北大路機関

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【G3X撮影速報】久居駐屯地創設72周年記念行事【4】戦車なき二〇二〇年代の観閲行進(2024-04-07)

2024-07-04 20:02:14 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■戦車なき観閲行進
 久居駐屯地祭では例年戦車を含めた車両部隊の観閲行進がみごとなものではあったのですけれども。

 第33普通科連隊の本部管理中隊による観閲行進、しらないかたが見たら色々と出てくるのですごいなあ、と感じ入るかもしれないような各種装備が並んでいてオートバイから装甲車に救急車から知らない人が見たら用途も判らないかもしれない車両まで。

 本部管理中隊は連隊が最低限自己完結能力を以て中隊を支援するための様々な装備を保有しているのですが、救急車とともに一番後ろに見えるのは発煙装置3型、広範囲を煙幕で包んでしまう装備、煙覆という列記とした戦術で対戦車ミサイルなど妨害する。

 93式近距離地対空誘導弾システム、こちらは遠く愛知県の豊川駐屯地より第10高射特科大隊の装備、昨今のウクライナにおける自爆用無人機による都市部無差別飽和攻撃を見ていますと、もうこの種の近距離防空装備は普通科に装備してもいいのでは、と。

 FH-70榴弾砲、中部方面特科連隊第二大隊第五中隊の装備です。もともとは第10特科連隊に配備されていましたが、第10特科連隊の廃止改編により中部方面特科連隊へ編合、昔は自衛隊師団は小さくとも戦車と火砲を持っていたのに今ではもう名ばかり。

 87式偵察警戒車、第10偵察戦闘大隊の装備です、実はここで16式機動戦闘車の初登場を期待していたのですけれども、配備されたばかりだからか、久居に来なかった。87式偵察警戒車は旧式化が進んでおり、遠くない将来に偵察戦闘車に置き換わる、はず。

 UH-1J多用途ヘリコプターを先頭に祝賀飛行です、両脇を固めるのはOH-1観測ヘリコプターとAH-1S対戦車ヘリコプター、この二機種は航空学校の装備でUH-1Jは第10飛行隊の装備です、そして三重県の防災ヘリコプターや海上保安庁機がつづく。

 ヘリコプターについて、政府は大胆に無人機に置き換えてゆくという号令を発したので、制度上もう対戦車ヘリコプターと観測ヘリコプターの予算措置ができないのですけれども、無人機の機種選定、AH-1Sを置き換えられるようなものの選定さえ始まらない。

 祝賀飛行とともに観閲行進は終了しラッパ演奏が始まりました。前は観閲行進の最後に戦車が行進して終了したのですが74式戦車は全廃され、戦車大隊も全廃された為行進に参加できない、戦車を観たい方は、そう、北海道にでも行けばいいんじゃないかなあ。

 ラッパ演奏は勇壮ですが勇壮だけでは戦えないのは太平洋戦争を見れば一目瞭然で、戦車、そう戦車の必要性はあると思う、結果論から言えば戦争とは土地の収奪と服従の強要なのだから、ここに最後に抗う事が出来るのは陸上戦力だ、ということは不変なのだ。

 訓練展示はラッパ演奏終了後いよいよ状況開始となる。パジェロ、昔は73式小型トラックとか新73式小型トラックとかいわれていまは1/2tトラックという名前が制式で部隊では小型車とかいわれていますが、二転三転よりもパジェロの方が通りがいい。

 01式軽対戦車誘導弾を構えて訓練展示に備える、優れた装備なのですが射程は1600mと制式化当時のまま、当時よく比較されたジャベリン対戦車ミサイルが射程1300mから2000mに今は2500mと言われると、そろそろ射程延伸型が必要だと思う。

 今回の訓練展示は2020年代の戦闘、グレーゾーン事態から始まる戦闘を想定するという。グレーゾーン時代から始まるのはじゅうねんまえのドンバス戦争で今は戦車が師団規模でいきなり攻めてくる時代なのでは、とおもうのですが、ともあれ状況はいよいよ開始されました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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ウクライナ情勢-ロシア海軍2024年内新造艦艇40隻を竣工予定,軍需産業戦時体制転換で大幅製造力強化

2024-07-04 07:00:42 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 無理だと思いますが揚陸艇や哨戒艇を含むならば本邦も支援船や巡視船などを含めればそれ以上建造しているのですよね。

 ロシア海軍は2024年内に40隻の新造艦艇を竣工させる、ISWアメリカ戦争研究所6月26日付戦況報告によれば、プーチン大統領は6月26日に招集したロシア造船長期計画に関する会議において、40隻以上の新型艦艇を導入するとプーチン大統領が発言したとしています。艦艇について、どの程度の大きさかについては示していません。

 新型艦艇についてプーチン大統領は無人機攻撃に対応できる防空システムと水上無人艇に対抗する水上及び水中監視システムなど遠隔脅威探知能力の強化が必要であるとも示しました。これは言い換えれば、新造される艦艇について、無人機や無人艇に対する装備品準備が不十分であり、脆弱性を有しているという事の裏返しなのかもしれません。

 40という数字は既にいくつかの研究機関が非現実的だ、と指摘していますが、プーチン大統領自身は無人機や無人艇に対応する性能が必要であると指摘する以上は、これらを搭載していない、海上自衛隊では交通船にあたるような揚陸艇や、巡視艇クラスの哨戒艇を含むのかもしれません、写真のウダロイ級のような艦を最後に建造したのは25年前だ。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 日本でも保存展示しているものはあるし動かそうと思えば不可能ではないものもある様ではありますけれども。

 ロシア軍の軍需産業が戦時体制により大幅に製造力を増している、ISWアメリカ戦争研究所6月26日付戦況報告によれば、RUSIイギリス王立連合サービス研究所の研究報告として、ロシア国防省の軍需産業生産に関する報告書を分析し、戦車1500両と装甲車両3000両を生産する計画があると示しています、そして弾薬生産も拡充している。

 戦車1500両と装甲車両3000両に加え、122mm砲弾を80万発、152mm砲弾を132万5000発、122mmロケット弾を1万7000発、イスカンデルM弾道ミサイルを180発、Kh-101巡航ミサイルを420発生産するという。イスカンデルM弾道ミサイルの生産数は前年比で3倍に強化されるとのことですが、戦車等車両は退役戦車の現役復帰という。

 退役戦車の現役復帰、しかし状態の良いものはかなり復帰させた後ですので徐々に質を落とさざるを得ないという事情とともに、結局のところソ連崩壊後にCFE欧州通常戦力削減条約を受け廃棄したはずの戦車の再利用であり、数が限られている。各国や民間の情報分析機関はロシア各地のスクラップ戦車保管施設の衛星写真を見守っている段階です。

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