怪しげなバーのシーン。
明子が電話で話してるだけで、
登場人物の像が見えてきて面白い。
ストーカーな彼、ぶっとんだ親友、
受け身で中途半端、モヤモヤを抱える明子。
つけまわしオヤジの調子の良さが笑える。
タクシーのシーン。
この映画で一番美しいと思ったシーン。
新宿駅前でタクシーの中からお婆ちゃんを探す明子。
そうすることしかできない。
会って嘘をつくのが嫌なこととか、
ふだんは考えもしないけど
お婆ちゃんの知っている自分がもういないこととか、
いろいろな思いが、涙ぐむ明子の表情から伝わってくる。
元教授の家に着く。
もう八十を越えるおじいちゃんだけど
恋愛を楽しみたいと思っていて、
女の子に対してスマートにふるまえるインテリ爺さん。
明子はかわいくてセクシー、知性も少々あって、
この仕事に才能があるみたい。稼ぎよさそう。
爺さんはあくまでスマート。
次の日、明子を大学まで送った爺さん。
明子の彼が車に乗り込んできて、話をする。
本当のお爺さんと間違えて、
まっすぐすぎる明子への思いや、
尖がった生き方をまくしたてる。
爺さんはゲームを楽しむように余裕の対応を見せる。
明子が車に戻り、3人は彼の工場へ。
明子と別れて、家に戻る爺さん。
隣家のおばちゃんの声。
帰ってすくに明子から電話。
爺さんは明子のもとへ。
明子をつれて家に戻り、薬を買いに出かける爺さん。
二人の様子を隣家のおばちゃんがのぞき見している。
このおばちゃん、感じ悪いのになんだか笑えた。
小津的なセリフのリズムがおかしかったのか。
レンガごしの木壁は、小津的でありつつ
キアロスタミで、ぞわっとした。
そしてラストへ。
元教授だかスマートだか桜エビのスープだかなんだか知らないが、
ふざけんな!!!タヌキオヤジが!!!なのだ。
目の覚める、そして若さを呼び覚ます、
すごくいいラストだった。加瀬亮サイコー。
せっかくキアロスタミが東京を撮ってくれたのに、
美しいヒキの絵と風の吹くシーンがなくて、
あるのは街の喧騒(ノイズ)と
しょーもない東京の人たちばかり。
とはいえ、自分の人生に迫ってくる、これぞ映画。