北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

榛名防衛備忘録:徘徊式弾薬は無人機かミサイルか?武力攻撃か武力行使かのグレーゾーン

2021-05-16 20:18:32 | 先端軍事テクノロジー
■政府は飛来前に議論し結論を
 徘徊式弾薬は無人機かミサイルか、これはもはや武力攻撃なのかまだ武力行使なのかのグレーゾーンを明確化する為の重要な論点です。

 政府は近年増加する徘徊式弾薬をミサイルの一種として考えるか、無人機の一種として区分するかを明確にすべき時かもしれません。周辺国が常時持続的に徘徊式弾薬を周辺地域において無人機として飛行させ示威行動に移る前に、徘徊式弾薬を排他的経済水域内で使用されることを無人機として容認するか、ミサイルとして武力攻撃事態と見なすのか。

 台湾海峡や南西諸島では現在、中国大陸からの国籍不明無人機の飛翔が確認されています。もちろん無人航空機はRQ-4グローバルホークなどをアメリカ軍が運用していますし、ガーディアン無人機の運用試験は海上保安庁が九州などで開始しています。故に日本の施政権下の領域や政府公船へ外国無人機が日常的に飛来する状況も時間の問題といえましょう。

 しかし、これが徘徊式弾薬となった場合はどうでしょうか、海上保安庁巡視船上空などを徘徊式弾薬が飛行し、いつでも撃沈できると示威行動をとりつつ、政府が外交ルートで非難した場合には、これは無人機であり平和的なものだ、こう反論された場合にはどうするのでしょうか。撃墜してしまえば相手に軍事介入の口実を与えかねず、この対応が難しい。

 ミサイルなのかドローンなのか、現在、徘徊式弾薬という突入型無人航空機の普及が始まっています、2020年のナゴルノカラバフ紛争においてアゼルバイジャン軍がイスラエル製徘徊型弾薬を組織的に大量投入し大きな威力を発揮しました。ミサイルは目標を定めて誘導しますが、徘徊型弾薬は戦場上空を飛行し索敵、目標を発見次第突入するというもの。

 ドローンともいえる、目標を発見できなくとも発射し数十分にわたり戦場上空を飛行します、そして攻撃方法は体当たりですから。しかしミサイルとも言える、発射前に照準するか発射後に照準するかは一種の中間指令誘導方式とも言え、これは射程の大きなミサイルでは目標情報の更新が普通ですから。もっともこれをミサイルというには飛翔速度は遅い。

 徘徊式弾薬、この装備はイスラエルのハーピーが有名ですが発想そのものは実は無人機が普及本格化する直前、1990年代末に開発されたものでした、当時は自爆型無人機と呼ばれていまして、その時点ではまだグローバルホークが評価試験中、無人攻撃能力の高いMQ-9リーパーはまだ構想さえされていない時代のもの、無人機は無人偵察機という扱いでした。

 RQ-2パイオニア無人機が1980年代からイスラエル軍が運用しており、アメリカ海軍が当時現役であったアイオワ級戦艦の406mm艦砲の着弾観測に採用しています。偵察に特化した無人機ですが、無線操縦でTV電波によりリアルタイムの画像情報を伝送可能で、万一撃墜されても人的被害はないが、得難い情報を常時持続的に伝送する、そんな装備です。

 1980年代には便利な装備でした、イスラエル軍は危険なロケット弾射撃陣地などをRQ-2で発見した瞬間にM-109自走榴弾砲が155mm砲弾を撃ち込めば良い、しかし、無人機の行動範囲が増大しますと、155mm榴弾砲の射程外の脅威目標を発見することもあった、この場合AH-64A戦闘ヘリコプターの出番でしたが、タイムラグはどうしても生じてしまう。

 無人機が脅威度の切迫した目標を発見した場合では体当たりもやむなし、無人機を失うことにはなるが代え難い切迫時には、攻撃されて犠牲者がでるよりは無人機の費用で済むならば致し方ない、これが自爆型無人機の発想でした。しかし無人機の低価格化とともに徘徊式弾薬として独立した装備体系となり、非常に大きな威力を発揮するようになるのです。

 陸上戦闘体系から考えた場合、徘徊式弾薬は近接航空支援を受けにくい地域では予め友軍地上部隊上空に待機させることで、即座の脅威に対し即応対処することが可能です。イスラエルが開発したハーピーの滞空時間は9時間、しかもイスラエルは中国へこのハーピーを輸出していまして、中国は本装備をデッドコピーしたASN-301を開発し量産中です。

 ハーピー2徘徊式弾薬は、200km圏内で管制が可能で航続距離が1000kmに達しています。往還飛行が可能で目標がなければそのまま着陸、無人偵察機として飛行し高付加価値目標を発見した場合には体当たり攻撃を行う、最高速度は420km/hとミサイルよりも格段に遅いですが滞空時間は9時間、暖冬重量は23kgであり、戦車さえも破壊する威力があります。

 この種の装備が無人機の平和的な飛行として日本周辺を飛行し始めた際に対処を考えても手遅れです、運用された場合は相手が軍以外の組織であるとしてもグレーゾーン事態として武力攻撃着手と見なすか、無人機として考えるならば、こちらも同種の徘徊式弾薬や武装無人機による哨戒飛行を南シナ海などにおいて検討する、こうした準備が必要です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌"舞鶴":城下町西舞鶴の美味しい駅前寿司

2021-05-16 18:11:16 | グルメ
■榛名さんの総監部グルメ日誌
 榛名さんの総監部グルメ日誌は今回は日本海防衛の要衝、舞鶴地方総監部の置かれています舞鶴です。

 舞鶴というと海鮮、でしょうか。肉じゃがもおいしいところはあるのですが呉市のように専門店と言いますか居酒屋の定番というほどではありません、すると、やはりここは日本海の恵みという海鮮です。お寿司もおいしい。ただ舞鶴散策していますと困るのは不便さ。

 昼からお寿司をいただけるところは特に東舞鶴ですと回転寿司くらいという不便さです、寿司屋がやっていたぞと勇んではいると昼はオウドンだけよ、ということもあります。西舞鶴、お寿司といいますと西舞鶴の方がお昼楽しめるところもありまして、助かりますね。

 西舞鶴、さすがは田辺城の城下町だ、と唸らされるところです。ここは西舞鶴駅前、お隣にはビーフシチューで有名になってしまい、実は20年近く散策している界隈で某艦隊をこれくしょんするゲームの同人誌で有名になり入ることが難しい人気店となったのは驚き。

 こういう時こそ、隣のお寿司屋さん。風情というのは、実は家具を選ぶときはこう深い木の色合いが好きなのですが寿司屋となりますと明るい木材の色調、そしてカウンターもその色の方が不思議となじむものがあります。もちろんカウンターに陣取りまして、さて。

 もともとにぎり寿司は江戸時代からの伝統的なファストフード、これを手早く頂きたい。昼時というのは、実は頼めば一通りの握りも天ぷらも土瓶蒸しまで出してくれるところもあるのですが、ランチのみの店、また土日祝日となりますと並か上だけというところも。

 敷居の高さと思われるところですがここは舞鶴、案外と手軽で、そして満足感も大きい。上寿司。舞鶴ですので上寿司を注文して間違いはありません、なにしろ丹後半島と日本海は若狭湾の海産物、まあ丹後半島でかにさんなど目一杯頂くと、出費は相応に嵩みますが。

 そしてなによりも新日本海フェリーにて北海道小樽から本場の海の幸がピストン輸送されていますので。しかし、上寿司にしても並寿司にしても迷うのはなにからいただくか、ということ。旬が大事、というお寿司では、どれが美味しいか、最初の一つは気になる。

 旬の魚、まあ昨今は旬などその都度インターネットさんで調べられるお手頃時代なのですが、上寿司で大将に任せれば旬と定番を織り交ぜてくれますので間違いはない、そして美味しい。鮪から行くか定番は最後に残して白身か光り物をどの時機でいただくか、とも。

 甲殻類も良いがいっそ考えずに右端から順番に口に運ぶか箸で掴みやすいものを順番にいただくか。鮨に合うのは清酒に決まっているのですが昨今はどうしても情勢の時節からとそう簡単に一献潤す事が出来ないのは、口惜しい、この言葉そのままの印象を感じます。

 駅前寿司、舞鶴線がそんなに本数がありませんので電車をまつの間に旅行という非日常を楽しむには一つの選択肢です。もうひとつ付け加えると西舞鶴駅は駅弁をやっていない、コンビニ弁当を並べているだけですので旅行情緒を楽しむには美味しいものは駅前で頂く。

 海鮮に合うのはまずはビールで口を潤して、それから清酒を地酒で、まず一通りいただいてから巻き寿司と焼酎で楽しむか、寿司を頼む前に適当に切り身を肴に一献嗜んでから握りを締めにいただくのか、こう考えるのですがコロナ時代、不自由多い。それでも美味しいのは不思議だ。

 アルコールはどうしても呼気が多くなる、古希までコロナ時代を生き延びるには呼気の多い状態で特急まいづる号なんかに乗り込んでは一発感染さようなら、となりかねませんので、これはもう少し我慢するしかないのだなあ、と。しかしそれを差し引いても、美味い。

 安全な会食は難しい、しかし日本医師会の中川会長が実践した様な、飲食を伴わないパーティーならば、安全なのか。こう実感したのは自粛を呼びかけている中川会長が政治化資金パーティーに出席した事を良く調べずに糾弾している方々の滑稽な様子から思いました。

 飲食を伴わないパーティーならば安全なのですが、楽しいのかは別という。要するに体裁として行わなければならないもの以外は、例えば家族より大きな単位での会食は、社会的距離が動線を含め3m離隔を採れる状況でもなければ難しいのかな、と考えてしまいます。

 私の場合はもうN501感染拡大後は外食では個室を使えるところ、若しくはデッキなど屋外で周りに人のいないところ、馴染みのお店にて人のいない時間帯、ちょっと慎重すぎると思われるかもしれませんが、このくらいしか安全と考えられるところがもう無いのですね。

 乗り切ってしまえば後世話のタネにできる、日本の感染状況はまだこうした状況です。ただ、欧州の幾つかの国のように100万人あたり数千人が死亡する状況となっては此れは成立ちませんし、欧州では既に15名に一人が感染、ここまで来ると、もう洒落になりません。

 日本の場合は感染拡大前に手を打ったことで、今の大阪も含めて、無茶苦茶な都市封鎖を行わず低空飛行状態で維持でき、ワクチン接種の遅も副作用の健康被害の方がCOVID-19よりも重視される程、余裕はあったといえるのですね。破綻点に至らぬよう、もう少し我慢したいものです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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