安倍晋三と中谷元がなり振り構わず振り回す「訓練絶対安全神話」と殉職自衛隊員1800名の矛盾

2015-06-04 10:06:44 | 政治



      「生活の党と山本太郎となかまた ち」

     《6月2日 小沢代表・山本代表記者会見動画党HP掲載ご案内》   

     【内容】    
     9月の岩手県知事選で現職の達増氏の支援決定
     野党共闘
     年金情報流出
     オスプレイ横田配備
     マイナンバー法案
     TPP等 

 6月1日(2015年)の衆議院平和安全法制特別委員会。

 細野豪志「現場の自衛官が最も懸念していることがある。誤って民間人を撃ってしまった場合、その自衛官がどうなるのかだ」

 中谷元「自衛隊は相手を識別して武器使用するための訓練や、地元住民と友好関係をつくる訓練を行っている。一般の現地住民に危害を加える事態は極めて想定しにくい」(毎日jp)――

 細野豪志民主党議員は外国に派遣された自衛官が市街地で市民に紛れてテロリストが撃ってきたとき、テロリストと間違って民間人を撃ってしまった場合の民間人に対する誤射による殺傷と、テロリストが集団でやってきてそれに対して応射したところ、一般民間人も巻き添えにしてしまった場合の誤射による殺傷を挙げていた。

 中谷元は実際は次のように答弁している。

 中谷元「自衛隊がこのような武器使用について極めて厳格な注意義務が求められて、各種情報を元に相手を的確に識別して武器を使用するよう、厳し教育訓練を事前に行っている。

 派遣された自衛隊員を現地の社会的な、文化的な慣習を尊重して、有効な関係を先ず作るような教育訓練を行っている。このようなことから武器を使用して一般の現地住民に対して危害を加えるような事態というのは極めて想定しにくいことであると考えています」

 この「教育訓練」とは実際的な予行訓練をも含めて言っているはずだ。いくら天才であっても、机上の、あるいはコンピューター等を使った教育訓練だけでは実際的な役には立たない。 

 事前に厳しい教育訓練及び予行訓練を施しているから、どのような間違いも想定しにくいと言っている。

 この「極めて想定しにくい」は可能性ゼロのはずである。ゼロでなければ、細野が想定したことに対して前以て備えておかなければならない。だが、何ら備えていない。

 上記中谷元の答弁に先立って、上川陽子法務相が細野剛志の「海外での自衛隊員の誤射殺した場合の業務上過失致死を国内法で問うことができるのか」との質問に次のように答弁している。

 上川陽子「国外犯の処罰に関する一般論で言うと、日本国外に於ける日本人の行為について我が国の刑罰規程が適用できるかどうかということでご質問があった当該行為について国外処罰規定が設けられているかどうかということになるわけですが、例えば故意による殺人で死亡させた事例、これについて今ご質問がありましたけれども、これは殺人罪ということで成立をするということでございますので、この点につきましては国外犯の処罰規定に設けられているということで、刑法犯の適用ということでございます。

 他方、過失により人を死亡させたケースは過失致死罪、または業務上過失致死罪ということが成立するということが考えられるわけでごいますが、これらの罪につきましては国外犯の処罰規定は設けられておりませんので、刑法を適用して処罰することはできないということで理解しているところでございます」

 役人が書いた原稿だから、まわりくどい堅苦しい言い回しとなっている。法律の知識は役人に頼ったとしても、質問に応じて必要な情報のみを抽出、自身の言葉に代えて簡潔に話すこともしない。

 要するに一般日本人が海外で殺人を犯した場合、殺人罪を問うことのできる国外犯の処罰規定が国内法で設けられているが、海外での過失致死罪、もしくは業務上過失致死罪については国外犯の処罰規定が国内法では設けられていない。

 自衛隊員が海外での任務で現地民間人を誤射殺してしまうケースを想定していないということである。既に触れたように「極めて想定しにくい」は可能性ゼロを言っていることになる。単なる言葉の綾で「想定しにくい」と言ったに過ぎない。

 可能性ゼロとしているから、海外で誤射殺してしまった場合の自衛隊員の扱いを想定も規程もしないままに海外派遣を先行できることになる。

 もし海外の市街地で自衛隊部隊がテロリストの集団に襲われて一般現地人を誤射殺してしまった場合、現地人が怒り出し自衛隊員を取り囲み、テロリストの煽動も受けて自衛隊員をリンチにかけようとするケースも生じないとも限らない。

 だが、一切は厳しい教育訓練・予行訓練によって野党が追及する懸念は実際問題として何ら発生することはないと決めてかかっている。まさしく「訓練絶対安全神話」である。

 「訓練絶対安全神話」は今後起き得ると、あるいは起き得ないと想定した全ての事態が想定した予想通りに結果も予想通りとする予定調和を前提としている。

 安倍晋三も「訓練絶対安全神話」を振り回している。新たな安全保障関連法案を閣議決定した2015年5月14日の記者会見での質疑、記者が新安保法制によって自衛隊のリスクが増大することはないのかと質問した。

 安倍晋三(海外でのこれまでのPKO活動を例に取って、)「自衛隊員の皆さんは、日頃から日本人の命、幸せな暮らしを守る、この任務のために苦しい訓練も積んでいるわけであります。まさにそういう任務をしっかりと、これからも同じように果たしていくものだということであります」

 リスクの程度は「苦しい訓練を積んでいる」ことを理由にこれまでのPKO活動と何ら変わりはないと宣言している。

 だが、同じ記者会見で「自衛隊発足以来、今までにも1800名の自衛隊員の方々が、様々な任務等で殉職をされておられます」と述べた披露話と矛盾する。

 自衛隊員の戦闘による死者、いわば戦死者は1人も存在しない。「殉職」としている以上、職責上の死、その殆は訓練中か災害派遣中の死となる。海外での後方支援と比較してより危険な任務であるはずもないし、より危険なエリアでもあるはずがない状況下で今までに1800名の殉職者を出している。

 厳格な訓練を日常的に受けているなら、場面に応じた優れた対応能力を身につけているはずだし、厳格な注意義務は武器使用についてだけではなく、訓練に於けるあらゆる場面で求められている能力であるはずだから、そうった注意義務を頭に叩き込んでいるはずでありながら、殉職1800名ということになると、各種訓練の有効性が自衛隊員全員に行き渡っていないか、訓練自体の有効性にどこか問題があることになる。

 にも関わらず、従来どおり以上のリスクが振りかかることはないし、現地民間人を誤射殺することも想定ゼロとして、そのための国内法も整備せずに、厳格な各種訓練が全てのリスクを払拭する保証になるかのような、「訓練絶対安全神話」を振り回している。

 矛盾だらけではないか。

コメント
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