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【京都幕間旅情】東寺-紅葉,東寺から羅生門は黒澤明監督の映画と宮川一夫カメラマンの技法

2024-12-18 20:24:41 | 写真
■紅葉を撮影する
 拝観と散策の際のふと思った事をつらつらと。

 東寺の紅葉、東寺といえば桜、という印象が、特に不二桜が東寺を代表する情景となっているものですから感じ入るものなのだけれども、こう、巡ってみますと紅葉の情景が素晴らしい。そして今年はやはり紅葉も遅めなのだという印象が更に深く。

 紅葉を撮影する際に、わたしが疑問に感じるのは、椛を最拡大してで、構図を決めている方が多く、ああ云った写真を撮影する方には、東寺の椛、という葉の形状から直ぐに見分けられるものなのかなあ、と思ったりするのですけれども。

 東福寺の三つ葉楓、ではないのですが、わたしの場合は、確かに植物学的に葉をみただけでどこなのかわかるような鑑識眼がほしいところなのですが、ちょっとそうした才能はなさそうですので、紅葉と伽藍、さくらと伽藍、伽藍を第一に考えます。

 伽藍と紅葉、という構図は、実は簡単そうで難しい、こういうのも、紅葉は一年に一定期間、鮮やかに彩るだけなのですが、木々に、ある一定の角度で素晴らしい情景を醸すというのは実は一日の中で一瞬ということもありますので、その瞬間を収めたい。

 順光と逆光、不思議なもので青椛と紅葉と、写真の中では逆光は、まあ大空を白く染めてしまいますし建物も影のように黒く塗りつぶしてしまうものではあるのですが、桜花や紅葉、青葉というものは逆に際立てているように感じられるのですよね。

 羅生門、黒澤明監督の映画作品にて宮川一夫カメラマンの、あえて近畿とされた逆光を情景の撮影にうまく描きこむ手法で、世界の絶賛を浴びたことがありまして、あの時代はモノクロなわけですから物凄い発見と挑戦だった訳ですが、それをまねて。

 東寺から羅生門といいますと、映画作品は兎も角としてなにかこの距離的な親近感がわいてしまうのですけれども。紅葉を逆光で撮影しますと、当たり前ですが椛は太陽光を透かして色彩を強調しますので、不思議と情景を際立たせる構図となります。

 宮川一夫カメラマンの技法、と表現しますと妙に格好よくなってしまうのですが、この逆光を紅葉に活かすもう一つの理由は、レンズに直射日光が当たるのを椛が防いでくれますので、被写体として考える伽藍というものも思いの外逆光の影響を受けない。

 写真撮影、寺社仏閣の拝観と一つのつきものとして考えている東宝は、よく見せる写真というものはある程度布教の一助となってこうしたWebなどで広まってくれる、ここまで考えて拝観者に撮影を許してくれているのではないか、という事でして。

 清水寺のような観光寺を例に挙げますと、観光寺と呼ばれてもいい、その分ひとりでも観音信仰に近づいてもらって興味を持ってもらえれば、というかんがえ方を清水寺の北法相宗の高僧の方がはなした、という話題を知りまして、なるほどなあとおもった。

 紅葉は、伽藍と共に撮影しなければ、此処に来た意味がありませんが、しかし、実のところ、此処は素晴らしい情景だ、という木々の配列との出会いを経験しましても、翌年には気が育ってしまったり、逆に枝が切られたりして口径が無くなる別れが稀に。

 カメラと共に拝観する、それは一つの一期一会の風景に向き合う事でもあり、また伽藍と共に醸す歴史を写真という事で残してゆくという意味合いもありますので、歩むとともに真剣に情景と向き合う散歩も、中々奥ゆかしくて、愉しいものなのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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