北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】VeCToRオスプレイ操縦装置技術更新研究とV-280可動翼機2031会計年度配備開始

2024-07-22 20:22:48 | インポート
■防衛フォーラム
 自衛隊のオスプレイも長期間運用できるのでしょうか。

 アメリカ海兵隊はV-22オスプレイの2070年代までの延命を検討中です。これは海兵隊V-22共同計画局の責任者であるブライアンテイラー海兵隊大佐がワシントンDCで行われたモダンデイマリーン会議において発言したもので、2026年にもV-22の延命改修に関する研究開発が開始される見通しとのこと。具体的には主翼換装などが検討中という。

 VeCToRオスプレイ操縦装置技術更新研究として、現在すでに2032年から2042年にかけてV-22のコックピット部分を新型に置き換え、レーダーなどを新設する研究は既に進められていますが、海兵隊では現在のところ2060年代にはV-22の耐用年数を迎える為、耐用年数の延伸も研究しているとのこと。その一環として主翼更新が挙げられています。

 海兵隊ではアメリカ以外にこのティルトローター機を運用していない、厳密には陸上自衛隊が装備していますが、こうした状況に対して機体の堅牢性と柔軟性は高く評価されており、特に胴体部分の維持に重点を置くために主翼と可動翼機構を更新することが選択肢としえありえるとのこと、胴体部分の寿命は大きく延命の価値も大きいとしています。
■V-280可動翼機
 世界はと云いますか少なくともアメリカは着実にティルトローター方式の可動翼機へと歩み始めている。

 アメリカ陸軍はV-280可動翼機を2031会計年度より配備開始します、これはもともと2030年に配備開始となる計画でしたがベルテキストロン社とロッキードマーティン社との間の係争により一年間遅れたことを意味します。今回採用されたのはティルトローターの可動翼機方式を採用したV-280が採用されましたが、競合機種が存在しています。

 SB-1デファイアントXというボーイング社とシコルスキー社が共同開発した複合ヘリコプターが競合機となっていましたが、陸軍はこのSB-1デファイアントXを不採用とし、この為にシコルスキーの親会社であるロッキードマーティン社が抗議したことで一年間の配備遅延となったもよう、ただGAO会計検査院はこの選定を妥当と判断しました。

 FLRAAとして開発されているV-280はアメリカ陸軍にとり、今後大幅に広域化する太平洋正面での戦域において既存のUH-60多用途ヘリコプターのような航空機では進出距離も巡航速度も不足するとみており、優先度の高い航空機開発計画として進められていて、ベルテキストロン社は今後2年以内にシミュレーターを提供し訓練を開始するとのこと。
■BlueUAS認証
 安いのはいいがバックドアは困る。

 アメリカ国防省はBlueUAS認証の商用小型無人機調達改革を検討しています。BlueUASとはアメリカ国防省が認証した中国製部品や中国製制御システムを採用していない情報脆弱性の低さが確認されたものを示し、また商用小型無人機とは重量が55ポンド以下の広範な航空機であるとしています、これらは近年軍事利用の有用性が拡大しているもの。

 BlueUAS認証の商用小型無人機調達改革を検討というのは具体的には調達に関して審査プロセスを簡素化することで迅速に採用させることを目的としていて、4月23日にはアメリカの無人航空機製造業界団体による国防総省への簡素化を求める請願なども行われていました。現代の小型無人機は弾薬のように短期間で大量消耗される装備でもあります。
■エサル装輪自走榴弾砲
 生産能力限界と現地生産で工業力を強化したいところの双方の一致というところでしょうか。

 マレーシア軍向けカエサル装輪自走榴弾砲のノックダウン生産が検討中となっているようです。これはフランスのKNDSフランス社がマレーシア政府との間で検討しているもので、KNDSフランス社とマレーシア軍の関係は2018年のLG-1-Mk3-105mm榴弾砲18門のマレーシア軍採用を背景に一部の砲架組み立てがマレーシアで行われたこと。

 マレーシアにはADSアドバンスドディフェンスシステムズ社が装備品組み立て能力を有しており、今回カエサル装輪自走榴弾砲がマレーシア軍へ採用される見通しが立ったことから同社のジョホール州セガマット工場での組み立てが検討されているかたち。カエサル装輪自走榴弾砲は現在フル生産でも追いつかない状況が背景にあると考えられます。
■無人機の好奇心欠如
 いきなりアパッチでもいいのではとも思うのですが。

 アメリカ陸軍は無人機の好奇心欠如を問題としている、これはアメリカ南方軍のローラリチャードソン司令官がFARA将来攻撃偵察ヘリコプター中止を受け陸軍航空協会年次総会の場において発言したものです。好奇心とは抽象的な発言ですがAI人工知能などの問題ではなく、経験を積んだ操縦士の勘のようなものが無い、としめすもの。

 FARA将来攻撃偵察ヘリコプターはAH-64Eアパッチガーディアンのような戦闘ヘリコプターをいきなり投入するにはリスクが大きく、陸軍は無人航空機によりこれらの観測ヘリコプターが果たした任務を補えるとしていますが、リチャードソン司令官はヘリコプター操縦士でもあり、この論調には十分な目標を発見できない可能性を指摘する。

 スカウト任務にあたるヘリコプターには相応の危険が生じるため、これは同時に無人航空機と異なり人的損耗、操縦士本人の生命にも危険が及ぶことを示しています、このため様々な兆候にたいする好奇心が、というよりも警戒感や第六感に近いものが多くの場合に成果を上げるということで無人機への統合に危機感をはなしています。
■機関銃に338口径を構想
 中国は携帯式の12.7mm機銃を開発しましたが。

 アメリカ合衆国特殊作戦司令部は機関銃に338口径を構想しています。338といいますと大型獣に対応する大口径猟銃ようの338ラプアマグナム弾を思い浮かべられるかもしれませんが特殊部隊が想定しているのは338ノーマグナム弾です。もともとLWMMG軽量中型機関銃計画としまして既存の軽機関銃よりも強力なものを求めていた。

 338口径弾薬を想定するのは特殊部隊に50口径の重機関銃に匹敵する火力投射手段を付与させるという構想でもともと2017年よりLWMMG計画は推進されていました。現在候補となっているのは、オハイオオーディナンスREAPR,シグUSAのMG-338など。現在のM-240軽機関銃では射程は1500mで、機関銃の射程を2000mまで延ばすのが狙い。

 中国人民解放軍ではすでに個人携行が可能である軽量の12.7mm重機関銃を配備していますが、アメリカ陸軍では12.7mm重機関銃は本体を軽量とした場合でも弾薬重量が大きくなることを懸念しているとのこと。しかし30口径機関銃の射程不足は2001年のアフガニスタン空爆以来指摘され、2021年より狙撃銃では338口径弾を使用しています。
■MLRS近代化改修
 本邦では廃止予定というMLRSだ。

 アメリカ陸軍はロッキードマーティン社とのあいだでMLRS近代化改修二関する契約を結びました、MLRSの愛称で知られるM-270多連装ロケットシステムは冷戦時代にソ連軍戦車軍団を大量の対戦車クラスター弾薬により一気に無力化する装備として知られていますが、近年は射程の長い精密誘導ロケットを運用する打撃装備として有名に。

 M-270MLRSですが、しかし製造は冷戦時代のものが多く老朽化が進んでおり、このほどアメリカ陸軍は既存のM-270をM-270A2への近代化改修することとしました。契約金額は4億5100万ドルとなっていまして、装甲キャビンの防御力強化やエンジンの交換、そしてMFOM共通弾薬の能力向上に対応する新型CFCS共通火器管制システムを積む。

 MLRSは開発当時に採用されていたM-26弾薬はクラスター弾薬で射程は30km程度となっていましたが、非戦闘員被害を生むクラスター弾規制の機運を受け徐々に射程の長いGMLRS精密弾薬を運用するようになり、M31GMLRSは射程が70kmに遠心、また中距離核戦力全廃条約失効をうけ通常弾頭ではありますが射程499kmに延ばす弾薬も開発中だ。
■イギリス陸軍T4-EOD
 米軍さんの小型ロボットは良いなあと思う事も多い。

 イギリス陸軍はT4-EOD爆発処理ロボットを採用しました。市街地などで戦闘の際に問題となるのは簡易爆発物などによる待ち伏せ攻撃であり、イギリス陸軍は小型ロボットによる支援を研究していました、今回採用されたT4-EODはアメリカのL3ハリステクノロジーズ社製、イギリス軍は最大50台を1800万ドルで調達するみこみ。

 T4-EODはバックポッド無人車両のように人員による傾向も可能というもので警察などでは爆発物処理に用いられるなど実績があるほか、T4-EODそのものはオーストラリア軍がランド154計画として評価試験を経て採用しているほか、アメリカ空軍にも納入されている装備です。原型のT-7などは各国に100両以上が供給され全て稼働中という。
■マレーシア軍次期ロケット砲
 韓国のK-239はありきたりな122mmロケットから新型まで発射できる点が中小国には理想なのかもしれませんえ。

 マレーシア軍次期ロケット砲計画にハンファディフェンス社が入札します。これは5月6日から四日間にわたりマレーシアのクアラルンプールにおいて開催されたDSA防衛展示会においてハンファディフェンス社が発表したもの。ハンファディフェンス社は系列のハンファエアロスペース社がK-239ロケットシステムを製造している。

 マレーシア軍は現在ブラジル製アスロトズⅡロケット砲を36両装備していますが、これらの老朽化を受け後継装備についての検討を開始しています。K-239はトラック方式でありアメリカのHIMARS高機動ロケットシステムの韓国版とされ、HIMARSよりも短い納期で納入が可能で中東などで採用、ポーランドが大量取得し話題となりました。
■ピラーニャⅢC
 長く使う時代だ。

 スペイン海兵隊はピラーニャⅢC装甲車近代化改修型を受領しました。これはジェネラルダイナミクルランドシステムズ社により中期アップグレードメンテナンス計画として進められていたもので、5月6日に改修を完了した最初の3両がセビリアのアルカラデグアダイラに所在するGDLS社施設においてロールアウト式典を実施しています。

 ピラーニャⅢCはスペイン海兵隊において長らく運用されている車両で今回の改修は長期にわたる運用による老朽箇所の新規部品への交換を行うとともに、操行装置の新型への更新と、なにより近年脅威度を増す対戦車兵器に対応するべく防御力を強化する改修が施されています。スペイン海兵隊は順次21両のピラーニャⅢCを改修します。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ウクライナ情勢-ロシア軍兵員... | トップ | 令和六年度七月期 陸海空自... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

インポート」カテゴリの最新記事