のほほん勢
次の日の午前中に面会に行った
すごくいい個室に移されていた
静かで清潔、ちっこの匂いも病院くささもない
10時半の時点でこの日の目標カロリーの25%は食べていた
ドレーンでのうみ出しも順調だそう
「噛まなくなりました!」と先生、そんなに噛んでたのか
痛み止めも入って、昨日よりだいぶ落ち着いて、しばらく一緒にいると、私の手のひらにもたれてうとうとしていた
猫と二人にしてもらえたので、外には聞こえない小さい声でカミニンフロムザコールドを歌った
子猫はどんどん目を細くして、私の手に頭を預けていた
子猫らしい動きはないんですけどねー、と先生
顔つきにはあどけなさより険しさがある、想像を絶する辛い日々をひとりすごしてたのだ
この先、人間や苦労知らずのノホホン猫たちと仲良くやれるかはわからないけど、先のことはノープロブレム
この子の生きようとする力は、目から、細胞から漲っていて、私はサポートしたい、側で見ていたい
性別は最初見たときから、私もTも思ったとおり男の子
名前は家で待ってる私たちより病院のほうで早く必要みたいで、ナッちゃん、ナツくん
由来はいうまでもなく、夏ど真ん中の出会いと私のこよなく愛する季節から
あっというまに30分すぎてしまい、面会時間は10分です、と声をかけられてひきあげた
30分でもゆっくり側にいたのはこの日がはじめて
ちゅーるをたくさんおいてきた
病院にはないそうで、ちゅーるは気付けになるから持ち込みOKだそう
ほかにも刺し身でも何でももってくるよ、と思ったけど、フードを食べてるならひと安心
これまでモンチ殿ビーは誰も入院しなかったので、入院スペースにはじめて入ったけど、めちゃ快適ですばらしい
昔モンチが入院した病院のケージのひどさを思い出してまだむかつく
たまには、いえでごろごろするにゃ
モンちゃんには小さすぎるキャリーにうっかり入って中で方向転換するモンちゃんは軟体動物だった
夜のお気に入りポジション
ガを見つけて見上げるマオちゃん のほほーん
少しさかのぼって、水夜~木朝までモンちゃんは若干食欲が落ちてベッドで寝てばかりいて私は心配していた
朝ごはん夜ごはんはふつうに食べてちゅーるも食べるから心配するこっちゃないんだけど、いつもならホワーッと要求する夜食と早朝めしをほしがらなかった
連日外にいて、ついにバテたかな、とか話してたけど、木曜の昼にはふつうに猛暑の庭に出て、粘って、フェンスの端まで行って、「ファーッ!ファーッ!」と叫ぶので、真夏は猫にとっても特別な、冒険の季節なのかな、男の子やな、と思った、が
もしかするとすでに傷ついた子猫の存在に気づいて、呼んでたのかもしれない
そして金曜朝、2度目に庭に出たモンちゃんが、子猫の前で狂ったように鳴いたのは、「おれのナワバリにゃー!」ではなくて、寝てる私を呼んだのではないか
モンちゃんの前で子猫がびくともしなかったのは、モンちゃんに敵意がなかったからではないか
モンちゃんの円まであの子を導いたのは、あの子の運か神様か、数日前にぶつぶつ話しかけてこの辺まで来てた殿かわからないが、あの子を見つけて私に託したのは、モンちゃんだ
私が保護した後、モンちゃんはもう庭で吠えたりしなかった
モンちゃん、どこまでも、どこまでも
な猫やでぇ
昨日は満月
曇ってたけど少し見えた
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さらにさかのぼり日記
仕事は7月から閑散期になって、先週第一期の会計書類をまとめて税理士さんに出し、ますますヒマになった
夏にヒマというのはテレワークにつづいて画期的な良い体制
35℃の日に通勤して冷房がんがんきかせて冷えてカーディガン羽織って仕事なんて、変なことだ
が、圧倒的多数の人がそれを変だと思わず当たり前にやっているのは、フーコーのいう権力を下から支える構造である
節電になってスーパーが暗めになって、ジャメイカのスーパーを思い出した
今は外の明るさもジャメイカのようだ
先週もほぼ毎日、5時~6時の多少暑さが和らぐ頃に河原に行って、万延元年のフットボールを読んでいた
この世の不幸、悲劇、狂気を過剰なまでに盛り込んだドロドロ小説で、気が滅入るような胸くそ悪いエピソードが次々と描かれていくのだが、夏空の下、夏の緑と水面の前で気が滅入ることはない
だって今は8月上旬、一年で最高の時
炎天下で溶け出しそうな意識のはしからドロドロの世界が入り込んで、冬の谷間の景色と、そこに住む人々の営みが見えてくる
今読んでみてインテリの密と過激派の鷹という二項対立の間を揺れ動く密の妻が重要な役まわりだと思う
この著者は比喩にすももとかざくろとか果物を使うのだが、それが妙に生々しくて気色わるい
今回この小説を読むきっかけになったのはF谷さんのブログ
大昔に買って読まないまま紛失したので買い直した
弟家族が夏休みの帰省で実家に
弟はうちはインドア派といって、夏休みに田舎に来て、だらーっと部屋でスマホ見ている
夏は暑くて嫌、エアコンのきいた部屋でじっとしてるのが一番だと思ってる人が大半であることをつい忘れる
海行こうといったらマジで嫌がられてちょっと傷ついた
弟のぐずぐずぶりを見て、ママが一瞬キレて、結局2日とも海に行き、小5の姪っ子は楽しそうに岩場でカニ探したり、浮き輪で泳いで遊んでいた
その夜ツイッタ見てたらCさんが、仕事よりなにより、家族と会うのが一番気をつかうな、とつぶやいててなんとなくホッとした
ふだんと違う言語を使うので工夫がいる、家族とわざわざ会うのは一種のスポーツ、とも
夜の花火も、姪っ子は喜んで結局4セットも開けた
私は相変わらず、海も花火も小5の姪っ子に負けないくらい楽しい
甥っ子17才は、この先楽しいことは何もない小学校時代が一番よかったとかいっていて雰囲気が親によく似てる
17で家族イベントに参加するのはえらいかも
Mさんは16の娘に海を断られたそう、自分の時間を大切にしたいからって言われちゃうとねーと
2日目に行った穴場ビーチではカイズちゃんに会えた
みんな家に戻った後に、タコポイントを一人で攻めて、ベラやメバルの子はいたけどタコは見つけられず
変わりに、真っ暗に日焼けしてスキンヘッドのタコみたいなおじさんに話しかけられて、周辺事情をいろいろ聞いた
家族より気も使わないし、話もはずむのだった
木曜の祭日は、Tと鎌倉へ
数年ぶりのこすずのお蕎麦、マジうま、あと2皿いけた
台風の時化がもう来てて、私は波にダイブして遊んだけどTは浜で砂まみれになってぶつくさいっていた
まあ、台風じゃ仕方ない
小町の有名なたい焼き店のかき氷
ナッツが意外と黒蜜きなこに合う
ふわふわで美味しかった
マスクにこもった熱が消えた、とT
つくつく、ヒグラシ、ミンミン、アブラ、クマゼミ勢揃いの段葛を歩き、八幡様でお参り
若い銀杏の木が立派に育っていた
もう暗い池の前で一服して、吹く風が気持ちよかった
カモが飛び立ったり、戻ってきたり
白い蓮がたくさん咲いてた
帰り、シラス丼も食べて満腹で帰った
次の日のまさかの出会いをこの時は全く知らなかった