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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【日曜特集】航空自衛隊60周年小松基地航空祭(7)小松救難隊の航空救難展示(2014-09-20)

2021-01-24 20:04:11 | 航空自衛隊 装備名鑑
■UH-60J救難ヘリコプター
 救難飛行展示は戦闘機一辺倒の航空祭に彩りを盛上げてくれます貴重な瞬間ですが、撮影位置が戦闘機機動飛行よりも難しい。

 小松救難隊の救難員がUH-60J救難ヘリコプターよりロープ降下する。先頭救難を想定しますので、空挺レンジャー課程を受ける際には89式小銃など武装して敵の抵抗を排除しつつ航空搭乗員を救出する、誤解を恐れなければ一種、特殊部隊的な訓練も行っています。

 UH-60J救難ヘリコプターを正面から、ホバーリングして姿勢を維持する。ヘリコプターにとってこのホバーリング姿勢維持は驚くほどに燃料を消費するといいますが、エンジン出力の余裕あるUH-60Jは空中に静止して救難が完了するまで、待機することも充分できる。

 小松救難隊の救難は肝心の場がこの位置からはなかなかみえません。よみがえる空、2006年に放映されました小松救難隊を舞台としたアニメーションがありました、護衛艦はるな出演のアニメーションですが、私のいう平和な時代というものはああいうものなのですね。

 UH-60J救難ヘリコプターにストレッチャーをホイストで上げる。よみがえる空、あの作品は航空遭難はすべて事故だけでしたし、ロービジ迷彩もありません。そして今は普通の女性パイロットも当時は非現実的と空幕広報の助言もあり原作を改編しました、昔の話だ。

 F-15J戦闘機がコンバットピッチで三機編隊を解いてゆく。あれから十年と少しを経て、戦闘機パイロットに女性が進出する時代なのですから時代というものは変わるもので、そして防衛、という視点からもかなり戦闘の蓋然性は高まっています、これも一つ現実として。

 コンバットピッチで二機の編隊も解かれて着陸態勢へと。航空自衛隊創設がこの航空祭で60周年、しかし思い起こせば自衛隊創設は朝鮮戦争により進駐軍だけでは北東アジア地域の防衛が担えず、日本の防衛は日本に行わせるべきだ、という視点があったのですね。

 F-15J戦闘機のコンバットピッチは灰色から順光の青空へ。戦闘の蓋然性といいつつ、自衛隊は常に備えてきました、そして1950年に始まった朝鮮戦争は休戦状態のまま推移しているのですね、自衛隊は備えている、朝鮮戦争は続く、するとあとは法整備か、と考える。

 小松空港ターミナルビルを背景にF-15J,展望デッキも混雑してきた。憲法問題に国民が当事者ではなく"お上"の"まつりごと"として当事者意識がないまま放置され、反対だけで代案は出さない、日々日常に政治を日常の討議とすることへの忌避感、一方で状況のみ進む。

 F-15Jが滑走路から誘導路へと進み始める、二機の絡みの構図が良い。憲法改正に賛成なのか、と問われますと現状では改正に国民が参画する意志が薄いだけに、改憲よりも、現行憲法の限界を見極めながら自衛隊法を最大限実情に即すべき、と思うのですが、いかがか。

 小松基地と小松空港は滑走路を共有しておりF-15はこちら側をゆく。自衛隊行事を撮影する度に毎回のように思うのですが、これは洗練された格好いい何か、というものではなく、明確にこれは兵器なのですね。仮に憲法上の軍隊ではなくとも国際法上では、軍隊だ。

 F-15Jの操縦席をアップに、キャノピー越しにターミナルビルがみえる。徴兵制として国民が防衛に参画することが軍隊の暴走を押さえるという考え戦後ドイツにあり、そもそも徴兵制はフランス革命にて国民が参加する権利という認識があった。しかし日本はどうか。

 誘導路を進むF-15J戦闘機、その奥に救難展示を終えたU-125が着陸した。日本の場合は、結局のところ"お上"の"まつりごと"なので任せようとしつつ、しかし主権者としての義務を放棄できる権利と同一視していないか、逆だろう、そんなことはよく痛感するところ。

 UH-60J救難ヘリコプターも滑走路上を着陸し空港ビルを背景に。自衛隊は職業軍隊ですので、公務員であり公僕、従って国防に参加する権利という概念ではないのですね。まあ一つマックスヴェーヴァー的にいえば職業としての政治ならぬ職業としての防衛、という。

 小松救難隊のUH-60JとU-125が誘導路上で仲良く並んで進入する。北大路機関の創設は2003年、Weblog北大路機関創設は2005年、一貫して防衛問題を扱っているのですが、世界政治の多極化と北東アジア情勢と防衛力整備は進んでいますが、主権者の認識はどうか。

 UH-60J救難ヘリコプター、地上でも機能的な形状と紺色が映えるもの。なかなかに優美な形状、無駄をそぎ落とした機能美、というものを感じるのですが、これは紛れもなく兵器でありまして防衛の現実、というものを考えさせられるのですね。常に何かは有り得る。

 地上誘導員がUH-60J救難ヘリコプターを定位置へと誘導してゆく。たとえば3.11以降、災害派遣を通じて自衛隊への理解が深まった、とありますが、災害派遣ではなく自衛隊の任務は防衛、そして抑止力維持による軍事侵略を阻止することが忘れられていないか、と。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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