北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【日曜特集】平成28年第1空挺団降下訓練始【06】ヘリボーン重輸送降着(2016-01-10)

2019-11-10 20:13:27 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■強襲!空挺から空中機動へ
 第1空挺団の降下強襲という空挺の奇襲から確保した空挺堡へ増援の空中機動部隊降着が本格化しました。

 空挺隊員の増強が降着したUH-1J多用途ヘリコプターから展開を開始する。空挺団を構成する基幹部隊は3個の空挺大隊、空挺大隊は3個の空挺中隊より成り、一個空挺大隊は380名を基幹としています。師団や旅団普通科中隊よりも空挺中隊は小型編成を採っている。

 UH-1J多用途ヘリコプターより数名の空挺隊員が戦闘加入するだけでも、小型編成を採る空挺中隊には大きな増援といえるのです。空挺団降下訓練始め、空挺降下した部隊は増強空挺中隊規模、此処に続々車輌展開と空中機動により部隊が展開し戦闘加入してゆきます。

 状況は空挺部隊の島嶼部展開と共に、我が国島嶼部を占領する仮設敵部隊が逐次反撃を加えている状況であり、空挺団は携帯対戦車火器と分割携行した迫撃砲により第一線を保持し、空挺堡への接近経路を確保していますが、徐々に損耗が目立ち始めたという状況です。

 12.7mm重機関銃をUH-1J多用途ヘリコプターより射撃する、12.7mm重機関銃は大型である為、これを搭載するとUH-1Jの機内にはほぼ積載できるものが無くなるのは難点ですが、MINIMI分隊機銃は射程威力共に限界があり、この機銃の選択肢となったのでしょう。

 ガンシップ型として70mmロケット弾と7.62mm多銃身機銃ポッドを搭載する改修がUH-1系統にはベル社より提示されていますが、辞任輸送型へ戻すのに時間を要すると共に費用も安価ではなく折衷案がこれ。敵砲火下でホバーリングしつつ射撃は危険極まりない。

 CH-47JA輸送ヘリコプターが120mmRT重迫撃砲と牽引車を吊下げ空輸し、戦闘加入する、120mmRT重迫撃砲は空挺特科大隊に2個中隊が配備されている空挺団最大の火力で、M-1/105mm榴弾砲の後継として配備されたもの。射程は長居が持続射撃能力は劣ります。

 120mmRT重迫撃砲はフランストムソン社製の傑作重迫撃砲を豊和工業がライセンス生産し、陸上自衛隊には約500門が配備されています、迫撃砲ですが砲身には旋条があり命中精度が高く、更に砲身と砲架を一体化し車輪を有する構造により機動性が高い特色がある。

 高機動車や軽装甲機動車を更に一両、CH-47JA輸送ヘリコプターは機内へ搭載する事が可能です。取得費用は一機55億円と非常に高い航空機ではありますが、ボーイング社の機体を川崎重工においてライセンス生産しており、整備基盤が国内に在る事で稼働率が高い。

 CH-47JA輸送ヘリコプターが二機編隊で更に戦闘加入する、二機は12.7mm重機関銃を搭載する火力支援型だ。UH-1J多用途ヘリコプターでは機銃一丁搭載すると機内の多くが占有されてしまいますが、CH-47JAの機内は広く、左右各一丁を搭載しても余裕そのもの。

 空挺中隊は約100名、CH-47JA輸送ヘリコプターは55名乗り、定員で搭載したとしてもこの二機編隊で一個中隊を空輸できるという。師団普通科連隊や旅団普通科連隊の普通科中隊は200名、空挺中隊は機動力を重視するべくその半分の規模としている訳ですね。

 空挺普通科群として2004年まで、第1空挺団は4個空挺中隊を基幹としていました。2004年の改編で空挺普通科群と空挺対戦車隊を統合した上で、3個空挺大隊へ分け、各空挺大隊の本部に対戦車小隊と通信小隊に情報小隊を置く、という現在の空挺団編成となりました。

 CH-47J輸送ヘリコプター、良く見ますとCH-47JA輸送ヘリコプターではなくCH-47J型でした、そして何よりよく見ますと後部扉には目いっぱい空挺隊員が詰め込まれています、そしてファストロープを固定する治具が後部扉一杯に展開されているのも確認できますね。

 ファストロープにより次々と展開する空挺隊員、錯綜地形や山間部に市街地と森林地帯等で用いられる展開方法で、金具を要するリぺリング降下と異なり、ファストロープは非常に太いロープを採用する事で皮手袋を着用したらば即座に迅速降下し展開する事が可能だ。

 ファストロープ降下の利点は迅速さにあります。しかし、難点はリペリング降下と異なり金具で保持するのではなく両手両足で保持しているだけである為、不意の反動や衝撃で手放してしまうと落下の危険性もあります。しかし、撤収するCH-47Jの時間は非常に速い。

 戦闘加入する増援部隊、CH-47JA輸送ヘリコプター二機からのファストロープ降下により実質一個中隊が加わるのですね。空挺団尖兵中隊とともに主力が尖兵中隊の確保した新しいヘリコプター降着点へ続々と展開を開始します。ヘリボーンで空挺作戦は次の段階へ。

 FL-501やF-18という空挺機動車輌が欧州空挺部隊では開発されています、市場の自動ターレや簡易ゴルフカートというべき装備、座席等安全装備は一切無いが、目一杯乗れば牽引車と併せ8名程度を時速50km/h程度で数十km運べる、そんな装備が日本にも要る。

 高機動車、というよりも重迫撃砲牽引車として空輸された車両がそのまま120mRT重迫撃砲の陣地進入を完了し、加えて先行進入した迫撃砲部隊の機動支援に当る。空挺部隊では手空きとなった車輌には即座に次任務がある、大隊長は適宜その命令を出さねばならない。

 迫撃砲陣地には120mmRT重迫撃砲とL-16/81mm迫撃砲が並んで展開しています。L-16迫撃砲は空挺中隊に迫撃砲小隊として配備されており、第一線空挺部隊に強力な火力を供する。そして、空挺展開と空中機動展開した車両と共に、次の増援部隊が展開を始めます。

 完璧に擬装した高機動車が増援の迫撃砲小隊と共に空路先行展開した迫撃砲小隊へ重い81mm迫撃砲弾の補給を開始する、弾薬は重く人力搬送には限界がある、限られた弾薬で第一線へ火力支援を行っていた先行迫撃砲小隊には高機動車での弾薬補給は天恵といえる。

 空挺特科大隊主力の増援が、遂に到着した。120mmRT重迫撃砲が重迫撃砲牽引車に牽引され3門同時に展開する。簡便な大火力です、しかし何れは空挺特科大隊に対砲レーダ装置等を装備した指揮情報中隊を置き、M-777超軽量榴弾砲の様な装備が要るのでは、と。

 M-777榴弾砲はアメリカ海兵隊と一部の陸軍砲兵部隊で装備されるイギリス製超軽量火砲で、なんとUH-60JA多用途ヘリコプターでの空輸も可能、120mmRT重迫撃砲以上に命中精度が高く、アフガニスタンでは山頂に空輸展開し即席砲台が物凄い威力を発揮しました。

 完全に擬装された車両は間近でみますと一体何なのか分らない、という事があります。車両や個人擬装は自衛隊へ学べ、とはアメリカ軍が日米合同演習の際に研修へ来ていたほど。実際、アメリカ軍特殊部隊のここ20年の失敗は擬装不充分で発見された為、とも思える。

 射撃陣地へ展開を開始する120mmRT重迫撃砲、その向こうには別の増援を輸送したCH-47JA輸送ヘリコプターが離陸に備えている。空挺降下の部隊が確保した地域へ空中機動部隊が増援に至り、その確保した経路に沿って地上部隊の増援が本格化した状況です。

 AH-64D戦闘ヘリコプターが更に敵戦車部隊への強力な打撃力を発揮します。我が方の増援と共に敵部隊の反撃も徐々に戦車部隊を含むようになってきましたが、こちらには強力な戦闘ヘリコプターが遥か彼方からレーダー照準による正確無比な支援を行う事が可能だ。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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岐阜基地航空祭2019撮影徹底ガイド【二版】航空祭北側会場と南側会場の撮影条件徹底比較

2019-11-09 20:10:23 | 北大路機関特別企画
■令和元年岐阜航空祭
 岐阜基地航空祭撮影位置ガイド、令和元年岐阜基地航空祭という事で改めてもう少し深い内容で見てみたい。

 岐阜基地航空祭は一昨日掲載しました“岐阜基地航空祭2019撮影徹底ガイド”の続編としまして、北側会場の南側会場の重ねての比較を掲載しましょう。南側会場は順光が得られる、滑走路を挟み南北に分かれています岐阜基地の地形故に宿命といえるのですが、一つ。

 メイン会場である北側会場、逆光である、と繰り返し紹介していますが、写真をご覧いただければ印象は若干変ります。ブルーインパルス、管制塔と格納庫から北側会場と分かりますが、一部の飛行展示は更に北から進入しますので、順光で撮影する事も出来るのです。

 南側会場は良いぞ、と推しすぎた印象がありますので、南側にて撮影しますと着陸防護装置のバリヤー、そのワイヤー部分が入ったり、意外な混雑、そして滑走路の奥に見える航空機が初冬も残る陽炎に悩まされ、安易に南側の此処が良い、とも言いきれないのですね。

 北側会場、頑張って最前列を確保する事が出来ましたら、こうした編隊離陸を逆光の影響が少ない情景として仕上げる事が可能です。そして曇天の場合には、勿論望遠レンズの焦点距離にも拠りますが、被写体が低空の場合に限って、逆光の描写影響が少ないのですね。

 地上展示航空機が北側会場に集中していますので、地上展示航空機と着陸航空機とを含めた構図で写真を撮影しようとしますと北側会場のみ、より踏み込んで表現しますと、進入角度から、南側会場では地上展示航空機と着陸中の航空機を構図に収める事は出来ません。

 ファントム記念塗装機を此処で一つ。北側会場は逆光という事で飛行展示は撮影が難しいのですが、地上展示航空機は、その年度だけ、という文字通り記念塗装ですので、南側だけでは撮影出来ない、即ち安易に南側が順光で一番、と結論付ける事は出来ないのですね。

 F-2戦闘機が地上展示に並ぶ。FSX次期支援戦闘機と呼ばれXF-2として初飛行しF-2支援戦闘機として制式化し、運用区分統合によりF-2戦闘機へ。岐阜基地にはF-2開発の歴史と共に試作機も配備されています。兎に角、こうした情景も北側が撮影名所といえます。

 飛行展示にハイレートクライムで一挙に上昇するF-15イーグル、猛禽の名を冠した戦闘機離陸の真骨頂です。順光、順光ですね。しかし、高高度を飛行する機体は一部が北側会場から撮影した場合でも順光の位置まで進む事がありまして、北側会場の利点は侮れない。

 F-16機動飛行、こちらは南側会場から撮影です。やはり順光の王道はこちらとなるのですが。機動飛行は前後左右上下、いた下からは来ませんが、あらゆる三次元角度から飛来しますので、まだ空いている南側の方がカメラを自由に動かせる、そんな利点はありますね。

 南側会場、岐阜基地正門から近い。やはり航空祭なのだから普段見れない飛行展示を最大限撮影するには順光が嬉しい、こうした反論はあるでしょう。個人的に心の中の撮影位置を巡る葛藤を再現する様な論理構成なのですが。こうした順光写真は南でなければ無理だ。

 雲量。南側の情景ですが、快晴ですと青空に機体が映える、具体的に表現しますと航空情報や航空ファンにJウイングと今は無きエアワールドや航空ジャーナルは、大編隊の飛行を南側から撮影したものを基本的に掲載します。しかし、雲量が多いとどうなるでしょう。

 異機種大編隊。雲量が若干ありますと、こうした、白雲が航空機の鮮やかな塗装を覆ってしまいます。そして曇天となりましたらばどう頑張っても青空だけは不可能です。すると、南側の撮影利点は少々失われてしまうのですよね。こればかりは当日の天気で判断します。

 岐阜基地滑走路南側は良いぞ、と強調している一方で難しいのは、南側が何処まで解放されるのか、岐阜基地は様々な電装品や電子装備の評価支援を行いますので年度によっては開放される区間が狭く、着陸バリアーや滑走路の陽炎越しの構図しか撮れない年度もある。

 滑走路誘導路沿撮影位置、ここは北側メイン会場や正門から徒歩で行く事が出来ます。誘導路は着陸した航空機、特に戦闘機がエプロン地区へ戻る際に通行しますので、目の前を滑走路より誘導路へ“曲り”の構図で撮影でき、ドラッグシュート切り離し等も間近です。

 滑走路誘導路沿道の位置、基地外周道路に沿って徒歩で移動しまして、ほぼ混雑は無い、といえる立地なのですが、難点はやはり逆光であるのと、飲食模擬売店や売店に化粧室設備が遠い点でしょうか。ただ混雑は無理だが基地には入りたい、需要には見合うでしょう。

 ドラッグシュートとは着陸航空機を急減速させる為に開傘するパラシュート状の器材です。着陸と同時に展開する様相は勇壮ですが開場前に戻ってくる頃には既に無い、これは収納しているのではなく切り離しているのですね。整備隊の軽トラックが来て回収してゆく。

 航空宇宙博物館からの撮影について。難点は凄く遠い、正門から徒歩一時間十分程度を見込む必要があります。しかし、編隊を解いて着陸進入する航空機は、南側に旋回しますので、こうした構図での写真が撮影でき、航空宇宙博物館ならではの構図といえるのですね。

 犬山城からの情景。さて。基地の周りの撮影位置を前回幾つか紹介しましたので、もう一つ不思議な立地を。天守閣からの情景です。航空祭は家族サービス優先で無理だが、航空祭は見たい、そんな皆さんに、国宝天守閣に行こうよ、と誘導する、内緒撮影位置です。

 岐阜駅前タワー43から。さて。犬山城以外に岐阜城からも見えるのですが、ただ若干遠すぎますので、長望遠レンズが必要で、家族サービスに凄いレンズを持って行きますと意図を見抜かれるでしょうか。岐阜城から航空祭を撮る人は、多分居ないでしょうから、穴場だ。

 イオンからも見える、とは近所の方のお話しです。ただ、確かにイオンはあるが、目的外使用になりますので、あまりお勧めは出来ません。マンションから見えますので、基地近くのマンションに知人がいる、という方はそこから航空祭を見物、というものも多いとか。

 アピタからも見える、とは近所の方のお話しです。ただ、確かにアピタという総合スーパーは、三井山山頂から着陸航空機を撮影していますと眼下に見えるのですが、かなり距離がありますので、本当に見えるのかなあ、と思ったりもします。目的外使用になるけどね。

 岐阜基地航空祭は、奥が深い。なお、飲食の観点から航空祭を考えますと、北側会場の三柿野駅からエプロン地区までの経路が一番活気があります。グッズもグルメもグリコもある。最後のは語呂だ。しかし、南側会場にも模擬店と基地コンビニ、門前にもコンビニが。

 基地は幾つかのゲートがありますが、どの門から入れば良いかは会場次第です。また、どのJRと名鉄の何処の駅が良いか、敢えて遠回りの方が混雑しない事も、混む事も。このあたりは毎年行列の誘導方法により一概に言えません。それもまあ、愉しみの一つですね。航空祭は明日だ。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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令和元年度十一月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2019.11.09-11.10)

2019-11-08 20:08:52 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 先週は入間航空祭か明野航空祭かを迷われた皆様いかがお過ごしでしょうか。今週末の行事紹介ですが、今週末も凄い。

 三大航空祭が今週末に執り行われる。今週末日本列島は三つの航空祭が執り行われまして、航空祭の予定には悩むところです。立川防災航空祭、岐阜基地航空祭、小牧基地航空祭、今週末に執り行われます航空祭はこの三つ。先週行われた明野航空祭と立川防災航空祭が入れ替われば東海三県航空祭決戦、となったのでしょうか。首都圏の立川防災航空祭とは。

 立川防災航空祭は東部方面航空隊本部と東部方面ヘリコプター隊に第1師団隷下の第1飛行隊が駐屯すると共に立川国家防災拠点が置かれ、首都直下型地震等の東京が機能不随となった際に政府首脳が退避し国家機能を継続する日本国家防災最後の砦です。東京消防庁や横浜市消防局に警視庁航空隊から国土交通省等の防災航空機が一堂に会する航空祭です。

 小牧基地航空祭、令和元年小牧基地航空祭は土曜日に挙行されます。県営名古屋空港と滑走路を共用する飛行場は第1輸送航空隊の自衛隊唯一のC-130H航空部隊と、全国の航空救難部隊教育訓練を一手に担う救難教育隊とUH-60J救難ヘリコプターにU-125救難機、そして不可欠な防空管制と航空管制教育を担う第5術科学校が展開している自衛隊基地だ。

 平成最後の航空祭として三月に航空祭が挙行されていますが、今年二回目の航空祭は三月の航空祭が昨年度、明日挙行される航空祭が今年度、つまり令和元年小牧基地航空祭、という事になります。小牧基地は名古屋市営地下鉄から名鉄小牧線牛山駅より徒歩直ぐ。土曜日に執り行われますが日曜日に小牧から20km先の岐阜基地にて、航空祭が行われる。

 岐阜基地航空祭、飛行開発実験団と航空自衛隊第二補給処、そして中京地区と京阪地区及び若狭地区の戦域防空を担う第4高射群が展開する航空自衛隊基地です。名物は異機種大編隊、今年度の異機種大編隊は航空機エンジン関連及び燃料供給関係の器材問題から航空教育と連絡飛行に重要な位置づけであるT-4練習機が参加出来ない特別な航空祭という。

 岐阜基地は交通便利な基地として有名で、滑走路に並行し名鉄線とJR線が、また名鉄は名古屋から犬山線か名古屋本線各務原線経由で移動する事も出来まして、要するに上下線どちらでも行く事が出来る交通の便利さ、非電化区間ですがJR高山線にて東海道本線への連絡も便利、基地の周りには多数の駅があり混雑しますが徒歩渋滞は回避出来るのが嬉しい。

 桂駐屯地創設記念行事、京都市唯一の自衛隊駐屯地です。桂駐屯地には中部方面隊直轄部隊の全般後方支援を担う中部方面後方支援隊本部が置かれ、現在では即応予備自衛官の大胆な編成化により、方面隊の強靭な後方支援体制を支える編成です。阪急京都線の高架から毎日眺められる並木が美しく、更には阪急線で寝坊しても京都から行ける利便性という。

 施設学校創設記念勝田駐屯地祭、陸上自衛隊の施設科部隊に関する幹部教育及び専門教育と戦術研究に各種装備の評価試験を行う茨城県の駐屯地です。施設科部隊は92式地雷原処理車や施設作業車等の戦闘工兵から92式浮橋や重パネル橋等の建設工兵装備を多数揃えている。天下の副将軍水戸黄門で有名な常磐線水戸駅を一つ仙台へ進みますと勝田駅に至る。

 別府駐屯地創設記念行事。第4師団隷下の第41普通科連隊が駐屯しています。冬になりますと心惹かれる地名別府は、第41普通科連隊駐屯に併せて教育団は相浦駐屯地へ。朝鮮半島に近い第4師団は現在でこそ軽装備の地域配備師団となりましたが、元々は朝鮮半島有事への我が国影響へ備え沿岸配備師団として重装備を以て編成されていた歴史があります。

 海上自衛隊艦艇広報は二つ。下田港特務艇はしだて一般公開が静岡県下田市外が岡岸壁にて実施されます。水中処分母船5号調川港松浦こども博が長崎県松浦市にて実施されまして少々交通難所との事からシャトルバスが運行されるという。はしだて、は迎賓と災害時の病院船として運用され、水中処分母船は機雷戦における水中処分員の支援が任務です。

 さて撮影の話題を。自衛隊行事にさいしましてやはり遠出するからには美味しいものを、という主旨の話題はこれまでも繰り返し提示しているのですが、特に会社や自治会に消防団の集まりではなかなか楽しめないもの、というものを堪能してみるべきかもしれません、例えば食べることが出来ても楽しむことが難しいのはスペアリブや鮪のカマ焼きだ、と考えるのですが。

 スペアリブなどは、骨付き肉ですのでステーキのようなナイフとフォークのお上品な食べ方、嗜み方では、骨がまとうコラーゲンや筋肉質の筋に軟骨部分を楽しめません、野性的に一種野蛮にカジリツクのが理想なのですが、何しろ知っている人たちばかりのところでダイナミックな頂き方を示してしまいますと後々言われる、が、これは我流で楽しみたい。

 鮪のカマ焼きなども単なる肉質部分だけをお箸でお上品に頂くのではなく、あのカマ焼きの醍醐味は骨、魚類なのか自信がなくなるほどの強靱な骨身に根付く脂肉と骨の髄の独特のかみ応えが醍醐味なのですが、まじめに頂くとが意見はかなりサバイバル、しかし周囲に忖度し素材本来の味わいを捨ているのが現代人の悲しさ、遠出したからには、楽しもう。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・施設学校創設記念勝田駐屯地祭…https://www.mod.go.jp/gsdf/eae/ 
・立川防災航空祭2019…https://www.mod.go.jp/gsdf/eae/
・下田港特務艇はしだて一般公開…https://www.mod.go.jp/msdf/
・小牧基地航空祭2019…https://www.mod.go.jp/asdf/komaki/
・岐阜基地航空祭2019…https://www.mod.go.jp/asdf/gifu/
・桂駐屯地創設記念行事…https://www.mod.go.jp/gsdf/mae/
・別府駐屯地創設記念行事…https://www.mod.go.jp/gsdf/wae/
・水中処分母船5号調川港松浦こども博一般公開…https://www.mod.go.jp/msdf/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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岐阜基地航空祭2019撮影徹底ガイド!令和元年の飛行開発実験団撮影ポイント厳選十二選

2019-11-07 20:05:20 | 北大路機関特別企画
■岐阜航空祭,十二撮影名所案内
 日曜日に迫る岐阜基地航空祭、令和元年の記念すべき航空祭はいよいよです。本日は岐阜基地航空祭を前に十二の撮影位置を紹介し撮影ガイドとしました。

 岐阜基地航空祭、ここは名古屋近郊の岐阜県各務原市に位置していまして日本最古の飛行場です。そして評価試験と技術開発部隊である飛行開発実験団が展開していまして、航空自衛隊の主要な機種が一堂に会する航空祭でもあります。そして周辺には駅が数多い。

 岐阜基地航空祭2019撮影ガイド、令和元年ということもあり改めて基地内と市内の撮影位置を紹介しましょう。基地内には滑走路北側メイン会場、滑走路南側の基地南会場があり、市内には三井山や博物館に産業会館や県警航空隊前と古墳前や航空公園等があります。

 岐阜基地航空祭は撮影位置が数多くありまして、基地は広く、エプロン地区か基地司令部近くか、一つ外に出るかで、どの撮影位置から撮影するかにより撮影の写真仕上がりは全く別次元のものとなります。それでは以下に航空祭の撮影ガイドを掲載してゆきましょう。

 岐阜基地航空祭ですが、一般駐車場はありません。また毎年大規模な交通渋滞と路上駐車が検挙されていまして周辺では問題となっているようでして、鉄道駅が滑走路に沿ってJRと名鉄があり、岐阜市と名古屋市と高山市から路線で一本と便利ですので是非鉄道をご利用ください。

 ATD-X先端技術実証機、北側メイン会場の防衛装備庁格納庫において一般公開の様子です。北側会場は逆光なのですが、しかし航空機格納庫はすべてエプロン地区が置かれる北側会場に並び、岐阜でなければ世界中どこでも見られない機体や装備もあり、一度は行きたい。

 基地を巡る撮影位置は数多ありますが、時間は有限です。そして撮影位置と撮影位置は意外には慣れています。楽しい時間でも、気付けば時間は過ぎ去ってしまうもの。ゆったり見るか、おもいきり良い撮影環境へ躍動するか、家族で巡るか、友人知人と写真を競うか。

 F-4ファントムの列線、ここまでF-4が並ぶのは貴重な情景ですが、これは岐阜基地開庁60周年に併せて飛行開発実験団が保有するF-4ファントム、F-4EJもF-4EJ改も全て並べた際の貴重な情景です。岐阜基地航空祭は毎年主題が素晴らしく、毎年通いたい航空祭だ。

 基地北側会場は飛行開発実験団本部が置かれ、メイン会場と呼ばれています、戦闘機や輸送機に試作機の地上展示や新装備は全てこちら側で行われます。ただ、南の滑走路、その大空の向こうには太陽が在りますので、どうしても陽射し、逆光となってしまうのですね。

 ブルーインパルス飛行展示、北側会場は最も活気ある会場でして、滑走路に並行して国道21号線、そして更に並行して名鉄各務原線とJR高山線沿線が広がりますので、駅から近く、その分の活気が凄いといいますか混雑します。航空祭らしい活況を記録できるという。

 F-4ファントム編隊離陸、北側会場の最前列付近から撮影しました。開門二時間前までに基地近くに進出し開門を待つと同時に素早く最前列に向かいますと確保出来る。厳しい事を言うようですが、岐阜基地航空祭は自衛隊航空祭で五本指に入る活況ですが、迫力も凄い。

 異機種大編隊を北側会場最前列付近から撮影、逆光はどうしてもこうなりますが、大編隊は午後に実施されますので、午前中早い時間程逆光は凄くありません。ただ、やはり逆光には変わらず、どうしても機体の色は黒く空は灰色と仕上がる、メイン会場の宿命ですね。

 KC-767離陸の様子を北側会場格納庫前から。格納庫前というのは最前列への別名各務原岐阜基地マラソン、いや走るのは厳禁というから競歩大会か、そこで最前列のゴールに後れを取った際の次善策ですが、こうした構図で撮影出来ます。航空祭の活況は伝わります。

 逆光、午前中の逆光が凄い、という写真はこうです。なにかUFO写真のように不鮮明になる程に逆光ですが、滑走路の南側に行かない限り、結局はこの構図、真っ黒の度合いに多寡が生じる程度、となります。故に南側会場はじめ写真を撮る人は北側から移動してゆく。

 航空祭南側会場、岐阜基地航空祭の基地内での撮影位置です。青空と共に鮮やかな機体が映える。岐阜基地は飛行開発実験団の基地、即ち新型航空機の試験や新装備開発を行う関係上、試作機塗装や試験塗装を行う鮮やかな機体が多く、これ順光で撮るとこうなります。

 F-15戦闘機と管制塔に、バス。写真にはF-15の前に大量のバスが並ぶ様子が見えますが、北側会場から南側会場までは数十台の路線バスが有料ですが臨時バスを運行しています。時間帯にもよりますが十五分も並べば乗れる。混雑時では徒歩だと50分というところか。

 ブラックファントムと岐阜基地管制塔の構図を南側会場最前列から。南側会場の構図は順光であるとともに管制塔や格納庫を構図に含める事が出来、これが自衛隊基地らしい情景に仕上がるのですね。ただ、年々混雑が激しくなり、最前列確保も簡単ではありません。

 異機種大編隊を南側会場から見上げる。どうでしょう、北側会場で撮影した異機種大編隊の写真と見比べてみてください、と通販番組のような口上で説明したい程に、巡航と逆光を教科書的に違いを見せてくれます。ただ、順光も、曇天ですとこの限りではありません。

 ブルーインパルスを北側会場の後ろ寄りより撮影します。南側会場も最前列確保が年々難しくなると紹介しましたが、飛行展示が始まりますと航空機を撮影するのですから、あまり滑走路が見えるか否かは関係なくなります。青空を背景に美麗優美な飛行展示が一望に。

 南側丘陵地帯からF-4戦闘機の編隊離陸を眺める。脚立を使った構図に見えますが、実は南側会場の一部が少しだけ盛り上がっていまして、こうした構図も撮影出来ます。滑走路と航空機という構図、順光で編隊離陸を撮影、北側会場での離陸写真と比較してください。

 各務原飛行場百周年の特別塗装機、F-4戦闘機のこの機体は現在は用途廃止となり、地上展示に並ぶ一因となりました。機体は真下にメッセージが、というものがありますが、逆光ですとこれも撮影出来ません。南側会場の面白い構図の一つといえるかもしれませんね。

 百周年ファントムとマンション、南側会場にて撮影できる面白い構図のひとつですね。この他に、このマンションの目の前、基地の中ですが誘導路沿いを進む機体を真正面から撮影する、という構図もあります。逆光ですが、比較的混雑が無く家族向けの立地でしょう。

 南側会場は順光でいいよ、とは何度も紹介しましたが忘れている事が一つありました、曇天だとこういう構図になります。雨天だと、飛ばない事もありますが。ただ売店も模擬店もありますので、北側ほどは混雑しない、南には曇天でも利点はあるのですけれども、ね。

 基地の混雑はもう嫌だ、そう思われる場合には思い切って基地の外から撮影する、という選択肢もあります。岐阜基地、周りには寺社仏閣と古墳に市民公園と公共建築物展望室に博物館から撮影出来ます。どこも素晴らしい撮影ができ、散策も航空祭の愉しみなのやも。

 かかみがはら航空宇宙博物館から見上げた異機種大編隊、南側会場から更に奥に所在する日本有数の航空技術博物館なのですが、ここは順光で撮影名所なのです。ただ基地との間に丘陵地がありますので滑走路は全く見えないのですが、手洗いや自販機もあり便利です。

 かかみがはら航空宇宙博物館からF-15戦闘機の機動飛行を見上げる。航空祭は万一を考慮し基本的に飛行展示を滑走路状で行います、するとメイン会場からは機体の底部ばかりみえるのみでなかなか機体上面、背中が見えません。これが見えるのも博物館利点のひとつ。

 三井山山頂からの俯瞰風景、三井山は各務原市の城址公園で安土桃山時代に此処に三井城がありました、近くの国宝犬山城と共に木曽川沿いの要衝で、登山は徒歩十五分ほど、標高も100mありませんが、上りますと眼下に岐阜基地エプロン地区が一望できるのですね。

 三井山山頂から離陸する構図は各務原市市街地と戦闘機、という勇壮な光景を一望できます。ただ、山頂には展望台と屋根はありますが手洗いは麓のみ、其処以外は軽犯罪法違反だ。自販機もありませんし、多少山道となっていますので撮影に際しては準備が必要です。

 矢熊山佛眼院という木曽川近くの山頂寺院から望見した岐阜城と岐阜基地です。美濃新四国霊場25札所の弘法様や日露戦争慰霊碑が見守る小高い山頂の寺院は岐阜基地を一望できます。そして展望所には休憩所のベンチや屋根があり、家族向けの立地といえましょう。

 正門前から見上げたF-2戦闘機二機編隊、離陸の様子を撮影したものです。戦闘機も正門から出てゆくのかと問われますとそうではなく、滑走路の離陸延長線上に在るため。岐阜基地正門は陸上自衛隊岐阜分屯地の前に在り、駅前の門は実は正門では無かったりします。

 正門付近から撮影する場合ですが、離陸を撮影する事となります。これは徐々に高度が高くなってゆくために着陸よりは撮影が難しいのですけれども利点が一つ、離陸していますので脚部が格納されているのですね。着陸よりも躍動感ある構図で撮影できるでしょう。

 岐阜県警航空隊前から撮影した誘導路を進むC-2輸送機とT-4練習機の様子です。岐阜県警航空隊は正門とは正反対、名鉄二十軒駅から徒歩十分の立地にあります。誘導路を進む機体を真正面から撮影できるのですが、金網があり植え込みもあり、多人数は厳しいやも。

 各務原産業文化センター展望室から撮影しました異機種大編隊の様子です。名鉄各務原市役所前駅の目の前に在る公共施設で写真右側の建物が市役所です。展望レストランもあります。ただ展望室という関係上ガラス越しの構図に。他方、名古屋の高層ビル群も見える。

 炉畑遺跡公園、名鉄名電各務原駅とJR各務原駅から徒歩十分の位置にあります遺跡なのですが、此処から撮影しますと桜並木と着陸する航空機を良好に撮影出来ます。流石にこの季節に桜花は無理ですが、桜並木の紅葉と背景に着陸機や編隊飛行を撮影できるでしょう。

 空の森運動公園のF-35戦闘機を。岐阜基地平日撮影の定番は此処、という別名各務原航空公園からの撮影です。航空祭期間は例年駐車場がキャンピングカーで賑わうとの事で、近所から苦情が出た為に駐車場は閉鎖されていると聞きましたが、名鉄二十軒駅で徒歩すぐ。

 かかみがはら航空宇宙博物館、三井城址三井山山頂、岐阜県警航空隊前、矢熊山佛眼院、各務原産業文化センター展望室、炉畑遺跡公園、空の森運動公園。基地周辺の撮影位置となりますと、こうしたところでしょうか。まだ数多くあり、是非、散策してみてください。

 北側メイン会場最前列と後列、南側会場最前列と後列、岐阜基地正門付近。基地の周辺と基地の南北とで十二の撮影位置を紹介してみました。航空祭本番は日曜日、基地で航空機を撮影するのも見上げるだけでも迫力は素晴らしく、散策される際に参考となれば幸いです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【G3X撮影速報】岐阜基地航空祭異機種大編隊予行と岐阜城金華山の天守閣(2019-11-06)

2019-11-06 20:19:30 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■岐阜新名物に大編隊と天守閣
 大編隊と天守閣、この題材で撮影しようと日本地図を俯瞰しますと中々に重なりません、浜松か中津は遠いか、そんな中で本日は興味深い構図を。新名物にできないか。

 岐阜基地航空祭2019はいよいよ今週末です。航空祭の名物というものは基地により色々とありまして、千歳基地は政府専用機、百里基地はファントム大編隊、小牧基地はC-130編隊に小松基地が飛行教導群、来年度こそは三沢基地にF-35編隊が名物となりましょう。

 異機種大編隊、岐阜基地名物は毎年この編隊です。しかし、毎年この名物は続くのですが構成する機体は徐々に変わります、昔はT-33練習機やF-104戦闘機が混じった時代があると資料館写真で分かりますし、私の世代はT-2練習機が去ってF-2支援戦闘機が加わった。

 伊吹山の伊吹おろし、岐阜基地は日本最古の飛行場ですが、此処に日本最初の飛行場が建設された背景には良好な気流の環境があります。さて航空祭を撮るには何か主題が欲しいところですが、伊吹と飛行展示を収めるには少々角度が難しい、すると城郭に気付きます。

 C-1輸送機を中心に飛行開発実験団の各種航空機が構成する大編隊は輸送機に戦闘機と練習機、戦闘機は旧区分の支援戦闘機と要撃機が加わり一部は試作機という、評価試験と装備開発を担う岐阜基地ならではの情景を見上げる事が出来ます。C-1もいつかはC-2に。

 織田信長岐阜城、毎週水曜日は京都幕間旅情として美しい情景で旅路へ誘っている北大路機関ですが、今週は岐阜城です。そしてこの岐阜基地航空祭とその予行期間には岐阜城の背景に異機種大編隊という、一年間に数日間のみ見られる不可思議情景を愉しめるのです。

 航空祭の編隊は古参航空機と最新航空機が共に編隊を組む情景とともに、最新航空機が更に加わればそれは最古参の機種が長い防空の役目を終える事となりまして、毎年同じ様に見える大編隊も観返せば毎年個性がある。そんな情景を一つ、日本的城郭背景に撮りたい。

 木曾川堤防、日本有数の河川ですが此処はいつか来る巨大水害に備え万里の長城よりも高い巨大堤防が水害に備えています、その高い堤防の歩道や散策路は、下手な展望台よりも眺望素晴らしく、遠くからでも眺望抜群だ。ここから異機種大編隊は順光で一望できます。

 江戸時代には加納藩として岐阜の街は岐阜城城郭を今日の岐阜駅前に移して金華山山頂の岐阜城の時代は非常に短く廃城となり、明治以降観光地として再興された岐阜城も第二次大戦中に防空上の理由から廃止されていますが、戦後再建された岐阜城は永く威容湛える。

 城郭と大編隊という情景ですが、実は岐阜基地航空祭本番では撮影出来ません、角度から大編隊と城郭が重ならないのですね。そして岐阜城からも岐阜基地は眼下一望の情景に収まりますが、登城してしまいますと逆に城郭と大編隊は撮影出来ません、距離が必要だ。

 御嶽山が見えるか、噴火災害により登山者に大損害が出ました岐阜長野県境の火山ですが、異機種大編隊と金華山を丁度良く撮影するには、ある程度離れなければなりません。そうしませんと稜線の奥に編隊が入ってしまう、その塩梅を見極めるのが御嶽山が見えるか。

 F-15戦闘機にF-2戦闘機とT-4練習機にC-1輸送機、この大編隊を撮影するのですが城郭と大編隊を入れるには角度と共に視程も重要で、御嶽山が霞み見えない状況は、城郭と編隊を構図に入れるには厳しいものがありまして普通に基地付近で撮った方が良いでしょう。

 航空祭本番は地上展示航空機を丹念に眺め機動飛行や模擬対地攻撃の迫力を万全に撮影したいものですので、流石に岐阜城と大編隊を撮影する為に、基地から遠く離れるのは勇気が必要です。するとどうしても予行の数回だけが、城郭と大編隊を撮影できる一日となる。

 飛行開発実験団は岐阜基地航空祭予行について、航空祭事前訓練日としまして岐阜基地HPにその実施概要、飛行展示事前訓練の時間帯と参加航空機規模を掲載しています。これは騒音に対する謝意と説明が目的なのですが、予行の飛行プログラムともいえるでしょう。

 撮影適地は、航空祭の撮影定番をこれまで幾度か紹介して参りましたが、今回は岐阜城を背景に撮るという、ちょっと変わった構図を紹介してみました。航空祭本番は日曜日ですが、それまで予行が続きます。皆様も一つ大空を気にした散歩を愉しんでは如何でしょう。

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ヘリウム危機と尖閣諸島南シナ海危機,シェールガス革命が意図せず煽る日中間海洋緊張の再燃

2019-11-05 20:11:30 | 国際・政治
■天然ガス副産物のヘリウム
 ヘリウム危機、身近には風船ガス程度にしか実感のない物質の世界的不足を背景に日中間の緊張が今後、再燃するかもしれません。

 ヘリウム危機により尖閣諸島や東シナ海を巡る日中の緊張が再燃する、こう表現しますと首を傾げる方が多いでしょう。再燃しようにもヘリウムは燃えない、その通り。しかし燃えない安定した物質であるヘリウムの特性、そして現在、“ヘリウム危機”というべき世界的なヘリウム不足という状況が南西諸島へ軍事圧力を複雑化させる可能性があるのです。

 ヘリウム危機とは、世界的なヘリウム供給量の不足です。その背景としまして、天然ガスの代替物質であるシェールガス開発により天然ガス掘削が減少しており、結果的に天然ガス掘削の副産物であるヘリウムの産出量も減少している、という状況です。ヘリウム生産量はアメリカ合衆国が世界の60%、続いてカタールが天然ガスと併せて産出しています。

 アメリカが世界の60%を生産し、この他に中東のカタールが世界供給量の30%を天然ガスと共に産出しています。しかし、カタールでは地域大国サウジアラビアとの対立により、天然ガス掘削安定性が担保出来ません。そしてサウジアラビアにはカタールに代わるヘリウム産出への天然ガス田が無く、原油に代わる新しい問題が中東で生じつつあるのですね。

 日本物理学会が、この“ヘリウム危機”に対して政府へヘリウムの国家備蓄を含める確保を呼び掛けるとしており、半導体生産や医療機器整備と運用、そして科学基礎研究分野へ既に生じている影響に警鐘を鳴らしています。実際、ヘリウム輸入価格は2019年時点で十年前の2009年の三倍となっており、加えて市場への供給量にも影響が生じているとのこと。

 ヘリウムの需要は急速に増大しており、特に光ファイバーや半導体製造に用いられる事から先進国であるほど影響は大きい事となる。しかし問題は、天然ガス掘削の副産物であるという点が、尖閣諸島問題に直結するという点です。ヘリウム危機が尖閣諸島危機に繋がる背景には、ヘリウム不足は世界的であり、日本だけが不足しているのではない構図が。

 半導体生産や先端医療機器の需要は、寧ろ日本よりも半導体生産に注力する中国こと深刻な問題であり、中国国内には有望なヘリウム産出地域がありません。しかし、我が国沖縄県に視線を写しますと、南西諸島南部の尖閣諸島周辺には有望な天然ガス田があり、此処を掘削開発するならば、燃料である天然ガスと同時にヘリウムが産出する事となるのです。

 東シナ海天然ガス田は、白樺/春暁ガス田、楠/断橋ガス田、樫/天外天ガス田、平湖ガス田、桔梗/冷泉ガス田、翌檜/龍井ガス田等が存在しており、これらの天然ガスは国連海洋法条約に基づく等距離中間線、日中等距離中間線付近に所在しています。しかし、中国は国連海洋法条約に批准しつつ、このでは大陸棚条約に基づく権利を主張し問題化し、今日に至る。

 東シナ海天然ガス田問題が日中間で生じたのは1981年、天然ガス田の日中共同開発などが模索されましたが、1999年に中国側が我が国との合意なしに一方的に掘削施設建設を開始した事が海上自衛隊P-3C哨戒機等による情報収集により判明、我が国は国連海洋法条約に基づき国際司法裁判所や国際海洋法裁判所に付託を提案していますが、中国が応じません。

 ヘリウム不足であるから即座に日中が東シナ海や尖閣諸島周辺にて護衛艦と駆逐艦がにらみ合う状況、という事とはなりません。しかし問題の深刻さは、シェールガス開発の加速と共に今後もヘリウム不足が常態化する可能性が高いのです。当面はヘリウムリサイクル等の施策が検討されるでしょうが、抜本的解決策となれば新規のガス掘削しかありません。

 日本では当面、ヘリウムリサイクルを進め、加えて使用総量も局限する事で当面の影響を局限化する方針のようですが、これには限度は無いのでしょうか。先端工業としての半導体生産は我が国にも不可欠であると共に光ファイバー製造も更に進む情報化を前に需要が低下する見通しはありません。我が国としても南シナ海ガス田開発を進める必要は高まる。

 また、代替技術を我が国が開発できた、若しくは抜本的な回収技術を開発できたとしても、周辺国でのヘリウム代替物質実用化が実現しなければ、結局のところ天然ガスとその副産物ヘリウムに関して尖閣諸島や東シナ海での緊張が高まります。アメリカでの天然ガス開発増進への日米交渉はじめ、ヘリウム供給安定化は突沸した新しい関心事と云えましょう。

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【G3X撮影速報】第10師団創設57周年守山駐屯地祭.即応近代化師団の祭典(2019-10-27)

2019-11-04 20:08:26 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■尾張名古屋の師団祭
 第10師団守山駐屯地祭の速報記事は後篇としまして、いよいよ名古屋市内に戦車と火砲が吠える訓練展示模擬戦を紹介しましょう。

 観閲行進の殿を勤めるのは74式戦車、自衛隊行事では基本最後に勇壮な戦車隊の行進が行われます。今回の行事は昨年の観閲行進撮影位置から少し左側の低い位置から撮影しましたが、見返すともう少し低い位置から見上げる構図が良かった様にも思う次第です。

 訓練展示状況開始、春日井駐屯地第10偵察隊より87式偵察警戒車が情報収集へ展開しました。観閲行進に続きオートバイドリルや音楽演奏を挟み訓練展示が執り行われるのですが、撮影位置を観閲行進の撮影位置から訓練展示撮影適地へと改めて陣地変換を行った。

 偵察隊のオートバイが仮設敵陣地へ肉薄します。仮設敵は今回、ヘルメットカバーを外した89式鉄帽を着用し我が方と区別していますが、守山駐屯地に広く仮設陣地を広げていまして、対する第10師団も戦車部隊や特科部隊を展開させ、占領された地域奪還へむかう。

 87式偵察警戒車、25mm機関砲を以て威力偵察を担いますが、スタンド席の向こうに住宅街が見えまして、此処名名古屋市内で有る事を印象付ける構図に仕上げてみました。なお、遠くない将来に第10偵察隊と第10戦車大隊が統合され、偵察戦闘大隊へ改編される。

 狙撃班の前進、M-24狙撃銃と共に観測員は89式小銃を持つ。狙撃班は500mの狙撃による指揮官や重要目標を狙うと共に、潜伏斥候としての任務も有し、普通科部隊の地域占領や掃討を含む攻撃前進を支援します。ギリースーツと呼ばれる偽装装備が此処では目立つ。

 第10高射特科大隊が豊川駐屯地より前進、93式近距離地対空誘導弾により航空攻撃を警戒します。射程5kmの93式は対空戦闘情報システムと連接し、展開地域に広範な防空網を構成、大隊の第1中隊に12両が装備され、更に81式短距離誘導弾が第2中隊に置かれる。

 第10特殊武器防護隊の除染車が、敵は劣勢を補うべく化学砲弾を用い化学兵器による攻撃に出たとの想定の下、攻撃を受けた我が方は81mm迫撃砲手を始め防護マスクを装着し毒ガスを凌いでいます。ただこれでは凌ぐだけですので除染車から中和剤を撒き無毒化する。

 UH-1J多用途ヘリコプターの展開、明野駐屯地第10飛行隊だ。敵による科学攻撃は迫撃砲により実施されたと我が斥候の報告を受け、更なる化学兵器使用を阻止するべく師団はレンジャーの投入を決定、臨時編成されたレンジャー小隊がヘリコプターにより進入すます。

 レンジャーは仮設敵が立て籠もる守山ビルを制圧するべくロープ進入する。守山ビルは高い視野から敵が観測点として用いているとみられ、此処をレンジャーが制圧する事は敵の観測点を潰し情報優位を喪失させる意味もあります。青空に映える自衛隊の迷彩が眩しい。

 レンジャーは守山ビルを制圧奪取すると共に敵迫撃砲陣地を急襲、後方から89式小銃を一斉射撃し瞬時に毒ガスをまき散らす敵迫撃砲陣地は制圧されました。しかしレンジャーはこの戦果に凱歌を挙げる暇も、休むことなく次の遊撃行動へと何処かへ去ってゆきました。

 74式戦車が前進を開始する。今津駐屯地第10戦車大隊より展開した74式戦車です。戦車は強力な装備ですが無計画に歩兵の間合いへ投入したならば瞬時に対戦車火器の猛威に無力化されますが、対戦車火器必中距離は500m以内、対戦車ミサイルは地形制約が大きい。

 第10戦車大隊がひと固まりで戦車を展開させてゆく。戦車は4000mから500mまでの距離に置いて猛威を発揮出来ます。この為に普通科部隊と連携する事が、重要なのですね。なお、遠くない将来、戦車大隊は廃止され16式機動戦闘車を装備する偵察戦闘大隊へ。

 FH-70榴弾砲が特科火砲の威力を以て攻撃準備射撃を展開します。FH-70は39口径榴弾砲で最大射程は39km、欧州共同開発の火砲をライセンス生産したもので、1970年代を目指した設計ですが、世界ではこの後の榴弾砲開発が進まず、今なお第一線級の威力をもつ。

 特科部隊の支援下に第35普通科連隊の主力が展開を始めました。軽装甲機動車から続々と普通科隊員が下車戦闘を開始します。軽装甲機動車は我が国独自の運用要求に基づき国産化された小型装甲車ですが、乗車戦闘に適した装備ながら下車戦闘へも投入されています。

 第35普通科連隊は本部管理中隊施設作業小隊が障害除去の準備へ展開しています、70式地雷原処理装置は人員用通路を爆導索を投射し地雷を誘爆させ展開するものです。爆導索は地雷原処理の王道ですが、敵も防御装備である地雷原を護るべく地雷処理部隊が標的に。

 第10衛生隊が展開、敵の攪乱射撃により発生した負傷者を救出するべく展開する。1t半救急車は装甲防護や心電図始め高度医療の装備はありません、予算不足は分かるのですがNBC偵察車か輸送防護車の車体を用いた装甲救急車が師団全体で8輌ほど必要ではないか。

 FH-70の射撃で敵の攪乱射撃を制圧する、対砲兵戦の発動だ。特殊BB装薬を用いれば射程は39kmとなるのですが、世界の火砲は射程を50kmに伸ばすよりも40km先の目標に正確に命中させる標定能力とその迅速化が注力されていまして、自衛隊もこの点に熱心だ。

 74式戦車が特科部隊支援下に更に前進する。対戦車火器の脅威はありますが50m以下まで接近しますと大半の対戦車火器は発射後安全装置が作動しない、新しい戦車の間合いとなります。第二世代戦車の74式戦車防御力は高くはありませんが歩兵火器に対しては強い。

 普通科部隊は戦車が構成した混乱を時機として一気に突撃に移行します。ただ、戦車の機動力に随伴するにはもう少し装甲車が必要であり、そして戦車が廃止され16式機動戦闘車へ置き換わる為に、輸送防護車か96式装輪装甲車等、まだ安い、装甲車の充実が必須に。

 MINIMIの掃射に打倒された仮設敵、普通科部隊は7.62mm機銃を排して5.56mm分隊機銃へ統合しました。この施策は一時識者に無謀と指摘されましたが、ドイツ連邦軍のMG-5機銃はじめNATOでも7.62mm機銃を歩兵装備から廃止する事例が散見され始めました。

 AH-1S対戦車ヘリコプター、敵戦車出現の急報に第5対戦車ヘリコプター隊が明野から駆け付けます。実に96機が調達されたAH-1S対戦車ヘリコプターですが後継のAH-64D戦闘ヘリコプターの調達が13機で打ち切られ、政府は中央で集中運用する方針へ切替えた。

 T-74戦車、AH-1S対戦車ヘリコプターにあっさり撃破されました。まわりから早かったなあ、かませ犬、はっやーい!と野次が飛ぶほどにT-74戦車は破壊されています。ソ連製T-72と同世代のT-74戦車、仮設敵として自衛隊行事ではまだ74式戦車と定番の激戦を広げる。

 AH-1S対戦車ヘリコプターが勝ち誇るように旋回する。結局延命改修という機会を富士重工と政府のAH-64D訴訟により逸しました。62機調達する予定を13機で取りやめた為に損失補てんを求める裁判、国が変な朝令暮改を行った事で防衛基盤は着実に瓦解してゆく。

 BTR-96装甲車が、俺が居る俺が残っている、と勝ち誇るように重機関銃を射撃し突如飛び出してきましたが、その直後にも猛烈な衝撃波と刹那おいて轟音が、そう、出た瞬間に我が74式戦車に撃破される。まわりから早かったなあ、かませ犬、はっやーい!と野次が。

 74式戦車が最後の敵の逆襲部隊を制圧し、状況は終了となりました。しかし守山駐屯地、年々建物が建て替えと取り壊しで風景が寂しく、更には名古屋市内ですが周りにタワーマンションなども無い為、ちょっと大きな地方都市、という情景が少々寂しかったですね。

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XUH-2新多用途ヘリコプター,令和元年明野航空祭にて初公開!富士重工SUBARU製新型機

2019-11-03 20:00:07 | 先端軍事テクノロジー
■ベル412EPI自衛隊仕様機
 最新鋭!。自衛隊最新装備XUH-2新多用途ヘリコプター、本日実施されましたその初公開の様子を紹介しましょう。

 XUH-2,自衛隊の最新鋭航空機です。令和元年航空学校明野駐屯地祭において初公開されました。XUH-2は現行のUH-1J多用途ヘリコプター後継となる航空機で、UH-1系統のヘリコプターを1960年代からライセンス生産を手がける富士重工SUBARUにおいて開発されました。現在試験中であるXUH-2は試験完了と共にUH-2として全国へ配備が開始される。

 UH-Xとして開発されました本機種は、高温や高標高地域での運用適合性や長距離洋上飛行能力と現行機種にたいする航続距離などの面での優位性、そして一機あたり12億円程度という取得性の高さを見込んでいました。12億円でこの種のヘリコプター、洋上飛行を行う機体となれば、世界では比較的大型の多用途ヘリコプターが担う任務となっています。

 NH-90やEC-225はじめ世界の多用途ヘリコプターは人員20値名前後を輸送する規模の機体へと趨勢が移っていまして、このために機体価格が概ね邦貨換算40億円前後が基本、自衛隊の12億円という水準は不可能な領域といえました。このため、海外製航空機を取得するという選択肢は中々ありません。NH-90等を選定すれば毎年2機程度しか調達できない。

 国産案は、OH-1観測ヘリコプターを原型とする案やエアバスX-9新型ヘリコプターの日仏共同開発案、川崎BK-117ヘリコプターの胴体延長型にアグスタウェストランドAW-169輸入案など、幾つかの野心的な試案が検討されていますが結局のところコスト面で見通しが立たず、富士重工が提示したベル412EPIの自衛隊仕様の国内生産へと収斂しています。

 ベル412EPIはUH-1B多用途ヘリコプターの発展型の一つであり、エンジンを双発化し安定性を強化するとともにローターを四枚翅化し操縦性を強化したベル412を更にグラスコックピットやエンジン系統を近代化したもので原型は2013年にカナダで初飛行しました、自衛隊向けの機体そのものは2018年12月25日に群馬県にて、初飛行を迎えています。

 自衛隊は候補機からもっとも手堅い候補を選んだといえました。富士重工はUH-1の派生型であるAH-1Sも生産しています。412の機体は警視庁や海上保安庁、そして警察以外の防災ヘリコプターにて見慣れた機種を自衛隊迷彩に改めた、という印象は拭えませんが、その分、技術的冒険を冒しておらず、配備は技術面で順調に進みましょう。機体はグラスコックピットを採用していますので、この点でUH-1Jよりも先進的な機体といえます。

 問題は大量配備されたUH-1Jを置き換え、更に全廃される観測ヘリコプターを補完するには毎年10機近い数を取得せねばなりません。我が国経済はデフレ経済の後になかなかインフレに転じず物価は安定していますがその文系財政庁の面で世界から取り残されつつあります、すると世界で比較的安価な機種であっても自衛隊には高価格ということにもなる。

 ただし、国産機は継続的に維持しなければ将来、限られた数を維持するだけでも大きな防衛費増額を求められることとなるでしょう。これまで防衛省や政府は調達計画を度々反故に、防衛産業へ経済的損害を強いてきました。XUH-2を自衛隊の新しい標準機として広く活躍する多用途ヘリコプターへと育てる政治と国民の覚悟が、必要なのかもしれませんね。

 明野航空祭にてXUH-2公開、この情報と共に明野駐屯地明野航空祭へ久々に進出したのですが、この日は併せて永らく自衛隊にて活躍しましたOH-6D観測ヘリコプターの航空学校祭における最後の飛行展示が行われると共にOH-1への任務引継式、そしてAH-64D戦闘ヘリコプターはいよいよ18日から飛行再開となる等、転換期の航空祭でもありました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【土曜詳報】オタワHMCS-OTTAWA舞鶴親善訪問(2)カナダ艦の艦内旅行記(2019-08-24)

2019-11-02 20:15:59 | 世界の艦艇
■令和元年観艦式参加予定艦
 令和元年観艦式中止は残念でした、このオタワも観艦式外国祝賀艦として参加予定であっただけに再開を期待していましたので残念です。

 はるな型護衛艦、舞鶴に在った海上自衛隊最初のヘリコプター搭載護衛艦ですが、はるな型がHSS2を搭載しても、はるな型は大丈夫です、と完成させる事ができたのはベアトラップのお陰と言える。もっともカナダ海軍はより小型の艦にシーキングを搭載しました。

 ハリファクス級、一番艦ハリファクス、二番艦バンクーバー、三番艦ヴィルドケベック、四番艦トロント、五番艦レジャイナ、六番艦カルガリー、七番艦モントリオール、八番艦フレデリクトン、九番艦ウィニペグ、十番艦シャロットタウン、十一番セントジョーンズ。

 十二番艦オタワ、と都市名を冠しています。カナダの大都市がわかるありがたい名といいますか、カナダのフリゲイトを見たらばカナダ都市名をいえば確率は高い。1992年から1996年まで、むらさめ型護衛艦と同世代の艦が短期間で一挙に建造されたということ。

 英連邦の一員であるカナダは第二次大戦中にもイギリスより巡洋艦を貸与され、フィジー級のウガンダ、スイフトシェア級のオンタリオを運用していましたが、建国以来戦艦を運用した歴史はありません。しかし戦後1972年からDDH,これを初めて導入した歴史がある。

 ヘリコプター駆逐艦を運用した先駆者としてのカナダ海軍。イロコイ級駆逐艦は4隻建造、満載排水量4200tの駆逐艦でした。しかしベアトラップ着艦拘束装置の採用でシーキング対潜ヘリコプター2機を艦載機として運用、更に艦砲に5インチ砲も一門搭載していました。

 はつゆき型と同程度の水上戦闘艦にこの航空機運用能力は凄い。1986年には5インチ砲を取り外しMk41VLSを搭載、ターターシステム艦に改造されました、かなり興味深い艦で一度見てみたかったのですが2017年に最後の一隻が除籍されていまして、残念でした。

 カナダ海軍はハリファクス級とは別にDDHとして設計された四隻のイロコイ級を運用していました。最後の一隻が2017年に除籍されているのですが、DDHという呼称、ひゅうが型が望見できましたので、あれもDDHですよ,とちょっと異文化交流を試みたのですが。

 DDHの重視、しかしこれは言い換えればカナダ海軍が対潜戦闘を重視していることの裏返しでもあります、ハリファクス級は巡洋艦ではありませんので、大きさ、そして搭載できるものにも限度、多機能の中でも特に秀でた性能を全ての分野に含めることはできません。

 1960年代の第二次大戦型護衛駆逐艦後継構想、搭載出来る装備品は限られ、その選択肢の中でカナダ海軍が重視したのは対潜戦闘能力でした。サンローラン級護衛駆逐艦、イギリス供与の駆逐艦を置き換えたカナダ初の国産艦は対潜戦闘を重視した護衛駆逐艦でした。

 サンローラン級護衛駆逐艦満載排水量は2600tですが、ベアトラップ着艦拘束装置の追加によりシーキングヘリコプターの運用能力を付与させた事で注目されます。サンローラン級7隻、改良型でヘリ非搭載のレスティゴーシュ級12隻、揃った数が量産されてゆきます。

 マッケンジー級4隻は武装強化型の准同型艦、原型を大型化させヘリコプター整備性を強化したアナポリス級2隻、しかし、ミサイル時代にはいり潜水艦が対艦ミサイルを運用する時代にはいると何れも陳腐となり、思い切った大型艦で旧式艦を置き換える事とします。

 ハリファクス級はこうして生まれました。対潜戦闘を重視するべくSQR-501戦術曳航ソナーの搭載と大型対潜ヘリコプターの搭載を第一とし、その上で対空戦闘や対水上戦闘にもバランスのとれた戦闘システムを構成する、ハリファクス級の設計哲学は以上の通りです。

 オタワを一見しての通り、船体はステルス性を重視しているような形状となっていますが、どちらかといえばこれは北太平洋と北大西洋の厳しい環境に露天設備を局限化した結果、といえるのかもしれません。実際、艦橋構造等は通路が目抜き構造となっていまして。

 北太平洋を航行中にこの目貫構造の通路でコインでも落としたらば、と若干心配になる構造ではありましたが、言い換えれば水がたまれば氷結し危険である、ということの裏返しなのでしょう。波浪もきつく、甲板を閉塞舷側構造とする設計はステルスよりも船として。

 一方、今回の日本訪問は親善訪問が目的ですが、任務は北朝鮮の国連制裁違反である瀬取監視、このために12.7mm重機関銃を6丁、舷側や丈夫構造物に搭載していました。他方、アメリカ駆逐艦の様な銃座付近の防弾板陣地は無く、まだまだ平和な状況を想定している。

 ゾディアック、と大書された複合高速艇、ゾディアックはこの種の搭載艇の有力メーカーですが、もう一つ、無人対水上標的が二隻搭載されていました。やはり親善訓練を行うため、という事なのでしょうか、それとも危ない不審船への臨検支援用なのでしょうか。

 無人対水上標的は、用途を標的と強調されましたので、素朴な疑問は素朴な回答で終わったのですが、塗装は黒く、なんといいますか照準しにくい塗装のものに敢えて照準を行う訓練、という事なのでしょうか。これら併せて搭載艇は全部で4隻搭載している構図に。

 カナダはカナダ統合軍として陸海空を統合運用しているため、正確にはカナダ統合軍海上部隊という公称なのですが、カナダ海軍の方が通りがよい。さてこの通りの良い名の海軍、カナダは海上保安庁や沿岸警備隊にあたる準軍隊の海上法執行機関がなく海軍が担います。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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令和元年度十一月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2019.11.02-11.04)

2019-11-01 20:14:12 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 心高鳴る三連休を迎えます今週末ですが皆様いかがお過ごしでしょうか、いよいよ十一月となりましたね。

 入間基地航空祭、日曜日十一月三日に行われます。埼玉県狭山市稲荷山に所在する自衛隊基地で中部方面航空隊司令部の置かれる本土防空の拠点であり、中部航空警戒管制団本部、総隊司令部支援飛行隊、航空救難団本部、航空支援集団第2輸送航空隊、飛行点検隊、航空戦術教導団電子作戦群、第3補給処、第4補給処、第1高射群、等が置かれています。

 文化の日こと十一月三日に毎年行われる航空祭は航空自衛隊最大の入場者を誇り、入間かコミケか、人間墓地航空祭等、多忙と過労と飛行展示が楽しめる航空祭です。C-1輸送機大編隊にYS-11FCや総隊司令部T-4等の飛行展示も素晴らしいのですが、池袋から西武電車で一本、基地内に駅がある程の好立地故に都心から来場者がピストン輸送される為、混む。

 入間基地航空祭は30万規模の来場者に賑わった事がありますが、特に大変なのは基地を出る際に出場制限が数時間に昇るということ。西武鉄道稲荷山駅が基地内にあります。ただ混雑する場合は方面航空隊司令部側から基地を出て入間市駅を利用するなど、ある意味稲荷山駅を避ける経路を利用すると安全かもしれません。お手洗いなどの大行列に注意です。

 明野航空祭、三重県伊勢市に所在する陸上自衛隊明野駐屯地で執り行われる航空祭です。明野駐屯地には航空学校本校と中部方面航空隊第5対戦車ヘリコプター隊、第10師団隷下第10飛行隊が展開しています。OH-1観測ヘリコプターやAH-64D戦闘ヘリコプターの飛行展示が有名ですが、今年度はどうか。また最新鋭UH-2多用途ヘリコプターも試験中だ。

 AH-64D戦闘ヘリコプターについては本日報道があり、昨年目達原駐屯地の機体により佐賀県神埼市にて発生した墜落事故から飛行訓練を中止していますが、事故再発防止措置が完了したとの事で、防衛省は今月中旬にも先ず航空学校の置かれる明野駐屯地において今月中旬に飛行を再開する、防衛省が佐賀県神埼市において説明会を実施しました。漸くだ。

 福知山駐屯地創設記念行事、京都府福知山市に所在する駐屯地で第3師団隷下の第7普通科連隊が駐屯しています。日曜日に挙行される。実は例年、土曜日に市街パレードが執り行われ、日曜日に駐屯地にて観閲行進や訓練展示が執り行われるのですが、本年は相次いだ台風災害への行事一部自粛のかたちにて、日曜日の駐屯地祭のみの開催となりました。

 第7普通科連隊は第3師団に在って山間部の演習場環境に恵まれた連隊と有って野戦に長けた連隊といわれます。福知山駐屯地へは京都駅から特急たんば号で終点までですが早い時間には直通普通列車も運行されており、また福知山駅からは東舞鶴行列車も運行されていますので、福知山城田辺城城廻や、舞鶴基地見学と併せて散策も良いかもしれません。

 久里浜駐屯地創設記念行事、残念ながら中止とのこと。神奈川県横須賀市に所在する陸上自衛隊の駐屯地で通信学校が置かれています。通信学校といいましても自衛隊で津新教育を行う施設ではなく、自衛隊の通信科隊員への幹部教育及び専門研究及び戦術教育や新装備評価試験を担う機関です。レーダー等の電装装備も通信科の装備に含まれ、近年は電子戦装備が一挙に充実している。

 さて撮影の話題を。映画、特に名画と云われる古い作品は若いうちから出来るだけ多くを見ておくことが、実は写真撮影の画角を決める上での重要な価値観と云いますか哲学を醸成する上で必要なのかもしれません。私が尊敬するカメラマンに宮川一夫という方、いや誰でも知っている有名人ですが、素晴らしい画角で撮影されその映像は百年単位で世界に記録されています。

 撮影にはテーマが必要、これが無ければ雑多な兵器写真や群像写真に埋没しかねません。しかしテーマを欲張れば全体に焦点が定まらず、狙いすぎるならば何れかが片て落ちとなりかねません。しかし、その年のその部隊のこの行事という画角は確かに存在するのです。古い映画では撮影機材の性能や舞台装置の限界から条件が厳しい中、見事に撮っています。

 自衛隊行事を撮影するにあたって、しかし映画監督ほど行事に主体的に関与する事は出来ません。しかしカメラマンより世界観は監督が握る映画と、世界観は部隊が握る行事における撮影、何か共通するものがあります。この題材に宮川一夫御大ならばこう場面を切り取るに違いない、要するに感性であり感覚を自分の物に出来れば凄い写真が仕上がります。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭 


・入間基地航空祭2019…https://www.mod.go.jp/asdf/iruma/
・通信学校創設記念久里浜駐屯地祭(中止)…https://www.mod.go.jp/gsdf/sigsch/
・明野航空祭2019…https://www.mod.go.jp/gsdf/akeno/
・福知山駐屯地創設記念行事…https://www.mod.go.jp/gsdf/mae/3d/fukuti_7i/fukuti.htm

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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