往左往したり、葡萄酒の味に難癖をつけたり)

ダー校了華僑で帰らず。
花火の次の朝以来会っていないなり。

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OH!サマー!

2005年08月24日 | 日々のこと



実家庭のサンゴジュ

身支度を整えて、幼馴染Y子の家に行く。
手土産がないので、ママが光るブローチを一つ持っていく。
年末に会って以来のムチュメももうすぐ1歳。
大きくなって、ピンクのかわいいワンピース。
お花をちぎって遊んだり、いろんな物をハイッと誰かに渡したり。
抱き上げると、ムチュメは喜んで、ニカッニカッと笑う。
ママ「あんたも早く生めばいいのに!」「まーまーまー」
Y子「Nはキレイなママになるよぅ~!」
Y子はムチュメに「ママはこんなん(ノーメイク、ユニクロ的ファッション)
でダメだね~、ママもがんばるよ~」
ママになってもあいかわらずトロくさく、かわいいY子。
「パパにはなつかないのぉ~(笑)」
ママ「Nもパパは怖がって1歳までなつかなかったわよ。今は大好きだけど(笑)」
手作りのケーキとお茶、水菓子をいただく。
ママが持ってきた光るブローチを見て、ムチュメは喜んでいた。
帰りはY子と、ムチュメをだっこしたY子ママにうちまで送ってもらう。
小学校の土手にタチアオイ、
誰かの家の軒先にサルスベリやデュランタが綺麗に咲くのを見る。
花の前で立ち止まってはムチュメに見せて、
「お花さんだねぇ~」「お花さんキレイね~って」
穏やかな陽光に包まれて、瑞々しい幸せが充満するようなひととき…。

ママは親友の法事があるので、横浜まで一緒に出かける。
地元駅で、電車が出るぎりぎりまでホームに立って空気の吸いおさめ。
横浜駅のロッカーに荷物を預けて、ルミネをぶらぶら。
ザギンザでかーわいい~ワンピ発見(しかし4万。買えない)。
ママが法事のお手伝いのときに着る黒いトップスを購入。
崎陽軒のティールームでお茶。
ホテルのラウンジみたいで落ち着くし、コーヒーもおいしい。
テーブル席でソファに並んで座り、周りウォッチングしながらのんびり。
ママの親友の不倫話、不倫のせいで姉妹不和話を聞く。
ママは親友にも「光るブローチをあげようかな?」といっていて、
S子さんに送る分はもちろん、私にくれる分もなくなった。

一度家に戻り、猫ケアしてシャワー浴びて支度してS町へ。
窓から大きな月が見える。見るたびに上に。
会うの楽しみだったけど、何か違ってて
話してても物足りなくて、人に見えない。
カワイイ犬か何かに見える。嬉しそうで、可愛らしい。
帰り、涼しい風。薄い雲のかかった月。

夏休み最後の夜は、猫たちを撫で撫でして過ごす。
ビーを撫でながら、ビーのいなかった夏を思い出し、
ビーのいる2005の夏はそれだけで本当に幸せな夏だと思う。
愛しくて愛しくて食べてしまいたくなり、
ビーの顔をカプッと口に入れる。

家事をしてるとき、足元をチョロついていた
モンチの鼻ッぱしらを蹴ってしまい、
モンチに謝ろうと追いかけると、逃げ回る。
ベッドの下に入って出てこない。
オモチャを使ってなんとか出てきてもらって、
ベッドの上でゆっくり撫で撫ですると「ぶるる」。
殿ちんは無理やりだっこすると「ぶるるるる」。
ダーは本誌校了で帰らず。

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帰郷

2005年08月24日 | 日々のこと





掃除、洗濯、水遣りの後、猫たちは午睡。
ぐずぐずする前、2時には家を出る。
電車の窓から、生い茂る緑を眺めるうちに地元駅につく。
パパが一人でお迎え。
家につくとそのままパパは日曜ミッション1、庭木の剪定。
花の咲かないブーゲンビリアの伸びた枝を細かく切って捨てる。
庭にはサルスベリ、タチアオイが咲き、そこらじゅうでルドベキアが満開。
剪定が終わるとビール、トウモロコシ、枝豆で一休み。
リビングは胡蝶蘭だらけでなんかすごい。

パパの日曜ミッション2、
トイレのタオル掛けの位置替えが終わるのを待ってから散歩へ。
パパママはの~んびりしていて、4時を過ぎて、
涼しい風が吹き出してから家を出る。

パパはゴルフクラブを1本持って歩。
ママは「この家のご主人ね、浮気相手に子供までできてね」
など近所の噂話。
途中、Y子パパにばったり会って、「今Y子も帰省してるからね」





T浜は水が澄んでいて綺麗。
まだ海水浴客もいて、前乗りしてれば私も今日泳げたのに、
玉川花火じゃ仕方ない。
蝉の声を聞きながら切通しを歩く。
ママは途中で浜に咲く花を手折って持って歩いた。



ママのいただいたお花

海を見ながら、石のベンチで一服。
大きな船が夕日を受けてきらめく。
海の水は冷たくもぬるくもない。澄んでいて綺麗。
ママによると、今年は蝉の声が少ないらしい。
今年初のツクツクホーシの声をいっぱい聞く。
灯台に続く階段の前で、ママ「灯台も気持ちいいわよ」「行こうか?」 
しかしパパ、暑さでバテバテですごい顔してるので、やめておく。



ママが手折ってきた白い花をさっそく活ける。可愛い。



夜ご飯はマグロ、イクラ、ウニ、甘エビが舞い踊る豪華手巻き寿司、
さらにステーキ、ポテト、いんげん。
ありがたきご馳走、散歩の後で美味しさもひとしお、
みんなガッツリ食ってビールも美味。

夕食の後で、海沿いのホテルにできたスパへ。
キレイでセンスもいい施設。海を望む露天風呂、
オレンジ色の大きい月が、
さざ波のたつ海面を広々と照らしていて、幻想的な夜の海。
ママは暑がりなのでわりとさっさとお風呂を出る。
お風呂の後、中庭のテラスで一服。

パパママは、孫のためにせっせとおもちゃを買い、
パソコンの赤ちゃん画像をしょっちゅう眺めては
プリントアウトしたりして孫ブーム。
ママが「これいる?」とフェンディのバッグを持ってきたので、
「うんいる」というと、「前に見せたときはフン、っていってたのに」
バッグの中に入れる小バッグなど次々出してきてくれる。
「いい色でしょう?」と何度もいう。
ママが「気がふれて買っちゃったけど短すぎる」
というローラアシュレイのスカート、
ママ友が「着れないから」とくれたという
組曲のアンサンブルも出してきてくれる。
さらに、最近頂いたという家紋入りのお椀とかも見せてくれる。
この前、武蔵小杉でお店が見つからなくて買えなかった
光るブローチも見せてくれる。
ハートがいろんな色に光ってかわいい。
ママはどれを誰にあげるか真剣に迷っている。こういうとこ、可愛い。
早めに就寝。

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