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【京都幕間旅情】二条城,耐震補強成った御殿と天正地震にみる無防備都市京都

2024-09-18 20:23:38 | 写真
■無防備都市京都
 イタリア映画や西部警察第一話のような表題とともに歴史地震というものの視座からこの京都を考えてみたい。

 二条城は耐震強化工事を進めましたが、例えば熊本地震を受け文化財の破損という懸念を直視した仁和寺などは、大量の画像情報をあらかじめ記録することで、そのためにEOS-5Dmark4を経費で買ったのは少々首をかしげますが、撮影し、そのときが来てしまった際の復旧用データを集めている。

 仁和寺の五重塔は比較的新しい建物、それでも一応中世、そして醍醐寺の五重塔が天正地震、過去最大規模の歴史地震として知られる若狭湾を震源とする地震、に耐えていますから若干楽観的な視点を持ってしまうのですが、一方で天正地震は京都全体で見るとかなりの建物被害が記録されています。

 醍醐寺の五重塔が天正地震に耐えたのだからほかも大丈夫、とは言い切れないわけで、しかし文化財の多さを考えると、例えば南海トラフ、巨大地震が発生したときの被害と、そして復興をどのように道筋を立てればよいのか、ということは気の遠くなる、が、考えねばならない問題です。

 東寺の講堂が破損している、大垣城焼失、長浜城倒壊、伊勢長島城倒壊、清洲城液状化被害、亀山城全壊、木舟城倒壊、帰雲城山体崩壊で消滅、震源が若狭湾であることを考えればその被害の大きさというよりも被害範囲の広さに驚かされるのですが、直下型地震でもこういう被害があったということ。

 南海トラフ地震、ここに当面の焦点を移しますと、やはり、現実的な被害金額を元に現実的な費用での復興復旧のあり方を考えておく必要は、現行法では難しいならば特措法を成立させてでも模索すべきです。すると、直せない、という破損状況からの復旧方法を模索する必要があるのではないか。

 全壊でも倒壊さえしていなければ、もちろんそのまま作業員が中に入り補強する、ということは安全上難しいといいますか、余震で倒壊する懸念がありますから避けなければなりませんが、いまはUGV無人車両など各分野で無人機械の運用領域が拡大している時代ですから、なにか工法の方法はないか。

 倒壊していない建物の内部破壊状況を複数の小型無人機により、破損部位を特定するとともに、熊本地震における熊本城方式で、まず倒壊しないように持ち上げ、ここにH鋼のような支柱を挿入して仮骨組みを家屋内に設置して倒壊しかけた場合の補強部位を構築、そこから支柱にもたれかかるような復旧など。

 熊本城は、この工法を試験的に導入しまして、それは最初の事例故に費用がかなり大きくなったことは想像に難くないのですが、あの状況でも建て替えではなく復旧できるのだ、という可能性を示してくれました。こうした工法を普及させることで、現実的な費用で復興、派無理でも復旧を模索すべきと思う。

 建物は解体してしまいますと膨大な建築廃材を生んでしまいますので、この処分費ひとつとっても復興計画を圧迫します、が、そのまま倒壊しないように復旧し、第二次補修として情勢が落ち着いた後で耐震補強のかたちで次の地震に耐えられるよう改修するならば、少なくとも廃材は出ません。

 能登半島地震の高齢化世帯家屋被害をみればわかるように、費用面を考えた全壊家屋の復旧方式が必要だと考えるのは、今後の少子高齢化により、年金生活世帯が増える中で、家屋建て替えという選択肢が現実的ではない、という問題です。安価な方法を構築し、普及させることで安さの相乗効果を生む。

 復興を考えますと、高齢化は大きなリスクで、それは生産人口から切り離されてしまいますと、保険と貯蓄で考えなければならない、放置することは地域復興そのものを停滞させてしまう。そしてそれは寺社仏閣についても氏子さんや檀家さんがこれから減ってゆくことを意味するのですから、ね。

 二条城探訪とともに、防災の日を考える。なにかこういつものコジツケ感は否めないのかもしれませんが、8月8日の日向灘地震を受けての南海トラフ地震臨時情報もありましたし、地震災害というのは、九月一日と一月十七日と、三月十一日ともう一つくらいは真剣に備えを考えたいものです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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