■特報:世界の防衛,最新論点
F-22の廃止が決定した、戦略計画部副部長からの驚きの発言がありました。勿論今日明日でも来年再来年でも無く2030年頃からのというものですが、あと10年ありません。
日本の唯一の同盟国であるアメリカの国防計画は日本の防衛に大きな影響を与えます。こうした中でアメリカはF-35戦闘機の量産が進む中、空軍参謀総長のチャールズブラウン空軍大将が発した“変革を停止しては生き残る事は出来ない”との号令一下、巨大な変革に挑む最中です。こうした中、最強と謳われたF-22戦闘機廃止開始という報道がありました。
■F-22廃止へ,クリントン中将
F-22時代の終焉を伝えたのは5月13日版エアフォースマガジンでした。
アメリカ空軍はF-22戦闘機について2030年頃から段階的に廃止する、アメリカ空軍戦略計画部副部長のクリントンヒノテ空軍中将が5月13日版エアフォースマガジンにおいてアメリカ空軍の次世代航空体系の構想を示しました。F-22戦闘機は世界初の第五世代戦闘機として開発された航空機で、制空戦闘機を超えた航空支配戦闘機と表現される機体です。
F-22戦闘機はステルス性と超音速巡航能力という、従来の世代の戦闘機には有さなかった特性を有し、第五世代戦闘機という新しい時代を切り開いた航空機です。特にステルス性は機内の兵装庫にミサイルを全て搭載しハガキ程度のレーダー反射面積しか発しないという徹底した設計配慮が為されており相手に見つからず一方的に撃墜するという運用を執る。
F-22戦闘機の2030年からの用途廃止開始は、同時に2030年までにNGAD次世代制空戦闘機の開発を進める事を意味するとのこと。ただ、F-22の運用終了時期は明確化しましたが、これがそのままF-22の能力向上の終了を意味するものではないとも付け加えており、NGAD次世代制空戦闘機とともに全く別の新しい航空機開発も進められるとのことです。
■NGAD次世代制空戦闘機
NGAD次世代制空戦闘機については次世代制空航空機なのか次世代制空戦闘機なのかは未知数でしたが。
NGAD次世代制空戦闘機は、ここ数カ月の間に急な前進が示された構想です。もともと部分試作として2019年から2025年までに90億ドルの開発費、2021年だけで10億ドルが計上されていますが、もともとはF-22戦闘機やF-35戦闘機などの第五世代戦闘機を補完する航空機との認識でした。しかし、F-22戦闘機の退役はこの位置付を大きく変化させる。
こういうのもNGADは航空支配に資するステルス航空機ではあるものの、単なる空対空ミサイルを大量搭載した爆撃機のような大型機となる可能性も、ステルス性を有する早期警戒機と戦闘機の中間とも考えられていたのですが、空軍はこの当たりまだ研究中としています。しかしF-22後継として位置付けられるならば、これは戦闘機となる事を意味します。
■深刻なF-22稼働率低迷
NGAD次世代制空戦闘機という構想は最近突如外郭が示され始めましたがF-22を補完する機体と考えられていたものの事実上置換えを目指すようです。
アメリカ空軍参謀総長のチャールズブラウン空軍大将は2030年代のアメリカ空軍を構想するうえで“変化を加速するか失うか”との号令を掛け、空軍改革を提示しています。この一環にNGAD次世代制空戦闘機の導入が挙げられており、変化を加速する為にこれまでの空軍の象徴的な戦闘機であったF-22について費用対効果の秤に掛けられるのでしょう。
F-22戦闘機廃止開始、この衝撃的な発表についてアメリカ空軍ではF-22の幾つかの限界が冗長性ある航空作戦体系の構築に影響を及ぼしているとの認識はあるようです。第一にはF-22の機数が少なすぎる事で、F-22戦闘機の量産機は187機、全世界で行動するには第一線へ作戦機供給体制を考える上でF-22の可動数に確証が持てない状況があるようです。
F-22は低稼働率にも悩まされています、これはトランプ政権時代のマティス国防長官が海空軍及び海兵隊戦闘機稼働率を80%以上に上げるよう長官命令を出したものの、F-22は一年のご稼働率は51%と水準を大幅に下回る状況がありました。背景に保有機の一割近くがハリケーンにより破損する事情もあったのですが、F-22の低稼働率は問題視されています。
■ソフトウェアファクトリー
戦闘機に直接関係或るものではありませんがソフトウェアファクトリーという興味深い試みが在るようです。
アメリカ軍にソフトウェアを納入するロッキードマーティン社は新たにソフトウェアファクトリーを設立しました。これは主としてソフトウェア開発とセキュリティ及び保守管理などを体系化したソフトウェアパイプラインという電子空間の製造ラインにより12の開発ラボを直結、従来数カ月を要していた開発作業等を数週間に劇的に短縮させるものです。
アメリカ軍のソフトウェア開発は、特に核兵器体系の早期警戒システムや核兵器運用制御やサイバー攻撃による核兵器誤射の絶対阻止などから重要視されています。ただ、同時にアメリカ空軍は今後の航空機作戦体系についても、ソフトウェアの頻繁な能力向上により性能を維持させる視座を採っており、ソフトウェアパイプラインの応用が考えられます。
■空軍が目指す4+1機種体制
4+1機種体制へアメリカ空軍は大きく舵を切るようです、単に機種転換の過渡期から世代交代完了へすすむだけでも無いようですね。
2030年F-22廃止開始という衝撃的な将来計画とともにクリントンヒノテ空軍中将は空軍戦闘機体系を現在の7機種から4+1機種体制へと転換する方針を発表しました。現在過渡期にあるアメリカ空軍では制空戦闘機としてF-22とF-15C、多用途戦闘機としてF-35AとF-16C、戦闘爆撃機としてF-15Eと最新型のF-15EX、それに攻撃機としてA-10が並ぶ。
4+1機種体制とは、F-35戦闘機とF-15EX戦闘機、NGAD次世代制空戦闘機及びF-16後期型とし、+1としてはA-10攻撃機を示すものとのこと。F-16後期型とは現在のF-16Cを近代化改修するのか、チャールズブラウン空軍参謀総長が否定したF-16Vの新規調達を見込むのか、F-16後継の准第五世代戦闘機新規開発型をF-16派生型とするのかは未知数だ。
NGAD次世代制空戦闘機は螺旋階段状の段階近代化改修を続ける構想といい、定期的にプログラムを書き換える事で次世代航空プラットフォームとしての機能を維持するとのことで、これは五年ないし八年という短期間で行われる。これは恰もWindows95やWindows7といった更新がWindows10にに切り替わり定着したような方式を彷彿させるものですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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F-22の廃止が決定した、戦略計画部副部長からの驚きの発言がありました。勿論今日明日でも来年再来年でも無く2030年頃からのというものですが、あと10年ありません。
日本の唯一の同盟国であるアメリカの国防計画は日本の防衛に大きな影響を与えます。こうした中でアメリカはF-35戦闘機の量産が進む中、空軍参謀総長のチャールズブラウン空軍大将が発した“変革を停止しては生き残る事は出来ない”との号令一下、巨大な変革に挑む最中です。こうした中、最強と謳われたF-22戦闘機廃止開始という報道がありました。
■F-22廃止へ,クリントン中将
F-22時代の終焉を伝えたのは5月13日版エアフォースマガジンでした。
アメリカ空軍はF-22戦闘機について2030年頃から段階的に廃止する、アメリカ空軍戦略計画部副部長のクリントンヒノテ空軍中将が5月13日版エアフォースマガジンにおいてアメリカ空軍の次世代航空体系の構想を示しました。F-22戦闘機は世界初の第五世代戦闘機として開発された航空機で、制空戦闘機を超えた航空支配戦闘機と表現される機体です。
F-22戦闘機はステルス性と超音速巡航能力という、従来の世代の戦闘機には有さなかった特性を有し、第五世代戦闘機という新しい時代を切り開いた航空機です。特にステルス性は機内の兵装庫にミサイルを全て搭載しハガキ程度のレーダー反射面積しか発しないという徹底した設計配慮が為されており相手に見つからず一方的に撃墜するという運用を執る。
F-22戦闘機の2030年からの用途廃止開始は、同時に2030年までにNGAD次世代制空戦闘機の開発を進める事を意味するとのこと。ただ、F-22の運用終了時期は明確化しましたが、これがそのままF-22の能力向上の終了を意味するものではないとも付け加えており、NGAD次世代制空戦闘機とともに全く別の新しい航空機開発も進められるとのことです。
■NGAD次世代制空戦闘機
NGAD次世代制空戦闘機については次世代制空航空機なのか次世代制空戦闘機なのかは未知数でしたが。
NGAD次世代制空戦闘機は、ここ数カ月の間に急な前進が示された構想です。もともと部分試作として2019年から2025年までに90億ドルの開発費、2021年だけで10億ドルが計上されていますが、もともとはF-22戦闘機やF-35戦闘機などの第五世代戦闘機を補完する航空機との認識でした。しかし、F-22戦闘機の退役はこの位置付を大きく変化させる。
こういうのもNGADは航空支配に資するステルス航空機ではあるものの、単なる空対空ミサイルを大量搭載した爆撃機のような大型機となる可能性も、ステルス性を有する早期警戒機と戦闘機の中間とも考えられていたのですが、空軍はこの当たりまだ研究中としています。しかしF-22後継として位置付けられるならば、これは戦闘機となる事を意味します。
■深刻なF-22稼働率低迷
NGAD次世代制空戦闘機という構想は最近突如外郭が示され始めましたがF-22を補完する機体と考えられていたものの事実上置換えを目指すようです。
アメリカ空軍参謀総長のチャールズブラウン空軍大将は2030年代のアメリカ空軍を構想するうえで“変化を加速するか失うか”との号令を掛け、空軍改革を提示しています。この一環にNGAD次世代制空戦闘機の導入が挙げられており、変化を加速する為にこれまでの空軍の象徴的な戦闘機であったF-22について費用対効果の秤に掛けられるのでしょう。
F-22戦闘機廃止開始、この衝撃的な発表についてアメリカ空軍ではF-22の幾つかの限界が冗長性ある航空作戦体系の構築に影響を及ぼしているとの認識はあるようです。第一にはF-22の機数が少なすぎる事で、F-22戦闘機の量産機は187機、全世界で行動するには第一線へ作戦機供給体制を考える上でF-22の可動数に確証が持てない状況があるようです。
F-22は低稼働率にも悩まされています、これはトランプ政権時代のマティス国防長官が海空軍及び海兵隊戦闘機稼働率を80%以上に上げるよう長官命令を出したものの、F-22は一年のご稼働率は51%と水準を大幅に下回る状況がありました。背景に保有機の一割近くがハリケーンにより破損する事情もあったのですが、F-22の低稼働率は問題視されています。
■ソフトウェアファクトリー
戦闘機に直接関係或るものではありませんがソフトウェアファクトリーという興味深い試みが在るようです。
アメリカ軍にソフトウェアを納入するロッキードマーティン社は新たにソフトウェアファクトリーを設立しました。これは主としてソフトウェア開発とセキュリティ及び保守管理などを体系化したソフトウェアパイプラインという電子空間の製造ラインにより12の開発ラボを直結、従来数カ月を要していた開発作業等を数週間に劇的に短縮させるものです。
アメリカ軍のソフトウェア開発は、特に核兵器体系の早期警戒システムや核兵器運用制御やサイバー攻撃による核兵器誤射の絶対阻止などから重要視されています。ただ、同時にアメリカ空軍は今後の航空機作戦体系についても、ソフトウェアの頻繁な能力向上により性能を維持させる視座を採っており、ソフトウェアパイプラインの応用が考えられます。
■空軍が目指す4+1機種体制
4+1機種体制へアメリカ空軍は大きく舵を切るようです、単に機種転換の過渡期から世代交代完了へすすむだけでも無いようですね。
2030年F-22廃止開始という衝撃的な将来計画とともにクリントンヒノテ空軍中将は空軍戦闘機体系を現在の7機種から4+1機種体制へと転換する方針を発表しました。現在過渡期にあるアメリカ空軍では制空戦闘機としてF-22とF-15C、多用途戦闘機としてF-35AとF-16C、戦闘爆撃機としてF-15Eと最新型のF-15EX、それに攻撃機としてA-10が並ぶ。
4+1機種体制とは、F-35戦闘機とF-15EX戦闘機、NGAD次世代制空戦闘機及びF-16後期型とし、+1としてはA-10攻撃機を示すものとのこと。F-16後期型とは現在のF-16Cを近代化改修するのか、チャールズブラウン空軍参謀総長が否定したF-16Vの新規調達を見込むのか、F-16後継の准第五世代戦闘機新規開発型をF-16派生型とするのかは未知数だ。
NGAD次世代制空戦闘機は螺旋階段状の段階近代化改修を続ける構想といい、定期的にプログラムを書き換える事で次世代航空プラットフォームとしての機能を維持するとのことで、これは五年ないし八年という短期間で行われる。これは恰もWindows95やWindows7といった更新がWindows10にに切り替わり定着したような方式を彷彿させるものですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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