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【防衛情報】リバティーリフター計画と次期ISR情報収集機,UH-72輸送用無人型とMRZR特殊戦車両電子戦型

2024-07-23 20:23:45 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 今回は米軍の特殊部隊関連の話題です。

 アメリカ国防総省はリバティーリフター計画を推進します。リバティーリフター計画とは超大型飛行艇による高速輸送機計画で、これとは別にアメリカ合衆国特殊作戦軍司令部ではC-130J輸送機に取り外し式のフロートを装着させることで島嶼部への緊急輸送手段とする構想をすすめてましたが、これは来年度予算で中止されています。

 リバティーリフター計画は性格にはリバティーリフターシープレインウイングイングランドエフェクト計画といい、飛行艇というよりも巨大な地面翼効果航空機というべきものなのかもしれません。5月9日、ボーイング社の子会社であるオーロラ社が設計着手にかんする830万ドルの契約を国防総省とのあいだでむすんだとしています。

 超大型飛行艇というものですが、国防総省は具体的にはC-17輸送機と同程度の輸送能力を持つ飛行艇により離島への重装備を輸送するとしていまして、同時にその飛行艇は13フィートの波浪においても輸送できる性能をもとめているとのこと。開発には造船施設を有するオレゴン州のレコンクラフト社も参画するとのことでした。■

 アメリカ海兵隊はUH-72の無人型を輸送用に検討しているとのこと。エアバス社は海軍航空システム司令部との間で海兵隊無人ロジスティクスコネクタの開発契約を発表しており、具体的には海兵隊はMEU海兵遠征群のような大隊規模の戦闘よりも小さな、小隊や分隊規模での戦闘任務にあたる部隊への補給を無人機により構想している。

 UH-72はラコタシリーズとしてアメリカ陸軍州兵に広く採用されているもので、アメリカ国内での騒擾や災害と国境監視任務を想定しているヘリコプターですが、同時に整備負担が少なく運用費用や調達費用も低くおさえられるとともに、飛行制御にフライバイワイヤシステムをもちいているために無人航空機転用に利点があるという。

 ラコタシリーズの輸送能力は限られていますが、アメリカ海兵隊はLMR海兵沿岸連隊への改編などより小規模の部隊を分散運用する体系への変革を進めており、対艦ミサイルを搭載した無人装甲車などの導入も検討、このためには分隊単位で広範囲の島嶼部に分散配置された陸上部隊への補給が一つの課題となっていました。■

 アメリカ陸軍は次期ISR情報収集機の機種選定に着手しました。計画では2024年夏頃に具体的な機種選定が開始されるという。具体的な機種としてはボンバルディア社のグローバル6500ビジネスジェットが想定されているといい、センサーシステムとの統合改修試作をおこなう方向でボンバルディア社と調整が進んでいるとのこと。

 ISR機、陸軍は独自の情報収集航空機を運用し続けていますが次期ISR機に求められるのはL3ハリス社が開発を進めているHADESディープセンシング高度検出及び対電子妨害能力を搭載するものという。そしてアメリカ陸軍は現在のISR機について航続距離の限界があるとしており、グローバル6500はこれを解決する航続距離をもつという。

 アメリカ陸軍のISR機は現在60機が運用されていて、ビーチクラフトキングエアとデハビラントカナダDHC-8を改造した航空機が当てられていますが、近年アメリカの監視対象は中東や欧州などから太平洋をこえた中国に転換しており、このためには大幅な航続距離強化が求められ、10000km以上の航続距離をもつ機体が求められています。■

 アメリカ海兵隊はMRZR特殊戦車両の電子戦への転用を構想しています。MRZRはポラリス社が製造しているもので、比較的出力に余裕のあるエンジンを搭載していることから電力供給能力にも余裕があり、DC-DC24ボルトコンバータを搭載していて現在の状況では1キロワット、追加により5キロワットの発電能力を付与できるとしています。

 MRZR特殊戦車両はこうして発電能力を強化することにより小型の車体でも搭載可能とされるレーダーや電子妨害装置と電波標定装置などの搭載を見込んでいます。MRZRに海兵隊が電子戦装置を搭載する利点の一つにMV-22オスプレイで空輸が可能である点が挙げられ、今後は海兵隊戦闘研究所において各種試験が行われるとのことです。

 海兵隊フォースデザイン2030として進める海兵隊の変革では戦車や水陸両用装備の削減に対してミサイルと特に電子戦部隊の増強を明示していますが、広い島嶼部に分散運用をおこなう海兵隊がどのように電子戦部隊を分散展開させるかの方法論については研究段階でした。MRZRはその解決策の方向性を示すのかもしれません。

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