北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

3.11東北地方太平洋沖地震/東日本大震災:七年目の慰霊と南海トラフ地震防災明日への決意

2018-03-11 20:00:27 | 北大路機関特別企画
■東日本大震災発災七年
 本日は3.11、七年前の今日がマグニチュード9.0という東北地方太平洋沖地震発生の日であり、東日本大震災慰霊の日です。

 東北地方太平洋沖地震、東日本大震災から七年となりました。アメリカ同時多発テロを9.11、そして東日本大震災は3.11、アメリカが9.11以降大きな変容を遂げた様に、我が国も3.11以降、危機管理、という認識を改めて考えさせられるようになりました。この背景には、東日本大震災に続き、南海トラフ巨大地震の脅威が認識されるようになった為です。

 東日本大震災、あの瞬間は本当に混乱していました。当日は仕事中にNHK国会中継が突如緊急地震速報を通知し、当時の菅内閣が閣僚と首相の相次ぐ外国人献金問題に揺れ、ポピュリズム的手法により結実した政権交代が大きく揺らいだ同時期にありましたが、緊急地震速報後に東北地方での警戒情報と聞き、その瞬間考えたのは宮城県沖地震の発生でした。

 宮城県沖地震はマグニチュード8規模の海溝型地震で、発生周期から切迫しているとされ、海溝型地震は昭和三陸地震や明治三陸地震に匹敵する津波被害を及ぼすものであるといい、一瞬身構えた一方、NHKが東京にカメラを移し替えた瞬間、首都圏に波及した事を知りました、宮城県地震が東京でも揺れを観測する、宮城県沖地震想定深度では想定外の規模だ。

 東京の揺れは異常な規模で、直感で長周期振動を思わせるものがありました。ちょうど横浜と東京へ所用があり、これはどうなるか、仕事の調整をと考えていた直後に仕事場がゆっくりと振り始めた事を記憶しています、震源から実に800kmを隔てて、艦船が洋上を航行する際のような、しかし大地の上では絶対にありえない感覚に、理解が追いつきません。

 京都、大阪、神戸、舞鶴、名古屋、札幌、聞きますと確かにしっかりとした揺れとの事で、続いて横浜、横須賀、その後中々連絡がつかなかったのですが東京はかなりの揺れだったとのことですが、仕事上必要な電話連絡が東京に中々付かず、通信逼迫を痛感しつつ、一方で毎回地震の際に必ず速報が入る、原子力発電所に異常なし、の速報が中々入りません。

 東海第一、東海第二、福島第一、福島第二、最悪の場合は東京が機能不随に陥る危機管理上の重大要素、この名前が浮かぶ中、近鉄線が津波警報を受けて一部路線で運転中止となった情報を電子メールで知らされます。NHK報道映像では、その後、最大波まで時間がある事、そして速報値マグニチュード8.3が8.7となり、その津波脅威を思い知らされました。

 一万数千人が命を落とし、一万数千人が同時に生命の危機に晒される。巨大地震と続く津波、長期浸水と炎上する臨海部、交通途絶に原発事故と地域孤立、迫る寒波と膨大な行方不明者に安否不明者、行政は情報途絶に陥り従来の法体系や危機対策手続きが昨日不随に陥り、事態は同時進行で悪化し、時々刻々瞬時刹那の決定が後に長期の影響を及ぼした。

 万一の際の備え、というものは危機管理の鉄則から第二案と予備案を確保しなければ、平時機能する枠組みに依拠しただけの対策では、構成要素が一つ途絶するだけで容易に機能付随に陥り、当然ながら突発的に発生する災害には必要な人員が必要な位置に待機している確証も無く、責任者さえ必要な判断の瞬間に連絡不通ともなりかねず、実際そうなった。

 大震災は戦後最大の規模で展開したため、被災地は広範囲に及びました。そして情報は取捨選択の時間さえなく、膨大な情報が一次情報と二次情報が確認情報と未確認情報混在のまま情報のみ報告書で山積し、事象責任者は順次対応するとの平時手続きに拘れば、本当の危機的情報が山積した書類山脈深部に埋没、全体像さえ曖昧模糊としたまま、悪化する。

 有事とはああしたものなのだろう、と考えます。兎も角当時の政府中枢は全ての施策に主導権を採る事を重視し、官邸主導という美名で官僚不活用という実態を覆いました。元々官僚機構は指揮中枢の官邸が多用する幕僚機構であるのですが、官邸主導により限られた人員のみで幕僚機構を兼ねようとした事が、結果的にマクロ的施策を取り損ねる事となる。

 阪神大震災の際には首相官邸危機管理対策室が食堂の一角に臨時設置され、FAX二回線のみが常備されているのみという、いわば防災の第一線は都道府県にあるとの認識からは脱却し、首相官邸には官邸危機管理対策室が設置され、情報を一元化可能な体制が固まっていたにも関わらず、その情報をどのように処理し判断するかの、人的要素が不足していた。

 政令を危機管理に際しては必要ならば立法府を補完する形で平時法整備の下では対処不能な状況に法的根拠を与える事が当時の政府に求められた筈で、現場判断に超法規的措置の責任と結果を押し付ける構図とならぬよう、対応する事が当時の行政府に求められたと考えるのですが、何分、第一線の判断への介入を行政府が行い、視野狭窄を招いたよう思う。

 もっと救えたのではないか、救助の第一線にいた方々は勿論、必要な装備や航空機が定数通りに機能するのであれば、と考えさせられる視点です。勿論、この視点は阪神大震災においても、もう少し機材があれば、削岩機やレッカー一つでも、という視点はありましたので、多くの犠牲者に対する哀悼も含め、永遠の課題と論点なのだともいえるのですが。

 南海トラフ巨大地震、当方が祈念するのは東日本大震災の教訓を明日の震災に備える事が哀悼の数少ない手段ではないか、というものです。南海トラフ巨大地震は最大規模で発災したならば東日本大震災の16倍もの人的犠牲が生じるという予測が当時の菅内閣時代に出されたものの、抜本的な対策と危機管理への施策へ着手されていないとの焦燥感がある。

 南海トラフ巨大地震では大阪駅付近まで津波が到達するとの大阪市の独自被害想定が示されました。ただ、大阪市は津波波高と地点標高を単純計算し、海面上昇と津波被害を混同している可能性があり、枚方市や高槻市へも広範囲の浸水があるとの資料も示していることから、その被害想定については精査が求められるのですが、自治体対応力を超えている。

 津波避難タワー建設や津波救命艇の製造等、一応の構図は取られているように見えるのですが、広域浸水と長期浸水への対応、沿岸部の自治体だけで完結できるものではなく、何か、具体施策を行う事が防災ではなく批判回避に力点が置かれているようみえます。具体的には巨大災害を有事と認め、全て包括した危機管理法体系を構築する方が先ではないか。

 阪神大震災の所感から東北地方の東日本大震災を考える事は申し訳なくもあるのですが、津波警戒区域の設定と復興計画の手順が曖昧で、恰も明日にも巨大津波が再来するが如き住宅再建の制限、過度な住民合意を求めつつ意見集約手段と合意形成手段を明確化しなかった事が結局のところ復興への時間を特に長期化させたのではないかとの印象があります。

 復興の点も、迅速な復興よりも合意形成を刑事的に重視し批判を回避する方針が復旧直後に示され、その延長線上に復興計画が示されたためではないかと考えてしまいます。東日本大震災から七年が経ちました。追悼と鎮魂を祈りつつ、しかし次に更なる巨大災害が想定されている事を認識、祈るだけの防災に終わらぬよう、対策を講じる事が必要でしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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米朝首脳会談実現!金正恩五月にも訪米しトランプ大統領首脳会談,結実した日米経済制裁圧力

2018-03-10 20:00:48 | 国際・政治
■日本の悲願,核拡散防止へ一歩
 朝鮮半島情勢、ここ数か月間は真剣に開戦の危惧がありましたが、緊張緩和か破局か、危惧された大規模武力衝突は回避され、前者へ向け大きく動こうとしています。

 朝鮮半島情勢が緊張緩和に向け大きく変動しつつあります、このまま核武装放棄への道筋の端緒に就き、中長期的に北朝鮮核武装放棄が実現するのか、更に続いて神経ガスなどの大量破壊兵器廃棄を条件とする北朝鮮国際社会への復帰が実現するのか。逆にこの米朝交渉を核開発への米国経済制裁強化への遅滞行動に転用した場合、破局的結果もありうる。

 ピョンチャン五輪における南北融和の機運は韓国代表団の訪朝という南北対話の再開へ漕ぎ着け、韓国代表団はそのまま訪米、北朝鮮の金正恩最高指導者が米朝首脳会談を希望し訪米を希望している旨をアメリカ政府へ通知、アメリカのトランプ大統領は、よし会おう、との即断即決で意思を表明、史上初の米朝首脳会談が五月にも実現する目途が付きました。

 国連安全保障理事会決議に基づく経済制裁が着実に成果を実らせた結果の北朝鮮側妥協、とみる事が出来るでしょう。国連安全保障理事会による石油関連資材輸出制限は、開始されそれほど期間を経ている訳ではなく、厳密に計算する限りでは北朝鮮に経済制裁の悪影響が生じている段階ではない、と分析することは出来ますが、当方は逆であると考えます。

 海上自衛隊P-3C哨戒機による北朝鮮禁輸物資密輸監視が黄海や日本海は勿論、東シナ海においても広範に実施され、現状のまま推移したならば確実に北朝鮮は通常戦力による大規模攻勢を示唆する事が出来ない水準まで石油が枯渇する事は目に見えています。米朝交渉をその段階で開始した場合、パワーバランスは核戦力偏重となり、交渉が成り立たない。

 北朝鮮通常戦力は膨大な規模です。質はともかくとして砲兵火力は、韓国の首都ソウル外縁部を射程に収め、長距離ロケット砲はソウル中心部を打撃可能であると共に、火砲は南北軍事境界線付近だけでも4000門、ロケット砲を含めれば6600門に達します。精度を度外視し飽和攻撃を行うには十分な戦力であり、T-62戦車改良型等も多数を保有しています。

 韓国への軍事的圧力として、T-62改良型は一見旧式と見えます、我が国の74式戦車よりもT-62は確かに旧式です。しかし北朝鮮はT-62戦車ライセンス生産を実施し、砲塔と再設計、車体部分も強化した国産の暴風号や千里馬号といった派生型を生産しており、基本設計は旧式であるものの、能力については未知数、そして総数の多さを忘れてはならない。

 通常戦力の優位を誇示出来るからこそ、核武装に関する米朝交渉に就けるのであって、通常戦力の優位性が国際社会からの石油関連資材輸出制限により破たんした後では核武装偏重の体制に行きつき、そこで核武装放棄を会談したのでは北朝鮮は完全に無防備となりかねません。核開発にめどがつき、制裁が次段階に移る前だからこその交渉といえましょう。

 米朝交渉は長期化する事が考えられます。世界史上核開発を完了させ核武装放棄に成功した事例は、南アフリカが核爆発装置を完成寸前で放棄した事例、インドが最初の核爆発装置核実験成功の後に放棄した事例、これはその数十年後に再開し現在核保有国です。そしてウクライナがソ連崩壊後に取得した核兵器を交渉の末ロシアに移管した事例があります。

 しかし、北朝鮮核開発はこれまで、核開発中止に伴う見返りの重油提供や人道物資支援を受けつつ、その裏で核開発を継続していた繰り返しでした。核開発は本当に行われていないのではないか、大量破壊兵器開発を口実としたイラク戦争後に、反省として考えられた北緒戦核開発疑惑は、2006年最初の核実験により文字通り見事に瓦解したといえましょう。

 1994年、アメリカのクリントン政権は北朝鮮への精密誘導弾による限定空爆直前まで展開し、韓国では予備役の臨時招集が行われると共に小中学校が休校、ソウル都市圏から北朝鮮砲兵火力圏外への疎開まで行われました。しかし、核開発放棄を条件に兵器用核開発に転用できない軽水炉提供と重油提供により、核兵器の開発は完全に放棄された、筈でした。

 六か国協議として北朝鮮核開発放棄と、その見返りとしてのエネルギー開発支援を討議する枠組みが構築されましたが、2005年には北朝鮮の新たな核開発疑惑から、当時のアメリカブッシュ政権は北朝鮮をテロ支援国家として、北朝鮮がマネーロンダリングに用いているとした複数金融機関口座を凍結しています。この指定はオバマ政権時代に解除されます。

 トランプ大統領は、早ければ五月にも金正恩最高指導者との首脳会談に臨みます。この首脳会談一回で、北朝鮮が長期的な核武装放棄計画を示唆する事は充分考えられますが、核武装放棄の条件や、また1994年の朝鮮半島核危機以来実に24年間の歴史を鑑みれば、核関連施設査察枠組みや検証可能な第三国による平和利用核開発の管理の要諦は未知数です。

 金正恩最高指導者は、一切示唆しませんが、北朝鮮は核兵器以外の大量破壊兵器を備蓄している事実を忘れてはなりません。亡命中の政敵金正男氏をマレーシア国内において暗殺した際にVXガスを使用しています。VXガスは東京でテロに使用された地下鉄サリン事件のサリンと同系統の攻撃用化学兵器であり、同重ならば戦術核兵器と同等の脅威度がある。

 最良の核武装放棄は、兵器用核兵器の完全廃棄、核開発関連施設の維持を見返りとした第三国による平和利用以外の核開発への徹底監視体制、通常弾頭型弾道弾の数量規制と大量破壊兵器拡散防止レジームへの参加、でしょう。北朝鮮は核開発を成し遂げた核物理学陣と大陸間弾道弾を独力開発するロケット工業力があり、潜在的に高い工業国となり得ます。

 最良の選択肢を北朝鮮指導部が選択するならば、民主化により経済を飛躍させたミャンマーのようになる。安価で勤勉な労働力と先端技術に応用可能な技術開発能力は、東南アジア諸国の新興工業国以上に、中国並の高度集約財を安価に製造する新工業国として世界に躍進、短期的は難しくとも中長期的に一人当たりGDPでは韓国に追いつく事さえ可能です。

 次善の選択肢としては、核開発への見通しが不明確であっても核兵器の総数を明示し、使用できない核抑止の基盤を朝鮮半島に構築する事でしょう。核抑止とは、冷戦時代のように在韓米軍への戦術核兵器前方展開を行い、北朝鮮が第三国を核攻撃した際には即座に在韓米軍が韓国軍の戦時統帥権を通じて北朝鮮に破滅的な規模での戦術核攻撃を加える、と。

 被爆国である日本には在韓米軍核戦力前方展開は非常に受け入れがたい次善の策ですが、一旦、均衡状態を構築した上で核兵器を漸減してゆく。朝鮮半島からアメリカはグアム以遠へ撤収する同数の核兵器を北朝鮮は廃棄、もしくは核兵器国である友好国ロシアや中国へ移管し最終的に核不拡散条約の枠組み内へ持ち込み、廃棄してゆくという道筋でもよい。

 准最悪の選択肢は、核兵器放棄の道筋を永遠の十年後、つまり中期的に施策を見直すとして、いつかは完全廃棄するが廃棄着手の時期を明確としない選択肢を採り、韓国への米軍核兵器前方展開さえ認めないというもの。この場合、日本は究極の選択肢として核脅威を受け入れつつ、在日米軍核兵器前方展開可否という政治上の禁忌さえ討議せざるをえない。

 最悪の選択肢は、米朝開戦です。北朝鮮指導部は金正恩最高指導者を含め回避したいと考えるところでしょう。究極的判断を強いられた際は核兵器使用は司法が判断できない、1994年核兵器使用合法性事件において国際司法裁判所が勧告的意見として示した、事実上の国際慣習法があり、朝鮮半島有事は限定空爆に留まらぬ場合、こうなる可能性もあります。

 日本の対応はどうするべきか。核武装放棄まで最大限の経済制裁を含む圧力を継続する。基本的に現状のまま間違ったところは無く、転換する事なく継続すべきです。米朝接近により日本が孤立する可能性がある、という分析もあるのでしょうが、日米が圧力をかけ続け、結実した成果である事を忘れてはならない。米朝交渉へ妥協した点は当然の結果だ。

 日本が米朝接近で孤立、という分析は北朝鮮核開発がそもそもアメリカへの抑止力を核兵器に求めたものであり、その核戦力が日本を射程に収め、そして日本は自国が核武装する選択肢を被爆国として忌避し、核兵器廃絶という国際公序を現実的に進める国是を有しているからこその施策に過ぎません。北朝鮮核容認を妥協するよりも孤立の方が価値がある。

 日本の北朝鮮への経済制裁は邦人拉致問題を契機として、全ての船舶航空機入国禁止、人的移動の禁止、人道支援を含む北朝鮮への送金禁止、という元々非常に厳しい措置を行っています。自国民拉致に対しては特殊部隊派遣を含む強硬措置を採って然るべきでもあるのですが、平和的措置の枠内にとどめる反面、最大限の措置を採っている現状があります。

 我が国は我が国のための施策を採っているのであり、米朝接近により日本が孤立という視点を示すのであれば、その識者には“それならば核兵器保有の北朝鮮よりも日本は孤立しているのか”を問う事で、度合いが理解できるでしょう。そして経済制裁強化の指針は、これまで核開発凍結を信じ進めた国際社会への背信行為への当然の結果といえるもの。

 核兵器廃止の交渉は米朝交渉についても長く続く事でしょうが、我が国が採るべき施策は間違いではなく、他に北朝鮮の核開発を阻止できるとすれば、海上封鎖、更に進めば機雷敷設や飛行禁止空域設定等軍事手段まで及んでしまいます。それよりは経済制裁により戦争を仕掛けず核兵器を放棄させるという、世界史に残る核廃棄の道を進めるべきでしょう。

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平成二十九年度三月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2018.03.10/11)

2018-03-09 20:16:46 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 春の嵐に折角の梅花が散ってしまう今日この頃、みなさかいかがお過ごしでしょうか。

 明日3月10日は陸上自衛隊春日井駐屯地創設51周年記念行事が執り行われます。今年度の陸上自衛隊関連行事はこの春日井駐屯地祭で終幕となり、新年度の四月を待つ事となる。春日井駐屯地はJR中央線の沿線、愛知県春日井市西山町に所在する陸上自衛隊の駐屯地です。第10後方支援連隊、第10施設大隊、第10偵察隊等が駐屯している駐屯地です。

 春日井駐屯地は、観閲行進と訓練展示が行われ、特に敵の前衛を突破し主力の戦闘力を師団の最先鋒として担う偵察、第10偵察隊が展開すると共に、師団の戦闘力全般の維持を受け持ち兵站幕僚としての師団長を補佐する後方支援連隊も置かれており、一見後方支援部隊と誤解されつつ近接戦闘部隊より前に敵防護施設を突破する戦闘工兵部隊も駐屯する。

 日曜日は3.11東日本大震災慰霊の日です。そして2011年にも春日井駐屯地祭はあの東日本大震災の数日前に実施され、災害派遣展示を実施しました。近所の方のお話を聞きますと、災害派遣展示を見た数日後に災害派遣へ向かう第10師団の車列に思わず感極まった、という話も。春日井駐屯地の隊員さんも、駐屯地祭とその後の震災、やはりご記憶でした。

 こうした中、朝鮮半島情勢において大きな動きがありました。南北朝鮮当局者会談の成果として、北朝鮮側がアメリカのトランプ大統領との首脳会談へ金正恩最高指導者が訪米する方針を示したとのこと。日米一致した国際社会への経済制裁働きかけが漸く成果を実らせたもので、これを機に北朝鮮の核放棄と長距離弾道弾開発終了による平和が望まれます。

 さて撮影の話題、自衛隊行事に必携の品、それは十円玉かもしれません、それも十円玉多数です。何故か、それは駐屯地や基地の自販機で飲み物を購入する際に、つり銭切れとなっていて、十円玉が十分にないと、自販機にいくら飲み物が残っていても買うことができないという事が多々あるためです、東千歳や木更津に北熊本、模擬店まで遠く広い駐屯地は日本全国多い。

 自販機、勿論十分な飲み物を準備して行事を撮影しますとこの心配はないのですが、思いのほかに水分は消耗してゆくものです、そこでたどり着いた赤い自販機や白い自販機の前で、売り切れの表示が出ていない炭酸飲料や果汁飲料と珈琲、なによりもペットボトル入りミネラルウォーターを見つけた時にはここに自販機を設置した業務隊に感謝したくなる。

 十円玉は、釣り切れ表示が出ている場合に活躍します。駐屯地自販機、一般公開の日にも開放されている自販機は安価な価格帯で飲み物を販売していますが、自販機の内部に十円玉が払底している際にお財布に百円玉しかない場合は買えません、十円玉が十枚、できれば十五枚、もちろん財布が重くなるのですが、十円玉を笑うものは十円玉に、泣くのです。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭
・3月10日:春日井駐屯地創設51周年記念行事…http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/10d/butai/sta/kasugai/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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新護衛艦あさひ(DD-119 ASAHI)竣工!対潜戦闘重視5100tあさひ型護衛艦一番艦引渡式

2018-03-08 20:10:32 | 先端軍事テクノロジー
■あさひ,佐世保第2護衛隊配備
 海上防衛への重責が日本海と南西諸島の緊張下で高まる中、長崎にて最新型護衛艦の一番艦が就役しました。

 新護衛艦あさひ、昨日7日に三菱重工業長崎造船所にて、初代艦長高岡智2佐へ自衛艦旗が授与され竣工しました。あさひ、は護衛艦あさひ型一番艦として建造されています。あさひ、の艦名は日露戦争の殊勲艦戦艦朝日、そして海上自衛隊最初の護衛艦あさひ、を継ぐ三代目にあたり、現在同じ三菱重工業長崎造船所では二番艦しらぬい、が建造中です。

 あさひ、は平成25年度計画艦として建造された基準排水量5100t、満載排水量6900tの大型護衛艦で、前型の護衛艦あきづき型は防空重視型でしたが対潜戦闘能力を重視した護衛艦です。ソナーは艦底型OQQ-24と曳航ソナーOQR-4を併用し、OQQ-24はヘリコプター搭載護衛艦ひゅうが型のOQQ-21を発展させた広帯域素子型のソナーを搭載しています。

 潜水艦の襲撃運動を瞬時に捕捉するP-1哨戒機用HPS-106レーダー派生の潜望鏡監視レーダーも後日搭載するという。対空用には新開発のOPY-1レーダーを搭載しています。これは400kmの索敵能力を有するFCS-3レーダーの派生型にあたり、射程50kmの個艦防空用ESSM,対潜用のアスロックSUNは前甲板に32セル分のMk41VLSに収容される。

 本型の推進方式には特色があり、CODLAG方式というディーゼルエレクトリックガスタービン併用方式を海上自衛隊の護衛艦として初採用しています。満載排水量は7000tに迫る大型艦となっており、これは海上自衛隊の汎用護衛艦としては前型にあたる護衛艦あきづき型よりも大型で、引退のヘリコプター搭載護衛艦はるな型をも上回る大型護衛艦となりました。

 こんごう型ミサイル護衛艦ちょうかい、満載排水量9500tのイージス艦ですが、あさひ、ちょうかい、と二隻が並ぶ様子を見ますと、艦橋上部にOPY-1レーダーを冠した威容がSPY-1レーダーを備えるイージス艦に匹敵する艦容が印象的です。この写真は2017年に建造中の様子を撮影したもので、現在この場所は二番艦しらぬい、が建造中となっています。

 しらぬい、と共に護衛艦あさひ型の建造は2隻で終了する事となっており、本型の建造費は759億円ですが、後継として3900t型護衛艦が一隻500億円程度に抑えられ将来的に22隻程度の大量建造が行われる方針です。3900t型護衛艦は満載排水量で5000t程度となる世界的にはかなり大型の水上戦闘艦となりますが、汎用護衛艦大型化は一段落する事になる。

 第2護衛隊群第2護衛隊、ヘリコプター搭載護衛艦くらま、が永らく配備された佐世保の護衛隊へ配備予定です。現在、第2護衛隊は、ヘリコプター搭載護衛艦いせ、ミサイル護衛艦あしがら、護衛艦はるさめ、護衛艦あまぎり、が配属されていますが、新護衛艦あさひ配備により、護衛艦あまぎり、が自衛艦隊直轄護衛隊への転籍が行われる事でしょう。

 護衛艦隊は護衛隊群編が本来対潜戦闘主体のDDHグループと防空戦闘主体のDDGグループから編成されていますが、北朝鮮弾道ミサイル同時発射予告を受け、日本海弾道ミサイル警戒任務が展開中、この為、DDHグループである舞鶴第3護衛隊にイージス艦2隻が集まる一方、肝心のDDGグループにミサイル護衛艦が皆無となり、その多忙さが伝わります。

 南西諸島での緊張も日本海でのミサイル防衛の緊張と比肩する厳しい状況があり、mつい先日も中国海軍の最新攻撃型原潜商級による尖閣諸島接続水域浸透事案があり、九州沖縄から紀伊半島西日本沖まで進出するミサイル爆撃機の出現など、厳しい情勢は徐々に日本全土へと広がりつつあります。新護衛艦あさひ、はこの情勢下、機体を以て竣工しました。

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新防衛大綱とF-35B&EA-18G【08】非現実!国産新戦闘機F-3のF-15戦闘機後継へ前倒し

2018-03-07 20:06:51 | 国際・政治
■次期戦闘機は本来F-2後継機
 次期戦闘機について、単独開発を断念し国際共同開発を行う検討が報じられました。

 F-2戦闘機後継機は国産開発ではなく国際共同開発へ、朝日新聞3月5日付報道によれば2030年代に除籍が開始されるF-2戦闘機について、国際共同開発の方針が示され今週中にも戦闘機メーカーへ情報要求書RFIを提出するとのこと。F-35A戦闘機追加購入という選択肢も示唆されているとのこと。F-2後継機は第六世代機となり、開発難航が予想されます。

 三菱重工小牧FACO閉鎖検討、先日検証した記事ですが、このロイター通信東京発2月21日付記事について、この報道の信憑性を大きく考えさせられる内容が含まれています、“F-35A戦闘機を25機程度増強”という部分が大きく注目されるのですが、“F-15J戦闘機近代化改修非対応の100機中残る70機程度を開発を検討している国産戦闘機により置き換える”との部分は信憑性を考える。

 検討中の将来戦闘機で代替するのか検討、という部分には正気を疑う、というのが率直な所感です。こういいますのも、将来戦闘機はもともとF-2後継機を目指していた航空機ですので、F-15後継に充てるという事は前倒しする事に他なりません。技術は嘘をつきません、予算的な問題は勿論、技術的な問題でも前倒しして間に合うのか、F-2生産終了から十年を経ても見通しはあるのか。

 間に合わせるにはF/A-18Fに所定の改造を施しF-3としてライセンス生産するという選択肢ならば有り得ますし、第六世代機が欲しいのであれば実は秘密裏に試作機が完成している、というのでなければ、開発には如何に順調に行こうとも七年を要する、現時点ではエンジンが出来ておらず、何よりも次期戦闘機の概念そのものへ要求仕様を防衛省自身が明確にできず、開発を棚上げしている現状を忘れてはならない。

 防衛省は第六世代戦闘機を云い方が厳しいが”最強の戦闘機”という以上の、最強とは何を以て成り立たせるのか、の定義を構築できていない状況にあります。防衛装備庁シンポジウムでは航続距離が大きく空中での運動性も高くステルス性を持つ航空機、という研究発表があったのですが、それでは第五世代戦闘機との違いが不明確と云わざるを得ません。

 運動性と航続距離を両立する等は、申し訳ないが第4.5世代戦闘機でさえ、この設計思想で開発されている。もとより、大戦中の局地戦闘機のような航続距離を短く設計する戦闘機は無いし、ステルス性を無視した設計を敢えて開発する方が不自然だというものでして、技術的になってしまった点は別で運動性の低い鈍重な戦闘機を敢えて開発した事例も無い訳でして、曖昧模糊とした学生の研究計画と似ている。

 第六世代戦闘機の新しい指針に一つ特筆できる部分があるとすれば、瞬間撃破能力を提示している点でしょう。その上で瞬間撃破能力として具体的にレーザー砲の搭載を示唆しているのですが、ここで大きな問題は、防衛省はレーザー兵器を短距離レーザー機体自衛装置を開発しているのみで空対空戦闘に使用可能となる高出力レーザー砲は開発していない。

 新戦闘機を開発する際に、もちろん予定通りに高性能エンジンが開発でき、オペレーションリサーチを充分行う事で第六世代戦闘機を開発する上での要求仕様が完成し、五年で試作機をロールアウトしその二年後に初飛行と評価試験を実現し、更に三年後に量産開始を行う頃には、F-15J戦闘機は運用開始半世紀が見えてくることとなる。実際の猶予は数年だ。

 国産戦闘機について、F-4後継機の話しを強調すると、恰もF-15戦闘機がピカピカの新品に思えてくるのだけれども、1981年から運用開始された航空機という事を忘れてはならない。しかし、一旦F-35に決定した新戦闘機選定、右往左往すると、正直F-15老朽化の先にF-2戦闘機の老朽化も初飛行から既に20年以上経った点を忘れるべきではないと思う。

 国産戦闘機開発は予算と余裕が潤沢にある時期に行わなければならず、今は繋ぎとなる戦闘機を含め皆無の状態、ここに新事業展開、その余裕があるのかは疑わしい。繋ぎにF-2と原型機が共通であるF-16Vや政府部内の検討としまして導入を希望するEA-18G電子攻撃機の原型機であるF/A-18Fを繋ぎとして100機ほど調達するならば別ですが、それ程に時間がないのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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朝鮮半島有事邦人救出検証(1)韓国在留邦人総数5万7000名を戦火から救出する重大任務

2018-03-06 20:03:30 | 国際・政治
■邦人救出,古くて新しい課題
 ピョンチャン五輪が平和裏に閉幕した朝鮮半島、しかし核兵器放棄を拒否する北朝鮮とアメリカの対立は平行線のままです。今回から数回に分け、最悪の場合の邦人救出を考えてみましょう。

 朝鮮半島南北対話が始まりました、韓国からの特使として趙明均統一相、鄭義溶国家安保室長、徐薫国家情報院院長が昨日5日から二日間の日程で北朝鮮へ出発、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との会見等も期待されています。ピョンチャン五輪後、南北朝鮮の宥和の進展がそのまま日米韓が求める核放棄へと発展するか、非常に大きな関心事といえます。

 朝鮮半島有事と邦人救出任務は、古くて新しい問題です。韓国は我が国の隣国、経済関係の結びつきも強く実に5万7000名もの邦人が居留乃至滞在しています。朝鮮半島核危機は今回が初めてではなく、1994年朝鮮半島核危機の際には米軍による限定空爆直前までの緊張があり、万一の際にどう救出するか、自衛隊を派遣できるのか、当時からの課題です。

 邦人救出、朝鮮半島有事の可能性が顕在化する中、多くの邦人が居留し観光などで一時滞在する韓国から、安全な地域へ退避する施策は喫緊の課題です。特に韓国の首都ソウルは1000万大都市であり邦人の多くが居留や観光で滞在していますが、そのソウル都市圏が北朝鮮軍事境界線より砲兵火力の射程内に在り、万一の際には非戦闘員安全の確保が難しい。

 朝鮮半島有事の際の邦人救出任務が現実的課題として突き付けられたのが1994年の朝鮮半島核開発危機、当時の金正日政権が核兵器用高濃度プルトニウム濃縮疑惑から北朝鮮による核開発の懸念が高まり、アメリカのクリントン大統領は核関連施設による限定空爆を示唆、これに北朝鮮が激しく反論し韓国攻撃の姿勢を示した事により緊張が激化しています。

 橋本内閣は当時、朝鮮半島有事の際に四万というソウル都市圏居留邦人の救出という突然の課題を突き付けられ、海上保安庁巡視船によるソウル近郊港湾からの救出やソウルから南部の釜山への自主避難の上での釜山港からの救出、韓国政府が承諾する条件での自衛隊政府専用機による救出や在韓米軍基地からの米軍機への便乗等が検討されたといわれます。

 5万7000名の邦人が現在韓国には居留乃至滞在しています。商用や留学等の長期滞在邦人が3万8000名、観光等の一時滞在が1万9000名で計5万7000名が韓国に居留もしくは滞在しています。グローバル化により1994年当時と比較し、在留邦人の総数は増大しており、勿論緊急時には事前避難により一定の邦人は帰国するでしょうが、完全退避は難しい。

 邦人救出計画ですが、僥倖であるのはわずかとはいえ法整備が進められており、1994年当時と比較し、邦人輸送訓練も順次実施されている点です。実際、1998年のインドネシア騒擾においては自衛隊法改正に基づき航空自衛隊輸送機がタイのウタパオ空軍基地へ進出すると共に、インドネシア国内へは海上保安庁巡視船が出動し、不測の事態に備えました。

 インドネシア騒擾では当時の自衛隊法は航空自衛隊輸送機は使用出来るものの、艦船については海上自衛隊輸送艦が使用できない制約があり巡視船派遣となりましたが、その後の自衛隊法改正により可能となり、陸上自衛隊は1999年に初の邦人輸送訓練を実施し、海上自衛隊護衛艦と輸送艦、航空自衛隊輸送機と警備誘導の第一空挺団が訓練に当っています。

 アルジェリアガスプラント邦人襲撃事件は当時の邦人保護に関する重要な問題と、指摘されていた法整備の欠缺を厳しく突き付ける事となりました。当時の自衛隊法では邦人保護について、飛行場や港湾施設等指定集合施設までは邦人は戦闘地域に包囲された場合においても自力で集合しなければなりません、自衛隊が展開できない戦闘地域も含めて、です。

 安全保障協力法制、我が国では戦争法制として野党を中心に一部で反対もありましたが、この法整備により自衛隊は戦闘地域に孤立した邦人救出も合法化されています。従って朝鮮半島有事においても、戦闘地域に孤立した邦人を法律上は救出する事も可能となっています。尤も自衛隊の能力で多数の邦人救出任務が実現可能か、という論点は残りますが。

 政府は自衛隊のCH-47輸送ヘリコプターにより釜山から対馬を経由し九州まで邦人輸送を実施する方針であり、また、北朝鮮奇襲攻撃に対し米軍の反撃がひと段落する目安を72時間とし、その上で72時間を指定退避施設などシェルターに避難し安全を確保する方法等を検討しているといわれます。ただ、実際その見積や運用は可能か、検討の必要はあります。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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フランス徴兵制再開と日本徴兵制再論【5】実任務参加求める大統領と精鋭主義のフランス軍

2018-03-05 20:13:54 | 国際・政治
■フランス軍は少数精鋭主義
 今回が最終回です。フランス軍は大軍基本の編制から少数精鋭主義へ厳しい変革を成し遂げた直後であり、やはり再開は大統領自身の別の意図があるとしか考えられません。

 フランス徴兵制再開は、2月11日付朝日新聞報道によれば徴兵期間一ヶ月という短期徴募兵を治安維持任務や防衛施設での実任務に就かせる方針であるようで、フランスの制式小銃FAMASからして我が国の89式小銃と比較し極端に部品点数が少ない等の操作性の利点も無く、そもそも一か月間では執銃訓練さえままならない中、対応できるかが疑問です。

 一ヶ月間徴兵、当方は座学中心の一か月間体験入隊のような方式を採ると考えていたのですが、実任務に就かせるとのマクロン大統領の指針は驚きでした。一ヶ月では元々後方支援任務も対応できません、特に後方支援部隊こそ、浄水や電子整備に車両重整備と専門領域が深く、輸送部隊でさえ車両整備任務があり、云うほど簡単ではない中、どうするのか。

 大量の予備役を確保出来るという利点もあるようですが、一か月間、しかも執銃訓練のままならない短期間に治安任務等の実任務を付与させる指針では、有事の際に動員令を掛けた場合、人数だけは集まるでしょうが人的大量損失に直結します。その上で疑問なのは、未経験兵士大量投入と大量戦死者前提の国防をフランス社会が是認するのか、ということ。

 フランスの徴兵制再開、これはフランス軍が冷戦終結当時43万の陸軍を精鋭化により11万7000名まで縮小した上で、マクロン大統領が大統領選当時に徴兵制再開を掲げ当選し、国防力増強以上に社会の団結を名目に掲げ、云わば軍事的要求ではなく政治的社会的要求から徴兵制再開、これも一か月間という体験入隊規模の水準で復活させるというものです。

 サーバル作戦、フランス軍精鋭主義の背景には2013年にアフリカのマリ北部にて実施したすっごーい軍事行動の成功例があります。これはマリ北部において武装勢力MNLAの活動が活発化しマリ軍やECOWAS西アフリカ経済共同体有志連合諸国軍による鎮圧が不可能となり、当時のオランド大統領がマリ政府要請を受け旧宗主国として発動した作戦です。

 オランド大統領は2013年1月11日にマリのトラオレ大統領要請を受け介入を決定、第3機械化歩兵旅団長を派遣部隊司令官に任命すると共に同日から第4航空旅団による航空作戦を発動すると共に14日にはフランス本土からの派遣部隊が到着、26日には北部の要衝ガオ国際空港を空挺強襲で奪還、二日間で700kmを前進、最終的に5700名を投入しました。

 サーバル作戦では武装勢力総数は20000以上、フランス軍は海軍や空軍を含め5700名を投入し、マリ軍7000名と有志連合のチャド軍2000名と共に戦闘を展開しました。フランス軍では5名の戦死者を数えましたが、1000km以上の掃討作戦を経てマリ北部より武装勢力の一掃と武装勢力兵器貯蔵庫破壊を達成し、フランス軍の能力を世界に示している。

 第3機械化歩兵旅団長を中心に、フランス軍全軍より中隊規模で部隊を集成し派遣しましたが、即応性の高さと共に小隊規模の分散運用を戦域情報通信基盤の連携下で実施し、広大なマリ北部を旅団規模の兵力で達成できた事を意味します。空挺作戦と空中機動補給に近接航空支援下の機械化部隊長距離機動、精鋭主義を突き詰めた結晶の勝利ともいえます。

 マクロン大統領がどのようなフランス軍を想定しているかについては側聞しませんが、精鋭主義は難しい。大規模部隊を即応待機させ、戦力投射能力を整備し戦略展開に備え、その上部隊を小隊規模で分散させ一見敵中に各個撃破されかねない分散運用を行いつつも通信ネットワークで確実に火力と補給で連携した成果がサーバル作戦勝利といえるでしょう。

 一方、世界では徴兵制を維持している事例は多くはありませんが少なくもありません。スイスやオーストリアといった永世中立国は徴兵制を維持していますし、スウェーデンは再開予定、隣国韓国、中東のイスラエル等も徴兵制を維持しているほか、東欧のウクライナ、NATO加盟国ではノルウェーやデンマークにトルコやギリシャも徴兵制を維持しています。

 永世中立国のスイスやオーストリア、中立政策を採るスウェーデン等は、永世中立国即ち平和国家と誤解しそうですが、中立国は反面に万一の際に同盟国はじめ世界のどこにも防衛協力を期待できず、独力で自国の中立政策を守らなければ簡単に占領されてしまいます。この為に中立政策を掲げる国ほど、国防を重視しなければならない事情があるのですね。

 日本は平和国家ですが、国連に加盟すると共に日米安全保守条約があり、中立国ではありません。冷戦時代に日本共産党などは日米安全保障条約を廃止し国民皆兵制による人民軍創設と中立政策を掲げていました。しかし、有事の際は同盟国があり、また周辺国とは海洋を隔てて接していますので、徴兵制を施行する必要は無く、今後も無い実情があります。

 日本に徴兵制の可能性は無いのかという視点から、識者が軍事合理性から徴兵制は過去の施策であり軍事合理的に有り得ないとの見解で一致している中での、フランスにおける徴兵制再開、そして同時期にスウェーデンの徴兵制再開という二例を突き付けられますと、それでも日本に徴兵制は有り得ない、といえるのかとの問いに向き合う必要があります。

 しかし、フランスを見ますと社会の団結とテロ対策に国防相を関与させるもので、純粋にテロ対策を行うのであれば内務省憲兵隊の地方警察業務を拡大させるべきところを国防省に協力させるという構図でした。スウェーデンについては数百万という人口のみで広大な国土を警備する上での志願制の限界が理由です。共に異なる理由から始まったというもの。

 パリ警視庁や内務省が法執行機関としてフランスではテロ対策に当り、国際テロ対策はフランス外務省海自情報局DGSEの管轄です。純粋にテロ対策を考えるならばDGSE予算やパリ警視庁と内務省人員を増やすべきところを、国防省に求めた為で、実は合理性からは外れています。徴兵期間の一ヶ月も合理性から外れているが故の局限化した施策といえる。

 日本での可能性をその上で認めるならば、文部省の仕事を防衛省に押し付ける構図や総務省警察庁の職務を防衛省に押し付けるという非合理が行われる場合や、徴兵制の可能性を示唆する分裂前の民主党や過去に国民皆兵制の公約を掲げていた日本共産党のような軍事合理性を真剣に検討しない政党などが政権を目指した場合を除き、可能性は無いと言い切れるのです。

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【EOS-M3撮影速報】小牧基地航空祭2018,空を往くC-130H輸送機六機編隊(2018-03-01)

2018-03-04 20:07:54 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■小牧基地航空祭2018撮影速報
 小牧航空祭、EOS-7Dや7Dmark2の写真に先立ち、EOS-M3の22mmSTGレンズと一枚目だけPowershotG-16写真にて昨日の熱気を速報です。

 小牧基地航空祭2018、土曜日に行ってまいりました。C-130H輸送機六機編隊飛行です。昨年の小牧基地航空祭2017は多忙につき行く事が出来なかったところで五機編隊飛行が行われたと聞き、それまで小牧航空祭と云えば三機編隊という印象、大いに驚かされました。

 六機編隊といえばC-130H輸送機は四発機ですので、エンジンだけで24基が頭上を飛行している訳です。しかし六機編隊の飛行高度は200mという低空飛行であり、迫力も大きかったのですが、六機編隊はオープニングフライトの一航過のみ、もう少し見たかったです。

 C-130H輸送機は三機編隊での物量模擬投下展示や編隊飛行を実施していました。本年の小牧基地航空祭は展示予定が、時間帯さえも0900時から開始されるとあるのみ、飛行展示終了時刻も明示されておらず、何が展示されるのかが非開示、ミステリー航空祭という趣き。

 KC-767空中給油輸送機とF-2戦闘機による模擬空中給油展示、膨大な燃料搭載能力を誇るF-15戦闘機でも22機分の燃料を搭載可能であるKC-767,航空自衛隊は更に空中給油機を増勢する方針で、年々増大する中国空軍による経空脅威へ滞空時間で対応する方針です。

 入間ヘリコプター空輸隊CH-47輸送ヘリコプターによる空中消火展示、小牧基地航空祭では外来機による飛行展示はこの他、岐阜基地F-2戦闘機による機動飛行と模擬空中給油展示が行われました。外来機地上展示は、C-2やP-1にF-2とF-15にF-4、質が高いもの。

 小牧基地航空祭は航空祭としてはそれ程混雑しない、という点は幾度か紹介しましたが、ここ数年間の航空祭ではブルーインパルスの飛行展示という転機があり、ブルーインパルスは単体で数万の広報効果がありやや混雑していました。本年は原点回帰といえましょう。

 UH-60J救難ヘリコプター、小牧基地には救難教育隊が置かれ一定数が配備されていますが、何故か小牧基地航空祭では飛行展示を行っていません。浜松沖墜落事案と山口県予防着陸事案がまだ影響しているのでしょうか、自衛隊ヘリコプター運用体制は現在非常に厳しい。

 F-15J近代化改修型、岐阜基地飛行開発実験団より地上展示に参加した一機です。航空自衛隊はF-15Jの発展性を重視し、特にこの能力向上改修は一機当たり42億円を投じています。これはロシア製戦闘機ならば取得できる費用ですが、今ある器材を最大限活かすかたち。

 C-130H輸送機、飛行展示を終えて着陸、誘導路を進みます。本年は六機編隊という大規模な展示が行われましたが、これはC-2輸送機の実用化という背景があるのかもしれません。これまで万一の際の邦人救出任務や緊急人道支援はC-130しか対応できませんでしたから。

 C-1輸送機が航空自衛隊の主力輸送機として入間基地と美保基地へ配備されていますが、沖縄返還前の行動半径要求に基づくものであり、邦人救出等の任務へはとても対応できません。よって小牧基地のC-130に非常に大きな重責があり、即応待機を行ってきました。

 F-4EJ改、岐阜基地航空祭2017特別塗装のままの地上展示です。岐阜基地航空祭は大変な混雑でしたので、小牧基地航空祭にて撮影機会があるのは嬉しい。機体の下からは県営名古屋空港とFDAのエンブラエル旅客機が見えます。名古屋空港展望台から撮影の方も居る。

 F-2戦闘機、九州築城基地からの参加です。背景には名駅摩天楼という名古屋駅前高層ビル群が望見できます。小牧基地は名古屋市営地下鉄名城線の環状線から乗換で名鉄小牧線乗り入れ列車があり、大都市である名古屋市内から非常に交通が便利な基地となっています。

 P-1哨戒機、厚木航空基地からの参加機です。海上自衛隊は100機のP-3C哨戒機、当時P-3C哨戒機は護衛艦いしかり、より高く護衛艦はつゆき、よりは安いという高価な装備でしたが、多数を装備しました。しかし現在、着実に最新鋭のP-1へ交替が進んでいます。

 小牧基地と云えばこの多数のC-130輸送機でしょう。こういいつつ、今年度の航空祭では格納庫地区などに置かれる機体や、待機航空機の関係からそれほど多くは駐機されていません。ここから最初の六機編隊を撮影する、という選択肢も、あったかもしれませんね。

 災害派遣展示はエプロン地区でなく、格納庫地区で行われていました。過去にはC-130輸送機を用いた災害派遣展示、福島第一原発事故へ出動した航空消防車部隊による一斉放水展示等も行われています。この他、第10飛行隊がOH-6Dにて模擬偵察飛行を行いました。

 C-130H輸送機はC-2輸送機の配備が開始されて以降も、不整地着陸能力を以ての災害派遣等の路外緊急空輸、そして空中給油装置を搭載しての救難ヘリコプターへの空中給油任務等がありますので、C-2輸送機へ置き換えられる事は無く当面は運用が継続する事でしょう。

 KC-767空中給油輸送機とC-130H輸送機への模擬空中給油展示、今回の速報はEOS-M3とPowershotG-16により撮影しました。G-16は一枚目のみ、そしてEOS-M3は22mmSTGレンズ一本で撮影しています。望遠レンズ林立するなか、敢えて22mmレンズで撮影、と。

 飛行展示を終えて着陸進入するC-130と活況の小牧基地、午後になりますと徐々に来場者方々は増えてきましたが、それでも入間基地航空祭の五分の一から十分の一程度の来場者なので、最前列以外混雑はそれ程ではありません。そして名古屋に近く飲食宿泊が便利だ。

 UH-60J救難ヘリコプターとC-130H輸送機、今回は救難教育隊の小牧航空祭なのに救難飛行展示は出来ませんでしたが、事情が事情だけに仕方ないと思うところです。ただ、陸海空自衛隊ヘリコプター運用体制は破綻寸前から進みつつあり、一挙に更新する必要がある。

 C-130輸送機、飛行展示が終了し再度基地内を散策してみました。プログラムに飛行展示の時間が明記されておらず、どの時間帯にメインの飛行展示があるのかが曖昧となっていましたので、帰るに帰れない状況、外来機の帰投飛行までは、という状況になっていました。

 美保基地のC-2輸送機、因幡の白兎を象った部隊マークが垂直尾翼にしっかりと描かれており、実戦部隊である事を誇っています。岐阜基地で何度も観ていますが、やはり大きな輸送機です。背景のKC-767と比較してもエンジンは同系統で整備補給面の互換性もある。

 C-2輸送機は国産開発されたもので、アメリカの戦域間輸送機C-17輸送機輸入も一時検討されたといいますが、国産となりました。C-17は優れた輸送機ですが、調達時期には費用がC-2の三倍に高騰、もし導入していたらば中期防単位で1機2機となっていたでしょう。

 C-2輸送機美保基地へ帰投準備、フラップチェックを実施し、主翼や尾翼が可動しています。現在美保基地へ配備が進んでおり、続いて入間基地への配備が開始されるほか、C-2-ELINTとして電子偵察型が岐阜基地において飛行試験中、川崎重工での量産が今も進行中です。

 入間基地への帰投へ向かうCH-47J輸送ヘリコプター、背景には名古屋駅前高層ビル群が。この後、C-2やP-1にF-15とF-4が次々と帰投し、航空祭は終了しました。帰路名鉄牛山駅が入場制限する程の混雑でしたが、名古屋で一杯やりまして、当方も帰路に就きました。

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【くらま】日本DDH物語 《第三六回》はるな誕生、51番砲&52番砲73式5インチ単装砲

2018-03-03 20:01:30 | 先端軍事テクノロジー
■護衛艦の艦砲と航空機
 はるな型護衛艦、しらね型護衛艦、ともに外見は一見して判別できるのが艦砲と飛行甲板から成るハンサムな艦容です。

 はるな型、しらね型ともに背艦砲は73式5インチ単装砲二門を搭載しています。負い式の51番砲と52番砲が優美な艦容へ寄与していますが、原型はMk42-5インチ砲です。第二次大戦型艦砲を置き換える目的で開発された野心的な両用砲で、単装砲に大戦型Mk12-5インチ連装砲の自動装填機構を盛り込んだ設計、極めて速い連続発射能力を有しています。

 はるな型護衛艦設計当時にターターシステムを搭載し、広域防空能力を付与する検討が為され、実現しなかった点は記載しました。ターターシステムは初のミサイル護衛艦あまつかぜ搭載の実績がありましたが、非常に高価であり、更に基準排水量5000tを構想したヘリコプター搭載護衛艦へ対潜ヘリコプターと並列搭載は困難であるとして断念されました。

 73式5インチ単装砲二門は、この代替案として搭載されたものです。Mk13発射装置から発射されるターターミサイルはRIM-24ターターミサイルの射程が18km、改良型RIM-24Bが射程30km、マッハ2の高速で目標へ正確に命中します。Mk42-5インチ砲は射程23km、射程ではRIM-23Bに及びませんが毎分45発の射撃が可能、2門で毎分90発を射撃できる。

 大戦艦は、Mk12-5インチ連装砲かMk.22-3インチ単装砲を対空戦闘の遠距離用に、ボフォース40mm機関砲を近距離用に、エリコン20mm機関砲を近接防空用に搭載していましたが、第二次大戦中にはわが海軍の彗星艦上爆撃機等の空対空戦闘可能な艦上爆撃機の突入により水上戦闘艦防空装備そのものが攻撃目標となり、少なくない被害を出しています。

 対艦攻撃機は第二次世界大戦後、急速にジェット化が進み高速化しました。この脅威の高速化は高射機関砲の位置づけを大きく変容させる事となります。具体的にはミサイルへの転換と艦艇機動能力の強化です。実は高射機関砲の優位性は低いように見えて、皆無であれば接近機に全く打つ手なしとなる事が1982年のフォークランド紛争で露呈するのですが。

 ジェット機による対艦攻撃において当面問題視されたのは、艦砲と高射機関砲の射程の欠缺空域における目標情報の方位盤間における連接で、艦砲が撃ち漏らした接近航空機を確実に高射機関砲が内側の防空を担えず、各個別目標を照準する、もしくは外側が無力化した目標を内側の高射機関砲が撃墜未確認のまま無力化目標を追尾し続ける過剰照準でした。

 Mk42-5インチ砲は高い連続発射能力を備えた単装砲に防空を一本化する事で方位盤の射撃管制能力の負担を軽減し、併せて多種多様な防空下記による百花繚乱状態を一本化する指針にて開発されています。有人砲塔であり、基本的には方位盤による射撃管制を基本としますが、砲塔要員に対空砲座及び対水上対地砲座を並列させ、確実な作動を期している。

 マウント重量は58tとこの種の艦砲としては破格に重く、また毎分45発の射撃速度を実現するべく砲塔内にはドラム式給弾装置2基が左右並列に配置されています。この為に構造が複雑であり整備性に難点があり、緊急時を除き給弾装置を片方のみ運用し射撃速度を落とし常用としていました。また、方位盤信頼性向上と共に砲座の一部が廃止されています。

 フォレスタル級航空母艦、アメリカ海軍がミッドウェー級に続き戦後初めて開発した航空母艦、現在のニミッツ級に繋がるアメリカ海軍航空母艦の基本形が確立した航空母艦ですが、この新鋭空母も完成当時はMk42-5インチ砲を舷側に複数搭載していました。はるな型の艦砲はこのように開発国アメリカにおいて高い信頼を集めた型式を搭載したのです。

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平成二十九年度三月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2018.03.03/04)

2018-03-02 20:07:13 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 梅香鮮やかな今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか、明日は年度末の航空祭、土曜日の小牧基地航空祭です。

 小牧基地は第1輸送航空隊第401飛行隊と第404飛行隊、航空救難団救難教育隊、航空管制と要撃管制任務を教育する第5術科学校が展開しています。県営名古屋空港と共用飛行場であり、基地正門は空港とは滑走路を挟む名鉄小牧線沿線に在り、最寄は名鉄小牧線牛山駅、名古屋市営地下鉄から乗換で行く事が出来、それ程混雑しない航空祭として有名だ。

 小牧基地航空祭2018はミステリー航空祭、といえるかもしれません。航空祭プログラムをには0900時から1400時頃まで、“小牧基地所属機等によるフライト”とのみ飛行展示が紹介されていまして、飛行展示航空機にはC-130H輸送機、KC-767空中給油輸送機、UH-60J救難ヘリコプター、U-125A救難機、基地所属機以外の飛行展示も予定されているとのこと。

 C-130H輸送機大編隊、航空祭では昨年多忙につきいけなかったのですが遂にC-130H輸送機五機編隊が飛行したとの事で、例年三機編隊であった事から期待が高まります。また、KC-767空中給油輸送機の給油展示や、救難教育隊UH-60J救難ヘリコプターによる編隊飛行、岐阜基地所属の戦闘機や浜松基地の所属機による機動飛行等が期待されるところです。

 名古屋空港と共用飛行場である小牧位置ですが、名古屋市内から地下鉄で指呼の距離にある一方で、余り混雑しない航空祭として有名でした。近年は従来九月に行われていた航空祭が年度末となり、他の行事と重ならない事から来場者は増える傾向にありますが、それでもゆったりと航空祭を散策が出来、また飛行展示についても見応えはある航空祭です。

 さて撮影の話題。自衛隊行事で日本各地を探訪する際の土産物ですが、前回お勧めした逸品、パッチばかり購入しては費用的にも厳しいものがありますし、やはり自分用とは別に土産物を購入しますので、都合予算面は倍増してしまいます。そんな中で、土産物探しを始めますと、自衛隊行事と共に近くの観光地に立ち寄り、威容誇る城郭も壮大湛える伽藍も雄大示す大自然も、土産物となると。

 地方銘菓や名産品は多々ありまして、唸る匠の技に頷く伝統美と輝く造り、いいものばかりなのですが如何せん嵩張る、地方発送承ります、という表示も目につきますが、そもそも自衛隊行事の旅程は日帰りか一泊二日の弾丸特急、三泊四日や数日逗留という余裕ある旅程ならばともかく、地方発送の所要時間よりもいち早く帰途についてしまうのですよね。

 日本各地を散策し、嵩張らず地方感を強調できる土産物といえば、ご当地記念メダルにご当地キーホルダーとご当地ボールペンやご当地耳かき、ちょっと味気在りません。ひと昔はご当地テレフォンカードが、コレクション性も高くまあ喜ばれたのですが、見なくなりました。パッチのような洒落た、そして多少高くとも良い造りの土産物、中々ありません。そんな中から逸品を探すのも旅の楽しさではあるのですが、ね。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・3月2日:小牧基地航空祭2018…http://www.mod.go.jp/asdf/komaki/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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