北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

自衛隊ワクチン大規模接種会場運営へ,毎日一万人接種期し東京大手町と大阪府立国際会議場に

2021-05-06 20:20:40 | 防災・災害派遣
■可能か?自衛隊大規模接種
 ワクチン大規模接種会場東京会場を自衛隊が運営する、こうした報道に遂に自衛隊がCOVID-19へ正面から戦うのかと唸らされたものです。

 自衛隊による大規模ワクチン接種会場について。政府は一日あたり一万人を接種する東京と大阪に設置する大規模ワクチン接種会場について、自衛隊にその運営を任せる方式を発表しています。しかしこの稼働開始について、毎日一万人の接種が可能であるかは自衛隊次第、前防衛大臣でワクチン接種担当大臣での河野太郎行政改革担当大臣が発言しました。

 東京では大手町合同庁舎、大阪では府立国際会議場、現在は5月24日開設予定、0800時から2000時までワクチン接種を実施する予定です。毎日一万人、これで東京が打ち終わるのに何日、と勘違いするのは新聞を読んでいない証拠、各区でのワクチン接種会場とともに都心にこの接種会場を配置、ということです。これで接種は大きく進むことでしょう。

 ワクチン接種毎日一万人、これは自衛隊には不可能なのでしょうか。一つの問題は、いわゆる無針接種装置を用いるのではなく注射器を用いるという点、そして問診が必要である点、更に接種後15分程度は経過観察が必要である、という点です。しかし、必要な会場の容積、必要な人員を確保、この二つさえ成り立つならば、現実的に可能であるといえます。

 自衛隊には衛生部隊が師団旅団や航空団とともに配置されていますし、方面衛生部隊や首都圏には生物兵器による攻撃を想定した対特殊武器衛生隊や自衛隊病院も置かれています。これは自衛隊が戦闘という非日常の有事に対応するために、一般の病院経営では中々配慮することができない有事への余裕を確保できているためです。さて、この衛生科隊員とは。

 衛生科隊員は自衛隊病院において准看護師資格を取得することができますし、防衛医科大学校では医師と看護師そして保健師を養成しています、防衛医科大学校は日本で唯一学費を払わず俸給をもらい医師免許を取得できる教育機関です。なにしろ 防衛出動では10万名単位の人員が展開して戦闘する任務を想定していますので、人的余裕は、あるのですね。

 ワクチン接種は注射であり医療行為です。医療行為には免許が必要ですが、免許といっても注射は医師だけの専売特許ではなく、看護師、准看護師、保健師、こうした資格があれば医師の監督下であれば実施できます。大規模接種会場、この統一された指揮下で集団接種を行いますので、看護師や准看護師、保健師の衛生隊員は接種にあたれる、ということ。

 自衛隊の衛生部隊は全国に展開しています。これを一カ所に集めますと全国の自衛隊任務が麻痺してしまいますが、例えば救難ヘリコプターや輸送ヘリコプターで交代の人員を送り続け、接種会場にて充分人員を確保しローテーションを組めるならば、現在進められている一日12時間と云わず8時間3交代であれば、長期間24時間体制で接種が可能です。

 一万人、東京都大阪の大規模接種会場では12時間体制の接種を行うということですが、これは単純計算で毎時834名の接種が必要です。夜間などは自家用車で接種会場に向かう場合を考えますと最低でも数百台の駐車場を確保しなければなりませんし、問診をどこまで自動化できるかで、会場の待機場所の確保が十分か、という問題も忘れてはなりません。

 問診。今回実施するCOVID-19ワクチン接種は、mRNAワクチンという、日本で開発された核酸を用いたワクチンが用いられています、これはウィルスを用いた不活性化ワクチンと比較し安全性は高いのですが、まれにアナフィラキシー症状、つまりアレルギー反応が激しく生じるという。このために基礎疾患などにかんする問診が必要、この時間がかかる。

 アナフィラキシー症状、これは基本的に接種後十五分以内に発生するといいます。アレルギー反応が100万人あたり204件発生した、厚生労働省は3月12日に発表しています。すると毎日2名程度は発生するということになります。重篤化することは稀ですが、激しいアナフィラキシー症状が発生した場合にはアドレナリン注射を行うため、待機時間が。

 しかし自衛隊は大規模行事の運営には経験があります、問診は衛生隊員以外にも実施できますので、方面隊行事や中央観閲式に自衛隊観艦式と航空観閲式、これらの行事での受付の経験が多少は応用できます。もっとも問題は会場となる府立国際会議場や大手町合同庁舎が、待機人員と問診区画に接種区画を充分確保出来る容積なのか、という点が問題です。

 首都圏ならば入間基地、大阪府ならば八尾駐屯地、飛行場と隣接していれば航空格納庫を臨時転用し、また交代要員を航空機で空輸する事で接種は早く進むようにも思うのですが、今回都心に置くのは昼間の就業により本籍地で接種を受けられない対象者への接種が目的です、すると、可能ならば追加で隣接地に広い会場容積を確保出来る事が望ましいですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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コメント (2)
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