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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

核攻撃時ARS急性放射線症候群治療薬備蓄の必要性-北朝鮮核開発とウクライナでのロシア軍戦術核使用懸念

2022-10-06 07:00:42 | 国際・政治
■臨時情報-核防護
 日本は核軍縮機運が先進国の中では最も高い国民世論がありつつ、核の脅威への核兵器に寄らない平和的な備えは全く欠如していると懸念します。

 ARS急性放射線症候群、北朝鮮による核実験の懸念とともにロシア軍がウクライナにおいて戦術核兵器の使用示唆ともとおれる発言を繰り返している中で、日本でも将来の本土核攻撃という最悪の事態を考慮する必要はでているのかもしれません。そして放射線は一度浴びたら手遅れ、という時代でもないといえます、ARS治療薬の開発は始まっています。

 クリーブランドバイオラブ社とヒューマネティクスコーポレーション社は2018年、当時のトランプ政権時代にアメリカ政府との間でARS治療薬にかんする1300万ドルの資金を提示されています。そしてもう少し前、1980代には外部被曝によるARSへのある程度有効性を持つ治療薬がアムジェン社により開発、オバマ政権時代に国家備蓄を強化している。

 ニューポジェンというアムジェン社のARS治療薬はARSによる白血球減少をある程度まで抑える効果があり、2013年にオバマ政権は1億5700万ドルを投じてその備蓄強化を行いました、2013年といえば北朝鮮核開発の進展もさることながら、2011年福島第一原発事故による放射性降下物の拡大という記憶がまだ新しい頃の施策です。トランプ政権時代は。

 トランプ政権時代にはニューポジェンが白血球の放射性被曝による急減を抑える程度であったのに対して、赤血球と血小板の急減を抑える、しかも経口薬の開発が進められていました、この試験薬はPLX-18といい、被曝前に摂取する必要はありますが、放射性降下物地域でシェルターから出る際や、救助活動に当たる部隊や医師へ投与する事が可能です。

 ヘママックスという、被曝後にARSの症状を緩和する治療薬はニューメディシンズ社により開発されています。もちろん、被曝限度がありますので、これを服用するならば水爆によるグランドゼロでも安心という訳では決してないのですが、ある程度は有用、日本は国家としてこうした被曝対処の薬品備蓄をもう少し大々的に進めるべきではないでしょうか。

 薬事行政としても、単に日本国内での独占禁止法ばかり考え、世界規模の製薬会社と比較しますと中小企業レベルの群雄割拠状態を放置するばかりではなく、もう少しこうした先進的な薬品開発を主導する必要はないのか。これはCOVID-19新型コロナウィルス対策ワクチン開発で後手をとった事と何か重なるのですが、脅威と対処法がある以上、備えるべきと考えます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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