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【日曜特集】中部方面隊創隊五〇周年記念祭【12】六〇周年記念祭へ期待(2010-10-17)

2021-07-25 20:01:16 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■50周年新旧装備品展示を巡る
 中部方面隊創隊五〇周年記念祭は全ての展示が終了しました。そしてここからは装備品展示を巡り歩み進める事としましょう。

 輸送防護車のような車両で普通科部隊用の高機動車を置き換えられるならば、軽装甲機動車は騎兵中隊のように乗車戦闘に特化し下車戦闘と占領は他の中隊に任せる、包囲も迂回も突破も機動力とともに運用、その分だけ攻撃限界線を遠くに採る、それが理想と思う。

 3-1/2tトラックの防弾型、73式大型トラックと呼称した方が通りが良いように思うのですが、こちらはそのキャビン部分に防弾板と防弾ガラスを追加し、小銃の銃撃程度には生存性を確保したもの。国際平和維持活動等で安全性を確保するべく開発されたキットです。

 野外炊具が牽引態勢で、第36普通科連隊第1中隊の装備です、観閲式には参加していない。驚くなかれ、これが一台あれば一個中隊220名分のご飯と副食を同時に調理可能です、牽引しつつ炊飯も出来るという事ですが、その場合は炊飯のご飯がえらいことになるという。

 吹き上がる清冽な真水、これは乾杯のシャンパンでも戦車が消火栓を踏みつぶしたのではなく散水の様子です。これからヘリコプターがここ式典会場へ装備品展示にて着陸する為、砂塵対策だ。2003年でしたか、訓練展示でUH-1が舞見上げた砂で当方一行は真っ白に。

 03式中距離地対空誘導弾、青野原駐屯地への帰路に向けての準備が行われている。できれば91式戦車輸送車に74式戦車を搭載する様子も見たかったのですが、戦車は特殊大型車両である為に今津駐屯地への帰路に就くのは法律上深夜から、となってしまう。不便です。

 防弾型の3-1/2tトラックには野外炊具一号が牽引状態となっています、大事なものですからね。しかし、稀に思うのですがキャブオーバー型の3-1/2tトラックの車体部分を応用して装輪装甲車か耐爆車両を設計した場合、国産トラック技術ならば良いものができないか。

 装備品展示の96式装輪装甲車、この2010年中部方面隊創設50周年記念行事における展示は国際平和維持活動を想定したもので、96式装輪装甲車が待機するのは手前に宿営地ゲートを模した展示が為されています。ゲートを護る防御力の多少高い装甲車、というもの。

 モニターシステム。なにも砲艦の展示ではなくPKO任務に際して宿営地の警備を行う為の遠隔監視モニターシステムの展示です。これこそこの50周年行事の前年にあたる2009年までイラク復興人道支援任務へ派遣していた、そんな緊張名残りの時代のものといえます。

 モニターシステム、ちなみにこんな感じでみえるのだとか。ちなみに不審な武装をした人間とか財布を落とした状況をAIで認識するような技術は無い、とのこと。一応イラク派遣のサマーワ宿営地は最新の野戦築城の技術を用いて造成した、施設科研究の集大成という。

 AH-1S対戦車ヘリコプター、着陸態勢へ。50周年という事で様々な取組がありました、ただ、45周年行事のようなチアリーディングとか、脱線したようなものは無く自衛隊らしい行事に徹していたと思う。そしてこの行事の翌年に、あの3.11東日本大震災が起こった。

 駐屯地業務隊の消防車、ヘリコプターの発着ということで万一の火災に備えて消防車が展開している。なお、この翌年の東日本大震災以降、自衛隊への理解度が大きく高まり、この伊丹駐屯地でも毎年記念行事の際には訓練展示への戦車砲爆音にも理解が示されました。

 AH-64D戦闘ヘリコプターの地上展示、増槽を搭載して航続距離を延伸させていまして、01の表記の通りこの機体は航空学校のもの、もともと戦闘行動半径の大きなAH-64Dですが、祝賀飛行を経てこの搭載燃料だけで兵庫県伊丹と三重県の明野を往復できるのですね。

 007のオープニング。ではなく106mm無反動砲の旋条だ。こちらは50周年記念行事ということで過去に運用された装備も資料館や補給処から装備品展示に並んでいまして、60式106mm無反動砲は過去、普通科中隊対戦車中隊や師団対戦車隊などに配備されていました。

 60式106mm無反動砲はジープや73式小型トラックに車載運用され車上から射撃が可能ですが、陣地からの射撃も可能だ。無反動砲の名の通り強烈な後ガスにより反動を相殺する手法は105mmの大口径砲を極めて軽量に実現しまして、予備自衛官部隊等に最適と思う。

 58式/M-101榴弾砲、こちらも過去の装備です。特科連隊の第1大隊から第4大隊までに配備され普通科部隊の直掩火力として、また敵迫撃砲を制圧する用途で用いられました。軽量でUH-60JA多用途ヘリコプターで吊下げ空輸も可能、空中機動部隊には今も有用では。

 105mm榴弾砲は軽量さを活かしてイギリス陸軍がアフガニスタン派遣に際し、敵部隊が接近困難な山間部に輸送ヘリコプターにて搬入し射撃陣地を構築した事例が。ただ陸上自衛隊ではこの任務は実質、榴弾砲ではなく別の、120mmRT重迫撃砲に置換えられています。

 64式81mm迫撃砲、アメリカ製M-29迫撃砲を参考に国産化したもので重量52kgと射程3000m、空冷用砲身と全周射撃を可能とした円盤型底板が特色ですが、現在はイギリス製L-16に置換られた、こちらは重量36kgと軽量で射程も5650mと長い。後に米軍も採用へ。

 M-29迫撃砲は世界中で採用されていまして、今でも現役の国が多い。しかし陸上自衛隊では第一線火力を充実させるとの観点からL-16を1994年に採用しています。フランス製120mmRT重迫撃砲と併せて迫撃砲が充実し、特科火砲はその後減退時代へと入りました。

 03式中距離多目的誘導弾、欧州とアメリカが共同開発したMEADS中距離拡大防空システムに相当するものですが、MEADSは開発への同床異夢で結局開発中止となってしまいまして、繰り上げ当選の様ではあるのですが西側諸国では最新鋭のミサイルとなっています。

 改良ホーク。旧型装備という。…。改良型を旧式装備と呼ぶのは日本くらいでしょうか、改善Ⅲ型等は03式中距離多目的誘導弾にほぼ近い性能を発揮する。ただ、改良に相当予算を投じていまして、ホークが無ければ今頃普通科部隊は全員73式装甲車に乗っていたとも。

 70式地雷原処理装置。旧式というよりは現役の装備で、北海道では96式装輪装甲車や73式装甲車に車載して運用しています。92式地雷原処理装置が開発されていますが、70式地雷原処理装置は人員用通路を啓開のに必要な装備、奥に見える爆導索にて地雷を処理する。

 74式戦車、こちらが新装備扱いに。この2010年は10式戦車が制式化された年度でして、戦車400両防衛大綱定数時代には2016年に10式戦車が第3戦車大隊へ配備される計画もあったようですが、残念ながら防衛政策の変更で戦車大隊は2021年に廃止改編されます。

 50周年記念行事ということでテレビの収録も。しかし、この74式戦車を新型戦車と紹介しているのは、ちょっと不自然です。50周年なのですから富士駐屯地の戦車教導隊あたりから90式戦車くらい借りてきてほしかった、と思ったりする。今は16式機動戦闘車が並ぶ。

 96式装輪装甲車の宿営所警備展示、ゲートを模していまして、このゲートにはスパイクが内蔵されていて強行突破された際には車輪を無力化できる構造に。2010年から十年を経た2020年は世界がコロナウィルスCOVID-19に蹂躙、2030年はどうなるのか、楽しみだ。中部方面隊創隊五〇周年記念祭特集は第12回の今回が最終回です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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