由比ヶ浜の駐車場では
妖精さんと久しぶりに話をした。
妖精さんは
いつも朝の海を散歩しているそうで、
15時くらいの時点でもう
23000歩くらい歩いているといって
携帯の万歩計を見せてくれた。
いまや、妖精さんも
携帯を持つ時代なのか。
海はいつのまにか荒れたらしく、
海藻とゴミがたくさん打ち上げられていた。
ゴミを拾っているおじさんがいたので、
「おつかれさまです」というと、
「別につかれてないよ」と
笑顔でいっていた。
海でのゴミ拾いは疲れないだろう、
と私も思ってたけど、
こういうときかける言葉って、
「おつかれさまです」
くらいしか思いつかない。
海はすっかり穏やかになっていたけれど、
曇天で、太陽がどこにあるかもわからない。
海は早めにきりあげて、
天狗に一目お会いしたい、
と思い、建長寺に行くことにした。
建長寺の沈丁花を見ると、
早くも蕾に色がついていて、
Cと私がはしゃいでいると、
通りすがりのおじさんに声をかけられた。
おじさん曰く、
9月22日の台風15号の塩害で、
今年の鎌倉の紅葉は軒並みだめで
どこのお寺も葉っぱがチリチリ、
1本の木でも紅葉しているのが
一枝だけ、とか語っていた。
話がいつまでも続くうちに、
すとんと日が落ちて暗くなり、
天狗の山を登るのは諦めた。
どこか、
狐の雰囲気の漂うおじさんだった。