■週報:世界の防衛,最新13論点
防衛情報、今回は対戦車ミサイルの話題とヘリコプター等の話題を中心に13の論点を紹介しましょう。

アメリカ陸軍はイスラエル製スパイク対戦車ミサイルの評価試験を開始しました。これはアメリカ陸軍遠征戦力構想AEWE2021に基づき実施されているもので、今回試験に用いられたのはスパイクSR,スパイク対戦車ミサイルは個人形態型で射程800mのスパイクSR,車両に搭載し歩兵が携行可能な射程2500mのスパイクMRなど各種射程のものがあります。

スパイクSRはミサイル本体の重量が9kgであり、アメリカ陸軍に配備されているジャベリン対戦車ミサイルよりも軽量、弾薬扱いで海兵隊などに配備されるAT-4個人携帯対戦車弾の6.7kgよりも重いものの、こちらは無反動砲弾薬に対してスパイクSRはミサイルです。陸軍はスパイクSRにより歩兵分隊単位での対戦車戦闘能力の付与を構想しているもよう。
■独MMP対戦車ミサイル試験
ドイツが開発している最新型のMMP対戦車ミサイルについての話題です。

ドイツのMBDA社は開発が遅れているMMP対戦車ミサイルの車載装置からの初の射撃試験を実施しました。MMP対戦車ミサイルは中距離対戦車弾薬を示し、フランスではジャガー装甲偵察車の車載ミサイルやEC-665ユーロコプタータイガー戦闘ヘリコプターの搭載ミサイルとして開発が進められていますが、開発遅延が重大な影響を及ぼしています。

MMP対戦車ミサイルの射程は5000m、決して長射程ではないものの開発の遅れによりミラン対戦車ミサイルやHOT対戦車ミサイルの運用限界を超えての長期運用が行われており、今回の試験は車両搭載型からの初の試験となりました。実験は南仏カンジュアーズ試験場にて実施され、射撃距離は3500m、車上の実弾射撃は成功裏に完了したとのこと。
■JLTVにスパイクLRミサイル
スパイクLR対戦車ミサイルを軽装甲車両であるオシュコシュJLTV統合軽機動車輛に搭載する話題です。

スロベニア軍は新しく導入するオシュコシュJLTV統合軽機動車輛よりラファエル社製スパイクLR対戦車ミサイルの発射試験に成功しました。この射撃試験は2020年12月に実施、1月に発表された。JLTVはアメリカ軍がハンヴィー高機動車後継車両に充てる軽装甲車両でスパイクミサイルはコングスベルク社製RWS遠隔操作銃搭に搭載されています。

JLTV,スロベニアは38両を導入、コングスベルク社製RWSにはスパイクミサイルの他に12.7mm重機関銃が搭載され、ミサイルは車体後部から再装填されます。今回射撃されたミサイルはスパイクLR2対戦車ミサイルで、これは車載型、射程が従来型のLRの8000mから10000mに延伸された改良型で700mmの圧延均一鋼鈑を貫徹する威力を有しています。
■ストルーム自走対戦車ミサイル
ストルームSM自走対戦車ミサイルは妙に凝ったミサイル自走発射装置です。

ロシアのウラルガード戦車工場はストルーム自走対戦車ミサイル近代化改修型であるストルームSM自走対戦車ミサイル10両をロシア軍へ納入したとのこと。これはMT-LB多目的装甲輸送車へ9M114/AT-6スパイラル対戦車ミサイルと予備弾薬12発を搭載したもので、ミサイル発射装置は単装発射装置を格納式とし、格納の際に人力再装填が可能である。

ストルームSM自走対戦車ミサイルはミサイルのみを新型に置換えた。第6親衛自動車化狙撃師団へ配備され、この師団は近代化改修されたBMP-2M装甲戦闘車を受領した事でもある。ロシア陸軍では対戦車ミサイルを欧州や日米のような小型車両に搭載し機動力を発揮するだけでなく、専用の装甲車へ搭載し戦車駆逐車として運用する方式を多用している。
■SB-1デファイアント
複合ヘリコプターという高速航空機は今後の一つの潮流となり得るのでしょうか。

アメリカ陸軍が進めるUH-60ブラックホーク後継計画FLRAA構想へボーイング社とシコルスキー社はSB-1デファイアント複合ヘリコプターを正式提案しました。FLRAA構想とは将来長距離強襲航空機を示し、SB-1は二重反転ローター及び推進用回転翼を併用する複合ヘリコプター方式を採用する事でUH-60の二倍という高速巡航を可能としました。

SB-1デファイアント複合ヘリコプターはシコルスキー社が過去に開発したシコルスキーX2実験機の技術が応用されており、極めて高い速度と行動半径を空中機動部隊へ付与する事が可能です。FLRAA構想にはSB-1の他にベルテキストロン社が可動翼機構造を採用したV-280ヴェローを開発しており、巡航速度280ノット、このどちらかが採用されます。
■新型両用戦闘車両ACV量産
海兵隊の将来を担う装輪装甲車として新型両用戦闘車両ACV量産が開始されました。

アメリカ海軍は海兵隊の新型両用戦闘車両ACV量産をBAE社へ発注したとの事、ACVは36両が1億8400万ドルで発注されました。この契約はアメリカ海兵隊のACV部隊評価試験が完了した2020年11月に決定、2020年12月に正式発注が決定しているとのこと。ACVはイタリアが開発した八輪式装輪装甲車スーパーAVをアメリカ海兵隊仕様型とした。

ACVは旧式化が進むAAV-7両用強襲車の後継車両に位置付けられており、装輪装甲車と装軌式装甲車の違いもある為、全てのAAV-7を置換えるのではなく当面は運用状況とともに併用する形となりますが、装軌式のEFV海兵遠征車輛の開発中止以来10年以上に渡り後継計画がとん挫している状況であり、ACVの量産開始は海兵隊にとり朗報と云えましょう。
■中国Z-20ヘリコプター
Z-20ヘリコプターは中国がライセンス生産航空機を独自深化させたもの。

中国人民解放軍はロシア製Mi-17ヘリコプターをS-70コピー機であるZ-20ヘリコプターへの置き換えを本格化させたもようです。S-70はアメリカ陸軍のUH-60ブラックホークコピー機で中国は天安門事件前の1980年代にアメリカから技術移転を受け、中印国境やチベット地方などでの高山部での運用を想定しS-70コピー機を製造した経験があります。

Z-20は2020年に入り空中強襲旅団への配備が進んでいると忠告国内軍事誌等に写真特集が掲載されています。Mi-17はロシアから導入した比較的新しいヘリコプターですが2014年に165号機を導入して以降、導入計画を終了しました。中国は2000年代までヘリコプター部隊規模が比較的小さい編成となっていますが、10年間で大きく様相は一変しています。
■インドのMi-17ヘリコプター
Mi-17ヘリコプターというと西側のUH-1にあたる多用途ヘリコプターです。

インド国防省は2月12日、インド軍が運用するロシア製Mi-17ヘリコプターのMi-17V5エンジンVK-2500エンジン整備施設をインド国内に建設する契約をUECロシア統一エンジン社との間で締結したとのこと。これはインドのチャンディーガル市内に設置されている航空整備施設を拡大することで対応し、施設建設はロシアのロステック社が協力します。

Mi-17はインド軍へ2013年より71機が納入されており、更に9機を納入し80機体制となります。VK-2500エンジンは従来定期整備などをロシアへ輸送し実施していましたが、取り外しと輸送の期間がインド軍におけるMi-17稼働率を低下させているとされていました。整備施設は2022年に完成する見通しで、インド軍での稼働率向上に寄与する事でしょう。
■T-129戦闘ヘリコプター
T-129-ATAK戦闘ヘリコプターのようなライセンス生産機の独自改良は中堅工業国の防衛産業育成の定番ですね。

トルコ陸軍は2月17日、運用するT-129-ATAK戦闘ヘリコプター改良型の受領を開始したとのこと。T-129-ATAK-phase2とされる新型には9681V/UHF改良型無線機、EW電子戦システム、レーザー警告受信機、無線周波数妨害装置、レーダー警告システム、これらの器材を近代化改修しているとのことで、電子装備国産装備費比率を大幅に高めています。

T-129-ATAKはイタリアのアグスタウェストランド社、現在のガリレオヘリコプターーが開発したA-129マングスタ戦闘ヘリコプターをトルコがライセンス生産したトルコ軍仕様で、T-129-ATAK-phase2は2021年にパキスタンへ30機を輸出予定です。トルコは現在制裁中でありエンジンを入手できず、トルコ製エンジン搭載型の輸出を構想しているとの事です。
■英プロテクターRS-4RWS
プロテクターRS-4RWSは西側の標準的なRWSとなりつつあるもよう。

イギリス国防省は装甲車用RWS遠隔操作銃搭プロテクターRS-4RWSおよびAcusonic自動脅威警報システムについて500セットを2億5230万ドルでRBSL社とラインメタル社より取得するとのこと、RS-4はノルウェーコングスベルク社製のRWSです。これはイギリス陸軍がようやく決定した汎用装甲車、ドイツ製ボクサー装輪装甲車へ搭載するもの。

プロテクターRS-4RWSは360°全周目標を常時外部の高解像度カメラにより車内機銃リモートステーションに表示し、走行中であっても正確に射撃を含む対処が可能とのこと。イギリス陸軍はボクサー装輪装甲車500両を導入し、旧式化し延命も限界となった1960年代のブルドック装甲車を置換える方針で2023年にも最初のボクサーを配備開始する方針です。
■2000台目のアクマットVT4
結局のところステーションワゴンやセダンも用途はあるのですよね。

フランス国防省は2020年12月16日に2000台目のアクマットVT4戦術車輛の受領を受けたとの事です。アクマットVT4戦術車輛は民間乗用車型のオフロード車輛でエンジングリルたライトは勿論バンパーまで市販車を迷彩色に切替えた事で納入を迅速化、2018年に第12装甲騎兵連隊へ納入されて以来短期間で2000両が量産されたこととなります。

アクマットVT4戦術車輛はプジョーP4戦術車輛の後継者に位置付けられています。フランス軍では永らくジープの系譜を国産のプジョーP4としていましたが、第一線では生存性が確保出来ず、PVP装甲車等が装備されてきました。しかしながら国内の連絡業務などに装甲車は如何にも燃費が悪く、この為にアクマットVT4戦術車輛は導入されたものです。
■オランダ軍SMASH照準器
SMASH照準器は歩兵の主力装備が依然として小銃であるという根本的な意義を思い出させてくれるもの。

オランダ陸軍はM-4A1カービンに搭載するSMASH照準器による山間部悪天候下での無人機撃墜試験を完了しました。SMASHはスマートシューターと呼ばれる小銃用対無人機照準装置でTBMbv社が開発しているもの、近年地上部隊の情報優位を脅かす小型無人機を特殊な手段を用いることなく、歩兵全員が装備する小銃で撃墜する為の小型照準器です。

SMASH照準器スマートシューターの評価試験はオーストリア山間部の吹雪が舞う悪天候の状況下で行われ、200m以内の無人機67機を標的とし、ほぼ3点射撃一回で撃墜に成功したとのこと。SMASH照準器そのものはACOG照準器等既存の照準装置と同程度で、射撃角度を適切に射手に表示させ散弾銃で七面鳥を撃つように小型無人機を撃墜するという。
■英Drone40小型無人機
Drone40小型無人機は自衛隊にも必要な第一線の情報収集装備だと考えるところ。

イギリス陸軍は40mm擲弾筒から発射可能なDrone40小型無人機ドローンを第一線での任務に投入しました。これはMINUSMA,アフリカのマリで行われている治安任務へのイギリス派遣部隊が投入したもので、イギリス軍は王立軽竜騎兵連隊とロイヤルアングリアン連隊から歩兵部隊等を派遣しています。Drone40はその訓練中に運用が発表されました。

Drone40はオーストラリアDefendTex社製の無人機で重量190g、全長120mm、最大110gまでのセンサー若しくは爆発物を搭載可能で、歩兵携行の40mm擲弾筒から即座に発射可能であり、発射後は四基の二枚ローターを展開し飛行、最大航続距離は18kmで30分から最大60分の滞空時間を有し、爆破させない場合には充電し再利用が可能となっています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
防衛情報、今回は対戦車ミサイルの話題とヘリコプター等の話題を中心に13の論点を紹介しましょう。

アメリカ陸軍はイスラエル製スパイク対戦車ミサイルの評価試験を開始しました。これはアメリカ陸軍遠征戦力構想AEWE2021に基づき実施されているもので、今回試験に用いられたのはスパイクSR,スパイク対戦車ミサイルは個人形態型で射程800mのスパイクSR,車両に搭載し歩兵が携行可能な射程2500mのスパイクMRなど各種射程のものがあります。

スパイクSRはミサイル本体の重量が9kgであり、アメリカ陸軍に配備されているジャベリン対戦車ミサイルよりも軽量、弾薬扱いで海兵隊などに配備されるAT-4個人携帯対戦車弾の6.7kgよりも重いものの、こちらは無反動砲弾薬に対してスパイクSRはミサイルです。陸軍はスパイクSRにより歩兵分隊単位での対戦車戦闘能力の付与を構想しているもよう。
■独MMP対戦車ミサイル試験
ドイツが開発している最新型のMMP対戦車ミサイルについての話題です。

ドイツのMBDA社は開発が遅れているMMP対戦車ミサイルの車載装置からの初の射撃試験を実施しました。MMP対戦車ミサイルは中距離対戦車弾薬を示し、フランスではジャガー装甲偵察車の車載ミサイルやEC-665ユーロコプタータイガー戦闘ヘリコプターの搭載ミサイルとして開発が進められていますが、開発遅延が重大な影響を及ぼしています。

MMP対戦車ミサイルの射程は5000m、決して長射程ではないものの開発の遅れによりミラン対戦車ミサイルやHOT対戦車ミサイルの運用限界を超えての長期運用が行われており、今回の試験は車両搭載型からの初の試験となりました。実験は南仏カンジュアーズ試験場にて実施され、射撃距離は3500m、車上の実弾射撃は成功裏に完了したとのこと。
■JLTVにスパイクLRミサイル
スパイクLR対戦車ミサイルを軽装甲車両であるオシュコシュJLTV統合軽機動車輛に搭載する話題です。

スロベニア軍は新しく導入するオシュコシュJLTV統合軽機動車輛よりラファエル社製スパイクLR対戦車ミサイルの発射試験に成功しました。この射撃試験は2020年12月に実施、1月に発表された。JLTVはアメリカ軍がハンヴィー高機動車後継車両に充てる軽装甲車両でスパイクミサイルはコングスベルク社製RWS遠隔操作銃搭に搭載されています。

JLTV,スロベニアは38両を導入、コングスベルク社製RWSにはスパイクミサイルの他に12.7mm重機関銃が搭載され、ミサイルは車体後部から再装填されます。今回射撃されたミサイルはスパイクLR2対戦車ミサイルで、これは車載型、射程が従来型のLRの8000mから10000mに延伸された改良型で700mmの圧延均一鋼鈑を貫徹する威力を有しています。
■ストルーム自走対戦車ミサイル
ストルームSM自走対戦車ミサイルは妙に凝ったミサイル自走発射装置です。

ロシアのウラルガード戦車工場はストルーム自走対戦車ミサイル近代化改修型であるストルームSM自走対戦車ミサイル10両をロシア軍へ納入したとのこと。これはMT-LB多目的装甲輸送車へ9M114/AT-6スパイラル対戦車ミサイルと予備弾薬12発を搭載したもので、ミサイル発射装置は単装発射装置を格納式とし、格納の際に人力再装填が可能である。

ストルームSM自走対戦車ミサイルはミサイルのみを新型に置換えた。第6親衛自動車化狙撃師団へ配備され、この師団は近代化改修されたBMP-2M装甲戦闘車を受領した事でもある。ロシア陸軍では対戦車ミサイルを欧州や日米のような小型車両に搭載し機動力を発揮するだけでなく、専用の装甲車へ搭載し戦車駆逐車として運用する方式を多用している。
■SB-1デファイアント
複合ヘリコプターという高速航空機は今後の一つの潮流となり得るのでしょうか。

アメリカ陸軍が進めるUH-60ブラックホーク後継計画FLRAA構想へボーイング社とシコルスキー社はSB-1デファイアント複合ヘリコプターを正式提案しました。FLRAA構想とは将来長距離強襲航空機を示し、SB-1は二重反転ローター及び推進用回転翼を併用する複合ヘリコプター方式を採用する事でUH-60の二倍という高速巡航を可能としました。

SB-1デファイアント複合ヘリコプターはシコルスキー社が過去に開発したシコルスキーX2実験機の技術が応用されており、極めて高い速度と行動半径を空中機動部隊へ付与する事が可能です。FLRAA構想にはSB-1の他にベルテキストロン社が可動翼機構造を採用したV-280ヴェローを開発しており、巡航速度280ノット、このどちらかが採用されます。
■新型両用戦闘車両ACV量産
海兵隊の将来を担う装輪装甲車として新型両用戦闘車両ACV量産が開始されました。

アメリカ海軍は海兵隊の新型両用戦闘車両ACV量産をBAE社へ発注したとの事、ACVは36両が1億8400万ドルで発注されました。この契約はアメリカ海兵隊のACV部隊評価試験が完了した2020年11月に決定、2020年12月に正式発注が決定しているとのこと。ACVはイタリアが開発した八輪式装輪装甲車スーパーAVをアメリカ海兵隊仕様型とした。

ACVは旧式化が進むAAV-7両用強襲車の後継車両に位置付けられており、装輪装甲車と装軌式装甲車の違いもある為、全てのAAV-7を置換えるのではなく当面は運用状況とともに併用する形となりますが、装軌式のEFV海兵遠征車輛の開発中止以来10年以上に渡り後継計画がとん挫している状況であり、ACVの量産開始は海兵隊にとり朗報と云えましょう。
■中国Z-20ヘリコプター
Z-20ヘリコプターは中国がライセンス生産航空機を独自深化させたもの。

中国人民解放軍はロシア製Mi-17ヘリコプターをS-70コピー機であるZ-20ヘリコプターへの置き換えを本格化させたもようです。S-70はアメリカ陸軍のUH-60ブラックホークコピー機で中国は天安門事件前の1980年代にアメリカから技術移転を受け、中印国境やチベット地方などでの高山部での運用を想定しS-70コピー機を製造した経験があります。

Z-20は2020年に入り空中強襲旅団への配備が進んでいると忠告国内軍事誌等に写真特集が掲載されています。Mi-17はロシアから導入した比較的新しいヘリコプターですが2014年に165号機を導入して以降、導入計画を終了しました。中国は2000年代までヘリコプター部隊規模が比較的小さい編成となっていますが、10年間で大きく様相は一変しています。
■インドのMi-17ヘリコプター
Mi-17ヘリコプターというと西側のUH-1にあたる多用途ヘリコプターです。

インド国防省は2月12日、インド軍が運用するロシア製Mi-17ヘリコプターのMi-17V5エンジンVK-2500エンジン整備施設をインド国内に建設する契約をUECロシア統一エンジン社との間で締結したとのこと。これはインドのチャンディーガル市内に設置されている航空整備施設を拡大することで対応し、施設建設はロシアのロステック社が協力します。

Mi-17はインド軍へ2013年より71機が納入されており、更に9機を納入し80機体制となります。VK-2500エンジンは従来定期整備などをロシアへ輸送し実施していましたが、取り外しと輸送の期間がインド軍におけるMi-17稼働率を低下させているとされていました。整備施設は2022年に完成する見通しで、インド軍での稼働率向上に寄与する事でしょう。
■T-129戦闘ヘリコプター
T-129-ATAK戦闘ヘリコプターのようなライセンス生産機の独自改良は中堅工業国の防衛産業育成の定番ですね。

トルコ陸軍は2月17日、運用するT-129-ATAK戦闘ヘリコプター改良型の受領を開始したとのこと。T-129-ATAK-phase2とされる新型には9681V/UHF改良型無線機、EW電子戦システム、レーザー警告受信機、無線周波数妨害装置、レーダー警告システム、これらの器材を近代化改修しているとのことで、電子装備国産装備費比率を大幅に高めています。

T-129-ATAKはイタリアのアグスタウェストランド社、現在のガリレオヘリコプターーが開発したA-129マングスタ戦闘ヘリコプターをトルコがライセンス生産したトルコ軍仕様で、T-129-ATAK-phase2は2021年にパキスタンへ30機を輸出予定です。トルコは現在制裁中でありエンジンを入手できず、トルコ製エンジン搭載型の輸出を構想しているとの事です。
■英プロテクターRS-4RWS
プロテクターRS-4RWSは西側の標準的なRWSとなりつつあるもよう。

イギリス国防省は装甲車用RWS遠隔操作銃搭プロテクターRS-4RWSおよびAcusonic自動脅威警報システムについて500セットを2億5230万ドルでRBSL社とラインメタル社より取得するとのこと、RS-4はノルウェーコングスベルク社製のRWSです。これはイギリス陸軍がようやく決定した汎用装甲車、ドイツ製ボクサー装輪装甲車へ搭載するもの。

プロテクターRS-4RWSは360°全周目標を常時外部の高解像度カメラにより車内機銃リモートステーションに表示し、走行中であっても正確に射撃を含む対処が可能とのこと。イギリス陸軍はボクサー装輪装甲車500両を導入し、旧式化し延命も限界となった1960年代のブルドック装甲車を置換える方針で2023年にも最初のボクサーを配備開始する方針です。
■2000台目のアクマットVT4
結局のところステーションワゴンやセダンも用途はあるのですよね。

フランス国防省は2020年12月16日に2000台目のアクマットVT4戦術車輛の受領を受けたとの事です。アクマットVT4戦術車輛は民間乗用車型のオフロード車輛でエンジングリルたライトは勿論バンパーまで市販車を迷彩色に切替えた事で納入を迅速化、2018年に第12装甲騎兵連隊へ納入されて以来短期間で2000両が量産されたこととなります。

アクマットVT4戦術車輛はプジョーP4戦術車輛の後継者に位置付けられています。フランス軍では永らくジープの系譜を国産のプジョーP4としていましたが、第一線では生存性が確保出来ず、PVP装甲車等が装備されてきました。しかしながら国内の連絡業務などに装甲車は如何にも燃費が悪く、この為にアクマットVT4戦術車輛は導入されたものです。
■オランダ軍SMASH照準器
SMASH照準器は歩兵の主力装備が依然として小銃であるという根本的な意義を思い出させてくれるもの。

オランダ陸軍はM-4A1カービンに搭載するSMASH照準器による山間部悪天候下での無人機撃墜試験を完了しました。SMASHはスマートシューターと呼ばれる小銃用対無人機照準装置でTBMbv社が開発しているもの、近年地上部隊の情報優位を脅かす小型無人機を特殊な手段を用いることなく、歩兵全員が装備する小銃で撃墜する為の小型照準器です。

SMASH照準器スマートシューターの評価試験はオーストリア山間部の吹雪が舞う悪天候の状況下で行われ、200m以内の無人機67機を標的とし、ほぼ3点射撃一回で撃墜に成功したとのこと。SMASH照準器そのものはACOG照準器等既存の照準装置と同程度で、射撃角度を適切に射手に表示させ散弾銃で七面鳥を撃つように小型無人機を撃墜するという。
■英Drone40小型無人機
Drone40小型無人機は自衛隊にも必要な第一線の情報収集装備だと考えるところ。

イギリス陸軍は40mm擲弾筒から発射可能なDrone40小型無人機ドローンを第一線での任務に投入しました。これはMINUSMA,アフリカのマリで行われている治安任務へのイギリス派遣部隊が投入したもので、イギリス軍は王立軽竜騎兵連隊とロイヤルアングリアン連隊から歩兵部隊等を派遣しています。Drone40はその訓練中に運用が発表されました。

Drone40はオーストラリアDefendTex社製の無人機で重量190g、全長120mm、最大110gまでのセンサー若しくは爆発物を搭載可能で、歩兵携行の40mm擲弾筒から即座に発射可能であり、発射後は四基の二枚ローターを展開し飛行、最大航続距離は18kmで30分から最大60分の滞空時間を有し、爆破させない場合には充電し再利用が可能となっています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)