百田尚樹の日本の安全保障とバヌアツ&ナウルのそれを地政学抜き・経済状況抜きに比較するバカさ加減

2014-05-25 06:45:28 | Weblog



 公共放送のNHK経営委員にふさわしく、連合国軍総司令部(GHQ)が占領時代、日本人に徹底した自虐思想を植え付けたとする歴史認識に立ち、今年(2014年)2月9日投開票の都知事選、田母神俊雄候補の応援演説で細川護煕候補や宇都宮健児候補を「人間のクズ」呼ばわりした何様百田尚樹が、5月24日土曜日午後、岐阜市内で開かれた自民党岐阜県連の定期大会で講演したとマスコミが伝えている。

 《「貧乏で泥棒も入らない」=軍隊ないバヌアツなどやゆ-NHK経営委員の百田氏発言》時事ドットコム/2014/05/24-19:49)

 百田尚樹私は憲法改正派です。軍隊は家に例えると、防犯用の鍵であり、(軍隊を持つことは)しっかり鍵を付けようということ。

  軍隊を持たないバヌアツ、ナウルは家に例えると、くそ貧乏長屋で、泥棒も入らない」(下線個所は解説文を会話体に直す)

 「軍隊は家に例えると、防犯用の鍵」だと単純化できる頭の程度は素晴らしい。頭の程度もお友達同士の安倍晋三に近いのではないのか。

 だが、言っていることの意味に本人は気づいていたのだろうか。鍵は家の住人が外からの侵入者を防ぐものであって、それ以上のものではない。つまり家の住人が外に出て侵入者と戦うことを鍵は想定していない。あくまでも鍵は家の守りを役目としていて、それ以外のどのような役目も担っているわけではない。

 百田尚樹は日本の軍隊自衛隊の任務を専守防衛に限定していることになる。「鍵たれと」

 だとすると、安倍晋三の憲法解釈のみで専守防衛から一歩踏み出して同盟国のために積極的に戦うことを目指している集団的自衛権の考えと異にしていることになる。

 講演では実際には安倍晋三提唱憲法解釈の集団的自衛権賛成をブチ上げたのかもしれないが、ブチ上げたとしたら、今度は鍵の譬えが矛盾することになる。

 オーストラリアのほぼ東側の南太平洋上にあるバヌアツは人口約25万人(2012年)、国土面積は新潟県とほぼ同じ広さの1万2190平方キロメートル。但し新潟県の人口はバヌアツの約10倍近くの約233万人程度。

 バヌアツからオーストラリア東海岸まで約2000キロ、米領サモアまで同じ2000キロ程度。東北方向の5000キロ程度離れたところにハワイがある。いわばアメリカとオーストラリアに守られている地政学にある。

 ナウルは、「Wikipedia」によると、〈太平洋南西部に浮かぶ珊瑚礁のナウル島にある共和国で、イギリス連邦加盟国である。国土面積は21km²であり、バチカン市国、モナコ公 国に次いで面積が小さい。また人口も、国際連合経済社会局人口部の作成した『世界の人口推計 2010年版』によると10210人であり、バチカン市国、ツバルに次いで人口が少ない。〉と書いてある。

 バヌアツよりも更に更に小さな国である。地図を見ると、オーストラリアの北東方向約2500キロ、バヌアツを上にほぼ同じ緯度の位置にある。安全保障に関してはバヌアツとほぼ同じ条件にあると見ていいはずだ。

 日本が中国や北朝鮮、ロシアに囲まれ、石油資源の多くを紛争多発地域の中東に頼っている関係上、輸入が紛争に左右される危険性、その輸送航路を遮断される危険性を抱えている安全保障上の地政学とは大きな違いがある。

 また、2012年のバヌアツのGDPは8億ドル。100円計算して、800億円程度。対して日本の2012年のGDPは596兆円で、世界第3位の規模。この経済規模は日本が一人で成し遂げたわけではない。アメリカや中国、その他の多くの国々との相互貢献の上に成り立っている。アメリカなくして今の日本の経済はなかったろうし、中国なくして今の日本の経済はなかったろう。

 このことはアメリカや中国に関しても言うことができる。

 いわば安全保障上の地政学は国の経済状況とも深く関係している。

 だが、安倍晋三のお友達百田尚樹は、こういった相互に置かれた安全保障上の地政学や安全保障と深く関係している経済状況抜きにバヌアツやナウルが軍隊を持たない理由を、「家に例えると、くそ貧乏長屋で、泥棒も入らない」から、鍵(=軍隊)は必要ないからだと、「くそ貧乏長屋」という表現を使って、経済状況のみで双方の安全保障を比較するバカさ加減を見せた。

 例え聴衆を笑わせるために言ったのだとしても、比較できないことを比較したバカさ加減に変わりはなく、そのようなバカさ加減を用いて聴衆に媚びたことになって、安倍晋三のお友達百田尚樹には卑しさの罪が加わる。

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