ジャルダン・ド・フランス
一輪だけ咲いたレイチェル
九月の終わりの週末、
晴れて凪の海。
魚がピンピンとはねていて、
ゆるい波に、
群れが透けて見えた。
暑いので、
泳いで浮かぶ。
浅いところは水が温かい。
波がほとんどなくて、
浮かびながら寝そうになる。
海から出ると、
乾いた風がふいて、
身体もすぐに乾く。
魚の群れの上に、
カモメの群れが集まって、
大ハシャギしていた。
キャーキャーいいながら、
ときどき急降下して、
海につっこむ。
日が暮れはじめて、
海が白く光るころになると、
鳥の数がますます増えていた。
トンビも低空飛行していた。
本はクロイツェル・ソナタ。
恋愛、結婚、子供にまつわる
いまいましさ、おぞましさを
これでもかとまくしたてる主人公。
しばらく読むと、
もういいや!となる。
次の日は、河原の中洲で、
スズメの大群が、
ミヨミヨミヨ…とうなってるのを見る。
夕陽は、
まだゆっくり沈む。