ナントカ還元水、誰に「説明責任を果たしている」のか
5月23日(07年)に衆院予算委員会で政治資金問題の集中審議が行われた。と言っても、松岡農水相の議員会館事務所・2800万円光熱水費疑惑追及に多くの時間が割かれたのだろう。野党があの手この手で追及しても、対する松岡勝利大物農水大臣は野党のあの手この手の裏をかいて「法律に則り適切に報告している」の馬鹿の一つ覚えを振りまわす一点突破型。一見しぶといように見えるが、自身の進退、政治生命にかかってくるから、何が何でも公開しない、説明しないに縋るしかない、他に切り札を持たない身動きのなさからの一つ態度に違いない。
それが証拠に答弁に立つ松岡大物の表情に余裕がない。「法律に則り適切に報告している」に縋るしかない後のなさなのだろう。
松岡大物大臣の疑惑がナントカ還元水オマケ付の光熱水費疑惑だけでなく、今回官製談合で検察の摘発を受けた「緑資源機構」に絡んでいる談合公益法人や談合企業から政治献金を受けているし、<福岡県警の家宅捜索を受けた会社の関連団体「WBEF」のNPO法人申請の審査状況を照会していた>(07.1.6.『朝日』朝刊≪安倍政権また火種≫)、いわば口利きしていた政治家秘書とは何を隠そう、松岡大物の秘書だし、その他政治資金を受けながら、その使途が不明となっている疑惑等々、疑惑のオンパレード、あるいは疑惑のオールキャスト、総出演である。さすが「美しい国作り」内閣を担う重要ポストに就いているだけのことはある。日本の美しい自然を維持・管理する職務を農林水産の基本の一つとしているである。自然と立ち居振る舞い・政治活動も緑美しき日本の風景のように美しくなろうと言うものである。
それにしても気がかりなのは腹の黒さが顔をカガミに自然と外に映し出されているのはないかと思うばかりの顔肌の黒さである。日に焼けて健康といったのとは正反対の脂じみた厭味のあるどす黒さを曝している。その点安倍首相の顔と大差ない美しい顔相だが、民主党の岡田克也元代表の<「首相は松岡氏が説明責任を果たしていると思うか」>の質問に安倍首相は<「法律の定めに従って説明を果たしたと私は理解している」>(07.5.24.『朝日』社説≪政治とカネ 踏みにじられた倫理綱領≫)と、松岡大物大臣の説明責任に「美しい国作り」内閣の総理大臣自らが力強いお墨付きを与えている。
ということは、安倍首相のその美しい力強いお墨付きによって、安倍首相と松岡大物は「説明責任を果たした」という点で同じ穴のムジナ、あるいは一蓮托生と化したことを意味する。
しかし、一体誰に「果たした」のだろうか。国会議員は国民に顔を向けて政治を行うことを自らに課せられた使命とする。「法律に則り適切に報告している」は国会という場での追求野党議員に対する答弁から一歩も出ていないもので、どこをどう取っても国民に向けた説明の類とはなっていない。
にも関わらず、それを以て「説明責任を果たした」と言うなら、安倍首相の美し上に力強いお墨付きにしても、松岡大物の「説明責任を果たしている」にしても、国民に顔を向けたものではないお墨付きであり、「説明責任」と言うことになる。
と言うことは安倍美しい首相にしても松岡美しい大物にしても、国民に顔を向けていない政治家であるという点に於いても同じ穴のムジナであり、一蓮托生の仲間だと言うことになる。名誉なことではないか。
国民に顔を向けていない同じ穴のムジナ、一蓮托生なる、その胡散臭いばかりの如何わしさから連想できることは、衰退久しい時代劇とはなっているものの、そこでお馴染みとなっている〝悪事の数々〟を繰り広げる悪役登場人物たちであり、まさに同じ穴のムジナ、一蓮托生という関連から時代劇の悪役登場人物に安倍美しい首相と松岡美しい大物をそっくりそのまま重ね合わせることができるのではないだろうか。
安部首相は現実の政治振る舞いだけではなく、雰囲気から言っても、そのままメーキャップなしで悪家老、悪勘定奉行になれる顔の持ち主であるし、松岡大物にしてもノーメイクで「お主も悪よのう」と誉ある栄誉を受けても、「いえいえご家老様には敵いません」と思い上がらずに謙虚に受け止める悪徳商人・松岡屋に横滑りできる顔をしている。
残念なのは今の時代、時代劇が流行っていないことだが、その分政治の世界で〝悪事の数々〟が流行っているのだろうか。