生活の党と山本太郎となかまたち
《4月13日「生活・小沢氏が米誌に辺野古新基地不要論」沖縄タイムス記事のご紹介》
沖縄タイムス紙が4月13日、「生活・小沢氏が米誌に辺野古新基地不要論」と題して、アジ
ア太平洋地域の政治・安保問題専門のオンライン誌「ザ・ディプロマット」への小沢代表寄
稿文について報道しました。是非ご一読を。
〈統一地方選前半戦の41道府県議選と17政令市議選は13日午前、全議席が確定した。道府県議選(総定数2284)は、自民が1153議席(追加公認除く)を確保し、1991年の統一選以来24年ぶりに改選議席の過半数を占めた。民主は264議席にとどまり、現有317議席を下回った。共産は議席を伸ばし、「空白県」を解消した。
同時に行われた10知事選では現職が全員当選。与野党対決となった北海道、大分とも自民、公明両党支援の候補が勝利しており、前半戦は与党の堅調ぶりが目立った。〉・・・・・・
これ、今回4月12日投開票の統一地方選を伝えている「時事ドットコム」冒頭の解説である。そのまま拝借することにした。
この結果について官房長官の4月13日午前の記者会見発言。
菅義偉「全体としてみると、安倍政権が進めているアベノミクスの実績への評価と地方創生を含めたアベノミクスへの期待が表れた結果だ。
(知事選の平均投票率が過去最低となるなど、全体に投票率が下がったことについて)厳粛に受け止めるべきだ。様々な要因が重なって投票率は下がったと思う」(ロイター)
前段と後段の発言は矛盾している。「アベノミクスの実績への評価と地方創生を含めたアベノミクスへの期待」が現れた統一選前半戦の勝利なら、「評価」プラス「期待」で有権者をして勇んで投票所に向かわせて然るべきだが、そういった現象は起きることなく、知事選の平均投票率が過去最低だった。
道府県議選の投票率は軒並み前回を下回り過去最低が相次いでいるという。
変わることへの期待ではなく、変わらないことへの諦めが多くの棄権を誘ったということではないのか。
変わらないことへの諦めの対象は景気の現状だけではなく、議席、あるいは政治勢力を含めた状況の現状維持であろう。投票所に足を向けたとしても、景気にしても議席にしても、政治勢力にしても、どうせ現状維持されるだろうという予測が投票意欲を萎えさせる。
1票1票が現状を変える力を持つと確信できれば、投票所に向かう。少なくとも棄権した有権者はアベノミクスが実績を上げていると評価しているわけではなく、地方創生を含めたアベノミクスに期待してはいなかった。
では、投票所に向かった与党支持者は「評価」プラス「期待」を胸に抱いての投票行動だったのだろうか。
2015年2月6日付「NHK NEWS WEB」記事が総務省の住民基本台帳を基にした人口移動の調査で、〈東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県及び千葉県)への転入者が転出者を11万人近く上回って、19年連続の「転入超過」となり、東京圏への一極集中が続いている〉と解説している。
《住民基本台帳人口移動報告・2014年結果》(総務省統計局/2015年2月)を見ると、実数は10万9408人となっている。
さらに上記NHK記事は、〈3大都市圏でも、大阪・兵庫・京都・奈良の「大阪圏」では、転出が転入を1万1722人上回り、愛知・岐阜・三重の「名古屋圏」では、転出が転入を803人上回って、いずれも2年連続の「転出超過」となり、東京圏への一極集中が続いている〉と書いている。
去年1年間の東京圏への転入者が転出者を11万人近く上回ったということは地方全体で11万人近くの人口が減少したことを意味する。前年の調査、《住民基本台帳人口移動報告・2013年結果》(総務省統計局/2014年1月)を見ると、〈平成25年の3大都市圏(東京圏、名古屋圏及び大阪圏)の転入・転出超過数をみると、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県及び千葉県)は9万6524人の転入超過〉となっていて、2014年は2013年よりも1万2884人も増えた転入超過となっていることからも分かるように、アベノミクスが実績を上げて、その経済回復効果が地方に波及していれば、アベノミクスに対する期待もなお一層高まって、地方から大都市圏への全体的な人口移動は少なくともブレーキが掛かって然るべきだが、そのような状況を否定する人口移動を示している。
この人口移動状況と4月13日付「NHK NEWS WEB」記事が伝えている日銀が4月13日に公表した3カ月ごとに支店長会議を開いて全国9地域の景気の現状を纏めた「地域経済報告」が示す状況とは異なる。
東海地方「着実に回復を続けている」
北陸地方と近畿地方「回復している」
残る6地域は判断の据え置き
日銀の報告からはアベノミクスの実績を僅かながら窺うことができ、そこにそれなりの評価が現れたとしても不思議はないし、期待も生じることになる。
だが、上出《2013年住民基本台帳人口移動報告》によると、東海地方に当たる名古屋圏は147人の転出超過となっていて、前年の転入超過から転出超過に転じているとしていて、《2014年住民基本台帳人口移動報告》の名古屋圏の転出超過は2013年を更に増えて5倍以上の803人となっている。
人口移動に少なくともブレーキがかかっていなければ、アベノミクスの実績が現れているとは言えないし、当然、その評価は実績なき評価、あるいは見せかけの評価となる。
勿論、今後のアベノミクスへの期待の存在は否定できないが、目に見える実績に基づいた実体ある期待ではないことに変わるわけでなく、そうなって欲しいという成就願望を正体とすることになる。
当然、実体なき期待と言うことなら、安倍晋三が地方選に用意した「地方創生」というスローガンと「アベノミクスの効果を全国津々浦々に」の宣伝文句をカネをかけたコマーシャルよろしく頻繁に繰返すことによって、そんなものかと頭に刷り込ませた思いが成就願望へとつながって、そのことの期待から自民党候補にそれぞれ票を投じることになったと見るべきだろう。
勿論、全てではない。多くは元々の自民党支持者が勢力の現状維持への願いとアベノミクスへの期待から以前と変わらぬ投票行動に動いたという側面が今回勝利の最も大きい要因であるはずだ。
安倍晋三のアベノミクス宣伝・地方創生宣伝に騙されなかった有権者が野党に票を投じ、あるいは何も変わらないことに失望して棄権に走った。
以上書いてきたことを証明する記事がある。《焦点:設備投資に慎重な日本の製造業、アベノミクス期待に応えず》(ロイター/2015年 04月 8日 17:57)
詳しいことは記事に直接アクセスして貰うとして、記事は、〈企業の資金力増大が日本国内での生産拡大などの積極的な設備投資につながる気配は見えていない。とりわけ、中小企業は消極姿勢だ。
日銀が1日発表した3月短観(企業短期経済観測調査)によると、中小製造業による設備投資は、14年度の前年度比6.2%増から一転、15年度は14.3%減になる見通し。ダイキンのような大企業製造業は5.0%増を計画しているものの、日本企業全体での設備投資はリーマンショック前の07年の水準を10%下回っている。〉と解説している。
設備投資が進んでいない理由を、〈設備投資を決めるもう一つの要素である期待成長率が抑制の要因として強く効いているからだ。〉としている。
期待成長率とは、ネットで調べたのだが、〈企業や家計が予測する将来(通常は5年先ぐらいまで)の国内総生産(GDP)ベースの成長率〉を言うそうだ。
つまり全体的にはアベノミクスへの期待は高くない。このことと相互対応した期待成長率に対する期待の低さということになる。
安倍晋三の「地方創生」のスローガンと「アベノミクスの効果を全国津々浦々に」の宣伝文句が功を奏した統一地方選前半戦の自民党勝利に過ぎない。だから低投票率で終わった。