泳いだ後で山へ向かう途中、
鳥居をくぐる前に、
Cのサンダルの緒が切れた。
去年、私があげたビーサン。
Cは半分裸足でゆっくり歩いて
(妖怪じみていた、美しい方の)
なんとか三の鳥居をくぐった。
夏の気ったらすごくて、そこでこと足りた。
ホーシがついに全盛。蜩、クマゼミ、ミンミン。
戻る道みち、日が暮れて、
白鳥や鷲が見えて来た。
薄い雲がまだあるので、西空は曇ってたけど。
駐車場に戻ってエンジンをかけたら、
ジュリアン(仮)は動かなかった。
10年で20万キロ、といっても
免許もない私にはよく分かんないけど、
限界を越えて頑張ってたジュリアン。
この夏の暑さで、そろそろ、と
言われていたところ。
Cのクルマだけど、
私も長い時間、助手席で過ごした。
砂だらけにして。
ジュリアンには、
クラバウターマンがいたかもしれない。
お寺の駐車場で、保険屋さんを待った。
ジュリアンが最後にくれた、
ぽっかりとした時間は、
涼しい風が吹いていて、
夏の星座が光っていた。
時間なんて気にせず、
遊び狂ってた頃を思い出した。
ちょうど10年くらい前。
今は夜、モンチのお薬があるので、
早め早めに帰っていた。
(実際は、そこまで厳密に、
決まった時間を守らなくても良かったらしい)
その日はダーと連絡がついて、
お薬の心配もなくなった。
ぽっかりとした時間はとても贅沢で
なんだか、気持ちのほくれる夜だった。
次の日、ジュリアンは仕事を終えたそう。
merci beaucoup!
少し前、Cの昔住んでた界隈を
たまたま一周した日があった。
それも、ジュリアンが連れて行ったのかな。
Cは手続きに追われてて、
そんなことは考えなかったそう。
後になってその話しをして、
忘れないでいられる、
と言っていた。