北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【京都発幕間旅情】第8師団祭迎える熊本地震発災一年の熊本は馬肉とグリルと清酒に彩る

2020-04-14 20:14:08 | グルメ
■激震二度,熊本地震発災四周年
 熊本。勇壮な力強さを響かせる地名です。本年は是非熊本へと思っていましたものの昨今の情勢が山陽道横断を許さない最中ではありますのは残念です。

 九州と云えば長崎が第52北大路機関代替地としているように、所縁は長崎県の方に深いのですが、九州は広く又奥深い。そして本日は熊本地震発災4周年という。そこで追悼の念を心に、しかし盛上げるべく、発災翌年に熊本を探訪した際に感じた力強さをグルメの視点から伝えたい。

 2016年4月14日2126時、怪鳥の様な緊急地震速報が全国のTVに鳴り響き一瞬置いて夜闇に浮かぶ城郭が土煙に包まれる様子が、松本城か?いや九州地図が表示され揺れている、壊れているのは熊本城だ、来た、巨大な地震の発生だ、と身構えました、あれから四年が。

 熊本城。熊本地震から今頃にほぼ天守閣の復旧を終えている頃ではありますが、当方が探訪した際には震災前の美しい景観は復旧の混沌その最中にありまして、しかし九州気質というのでしょうか、不思議な活気、復興してやるぞという決意のようなものが溢れている。

 加藤清正の熊本城、派手に壊れたものだなあ、正直に痛感しまして発災が夜間であったが観光客満員の時間帯でなくて良かったとも申し訳ないが想ってしまった。しかし熊本市は城郭を建て替えるのではなく修復するという発言に、復興天守に掛ける熱意を感じました。

 水前寺公園。加藤清正に代わり江戸時代に熊本を治めた細川氏の時代に造営されました大名庭園です。細川氏は有事の際にここの鯉を食用として良い旨を伝えていますが、流石に熊本地震の際にはそこまで大変なことにはならなかった、とのことで若干は安心しました。

 あじへい。城郭を見上げ庭園を散策し寺社仏閣を巡りますと、流石に空腹感を感じるところでして、水前寺公園の入り口近くに良い香りが満ている、熊本ラーメンのお店です、いろいろなところに支店が展開していまして、そう、小腹が減ったならばラーメンが手早い。

 熊本ラーメンは細麺に醤油トンコツ風味、という印象なのですが、政令指定都市である熊本、探せば様々な流派が展開しているのでしょうね。細麺は暑いものが苦手な当方には朗報ですが素早く食べませんと伸びてしまう、これが九州気質とあっているのでしょうか。

 水前寺公園前のラーメン屋さんですが、観光地の典型的、といえる土産物店が延々続く街並みに、不思議なボウリング場、その一階にラーメン屋さん、という取り合わせでして、昭和のボウリングブームは大名庭園の史跡直ぐ隣まで延びていたと思うと。感慨深いです。

 市電というものは近代都市でもやはり便利なものでして、熊本駅と熊本市中心部は若干距離を隔てているのですが市電で結ばれている故に不便は、観光や散策する身の上からはそう感じません。そして路線バスと違って時刻表通り、渋滞の影響がないのが嬉しいですね。

 熊本地震では熊本市内とその近郊は、震度七が二度も襲来するという空前の連続激震故に文化財も大量の灯篭が倒壊し伽藍や社殿にも其処此処に被害が目立ちます。散策していますと、まだ発災一年なのだ、という事を何度も考えさせられる情景が広がっていますね。

 さて此処で限界が。肩こりと頭痛。下手に医者に相談しますとCTだPCRだと賑やかな事になりますが、デスクワークのオーバーワークを経て偶の遠出で散策満作と動き回る為の過労だったりします、で、熊本にて限界が来まして、熊本城前のりらくるマッサージ店にて少し揉んでもらう。

 熊本は路面電車の街です。路面電車の利点といいますのは、鉄道全般の中では駅の間隔が短く、ごうんごうんというモーター音、そして線路といいますか軌道を辿ってゆきますと確実に電停に至るという、即ち道に迷った際は電車の音を頼りに散策するならば迷わない。

 スーパーホテルLohas熊本。熊本市電河原町電停近くのビジネスホテルです。かなり前に熊本に宿泊しました際に、電停が河原町近く、という響きで、そうか河原町近いのか、という阪急沿線的な響きから選んだお宿、大浴場も良かったのですが、居酒屋も良かった。

 雲雀。ビジネスホテルの居酒屋、昔の福井県にありましたルートインの居酒屋は扱いがなんといいますか、電子レンジ調理専科というべきお店で非常に残念な思い出がありました、が、ここのLohas熊本は本格派でした、なにより地酒の揃いがよい、飲み放題もある。

 香露。ビジネスホテルと美味しい地酒が飲み放題、この二つがそろうということは何を意味するかといいますと、ものすごくたくさん頂いても、ベッドまでエレベータ乗降するだけで直ぐ、というところでしょうか。もっとも翌日は師団が相手なのであくまで控えめに。

 山芋のタンザク。新鮮な歯ごたえで酒が進む。これは序の口というところでして、しかし出先ではスーパーホテルより、安さと予約の便利さから東横イン、朝食のまともさと大浴場からルートインを選んでいたのですけれども、なるほど、食事の良さから、見直したい。

 馬刺。熊本といえば馬刺でしょう、馬肉、何処でも頂けるというものではなく、そして此処熊本の名物でもある。薬膳を除き明治まで獣肉殺生禁忌の時代が長い我が国にて、こうした頂きかたは人の好みにもよるのかもしれませんが、馬刺と刺身の盛り合わせ、という。

 馬刺は、タテガミと赤身と、馬殿の部位により個性がありまして、赤身は酸味といいますかレアステーキの風味が、タテガミは脂のほの甘みと独特の粘り或る食感とが特色で、それも昨日今日からの食文化ではなく中世以前からの連綿たる食文化故の洗練さがあります。

 煮込み。居酒屋の定番といえば筆頭に上がる煮込みでして、思えばここはビジネスホテルなのかと驚くほどに、これパックされた煮込みなのでしょうか、調理されたものを改めてを大鍋で煮込んでいるのか、昨日今日越える風味、味の濃いものと合う清酒とともに頂く。

 赤味噌。ふと考えていましたが、熊本城の加藤清正と関係あるのでしょうか、それとも偶然なのか、こういう素朴な疑問はビジネスホテルではなかなか聞けないものなのですね、しかし熊本で赤味噌、そして加藤清正が名古屋から持ち込んだ食文化の繋がり、気になる。

 お茶漬けの味。さて、翌日は北熊本駐屯地祭、実は市内中心部に近い場所だと思ていたらば熊本電鉄で少し郊外に立地している。第8師団には10式戦車やUH-60JA多用途ヘリコプターに96式多目的誘導弾が配備され、普通科への96式装輪装甲車配備も進む。楽しみ。

 つけ麺炎馬。さっき〆食べたろ、と思われる方、これが旅行なんです。ここは鍛治屋町、唐人町通りという通りに面したところ、散策していまして偶然見つけた風景です。通りがかったのはかなり遅く、しかし暖簾はまだでていたのが、なにかある種、待ってくれていたかのよう。

 熊本ラーメンといいますと、醤油豚骨風味というのでしょうか、球磨焼酎のようなクセの強さが逆に定期的に頂きたくなる、そんな不思議な印象でして、実は当方も仕事場近くに四年通い詰めた熊本ラーメンのお店があったのですが、残念撤退してしまい、故に本場で。

 つけ麺、熱々つけ出汁に太めの麺を浸して、そしておもむろに啜り頂くというもので、学生時代東京の友人に秋葉原で教えてもらった思い出が。不思議なレモン、加水の控えた強めの麺が、しかし熱いものが得意ではない私には〆に洒落たもり蕎麦のように誘うという。

 出汁には、魚粉が浮かび、人によってはコクが強すぎるのかもしれませんが、なんといいますかフランス料理のように素材の原型を残していない故にどう仕上げているのかは想像しかできないのですが、原型はなくともとにかく美味しい、というものに太麺浸すのです。

 ハイボールなどで湯がきあげるのに時間を要する太麺をまつこともあるのですが、九州のかた麺好きのハリガネ文化ではないのでしょうけれども、しっかりと、素早く出てきましたので、のど越しと咬み応えとで〆を楽しめまして、夜も遅くにの晩酌を終えた構図です。

 北熊本駐屯地。南九州と南西諸島北部を防衛警備管区とする第8師団司令部が置かれています。当時は即応近代化師団であった第8師団は現在、隷下に16式機動戦闘車を装備する即応機動連隊を有する即応機動師団として、熊本から全国への機動展開を担っています。

 第8師団創設記念行事北熊本駐屯地祭。実はこの前の年度に行こうと思っていましたらば直前に熊本地震で震度七の激震が二回も続きまして、当初規模縮小で強行を期していた師団も中央からの強い勧告で師団祭は中止に、当方も断念し一年越しの師団祭となった運び。

 師団司令部から電車で、熊本電鉄の旅を満喫しました。こうして藤崎宮前駅へ至りまして、さて来たときと駅が違う。電車を間違えたことに気づきつつ、近傍に藤崎八幡宮という歴史ある社殿があることを知りました。これも導きということでしょう、これも旅の楽しみ。

 手取天満宮。熊本市中心部へと歩みを進めまして市電の水道町電停まで、すると地震の後で全く無傷にみえましても全壊立入禁止、という札で居たたまれなくなりまして、熊本の未来を祈ろう、と近くにありました天満宮へ参拝しました次第です。そして空腹に気づく。

 参道には経験論として美味しいお店があります。天満宮はオフィス街のビルの谷間にあります、Hal's-Ban,神社が導いた出会い、か。ここで少し美味しいものを頂いても帰路の電車には時間がありますので、バル的なお店にてなにか美味しい出会い、を探すこととしました。

 ハイボール。いつもならばビールを頂くところなのですが、なにしろ10式戦車を追いかけた一日です、毎回とは少し違う風情でハイボールをハイカラに楽しむことに。レモンと角瓶のほの苦い甘みで肴はやはり師団祭の写真です、10式戦車あると勇壮な師団に仕上がる。

 タパス。なるほどお通しではなくタパスが出てくるのですね、バルなのだなあ、という。長いカウンターにおもむろに腰を落ち着けて、そして重すぎる撮影機材を傍らに置きますとクラシックな店内を見回す余裕が出てきました、落ち着いた雰囲気、時間をたのしむ。

 店内にはこうしたかたちでメニューが黒板にチョーク列挙してあるという構図でして、熊本から京都は2011年から九州新幹線山陽新幹線乗入で新大阪まで一本、運賃に目を瞑れば予約なしで駅にて次の新幹線は何分あと、と気軽に移動できるわけです。さて何を頂くか。

 スペアリブを注文です。骨付き肉、食感が部位部位とともに個性があり、おもむろにかじりつくことができる肉料理なのですが、知人友人とともに頂く際はあまりがっつきすぎると不作法にみえてしまう故に一人旅の際に楽しむことができる、ここに合うものといえば。

 地酒の清酒。うむ。お米を消費して需要を伸ばそう。落ち着いた店内では、しかし日本酒があるのですね、と気づきますと、熊本にきたのですからもう少し清酒を頂こう、と。実のところ清酒というよりもジンの方が似合いそうな雰囲気のお店ですが、不思議とおいしい。

 Hal's-Ban,お店の名前は横文字です。スペアリブのグリル。さて、毎回なのですが最初はナイフとフォークで、筋張ったところと脂身の乗った部分との違いを、削り取るように楽しむのですけれども、最後には両手で頬張ることとなるのでして、素朴で野蛮で楽しく頂く。

 メンタイコとジャガイモのグラタン。清酒、不思議と暑いところの清酒は風味が個性的なのですが、思えばメンタイコのような九州ならではの強い味わいのものと仲良く仕上げる為の進化の象徴、というところなのかもしれません。もっと楽しみたいが、時間は有限だ。

 九州新幹線みずほ号を使えば熊本駅から新大阪駅まで僅かに三時間、便利な時代となりました。行は安価に旅客機の早割で極限まで交通費を抑え、帰路は便利に最速の新幹線、新幹線は自由を与える、そんなかたちで昼過ぎの一献を経て寄り道つきの帰路に就きました。

 熊本。さて、現在の新型コロナウィルスCOVID-19による新型肺炎が世界規模で感染拡大する中では、安易に熊本観光は勿論のこと居酒屋にも出かけられない時節ではありますが、今日があの熊本地震発災の日、という事をこころに念じることだけは自由でもあります。

 新型肺炎。非常時というものはどういった様相で迫ってくるかは想像もつかないものでありまして、勿論次の震災に備える重要性を改めて感じるとともに、今日明日の行いが現在の非常時、新型コロナウィルスに感染しない為にはどう我慢し行動するか、という事も考えたいですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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