■政府は飛来前に議論し結論を
徘徊式弾薬は無人機かミサイルか、これはもはや武力攻撃なのかまだ武力行使なのかのグレーゾーンを明確化する為の重要な論点です。

政府は近年増加する徘徊式弾薬をミサイルの一種として考えるか、無人機の一種として区分するかを明確にすべき時かもしれません。周辺国が常時持続的に徘徊式弾薬を周辺地域において無人機として飛行させ示威行動に移る前に、徘徊式弾薬を排他的経済水域内で使用されることを無人機として容認するか、ミサイルとして武力攻撃事態と見なすのか。

台湾海峡や南西諸島では現在、中国大陸からの国籍不明無人機の飛翔が確認されています。もちろん無人航空機はRQ-4グローバルホークなどをアメリカ軍が運用していますし、ガーディアン無人機の運用試験は海上保安庁が九州などで開始しています。故に日本の施政権下の領域や政府公船へ外国無人機が日常的に飛来する状況も時間の問題といえましょう。

しかし、これが徘徊式弾薬となった場合はどうでしょうか、海上保安庁巡視船上空などを徘徊式弾薬が飛行し、いつでも撃沈できると示威行動をとりつつ、政府が外交ルートで非難した場合には、これは無人機であり平和的なものだ、こう反論された場合にはどうするのでしょうか。撃墜してしまえば相手に軍事介入の口実を与えかねず、この対応が難しい。

ミサイルなのかドローンなのか、現在、徘徊式弾薬という突入型無人航空機の普及が始まっています、2020年のナゴルノカラバフ紛争においてアゼルバイジャン軍がイスラエル製徘徊型弾薬を組織的に大量投入し大きな威力を発揮しました。ミサイルは目標を定めて誘導しますが、徘徊型弾薬は戦場上空を飛行し索敵、目標を発見次第突入するというもの。

ドローンともいえる、目標を発見できなくとも発射し数十分にわたり戦場上空を飛行します、そして攻撃方法は体当たりですから。しかしミサイルとも言える、発射前に照準するか発射後に照準するかは一種の中間指令誘導方式とも言え、これは射程の大きなミサイルでは目標情報の更新が普通ですから。もっともこれをミサイルというには飛翔速度は遅い。

徘徊式弾薬、この装備はイスラエルのハーピーが有名ですが発想そのものは実は無人機が普及本格化する直前、1990年代末に開発されたものでした、当時は自爆型無人機と呼ばれていまして、その時点ではまだグローバルホークが評価試験中、無人攻撃能力の高いMQ-9リーパーはまだ構想さえされていない時代のもの、無人機は無人偵察機という扱いでした。

RQ-2パイオニア無人機が1980年代からイスラエル軍が運用しており、アメリカ海軍が当時現役であったアイオワ級戦艦の406mm艦砲の着弾観測に採用しています。偵察に特化した無人機ですが、無線操縦でTV電波によりリアルタイムの画像情報を伝送可能で、万一撃墜されても人的被害はないが、得難い情報を常時持続的に伝送する、そんな装備です。

1980年代には便利な装備でした、イスラエル軍は危険なロケット弾射撃陣地などをRQ-2で発見した瞬間にM-109自走榴弾砲が155mm砲弾を撃ち込めば良い、しかし、無人機の行動範囲が増大しますと、155mm榴弾砲の射程外の脅威目標を発見することもあった、この場合AH-64A戦闘ヘリコプターの出番でしたが、タイムラグはどうしても生じてしまう。

無人機が脅威度の切迫した目標を発見した場合では体当たりもやむなし、無人機を失うことにはなるが代え難い切迫時には、攻撃されて犠牲者がでるよりは無人機の費用で済むならば致し方ない、これが自爆型無人機の発想でした。しかし無人機の低価格化とともに徘徊式弾薬として独立した装備体系となり、非常に大きな威力を発揮するようになるのです。

陸上戦闘体系から考えた場合、徘徊式弾薬は近接航空支援を受けにくい地域では予め友軍地上部隊上空に待機させることで、即座の脅威に対し即応対処することが可能です。イスラエルが開発したハーピーの滞空時間は9時間、しかもイスラエルは中国へこのハーピーを輸出していまして、中国は本装備をデッドコピーしたASN-301を開発し量産中です。

ハーピー2徘徊式弾薬は、200km圏内で管制が可能で航続距離が1000kmに達しています。往還飛行が可能で目標がなければそのまま着陸、無人偵察機として飛行し高付加価値目標を発見した場合には体当たり攻撃を行う、最高速度は420km/hとミサイルよりも格段に遅いですが滞空時間は9時間、暖冬重量は23kgであり、戦車さえも破壊する威力があります。

この種の装備が無人機の平和的な飛行として日本周辺を飛行し始めた際に対処を考えても手遅れです、運用された場合は相手が軍以外の組織であるとしてもグレーゾーン事態として武力攻撃着手と見なすか、無人機として考えるならば、こちらも同種の徘徊式弾薬や武装無人機による哨戒飛行を南シナ海などにおいて検討する、こうした準備が必要です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
徘徊式弾薬は無人機かミサイルか、これはもはや武力攻撃なのかまだ武力行使なのかのグレーゾーンを明確化する為の重要な論点です。

政府は近年増加する徘徊式弾薬をミサイルの一種として考えるか、無人機の一種として区分するかを明確にすべき時かもしれません。周辺国が常時持続的に徘徊式弾薬を周辺地域において無人機として飛行させ示威行動に移る前に、徘徊式弾薬を排他的経済水域内で使用されることを無人機として容認するか、ミサイルとして武力攻撃事態と見なすのか。

台湾海峡や南西諸島では現在、中国大陸からの国籍不明無人機の飛翔が確認されています。もちろん無人航空機はRQ-4グローバルホークなどをアメリカ軍が運用していますし、ガーディアン無人機の運用試験は海上保安庁が九州などで開始しています。故に日本の施政権下の領域や政府公船へ外国無人機が日常的に飛来する状況も時間の問題といえましょう。

しかし、これが徘徊式弾薬となった場合はどうでしょうか、海上保安庁巡視船上空などを徘徊式弾薬が飛行し、いつでも撃沈できると示威行動をとりつつ、政府が外交ルートで非難した場合には、これは無人機であり平和的なものだ、こう反論された場合にはどうするのでしょうか。撃墜してしまえば相手に軍事介入の口実を与えかねず、この対応が難しい。

ミサイルなのかドローンなのか、現在、徘徊式弾薬という突入型無人航空機の普及が始まっています、2020年のナゴルノカラバフ紛争においてアゼルバイジャン軍がイスラエル製徘徊型弾薬を組織的に大量投入し大きな威力を発揮しました。ミサイルは目標を定めて誘導しますが、徘徊型弾薬は戦場上空を飛行し索敵、目標を発見次第突入するというもの。

ドローンともいえる、目標を発見できなくとも発射し数十分にわたり戦場上空を飛行します、そして攻撃方法は体当たりですから。しかしミサイルとも言える、発射前に照準するか発射後に照準するかは一種の中間指令誘導方式とも言え、これは射程の大きなミサイルでは目標情報の更新が普通ですから。もっともこれをミサイルというには飛翔速度は遅い。

徘徊式弾薬、この装備はイスラエルのハーピーが有名ですが発想そのものは実は無人機が普及本格化する直前、1990年代末に開発されたものでした、当時は自爆型無人機と呼ばれていまして、その時点ではまだグローバルホークが評価試験中、無人攻撃能力の高いMQ-9リーパーはまだ構想さえされていない時代のもの、無人機は無人偵察機という扱いでした。

RQ-2パイオニア無人機が1980年代からイスラエル軍が運用しており、アメリカ海軍が当時現役であったアイオワ級戦艦の406mm艦砲の着弾観測に採用しています。偵察に特化した無人機ですが、無線操縦でTV電波によりリアルタイムの画像情報を伝送可能で、万一撃墜されても人的被害はないが、得難い情報を常時持続的に伝送する、そんな装備です。

1980年代には便利な装備でした、イスラエル軍は危険なロケット弾射撃陣地などをRQ-2で発見した瞬間にM-109自走榴弾砲が155mm砲弾を撃ち込めば良い、しかし、無人機の行動範囲が増大しますと、155mm榴弾砲の射程外の脅威目標を発見することもあった、この場合AH-64A戦闘ヘリコプターの出番でしたが、タイムラグはどうしても生じてしまう。

無人機が脅威度の切迫した目標を発見した場合では体当たりもやむなし、無人機を失うことにはなるが代え難い切迫時には、攻撃されて犠牲者がでるよりは無人機の費用で済むならば致し方ない、これが自爆型無人機の発想でした。しかし無人機の低価格化とともに徘徊式弾薬として独立した装備体系となり、非常に大きな威力を発揮するようになるのです。

陸上戦闘体系から考えた場合、徘徊式弾薬は近接航空支援を受けにくい地域では予め友軍地上部隊上空に待機させることで、即座の脅威に対し即応対処することが可能です。イスラエルが開発したハーピーの滞空時間は9時間、しかもイスラエルは中国へこのハーピーを輸出していまして、中国は本装備をデッドコピーしたASN-301を開発し量産中です。

ハーピー2徘徊式弾薬は、200km圏内で管制が可能で航続距離が1000kmに達しています。往還飛行が可能で目標がなければそのまま着陸、無人偵察機として飛行し高付加価値目標を発見した場合には体当たり攻撃を行う、最高速度は420km/hとミサイルよりも格段に遅いですが滞空時間は9時間、暖冬重量は23kgであり、戦車さえも破壊する威力があります。

この種の装備が無人機の平和的な飛行として日本周辺を飛行し始めた際に対処を考えても手遅れです、運用された場合は相手が軍以外の組織であるとしてもグレーゾーン事態として武力攻撃着手と見なすか、無人機として考えるならば、こちらも同種の徘徊式弾薬や武装無人機による哨戒飛行を南シナ海などにおいて検討する、こうした準備が必要です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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