岡田克也の現状での野党再編は「野合」だと言うリーダーシップなるものを理解していないバカげた発言

2015-06-01 10:46:24 | 政治


 維新の党の松野頼久代表が5月23日、テレビ東京の番組に出演して、野党再編を強く志向する姿勢を示した発言を「asahi.com」記事が伝えている。

 松野頼久代表「(昨年12月の総選挙の結果について)比例票だけみると我々維新の党に850万票、民主党に950万票で、1800万票を超している。自民党の比例票は実は1700万票台なので、維新の党と民主党に投票した人の数の方が実は多い。

 (自民が)あれだけ圧勝した選挙にもかかわらず、投票行動を見るとそういう結果。野党が纏まれば十分、次の選挙で政権交代の可能性は出てくると思う。

 決して自民党が今強いわけではないと思うが、それより我々野党がもっとだらしない。そこは真摯(しんし)に、今の状況を冷静に分析して、反省するところは反省し、直すところは直していかなければ、緊張感のある政治というものはできない」

 翌5月24日、熊本市で記者会見して同じく野党再編に積極的な発言をしているのを同日の「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。

 松野頼久代表「できれば年内にと思っている。いろいろな再編の形はあるが、民主党だけでなく、そのほかの政党を含めた幅広い結集ができればよいと思っている。国民から『野党が必要だ』と言ってもらえるような状況にしていくのが、われわれの仕事だ。

 過去の選挙結果をみると、衆議院で100人以上いれば1回の選挙で政権交代が可能になる。野党再編で政権交代を目指すという党の基本方針を巡って党内に温度差はないと思う」――

 有言実行というわけか、あるいは鉄は熱いうちに打てということなのか、松野氏は5月27日に再編に前向きな民主党の前原誠司元代表や「生活の党と山本太郎となかまたち」の小沢一郎共同代表と相次いで会談したと、「47NEWS」記事が伝えていた。

 小沢一郎共同代表は野党が結集すれば自民党に対抗できると常々発言している。

 同記事は翌5月28日の松野氏の記者会見の発言も伝えている。

 松野頼久代表「強い野党が必要だ。政権交代可能な勢力がいれば、政府、与党に緊張感を与える。100人いれば、1回の選挙で過半数になることも可能だ。1強多弱では、いい政治をしようという緊張感が減る」――

 ところが松野氏が野党再編の最大の連携対象としている民主党の代表岡田克也が5月31日の広島市での講演で野党再編に慎重な姿勢を示したと同日付の「NHK NEWS WEB」記事が伝えている。

 岡田克也「野合しても国民の期待は出てこない。否定するつもりはないが、民主党がしっかりすることが大前提だ。弱いものが集まってもやっぱり弱いままで、強いものが一つないと強い野党はできない。それは私は民主党だと思っている 。

 民主党をしっかり立て直して、国民から信頼を取り戻すことはちゃんとやっていかないとだめだ。訳の分からないまま再編成して野合しても、国民の期待は出てこない。再編成を否定するつもりはないが、民主党がしっかりすることが大前提だ」――

 さすが原理主義者だけあって、現在民主党が置かれている状況を弁えない杓子定規な原理主義なことだけを言っている、

 「野合」という言葉を2度使っている。現時点での維新の党、その他の野党との再編成は「野合」だと貶め、そのレッテルを貼ったのである。

 例えバカな岡田克也がそうであることを意図していなくても、レッテル貼りはその言葉通りの印象を植えつける狙いがあり、うまくいくとその印象を植えつけることになる。少なくない国民が現状での野党再編は「野合」だとの印象を持ったはずである。 

 自民党が対抗上、野合だと貶め、そのレッテルを貼ろうとするのは分かる。だが、岡田克也が言っている野合は異なる政策の合体という本来的な意味ではなく、民主党の政策のみを正しいとし、再編対象の野党の政策は間違っているということを意味させている。

 だから、民主党をしっかりと建て直して強い勢力とし、その勢力に他の野党を吸収させる形を取ることで勢力に応じた主導権を握って民主党の政策を優先させることを目論む趣旨の発言を見せることになる。

 当然、野合となるような正しくない政策だとされた維新の党は岡田克也に貶められたことになる。何と失礼な。

 原理主義だけで政治を行うことはできない。岡田克也は民主党が置かれている状況を厳密に弁えているのだろうか。

 2015年5月8日~10日のNHKの全国世論調査での政党支持率は次のようになっている。

 自民党37.5%
 民主党 7.8%
 公明党 5.3%
 維 新 2%

 毎日新聞の5月23、24両日(2015年)の全国世論調査でも、民主党に限って殆変わっていない。

 自民32%
 民主 8%
 維新 5%
 公明 5%
 共産 4%

 民主党は自民党の4分の1の支持率しかない。

 何よりも致命的なのは、岡田克也が2015年1月18日に民主党代表に決定した以後の1月24、25両日の産経新聞とFNN合同世論調査の岡田克也に期待するかとの問に対する有権者の反応である。

 「期待しない」56・8%
 「期待する」35・6%

 「将来的な民主党政権与党復帰への期待」

 「期待する」35・6%
 「期待しない」58・1%

 2月6日~2月8日NHK世論調査。

 「新しい代表になった岡田克也氏が率いる民主党に期待するかどうか」

 「大いに期待する」7%
 「ある程度期待する」27%
 「あまり期待しない」39%
 「まったく期待しない」21%

 同時に行った政党支持率。

 自民党41.2%
 民主党10.3%

 この岡田克也に期待しない有権者の傾向が現時点での民主党の支持率に正直に反映されているはずだ。

 国民にリーダーシップがないとする評価を受け、その評価が変わらぬまま今日に至っている。同じ期待されていないままのリーダーシップで民主党がどうしっかりすることができるというのだろうか。

 自民党にしても保守政党ではあるが、保守の中でも安倍晋三みたいな右は国家主義的な保守から、左はリベラルな保守まで混在していて、政策的な違いを抱えているが、一つに纏まっている。

 その理由は首相となった安倍晋三の世論調査に於ける支持率が高いからだろう。

 民主党にしても結党時から自民党から民主党入りした保守系議員や労働組合から議員となった左派系の議員まで幅広い勢力の集まりであり、自ずと政策が異なるままに現在に引き継がれている。

 民主党が政権を失ったのは鳩山由紀夫が「普天間の国外移設、最低でも県外移設」を掲げて沖縄基地問題に取り組みながら、辺野古移設に回避して国民の支持率を失ったことと、マニフェストで4年間は消費税は増税しないことを国民との約束としておきながら、鳩山由紀夫を引き継いだ無能菅直人と野田佳彦が消費税増税に走ったことが国民にマニフェスト違反と見做されことと、消費税増税に反対し、マニフェストを守るべきとする勢力との対立を招いて、その勢力の集団離党によって野田佳彦の統治能力を疑われたことが原因していたはずだ。

 決して勢力の混在が理由ではなく、沖縄の基地問題の失政とマニフェストにはなかった消費税増税が大本の原因となっていたはずだ。

 尤も消費税増税を決めたことがアベノミクスの景気回復の足を引っ張り、安倍晋三をして10%への再増税を先送りさせたことが功績となっているということは皮肉な現象である。

 要するに保守と言っても様々な勢力が存在する自民党を、日本を誤った方向に導こうとはしているが、一つに纏めて国民から支持を受けている安倍晋三のように、例え野党再編によって政策が混在する勢力となったとしても、安倍晋三の遣り方とは違う、異なる政策の最大公約数(比喩的に違った意見の間で見つけられる共通点。)を抽出して一つの政策に纏め上げることができる強力なリーダーシップを発揮できる人物を新党の代表に据えることができれば、野合という形を取らない集団を築くことができるはずである。

 要するに野合とするかどうかは集団のリーダーによるリーダーシップ如何に偏にかかっていることになる。リーダーシップによって変わり得る変数であって、岡田克也が言うように常に固定した姿を取リ続けるわけではない。

 岡田克也の上記広島市の講演を伝えた「NHK NEWS WEB」記事は同時に安全保障関連法案に関する発言も伝えている。

 岡田克也「色々な問題点が出てくるなか、夏までになどと言っていないで、じっくり議論しようという世論が出てくることを期待している」――

 世論にしても政治家の姿勢や政党の政策を受けた反応、変数であって、国民が一度判断したなら、その判断のままに固定した姿を取るわけではないのは断るまでもない。そうである以上、「世論が出てくることを期待」するのではなく、一つの政党の代表であるなら、自分の方から働きかかけて世論を形成するという意志――リーダーシップを見せて然るべきだが、逆に世論が出てくることを待つ姿勢を見せる。

 民主党を率いていながら、かくまでもリーダーシップなるあるべき資質を理解していないとなると、野党再編成の形を取った新党結成の代表となる資格は岡田克也にはないことだけは確かである。首相になろうなどという野心は捨てた方がいい。

 百歩譲って、民主党が維新の党と新党を結成するなら、松野頼久氏と岡田克也が共同代表という形を取って、所属する全議員の意見を抽出、各政策を最大公約数の形に持っていって新党の政策とし、その政策のもとに全議員が一丸となって纏まることを義務づけていくのも一つの方法とすることができる。

 現在のところ松野氏のリーダーシップがどれ程の程度か不明だが、少なくとも岡田克也以上のリーダーシップを備えていなければ野党再編をいくら唱えても、その実現は期待できない。

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