北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

自衛隊LST&LSDを増強せよ-日本造船業の現状【1】海上輸送力不足の自衛隊と苦境の造船業

2020-11-10 20:15:34 | 防衛・安全保障
■突然!舞鶴造船業廃止の衝撃
 舞鶴基地を探訪しますと基地の北吸岸壁対岸に造船所が広がっている情景が日常となっています。舞鶴最大の製造業という。

 舞鶴市のユニバーサル造船が今治造船に統合された際には、なるほどそれであの方が舞鶴へ戻られていたのか、と考えてしまったのですが、さらに驚いたのはユニバーサル造船舞鶴工場は今後新造を行わず、艦船整備に特化するという。これは舞鶴市には悲報のほかありません、日立造船の時代から護衛艦に掃海母艦、輸送艦も砕氷艦も建造した名門です。

 今治造船の厳しい決断ですが、しかし、船舶需要の低下、特に安価な船舶造船需要が中国と韓国へシフトしているという。韓国のような政府支援があるわけでもなく、中国のような安価な人材もない、日本の造船業は苦境にあります、が、造船業が壊滅的な欧州や北米に比べればまだ産業として残り、8万の労働力が造船業界を支えています。貴重なものだ。

 いずも型護衛艦建造費1100億円。日本の造船能力が高い水準で維持されていると象徴できるのは、満載排水量27000tの全通飛行甲板型艦艇を比較的安価に、ジェラルドフォード級原子力空母の十分の一という建造費です。また3900t型護衛艦、満載排水量で5000tを超える大型水上戦闘艦も500億円以下で量産できる、国力と工業力は非常に恵まれている。

 2001年2月22日、鹿屋航空基地より哨戒飛行中であった第1航空群のP-3C哨戒機は異様な船団、この海域では見慣れない船団を確認する。中国海軍はこの日、沖縄本島北北西沖に6隻の艦隊を航行させました、単なる航行訓練ともいえるのですが、海上自衛隊によれば6隻の内訳は玉亭型戦車揚陸艦など揚陸艦4隻、海南型哨戒艇2隻からなるものでした。

 21世紀に入ってばかりの中国艦隊出現ですが、これは歴史的な転換点でした、何故ならば中国海軍揚陸艦が日本近海で確認されたのは、この2001年2月22日が初めてのことだったのです。当時中国海軍は江把型フリゲイトなど小型艦が主力という牧歌的なもので下が、そしてこの後、中国海軍は大規模な海軍拡張を本格化させ、もうまもなく、20年となる。

 おおすみ型輸送艦、海上自衛隊には優れた輸送艦が3隻配備されています、しかし、その輸送能力の見積もりはこの中国海軍による南西諸島への脅威以前のものであり、冷戦時代に北海道への急速な増援を念頭とし、陸上自衛隊は一つの目安として一個連隊戦闘団2000名の同時輸送能力を求めていました。しかし、現代と冷戦時代では運用要求の根本が違う。

 北海道への増援、冷戦時代に北海道には陸上自衛隊4個師団、すべて機械化され内一個師団は機甲師団、そして特科団に高射特科団に戦車群が北海道を防衛しており、ここに増援を行う、という前提でした。一方で南西諸島防衛を考えるならば、南西諸島には沖縄本島に1個旅団、奄美大島と宮古島に、増強普通科中隊というべき警備隊が置かれるのみです。

 自衛隊の海上機動能力を根本から認識を改めねばならないのではないか、特に作戦機動と業務輸送、この二つに分けて。北海道のように基盤がある地域に増強部隊を送るのではなく、南西諸島の場合は無数にある離島のなかから根本的に初動部隊を展開させねばなりません。すると求められる輸送力が根本から不足する、こうした厳しい実状があるのですね。

 カーフェリー。自衛隊は政府傭船として高速カーフェリーはくおう、を運用中です。なるほどこの輸送力は特筆すべきものですが、大型フェリーが入港できる埠頭と港湾設備が整備され、受け入れられる事が大前提です。すると、揚陸艦がどうしても必要となる、自衛隊式に呼称するならば輸送艦艇、となりますか。おおすみ型輸送艦だけでは十分でない。

 戦車揚陸艦LSTやドック型揚陸艦LSD,輸送艦艇といいますとこうしたものを連想するのですが、実はこれらは第二次世界大戦中に、私たちが港や造船所で日常的に目にするものを軍用に改良し転用したもので建造されています、当然といえば当然、戦時であるために変な新兵器よりは既存のものを改良し対応するものは利用できるものはすべて使う基本に。

 LST戦車揚陸艦はもともと浅喫水の中型小型タンカーの設計を流用したものですし、LSDドック型揚陸艦は浮きドックの設計を大胆に改造したものです、従ってLST戦車揚陸艦については全長100m程度の内航タンカーを建造する造船所や浮きドックを建造できるメーカーであれば、LSDを建造可能、十分輸送艦艇を建造する能力がある、といえるのですね。

 もちろん、ステルス性能とかデータリンク性能について考えれば専門的な技術は必要となりますが、敵前上陸をおこなう作戦輸送ではなく、事態緊迫化に先だって部隊を事前展開させる業務輸送であれば、それほど専門技術は必要ではありません。すると、日本国内の建造技術を最大限活用するならば、安価に輸送艦艇を増強する事は、充分に可能でしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【防衛情報】アメリカ軍ERCA拡張火砲とアーチャー自走榴中国新型自走榴弾砲と装輪自走砲

2020-11-09 20:12:59 | インポート
■週報:世界の防衛,最新11論点
 今回は砲兵装備に重点を置いて、ここに装輪装甲車の話題などと共に最新の防衛情報を見てゆきましょう。

 アメリカ陸軍では2023年までにERCA拡張型射程火砲を実用化し旧式化が深刻となっている陸軍火力戦闘装備体系の近代化を検討中とされるが10月に入りこの進捗状況事業評価書が開示された。ERCA拡張型射程火砲はM-109A7自走榴弾砲の39口径砲を最新型の58口径長砲身155mm砲に置換え、改良弾薬により70kmの長射程を実現する事が狙い。

 ERCA拡張型射程火砲は現在カリフォルニア州国立訓練センターにより評価試験中だ。アメリカ陸軍ではXM-2001クルセイダー自走榴弾砲開発の中止に伴い未だに1960年代のM-109自走榴弾砲が野砲体系の頂点となっており、改修は進められているものの主砲の砲身は39口径でしかなく、独仏日韓瑞典の52口径長砲身砲と比較し文字通り後塵を拝する。
■高性能!アーチャー自走榴弾砲
 米軍も試験、自衛隊の特科運用を考えれば速射性と陣地変換の速さから19式装輪自走榴弾砲よりもこちらの方が向いている、大型だが方面特科連隊に集約するならば尚更に。

 イギリスのBAEシステムズ社はスウェーデン製アーチャー装輪自走榴弾砲に関する新しい広報動画を10月に公開しました。アーチャーはスウェーデンンボフォース社が同社製FH-77榴弾砲を原型に52口径へ長砲身化した上で同社製バンドカノン自走榴弾砲に採用された自動装填装置を更に改良した自動装填機構を有し、装輪自走砲としては最強といえる。

 アーチャー自走榴弾砲の広報動画ではFDC火力調整所より射撃命令を受け行進中の状態から陣地進入を経て初弾射撃まで30秒という短時間を展示し、500mの陣地変換から6発の効力射を経て再度の陣地変換まで120秒、またエクスカリバー精密誘導砲弾の投射は装甲キャビンから砲手が数回のクリックだけで照準できる点など、迅速性を強調していました。
■アメリカのPrSMミサイル
 今あるミサイル、499kmの射程を1500kmに伸ばすだけ、といわれるとなにか”偏差値30から始める東大入試”という本を思い出す。

 プレジションストライクミサイルPrecision-Strike-Missile/PrSM。アメリカ陸軍は中露の中距離ミサイルシステムとの火力ギャップを克服する為に2023年までに射程500kmから1500kmの中距離ミサイルシステムを模索中でこの程中間報告書が出された。現在最有力のものはロッキードマーティンが開発するPrSMだが射程は499kmに抑えられている。

 中距離ミサイルシステムはアメリカのINF中距離核戦力全廃条約離脱を受け既に開発されているロシアや中国の中距離ミサイルシステムへ対抗する目的があり、一方でPrSMはロッキードマーティン社製、MLRS用に四十年近く前に開発されたものだ。射程延伸には課題が残るがMLRSやHIMRSロケットシステムより投射可能、開発リスクは最も少ない。
■マルダー機関砲FCSの改良事業
 プーマ重装甲戦闘車の数が揃わないドイツではマルダーの改修が行われる、が、自衛隊の73式装甲車と違い機関砲を搭載した設計はやはり寿命を延ばしています。

 ドイツ国防省は10月7日、旧式化と老朽化が進むマルダー装甲戦闘車の更なる改修に2700万ユーロの予算を組む事としました。現在ドイツ連邦軍に配備されているマルダー装甲戦闘車は244両、2700万ユーロの予算は20mm機関砲用の新型熱線暗視装置換装に用いられます。この新型照準装置は2000型遠隔操作銃搭に採用されたものと同型のもの。

 マルダー装甲戦闘車は1971年から配備が開始され2100両が生産、間もなく運用開始50年となります、熱線暗視装置は既に搭載されていますが何れも旧式化が進み予備部品が枯渇した状況です。ドイツ連邦軍では後継にプーマ重装甲戦闘車の配備を急いでいますが一両1250万ドルと高価で2023年までに40両しか揃わずマルダー運用はまだまだ続きます。
■ジェネシス全電気駆動装甲車
 自衛隊の装甲車も将来的に電気駆動を考えねばレーザー兵器などとの拡張性に問題が出るのでしょうか、ドイツは此処で野心的実証車を出した。

 ドイツのFFHフレンスブルガー自動車工業社は10月、革新的な全電気駆動装甲車両ジェネシスを発表しました。これは強烈な印象を与えるブルーの八輪式装輪装甲車というコンセプト車輛であり、コングスベルク社製30mm機関砲塔を搭載しています。全電気駆動の通りハイブリッド駆動式を採用しリチウム電池により40km/hにて150kmを機動します。

 ジェネシスは現在ドイツ連邦軍に大量配備が開始されたボクサー重装輪装甲車の後継をも視野にモジュラー車体構造を採用しており、兵員輸送型では乗員3名と兵員10名を輸送可能である。外見は少々玩具のような印象だが基本重量25t、増加装甲により40tまでの重装甲化が可能といい、また200kwディーゼル発電機にいぇ各種電源として機能する設計です。

 ボクサー重装輪装甲車の後継ともなり得る車両は、全長尾8.25m、全幅3.20m、砲塔を含む全高は3.50mで車体全高は2.40mです画期的なインホイールドモーター構造により駆動系を簡略化出来、車高を抑え防御力を高める、従来の装輪車の車高増大という弱点を払拭している点が新しい。ただ、現時点でジェネシスは技術実証車、量産計画はありません。
■豪州陸軍ボクサー訓練開始
 これこそ偵察戦闘大隊に必要、自衛隊もボクサーとCV-90を500両づつ揃えられるような師団と旅団の改編を行わねば第一線火力の強化と機動力の近代化に後れを取ると切実に感じる。

 オーストラリア陸軍はドイツ製ボクサー重装輪装甲車の部隊訓練を開始しました。オーストラリア陸軍は3万5000名規模ですが、大胆な装甲化計画を推進しておりLAND-400フェーズ2計画としてドイツよりボクサー重装輪装甲車211両の取得を決定しており、既に2018年に21億ユーロにてラインメタル社との間で取得契約が成立、引き渡しが進む。

 ボクサー重装輪装甲車の内、今回訓練が開始されたのは砲塔を有さない汎用型であるが、オーストラリア軍ではボクサーを25mm機関砲を備えたASLAV軽装甲車の後継と位置づけており、211両のうち133両は30mm機関砲を搭載した偵察用のものとなる。これとは別にオーストラリア陸軍ではM-113装甲車後継となる装甲戦闘車選定作業が進んでいる。
■装甲車高騰に悩むブルガリア
 自衛隊も似たようなものなのですが1990年代の安くて手軽な装輪装甲車は今やどこにもなく価格高騰に各国は悩んでいます。

 ブルガリア軍は次期装甲車としてパトリアAMV装輪装甲車かモワクピラーニャ5装輪装甲車150両を導入計画であるが、価格面の折り合いがつかず難航が伝えられています。当初ブルガリア政府はBTR-80装甲車の後継として6億ドル程度を想定していましたが、競合車種はともに8億7000万ドル程度を要する見通しであり、折り合いがつきそうにない。

 計画では合弁企業を設置し10年間の整備協力等を想定していましたが、ブルガリア政府のアナトリイベリチコフ国防副大臣、陸軍司令官ミハイルポポフ少将は現在、アメリカとの防衛協力強化を進めており、上記の欧州製装輪装甲車が取得費用で折り合いがつかない場合には、ストライカー等のアメリカ製装甲車直輸入に切り替える可能性も示唆しています。
■中国が15式軽戦車派生自走砲
 自衛隊の16式機動戦闘車は構造上75式自走榴弾砲の砲塔が重量でも全幅でも搭載可能と思いまして火力戦闘車は本来こうしたものであるべきとおもうのですが、こういう行動は中国や北朝鮮は早い。

 中国人民解放軍は15式軽戦車車体を応用した新型自走榴弾砲を開始しているとされるが、このほど中国国内SNS上に試験車両と思われる写真が投稿され話題となっている。15式軽戦車はチベット地域等山間部の錯綜地形運用に適合させるべく最近開発されたきわめて強力な軽戦車であり、戦闘重量は36tと陸上自衛隊の74式戦車の戦闘重量38tに迫るもの。

 15式軽戦車は既に車体部分がVN-17重装甲戦闘車として戦闘重量30tと30mm機関砲を搭載する強力な派生型が開発されているが、今回開発されている自走榴弾砲は39口径程度の155mm榴弾砲を搭載し、推測値では射程は40kmに達すると考えられる。新型自走榴弾砲の完成時期などについては明確な情報はないが、汎用車両体系が構築されつつある。
■中国版ハンヴィーの自走砲化
 中国軍は思い切った諸兵科連合部隊へ舵を切っていますが軽歩兵部隊用の簡易自走砲の話題です、自衛隊も105mm砲を再認識すべきでしょうか。

 中国人民解放軍は新型のSPH装輪自走榴弾砲試験を開始した。これは猛士六輪型CTLを原型とした車体に122mm榴弾砲を搭載したもので、同じく六輪型CTL派生型の弾薬車とともに運用する。猛士とは中国東風汽車集団有限公司がアメリカのハンヴィー高機動車を原型として90年代にコピーした車両で独自の進化を辿った。CTLは軽装甲車型である。

 SPH装輪自走榴弾砲は諸兵科連合部隊の砲兵中隊へ配備される見込み。人民解放軍は伝統的な聯隊を基幹とした編成を2010年代に大きく改編し諸兵科連合部隊による遠征力に富んだ部隊のパッケージ化を進めている。SPH装輪自走榴弾砲は駐鋤を設置し砲員が車外に展開させ運用する簡易自走砲ではあるが、機動力が高く、装輪装甲車部隊の能力を高めよう。
■ポーランド軍の対戦車装甲車
 自走対戦車ミサイルといいますと難し設計の印象がありますが可搬式ミサイルが発達した昨今は専用車両よりも汎用装甲車に可搬式ミサイルを搭載するものが多くみられる。

 ポーランド陸軍は自走対戦車ミサイル車両として新たに国産ロソマク装輪装甲車を60両、自走対戦車ミサイル車両とする。各種派生型が開発されるロソマク装甲車だがロソマクSが基本車輛として採用、搭載ミサイルはイスラエル製スパイク対戦車ミサイルであり、車体にはマルチバンド無線機を搭載、データリンクにより対戦車戦闘を効率化させるという。

 スパイク対戦車ミサイルは車体に発射装置を搭載するのではなく携帯式発射装置2基を搭載し、射撃時には下車戦闘により歩兵が発射装置を展開する。スパイクミサイルの型式は発表されていない。この取得契約についてミサイル本体を含まない車両調達だけで1億500万ズロチ、日本円に換算して30億円が投じられるとの事、配備は2022年に開始される。
■トルコ軍新型両用装甲車
 エーゲ海を挟んでギリシャと対立するトルコは新型の水陸両用車を開発中です、アメリカ製AAV-7後継を探す各国はどう見るのでしょうか。

 トルコ軍は九月より最新型のZAHA-MAV水陸両用装甲車の静海面上試験を開始した。これはトルコ防衛産業FNSSが2017年より開発を進めている装甲車で船型車体前部を有する装軌式車体にウォータージェットを搭載し水上を7ノットで航行する装甲車両、乗員3名で兵員21名を輸送する他、トルコ製遠隔操作式銃搭には重機関銃と擲弾銃を搭載する。

 ZAHA-MAV水陸両用装甲車の試験ではドック内に海水を入れ、浮力試験と海上での転覆時に乗員の安全性などを試験している。トルコは現在、第一次世界大戦戦時賠償としてギリシャに割譲されたエーゲ海島嶼部やキプロス島問題でギリシャやフランス、イタリアと対立が先鋭化し、水陸両用装甲車を求めており、トルコ軍は最低でも27両を導入するという。

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バイデン次期アメリカ大統領当選確実,トランプ大統領の遺産継承と分断の再生へ如何に臨むか

2020-11-08 20:00:08 | 国際・政治
■ジョーバイデンはかく語る
 ジョーバイデン氏は開票の進展と共に選挙人過半数を超える279人を獲得し当選が確実となりました。祝意にブルーインパルスの写真とともに。

 バイデン新政権が一月にトランプ政権より政権交代することとなります。もちろん勝利宣言の一方で泥沼の法廷闘争が繰り広げられる懸念があり、これは予想に反して僅差の勝利という水準に収まったアメリカ大統領選挙の獲得票数と獲得選挙人数という摩擦の種は残っていますが、オバマ大統領からトランプ大統領に交代した際ほどの混乱はありますまい。

 アメリカ政治は予測のつくものとなる、これは突拍子の無いラジカルな政策を独自の価値観によりトップダウンにより執り行うトランプ大統領の手法から、伝統的な戦略概観に調整と配慮と根回しを行った上で政策として出力する、伝統的な政治へ回帰してゆくのですから、分ると云えばいえるのですが。しかし、トランプ大統領は予測性は、ありました。

 トランプ大統領、親日家とは断言できないのですが当時の安倍総理大臣の早々とした次期大統領との個人的会談を経て、合理的な日米関係を構築できる事を確認し、実のところ上手くいきました。トランプ氏が中止を主張したF-35戦闘機計画は開発続行となり、航空自衛隊への納入も順調に進み、また在日米軍撤退等の当初の主張も調整経て胡散してゆく。

 オバマ政権時代のアメリカは当初は鳩山政権の朝令暮改に悩まされますが、安倍政権時代となりますと、着実に進む北朝鮮核開発と平和的開発を有耶無耶とした南シナ海人工島基地化に前時代的砲艦外交、台湾海峡での緊張への米中交渉の忌避といった、いわば地域安定の主導権を放棄し、北東アジアの騒擾化への力不足に歯がゆさを感じていたようにも。

 トランプ大統領は、軍事行動や戦争を極力避けた施策を執りましたが、しかし、シリアが自国民を神経ガスで攻撃した際には翌日には原潜による懲罰攻撃を行い、北朝鮮の度を越したミサイル実験に北海道からミサイルが確認でき日本海沿岸に続々ミサイル残骸が漂着する状況は原子力空母3隻を日本海へ展開させ、結果的にミサイル実験を封じ込めました。

 アメリカの視点からは平和憲法を持つ日本は経済大国であっても国防努力を怠る怠惰の国と見えたようですが、トランプ大統領が護衛艦かが表敬訪問を行った様子等、自衛隊の実態は報道により、アメリカ国民に知られる事となりました。そして北朝鮮の核開発は実は対日用ではなくアメリカ本土を狙っているものだと知らしめたのもトランプ大統領です。

 市民目線、ポピュリズムの台頭の背景には反知性主義、とは言い過ぎですが新聞の論評や専門家の知見を書籍等により知る機会の無い方々が、朝三暮四朝令暮改を不支持の要素としない事により流布してゆくものですが、要するにアメリカ市民目線の日本というものに対しての当初の政策構想だったのですね。この変化したアメリカ、次期政権はどう臨むか。

 サブプライムローン。バイデン新大統領は自身が2008年にオバマ大統領の副大統領として就任した当時のアメリカと世界を見舞っていた危機、サブプライムローン破綻によるアメリカ金融危機とおなじように、現在のコロナ危機の進行中という状況での、危機の克服、これを強く求められることとなるでしょう、アメリカ政治の変革より前に復旧が、必要だ。

 コロナ危機とサブプライムローン危機の相違は、前者の方が実体経済にも国内情勢へも甚大な影響を及ぼしているものの、サブプライムローンによる金融危機は事態拡大最中の政権交代となったのに対し、コロナ危機は、早ければ四ヶ月以内に、アメリカにおいてワクチン接種を開始できるという危機回復の見通しがたちつつある点でしょう。峠を越す、と。

 米中関係については未知数です。中国の海洋進出に対してはトランプ政権は北東アジアから東南アジアに掛けての地域安定に、自由で開かれた海洋秩序から海洋閉塞主義への変容にはっきりと拒否を示したのですが、バイデン次期政権にはどこまで厳しい施策で臨むのでしょう。オバマ政権時代に回帰するならば日本に厳しい決断が求められるようなります。

 香港安全法、ただ、この一点について、いやウイグル大量収容所問題やチベット人権問題、こうした部分でトランプ政権は過去のアメリカ政権程熱心な対応を行っていません、文化大革命に関与しなかったように距離を置いているのですが、世界へ影響度を増す中国に対し、過去の天安門事件に際して示したような厳しい姿勢で臨む事は出来るのでしょうか。

 バイデン新政権。実質ここで画定し、まだ法廷闘争は、民主党ゴア候補が2000年に大統領選挙再開票を求めた際のように繰り広げられるのでしょうが、まずは日本にとりアメリカは唯一の同盟国、どう手腕が発揮されるかは同盟国市民投票に応える良識を信じましょう。さて本日日本時間午前中、バイデン次期大統領による勝利演説は以下の様なものでした。

 大統領選勝利宣言は本来、一方の敗北宣言の電話から始まるものですが、今回はそれがない異例な始まりとなりました。日本時間本日午前、まずバイデン次期大統領の勝利演説はハリス副大統領の演説から始まることとなりました、よりよい未来を作る力がある、こう演説を示すために先ず、故ジョンルイス上院議員の言葉を引用するところから始まります。

 ジョンルイス上院議員の民主主義は行動である、として演説を始めたハリス次期副大統領は当然のものとして受け止めている民主主義ではなく、行動と犠牲を払うことで進展があってよりよい将来を構築するためには行動が必要であるとしました。アメリカの魂がかけられた投票に支持者のみなさんが新しい可能性を示してくれました、謝意を示しています。

 選挙の集計に関わったみなさんに感謝するとともにアメリカ国民のみなさま、記録的な投票率となり、みなさまの意志を示してくれました、勇気と強さと平等と正義を示し、その意志を投票で示してくれました、そして希望と結束と良識と科学、真実、というものを選んでくれたのです、ハリス副大統領はバイデン次期大統領を癒しの大統領と紹介しました。

 多くの人の投票に感謝、女性の参政権がみとめられ2020年に新しい一歩を築くとともに、壁の多くなったトランプ政権時代から新しい大統領は女性が副大統領にえらばれる、という新しい時代となり、しかし最後ではありません、この国は可能性に満ちており、すべての幼い女の子たちには、この新しい一歩をしっかりと見据えてほしい、こう述べています。

 アメリカの国民がどちらの候補に投票したかはもはや問題ではなく、すべての人々とその家族の為に、次期大統領はいい仕事に取り組みます、経済を立て直し差別をなくし疾病を封じ込め、気候変動と戦い国として結束させ、アメリカを結束させてゆきます。道は長いこととなります、険しいものとなりますが、準備は出来ています。こう締めくくりました。

 次期大統領ジョーバイデン氏この演説とともに紹介され壇上にあがります。アメリカ国民のみなさん、こうはじまりました演説、デラウェアのみなさん、トムパーカーにフーン上院議員に州知事と、また妹や義理の妹もきています、アメリカ国民は声を挙げました、そして確信の出来る勝利です、人民が最多7400万の得票をもって当選させてくれました。

 全米の、全世界の、明日に向けての信じる気持ちと希望にあふれています、信頼してくれて感謝、分断から団結へ、赤い週青井週ではなく一つの国としてゆきます、神話を勝ち取る、アメリカとは人々が大切で、アメリカの魂を取り戻し再建させるために、世界から尊敬を集められる国として再建をしたく培ったアメリカ再建のビジョンを現実とします。と。

 アメリカでは何でも可能なのです、こうして初の女性副大統領を紹介するとともに選挙にかかわる運動員から集計までに感謝を示すとともに、すべてのアメリカの人々が一丸となったこと、多くのコミュニティがアメリカのために尽力したことを感謝し、まさにアメリカの様相を呈している陣営の様相、そして支持をしなかった方々にも機会があるとして。

 互いにアメリカ人である、こう強調し聖書を引用、問題と治癒をすることには時機がある、とし、大統領選が終わりもともとアメリカとはなにが必要なのかを良識とフェアーと科学と希望を重視する国が本来のくにである、としました。人種間の平等や感染対策をなしとげ、地球を守る事が必要です。気候変動対策にも取り組みます。このように指針を示した。

 新型コロナウィルス対策、経済を立て直すには先ず此処が重要です、しっかりと対策しなければなりません、有能な科学者をこれから任命し対策を一月二十日から直ぐに実現できるように科学の根拠と好感を得られる対策を行い、このパンデミーを転換させます。努力を重ね、私を投票しなかった型のためにも、取り組みます。邪悪はやめましょう。として。

 民主党と共和党が協力することはなぞめいたことではありません、アメリカは協調を求めています、議会にたいしてもゆっくりとチャンスがあるとし、夢と約束を人種や信仰に関わらず瞬間によって形成され、何者であるのか、なにになりたいのかの決断で形成されました。ケネディのフロンティア、ルーズベルトのニューヂール、できないことはない。

 目的意識をもって前進する力はあります、そのためにアメリカの魂を取り戻す必要があり、このための良識的な行動が求められています。全世界がアメリカを見ています、アメリカは世界の光であり模範を持って力を示していかなければなりません、アメリカを定義する言葉は、可能性、というもの、可能性を最大限活かせるのがアメリカです。と結びました。

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【土曜詳報】キャンプ富士日米友好祭二〇一六(7)海兵隊AAV-7両用強襲車(2016-05-07)

2020-11-07 20:08:17 | 在日米軍
■AAV-7は大きかった
 AAV-7両用強襲車はアメリカ海兵隊が誇る水陸両用作戦用の装甲車両です。自衛隊も採用しましたが、まさにフネという印象の大きさ。

 AAV-7の全景、原型のLTVP-7が1972年の開発です、何度も後継の開発が模索され、そして実は1980年代にも計画されていました。驚くべき点はその構想が車体足まわりにホバークラフトのようなエアクッションを収納式で搭載し22ノット程度で滑走するというもの。

 LAV-AT自走対戦車ミサイル。大きさを対比するかのようにLAV-25の対戦車ミサイル搭載型が置かれています、一応砲塔を持たない原型のピラニアⅠは11名乗せられるのですが、AAV-7は25名乗り、同じ水に浮く車両ですが渡河用と沖合用でここまで大きさはちがう。

 LAV-ATとAAV-7、LVTP-5という前型がありましてこれは全長9m以上という水陸両用車というよりも上陸用舟艇が陸に上がるような巨大、最大45名までの海兵を運べたのですが、水上速度が10km/hしかなく、甲は更に薄い、燃料タンクは床下にあり地雷に致命的に弱い。

 AAV-7を少し離れた場所から。2000年代に30mm機関砲塔を搭載したEFV海兵遠征車両が開発されました、2700hpという常識はずれのエンジンを搭載し海上を46km/hで120kmも滑走し沿岸に敵をみたらば4km先から正確に30mm機関砲で制圧する、それがEFVだ。

 LAV-ATのBGM-71ミサイル発射装置、BGM-71は1968年に開発された有線誘導式の対戦車ミサイルです。そんなに古いのか、とおもわれるかもしれませんが、発射装置の筒と三脚の設計以外は絶え間ない改良が続いていまして、改良を重ねる点がAAV-7とにている。

 TOWミサイルは連装式。要するにTOWもAAV-7も1970年代のものなのですが、TOWは赤外線半指令誘導の第二世代対戦車ミサイルではあるものの、射程は開発当時3750mで現代も通じ、命中まで誘導は必要ですが改良弾頭は戦車上部を狙い、要するに充分という。

 AAV-7の車内、前述のEFVですが無理に2700hpという10式戦車の倍もあるエンジンを搭載したことで兵員室が無くなり、全長10.5mの巨体ながら海兵は車体中央のエンジンと外郭装甲の左右隙間の通路に17名、押し込んで座らせていました、1両4200万ドルです。

 AAV-7の操縦席。今更AAV-7を買うのか、平成26年度防衛予算に盛り込まれた当時は一部識者に批判されまして、試験用6両と部隊用52両、当方もAAV-7を調達するくらいならばLAV-25を200両ほどライセンス生産したほうが、とも思ったものではあるのですが。

 AAV-7のUGWS砲塔内部。AAV-7は小型砲塔を有していまして、12.7mm重機関銃と40mm擲弾銃、それに暗視装置を備えた火器管制装置を有していまして2000mまでの制圧射撃や対装甲戦闘は可能。自衛隊が選んだのは、日米訓練互換性考えればこれしかなかった、と。

 AAV-7ハッチからみた砲塔。しかし米軍でもAAV-7の火力不足は課題の一つといいまして、このため開発されていたのがEFVでした、速力も火力も防御力も大きいのですが、それ以上に1両4200万ドルという、自衛隊のCH-47輸送ヘリコプター並の高さは異常といえた。

 AAV-7を後方より。EFVはゲーツ国防長官時代に流石にここまでの高費用はナンセンスであるとして開発中止となります。ただ、そうこうしているうちに中国が1100hpエンジンを搭載し30km/hで海上を走る05式水陸両用戦闘車を開発し、配備することとなってゆく。

 AAV-7の車体側面と増加装甲用突起。AAV-7を延命と改良するとともに装輪式のイタリア製イヴェコスーパーAVなどを開発していますが、装輪式では珊瑚礁などを乗り越えられない懸念があり、このために今度は日本との後継車両共同開発計画などが模索されています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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アメリカのポスト大統領選時代,分断された超大国は中国の軍事的台頭を前に団結できるのか

2020-11-06 20:00:50 | 国際・政治
■太平洋の向こうの隣国
 アメリカ大統領選挙、ここまで接戦となるとは思えずトランプ大統領の岩盤支持層とポピュリズムからの離脱を求める層との分断を感じさせるところです。

 ポストトランプ時代やトランプ長期政権時代、こうした視座から11月3日まではアメリカ大統領選を眺めていましたが、現在の状況を見ますと、ポスト大統領選、という概念で俯瞰するのが妥当なのかもしれません。2016年大統領選の世論調査失敗を受けての前回よりも慎重に期した世論調査、ここでバイデン優位が伝えられていましたので印象はあった。

 ポスト大統領選、こう考えるのは歴史的接戦となった為なのですね。現実問題、テキサス州とフロリダ州、コロナウィルスCOVID-19に揺れる両州でトランプ大統領が勝利した事は、アメリカの分断、こう説明される事象を中々に考えさせられるものでして、しかもこの幾つかの州で一万単位疑問票が残る中での数千票差の勝敗は禍根を残す事とならないか。

 ポストトランプ時代やトランプ長期政権時代、しかし、冷静に見ていますと、トランプ政権はシリアの神経ガス使用に対し巡航ミサイルによる懲罰爆撃を実施した以外、戦争を起こしていません。歴史的に見れば平和的な対外政策を実施しているのですが、日本海に原子力空母3隻を展開させ北朝鮮連続ミサイル実験を鎮める等、抑止力は理解していました。

 新モンロー政策となるのではないか、国連軽視やパリ合意離脱にINF全廃条約離脱にTPP環太平洋包括協力協定離脱といった、アメリカが内向きとなる対応を実施していた一方で、当初の在日米軍と在韓米軍撤収、日本の核武装容認、NATO離脱と在欧米軍撤収、こうした当初の施策は支持者向けに留め、モンロードクトリンの再開には至らなかったのですね。

 中国問題について、実のところ中国に対する政策に積極的であったトランプ大統領に対してバイデン候補に、当初、不安があったことは否めません。南シナ海における中国の軍事行動、他国の環礁を武力奪取し人工島を建築、地対空ミサイルや超水平線レーダーと飛行場の設置、これらを事実上黙認したのはオバマ時代、バイデン氏が副大統領だった頃です。

 しかし、現状を見ますとトランプ大統領でもバイデン大統領でも、中国への対応はあまり選択肢がなくなっているのが現実です。南シナ海での中国軍事行動をこれ以上放置するならば、南シナ海という人口40億の経済圏中心の通商路が中国影響下に置かれ、日本や韓国という同盟国、環太平洋地域の大半を失いかねない状況、関与を強めざるを得ません。

 いや、実はアメリカがTPP離脱を示した際に中国が自由貿易を更に推し進めればアメリカのポテンシャルが失われる可能性はありましたし、中国が香港民主化を少なくとも自治面で容認する事があれば中国がアメリカに代わる人権先進国としてポテンシャルを置き換え得た、南シナ海の人工島開発も中止して単なる気象観測施設としていれば、機会はあった。

 真逆の、中国脅威論を推し進める施策を香港と南シナ海で行い、新型コロナウィルスについては中国での最初の感染拡大を疑った豪州への露骨な経済制裁を行うなど、分りやすい行動を採った為に、やはりアメリカのポテンシャル、その重要性を再確認させることとなっています。すると問題はポスト大統領選、アメリカはまとまる事が出来るか、となる。

 レッドミラージュにブルーミラージュ、最初の12時間のトランプ優勢とバイデン優勢への転換、アメリカは二転三転するなかで日本でもどちらが当選するのか隔靴掻痒が続いていますので当事国アメリカの緊張はこの比ではありません。バイデン政権かトランプ政権か、とにかくアメリカの制度がとてつもない揺り返しに見舞われる事となるのですから真剣だ。

 投票所での投票は投票用紙の情報を即座に電子的に読み取り集計するのですが、期日前投票の中でも郵便投票のものは、送られてきました封筒を開封し折り畳まれた投票用紙を広げ、そしてその投票用紙が正当なものであるかを確認した上で集計を開始するため、時間が掛かり、また投票日当日消印有効の州では日本時間6日も続々郵送されている状況です。

 現在の概況。バイデンがペンシルベニア州で猛追して、これはアメリカABC報道日本時間本日朝のものです、この勝利が双方にとり歴史的数の期日前投票の開票を含め激戦が続きます。大統領選挙の鍵はこの接戦州でペンシルベニア州ではトランプ大統領が8万票の優勢、ジョージア州は9500票の優勢、となっています。各州の詳細は以下の通りです。

 アリゾナ州では郵便投票が進むと共に当初有意であったバイデン氏にトランプ大統領が猛追するという、新しい現象が進んでいます、アリゾナは27万の未開票と1万の疑問票があるとのこと。ネバダ州はラスベガス都市圏において郵便投票の開票が週末まで要すると開票責任者が発表しています。ただアリゾナ州ではトランプ氏が追いつきつつ状況がある。

 アリゾナ州、現時点ではまだバイデン優位、票数で67000のバイデン優位なのですが集計前で45万が未集計です、未集計の多くが郵便投票と云いますのでこのまま他の激戦州のように向かうかというとそうではない模様、郵便投票ではバイデン氏に有利と云われているのですが、地区ごとで見ればマリコバではトランプ大統領が逆転しました為まだ未知数だ。

 ジョージア州では2000票まで日本時間1200時の時点で接近しており、一万以上ある疑問票を慎重に精査しているという。ジョージア州ではトランプ優位ですが当初は20万の優位が36000票のこるなかで日本時間0700の時点で9000票の優位まで短縮、人口密集地域であるために集計の時間が掛かっています、電子情報も端末の物理的輸送が必要なのですね。

 ジョージア州。ただこの中で人口密集地域とともに、やはり期日前投票が後回しの開票となり、これから開票が始まるのですね。そして郵便投票の投票日当日消印有効は、郵送に時間を要する地域において開票開始に影響するものであり、例えばノースカロライナ州は3日日付郵便投票が12日まで郵送に時間を要するとのことで、まだ決着は先の話といえます。

 ペンシルベニア州はトランプ大統領が7万票リードしていますが30万の開票が終わっていません、そしてフィラデルフィアやピッツバーグといった大都市郊外の民主党支持地域での開票がまだです。30万の開票が進めば現在の7万票の優位が維持できない可能性があり、開票が続く。郵便投票、6日まで郵送の到着を要する為、現時点で総票数さえ未確定という。

 ペンシルベニア州がある意味、今回の大統領選における天王山となるのでしょうか。当日分の開票はほぼ完了していますが、中でも25万の郵便投票開票がまだ開始されていないといい、郵便投票拒否をトランプ大統領が呼びかけた支持層の投票行動がこう響いているかたち。何れも僅差であるため、投票の不明票を慎重に精査する為、時間はかかるようです。

 ネバダ州はバイデン優位ですこういいますのも、ペンシルベニア。バイデンが捕れば273の選挙人をとりますので此処で決まりですが、トランプが捕れば237となり、ノースカロライナとジョージアで267を捕り王手、ここを確実とする事でバイデン氏当選が方向づけられるわけで、選挙人は少ないですが今回の関ヶ原、ネバダは重要な役割となっています。

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令和二年度十月期十一月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2020.11.07-11.08)

2020-11-05 20:00:37 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 紅葉前線が進む肌寒い最中ではありますが皆様いかがお過ごしでしょうか、今週末の行事予定です。

 今週末も一般公開が行われる自衛隊行事はありません。さて、COVID-19により自衛隊関連行事は全面中止となっている最中に載せる話題が、なにか時事話題の特集のような自衛隊行事特集ではありますが、昨今の新型コロナウィルスCOVID-19とは異なり、世界の耳目集める話題、“アメリカ大統領選挙”を見てゆきましょう。写真は無関係に第7師団祭を。

 アメリカ大統領選挙、日本時間で混乱の一夜が明けましたが、大勢は民主党バイデン候補に固まりつつありながら、接戦州の結果如何ではトランプ大統領再選も未だありうるため混乱の極致にあります。バイデン候補優勢の世論調査はありましたが、世論調査以上にトランプ大統領の支持が延びた為、郵便投票の開票待ちという状況がいまだに続いています。

 AP通信では、トランプ大統領は選挙人214人獲得、バイデン候補は選挙人264人獲得、そして開票待ちは、アラスカ州の選挙人5人でトランプ大統領が62%を確保しつつ開票率53%、ジョージア州は選挙人16人でトランプ大統領50%とバイデン候補が49%のまま開票率100%ながら画定出ない状況、ネバダ州は選挙人6人で共に49%支持があり開票率75%に。

 AP通信、ノースカロライナ州が選挙人15人となっていまして開票率は100%ながらトランプ大統領が50%でバイデン候補が49%という。ペンシルベニア州選挙人20名で現時点ではトランプ大統領が51%でバイデン候補が48%の支持ながら開票率87%という。優勢のままトランプ大統領が逃げ切れば選挙人54人からネバダ州拮抗を加えれば60人となる。

 トランプ大統領は選挙人274人で再選、ネバダ州をバイデン候補が獲得したならばバイデン候補270人確保により大統領当選となります。郵便投票である為に到着したものを開票する事で変り得るものなのですが、開票率100%の州ではこうしたものを慎重に集計している、ということなのでしょう。この接戦州、まだ確定ではない事が肝要なのかもしれない。

 NHKはABCテレビを引用していますが、ここではトランプ大統領は214人、バイデン候補は253人。未確定州はアラスカ州、ネバダ州、アリゾナ州、ペンシルベニア州、ノースカロライナ州、ジョージア州、この6州を挙げています。アラスカ州は選挙人3人で開票率50%ですがトランプ大統領62%にバイデン候補34%で、この当たり堅いのかもしれない。

 ABC報道では、ネバダ州、開票率75%で共に49%の支持なのですが、バイデン候補は58万8252票でトランプ大統領が58万0605票といいまだ開票は四分の一残っていますがバイデン候補優位です。アリゾナ州、開票率は88%ですがバイデン候補が146万票を集め50%の支持とトランプ大統領が140万票を確保し48%の支持です。端数は第三勢力政党など。

 ペンシルベニア州、開票率が89%なのですがトランプ大統領が321万票で51%にバイデン候補が48%の305万票といい今後未開票11%の趨勢が不明です。未開票が郵便投票のものなのか、無関係に開票中であるのかについて定かではない。ノースカロライナ州、接戦で開票率94%ですがトランプ大統領273万で50%にバイデン候補が265万票の49%という。

 ジョージア州は開票率98%なのですがトランプ大統領243万票で50%支持にバイデン候補が240万票で49%支持といい開票残り2%で決まる趨勢という。トランプ大統領は214人、バイデン候補は253人、という状況で未定の選挙人は71人ですので、ここはまだ流動的だ、といえるのですね。この大統領選挙人が決まりますと、アメリカ大統領選挙は次の段階へ。

 12月14日に選挙人投票日があり、ここで不誠実な選挙人、というものがなければ12月23日に大統領が決定します。不誠実な選挙人。聞きなれない事案ですが、要するに関係ない候補に投票する、若しくはしようとする事例です。2016年大統領選挙では10名が不誠実な選挙人となり、当時のトランプ候補でもヒラリークリントン候補でも無い人へ投じた。

 連邦最高裁は2020年7月6日、不誠実な選挙人、というものを州知事が禁じる権限を付与する最高裁判決サプリムコ-トを示しました。これは不誠実な選挙人は保元の自由や投票の自由、と求める声を明確に連邦最高裁が否定したもので、今回の2020年アメリカ大統領選挙では2016年のような不誠実な選挙人によりもめる事は回避できるのかもしれません。

 しかし。ここまで接戦になるとは、正直驚きでした。昨日4日の記事は実は差し替えたほどです。法廷闘争まで進む事は必至ですが、これは郵便投票ではなく日本のように期日前投票を行うべきなのかな、と。なによりアメリカ大統領選挙は郵便投票でも当日投票でも有権者登録が必要ですので、そんな事を。ともあれ、開票結果を気長に待ちたいものですね。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・今週末の行事なし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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アメリカ大統領選二〇二〇,トランプ大統領再選かバイデン大統領誕生か全世界注視の全米各州

2020-11-04 20:12:22 | 国際・政治
■全米各州,歴史的接戦開票続く
 日米同盟。日本としては唯一の同盟国であり、自由と民主主義という現在の国際公序を支えるアメリカ、太平洋を挟む隣国のその大統領選挙というものは大きな関心事です。

 2016年大統領選挙は異例尽くしといえました。なにしろ2010年代は日本を含めたポピュリズムの時代であり、日本でも朝三暮四の政策を盛り込んだ民主党が自民党に大差で勝利し政権交代が起こりました、政策は朝令暮改でもあり、会議は踊るがされど進まずの様相を呈していまして、政策的にポピュリズム手法を用いたトランプ候補の当選は意外である。

 オバマ政権からトランプ政権へ。当初の施策は日本に核武装を認め在日米軍を撤退させるという指針が示され、西太平洋地域において日中が直接対峙する懸念があり、またNATO離脱を掲げロシアに宥和的な発言の多かったトランプ氏の大統領就任は不安ではありましたが、結果的にアメリカを偉大に、という声は間違いではなく、中国への強い姿勢へ。

 アメリカ大統領選挙は直接選挙ではなく各州ごとに大統領選挙人を選び、基本的に各州に人口毎に選挙人数が割り当てられており、勝利した州ごとに選挙人を総取りする方式です。1027時、バイデン候補が1668万8118票を得て各州の選挙人44名を獲得とトランプ大統領 1721万8261票を得て各州の選挙人42名を獲得、開票の投書はこうした滑り出しで。

 ワシントンDCコロンビア特別区での開票。1114時、アメリカ大統領選 は14州と首都ワシントンで開票が進みバイデン候補が選挙人80人を2162万6114票、トランプ大統領が選挙人51人を2274万6153票で獲得しました。世論調査では当初バイデン候補にかなり有利である報道がありましたが、前回の2016年大統領選の通り、世論調査の難しさが。

 大統領選の開票が更に進み1214時にはバイデン候補が選挙人89人を投票数3551万2627票で獲得、トランプ大統領が選挙人72人を3696万6820票で獲得しています。この後に全米で最も選挙人数の大きなカリフォルニア州が例年通り民主党優勢で決着し55人の選挙人がバイデン候補で固まると一時的にトランプ大統領との差は広がりました。しかしです。

 太平洋岸各州の開票が進むと共に1255時、バイデン候補は選挙人113人を4124万1347票にて、トランプ大統領が選挙人105人を4373万4719票にて。票数がトランプ支持層の底堅さを示す事となります。アメリカの大統領選挙は大統領候補を選ぶ大統領選挙人を各州が選挙で選ぶ間接選挙方式と直接選挙方式の混合方式であり、こうした状況はままある。

 トランプ大統領とバイデン候補は1509時時点に獲得した選挙人数が209名と209名、一時的に並びます接戦州以外は大勢が判明し、1550時ではバイデン候補が選挙人220人を6525万3504票にて獲得しまして、トランプ大統領が選挙人213人を6358万9910票で獲得しました。ここで漸く投票数と獲得選挙人の乖離が是正されてゆく事となったのだが。

 フロリダ州とテキサス州、トランプ大統領勝利が1555時までに判明します、テキサス州は選挙人38人でフロリダ州は選挙人29人、実は今回、新型コロナウィルスCOVID-19の被害が特に大きく、疾病対策の手落ちを指摘されていたトランプ大統領は、此処を落とせばほぼ敗北が確定するといわれた一方、バイデン候補の脱石油発言が響きこうした結果に。

 選挙は1831時時点ではバイデン候補が選挙人221人を6778万7609票にて、トランプ大統領が選挙人213人を6602万1047票にて獲得です。ほぼ予想通りの岩盤支持層、集計が続くのは西部ではネバダ州とアリゾナ州が、北部ではアラスカ州とウィスコンシン州にミシガン州、東部のメーン州、ペンシルベニア州、ノースカロライナ州、ジョージア州など。

 日本時間夜を迎えまして接戦州での慎重な開票が続きます、開票は今までの電子投票ではなく今回は新型コロナウィルス対策から郵便投票が多く時間を要する。アラスカ州は選挙人3人ですがトランプ大統領63%でバイデン候補33%ながら郵便投票集計待ち、ジョージア州選挙人16人でトランプ大統領50%にバイデン候補48%の正に接戦、という状況に。

 トランプ大統領優位の接戦州はこのほか、ミシガン州は選挙人16人でトランプ大統領52%とバイデン候補47%、ノースカロライナ州は選挙人15人でトランプ大統領50%にバイデン候補49%、ペンシルベニア州が選挙人20人でトランプ大統領56%にバイデン候補が43%となっています。期日前投票が選挙二日前までに9700万人、まだ郵送中というものもある。

 バイデン候補優位はネバダ州は選挙人6人でバイデン候補50%にトランプ大統領48%という。ウィスコンシン州がバイデン候補優位と伝えられるのですが、トランプ大統領49%にバイデン候補49%と0.5%以下のまさに接戦となっています。郵便投票の多さから開票に時間を要するとされていましたが、なるほどここまで判明しているのは意外といえますね。

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【京都幕間旅情】祇園祭山鉾巡行回想録(6)世界から京都へ至る道,祇園祭には不思議がある

2020-11-03 20:00:31 | 写真
■祇園祭には不思議がある
 本日は文化の日という事で祇園祭特集最終回に美しい絨毯やタペストリーの山鉾巡行上掲を紹介しましょう。

 絨毯やタペストリーにはしかし、寿命があります、そしてこれを改める事により、当時の技術の一端が示されるという、例えば2014年の南観音山だ。南観音山はペルシャのイスファハンで17世紀に織りました豪華けん装品を用いていましたが、使い続けて300年です。

 ペルシャのイスファハン、さすがに300年間使い続けるのは難しく、修復にも退色という限界がありました、いまはペルシャという国がイランになっていますし、イランのイスファハンには当時のメーカーも無い。すると、日本国内で再生するほか方法はありません。

 南観音山のイスファハン毛織物、そこで山形県の国内最高技術を有するメーカーにより今世紀に入り再生したという。しかし3cmに8本のたて糸をもちいるのが現在の最高級品ですが、南観音山は19本のたて糸を用いて密度の濃いものをもちいていた、とのことでして。

 17世紀のペルシャ絨毯、北大路でイラン絨毯が買えても17世紀のものはむりですが、日本最高の職人でもここまで密度のこいものは一日1cmしかおれないというものでして、300年前の技術に現代の観点からも驚かされ、実に2年間を要したという2014年のはなしです。

 祇園祭があるからこそ京都に世界で唯一残ったものも多い。そのひとつは長刀鉾、そのタペストリーで巡行の先頭をつとめます。先頭を往く籤とらずからして、このタペストリーか絨毯は祇園祭最大の謎と言われるそうで、メトロポリタン美術館さえ謎が解けません。

 長刀鉾、そのタペストリー。梅樹と描くこの絨毯、東洋の印象を与えるものですが幾何学模様がまわりにえがかれ、どこのものなのか、梅があるために中国の文化圏なのだろうけれどもそれ以外は謎で、世界のどこにもない模様という、どこでどう織られたものなのか。

 絨毯は堅く不思議な毛が用いられているため、メトロポリタン美術館の絨毯専門家にも皆目検討就かず、全くの謎だとも。カケンテストセンターにより化学分析を細心の注意とともに毛を採取し実施したところでは、ラクダの可能性があるという、古く成分は不詳とも。

 光学顕微鏡では、ヒツジでもヤクでもない、ラクダとは似ているものの、しかし表面形状が異なる、そこで大津市タカラバイオでのDNA分析を実施したところ微量のDNAは環境DNAのノイズがおおく分析に三週間を要したとのことです。PCR検査と同じく大変だ。

 DNAは解析されてみますと、二種類の動物のDNAが。牛、生息範囲が広く産地の手がかりとは成らない、しかしもうひとつ、希少動物のチベットカモシカが判明します。チベットカモシカとなりますとチベットと周辺にしかいませんし、余り毛織物には用いられない。

 チベットカモシカで謎は逆に深まったともいう、何故ならばあの界隈ではそれ程毛織物産業が盛んになったのは近世以降、時代が合いません。長刀鉾、くすんだ黒い色の絨毯、染色家吉岡幸雄氏は不思議な暗い図柄で朱色がもちいられておらず毛織物専門家がこうよむ。

 毛織物専門家の視点では、豊かな地域の織物ではないと分析し、辺境の産物ではないかと染色家の視点から分析します、砂漠で植物の豊かで無いような、そして中国文化圏、するとゴビ砂漠やタクラマカン砂漠などが考えられます。そしてチベットカモシカの毛、と。

 中国と云えば繊維業でシルクロードのシルクは一時代を築いたものですが、近代以前の中国には絨毯の文化が無く、すると二つの文化を結んだ何かの結節点が無ければなりません、イスラムと中国を横断する大帝国として考えられるのはその両方を征服したのはひとつ。

 モンゴル帝国、イスラムと中国を横断する大帝国はモンゴル帝国のみという、だからこそ歴史上の特別な時代、異なる文化の融合をダイナミックに再現した絨毯、破壊もしたが文化を興隆させたモンゴル帝国のものではないか、と。すると調べれば出てくるものがある。

 ロンドン絨毯専門誌編集長ベンエヴァンス氏はチベットで発見された新しい絨毯が似ているといい、放射線炭素の分析でも同時代のものという、飾りの模様にも共通点がある、チベットにもイスラムにも近いために中国北部で織られたのではないか。こう推測が成立つ。

 チベットカモシカ、チベットの模様、中国北西部高山地帯の産物といえるのかもしれない。そこで導く仮説は、モンゴル帝国により多くの民族が出会い、辺境の地域に適合する独自の絨毯が生まれます、しかしモンゴル帝国の終焉とともに技術は失われた、ということ。

 動く美術館、山鉾をこう表現していますのは、成程その通りといえるものでして、しかし美術館というよりは謎が身を纏う博物館といえるのかもしれません、こう数百年の歴史が祇園祭の長刀鉾ひとつとっても、導き出せるのですね、祇園祭は不思議なものなのです。

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【防衛情報】カールビンソンF-35C搭載決定とクイーンエリザベス艦上F-35B最大規模の搭載

2020-11-02 20:20:24 | インポート
■週報:世界の防衛,最新10論点
 今回は空母の話題からはじめまして潜水艦やその兵装に哨戒艦など海軍関連の最新情報を見てみましょう。

 F-35C戦闘機を運用する初の航空母艦としてニミッツ級原子力空母カールビンソンが8月27日、ワシントン州ブレマートンからカリフォルニア州サンディエゴ基地へ入港しました。このF-35C運用改修は19か月間に及ぶ改修計画として進められ、ブレマートンでの施設改修工事を完了したのを受け、システム面での最終段階改良をサンディエゴで行います。

 海軍はカールビンソンの改修に3億6700万ドルを投じており、甲板や航空燃料区画と航空機用エレベータ改修を行うと共に乗員区画の改良も行い、より長期間の航海を可能とする水準となっています。F-35B戦闘機の強襲揚陸艦における運用破壊しされていますが、F-35Cはより高いステルス性とF-35系統最大の戦闘行動半径を有し次世代戦に対応します。
■イギリス空母艦上のF-35B
 イギリス海軍のF-35B洋上運用は順調に進んでいますが、今回此処で象徴的な動きがありました。

 イギリス海軍は9月後半期に行われたNATO演習において空母クイーンエリザベス艦上に1983年の空母ハーミーズ以来の戦闘機部隊を展開したとのことだ。この演習においてF-35B戦闘機14機、AW-101ヘリコプター8機が展開した。F-35Bは米英の機体である。クイーンエリザベスはクイーンエリザベス級航空母艦一番艦、満載排水量65000tに達する。

 クイーンエリザベス艦上にはイギリス空軍第617飛行隊、そしてアメリカ海兵隊第211海兵戦闘攻撃飛行隊が展開し、母艦周辺は駆逐艦などイギリス海軍水上艦艇7隻が陣形を組んだ。空母部隊指揮官スティーブムーア提督はこの艦隊を世界で最も進んだ第五世代戦闘機による部隊としている。クイーンエリザベス級は最大40機のF-35Bを搭載可能である。
■イランが空母建造か?
 イラン海軍について非常に気になる動きがありました。

 イラン海軍は年内にも強襲揚陸艦の建造開始を発表する公算である。これはイラン海軍ホセインカザンディ司令官が9月23日、イラン国営放送の番組にて所見を述べた際に明らかとなった。イラン海軍が構想する強襲揚陸艦は全長231mと大型であり、ヘリコプター7機を搭載し各種無人機母艦をも担うという。また新型艦はウェルドックも有するとされる。

 強襲揚陸艦は実現するならばイラン海軍史上最大の戦闘艦となる。イラン海軍は海上発射型無人機の開発を進めており、モハジール無人機は垂直発進が可能であるとともに航続距離は200kmに達するという。またイラン海軍では新型の海上発着型ヘリコプターを開発中とされており、これは水上戦闘艦からの発進の他に海面に直接着水する事も可能である。
■ロシア艦の滑空兵器
 超音速滑空兵器は昨今急速にミサイル世代交代を世界に突き付けているようです。

 ロシア海軍は10月6日、バレンツ海海上で実施された、極超音速巡航ミサイルツィルコンの水上戦闘艦からの発射実験に成功したと発表しました。ツィルコンはアメリカが進めるミサイル防衛を掻い潜る新世代の戦略兵器運搬手段として開発されているものであり、試験ではロシア軍発表として標的までの距離は450km、マッハ8速度を発揮したとのこと。

 極超音速巡航ミサイルツィルコンの発射試験を実施したのはフリゲイトアドミラルゴルシコフ、2018年に竣工したばかりの最新鋭型艦の一番艦です。アドミラルゴルシコフは1990年代にウダロイ級やソブレメンヌイ級駆逐艦を置き換える新型艦として計画されるもロシア経済の低迷により一番艦着工は2006年に、その後も12年間を掛けて建造されたもの。

 アドミラルゴルシコフ級は満載排水量5400t、ツィルコンはUKSK-VLSへ12発が搭載可能であり、現在2隻が竣工し6隻が建造中となっています。ツィルコン運用は水上戦闘艦に加えて潜水艦からの投射が試験中となっており、2019年にロシアのプーチン大統領はツィルコンの速度を最大マッハ9と公表されており、射程は1500kmに達する強力装備です。
■ロシア潜水艦のミサイル
 ロシア海軍はミサイル巡洋艦と原子力巡航ミサイル潜水艦を従来から整備してきましたが新しい動きです。

 ロシア海軍は今後建造される885M型攻撃型原潜、所謂ヤーセン級攻撃型原潜後期型について新型のカリブルM巡航ミサイルが搭載される方針であり、これにより4000km圏内への攻撃能力を有する事となる、これは8月に行われたモスクワ陸軍2020フォーラムにおいて展示された内容をタス通信が報じたものです。ヤーセン級が3隻就役、6隻建造中です。

 ロシア海軍は伝統的に長射程の巡航ミサイルを搭載した潜水艦を巡航ミサイル原潜として分けて運用していました、SSN-21などミサイルが大型であった時代にアメリカ空母などをミサイル爆撃機やミサイル巡洋艦と協同し飽和攻撃を加える為です。しかし巡航ミサイルは小型化、カリブルはシリア内戦において3000km近い射程を有する事が判明しています。
■シンガポールの新潜水艦
 218型潜水艦といいますと海上自衛隊ゆうしお型規模の大きさに最新のAIP機関を搭載したもの。

 シンガポール海軍向けドイツ218型潜水艦が9月1日、初の海上公試に成功したとのこと。218型潜水艦は輸出用AIP潜水艦である214型の改良型で、214型潜水艦は韓国海軍が9隻をノックダウン生産、ギリシャ海軍も4隻、ポルトガル海軍は2隻、トルコ海軍も4隻を運用する。初期にはAIP機関に深刻な問題がギリシャより指摘され、本型は改良型だ。

 218型潜水艦は、水中排水量2200t、全長70mで乗員は28名となっており、シンガポール海軍は2021年より4隻を導入する。シンガポール海軍は現在中古で取得したスウェーデン製チャレンジャー級潜水艦やアーチャー級潜水艦を運用中であるが老朽化が進んでおり、これらの運用により練成した要員により最新型であるAIP潜水艦を運用する構想である。
■ロシア最新原子力砕氷艦
 日本の砕氷艦しらせ船体よりも遥かに大きな原子力砕氷艦の話題です。

 ロシアのサンクトペテルブルクバルチック造船所は9月22日、新型原子力砕氷船アルクチカを竣工させた。アルクチカは2016年に進水式を迎え建造を進めていた、全長173m、2.8m厚の氷床を連続砕氷し航行が可能で、砕氷船としての用途に加え北極圏液化天然ガス田開発を担う。アルクチカの母港はロシア北極圏のムルマンスクであると発表されている。

 ロシアは目下、北極海航路の開発を進めており、気候変動に伴う夏季の北極海船舶航行が可能となった事を受け、原子力砕氷船団の再建を急いでいる。原子力砕氷艦により一年間の内九か月間の北極海航行が可能、温室効果ガスを出さない”地球にヤサシイ”原子力機関を搭載し欧州とアジア地域の海運を短縮する事により気候変動を食い止めると期待される。
■マレーシア新哨戒艦構想
 日本の哨戒艦がどういったものとなるかが昨今の関心事ですがマレーシアの哨戒艦計画に動きです。

 マレーシア海軍将来沿海域哨戒艇構想LMS計画第二次選定が9月より開始されました。これは70m型で満載排水量700t規模の哨戒艇を18隻導入する構想で、ドイツのファスメル社、マレーシアのプレストン社、オランダのダンメル社、など提案要求に応じているとのこと。第一次契約では4隻が中国CSICに発注され既に2019年より竣工が始っています。

 LMS計画第二次選定では40mm機関砲一門と12.7mm重機関銃数丁を搭載した上でマレーシア海軍ではヘリコプター発着甲板の設置を要望しています。南シナ海尖閣諸島を中心に中国軍事圧力が日増しに高まる中、マレーシアも南シナ海に環礁や離島を有しており、マレーシア海軍ではフリゲイト等と共に平時から警戒監視に当る哨戒艦を強化しています。
■コロンビアにウルサン級
 ウルサン級フリゲイトといいますと護衛艦あぶくま型の二割小型ながら強力な兵装の艦です。

 コロンビア海軍は九月下旬、韓国海軍より中古コルベットイクサンを導入した。イクサンはポハン級、韓国が1980年代、沿岸哨戒用に24隻を量産した重武装のコルベットであり、満載排水量1220tと小型ながら76mm単装砲と30mm連装機関砲2門、エグゾセ対艦ミサイルや爆雷投下装置等を搭載し、北朝鮮ミサイル艇や魚雷艇を駆逐する任務をもつ。

 ポハン級コルベットのコロンビア海軍供与は2隻目であり、ポハン級はコロンビアの他、ヴェトナム、フィリピン、エジプト、ペルーにも譲渡されている。この供与に際しては外洋哨戒艦等の販売とセットとなっている事例も多く、有意義な用途だ。ポハン級が新型のインチョン級フリゲイトへ置き換えられており、今後も友好国への供与が進む事と成ろう。
■インドアスロック射程640km
 そんな遠くの目標をどのように発見するかなのですが。

 インド海軍は10月5日、射程640kmの魚雷投射システムSMARTの発射実験に成功したと発表しました。これはアメリカのアスロックのように短魚雷を目標潜水艦上空まで投射するものですが、射程は640kmと射程15km前後のアスロックよりも、文字通り桁違いに延伸しています。試験はインドの東部オディシャ州ウィーラー島にて実施されました。

 SMARTには射程12kmの短魚雷が装着されており、理論上は水上戦闘艦から640km先の潜航中である潜水艦を攻撃可能です。この種のミサイルで最も射程が長いのはイタリアのミラス対潜ミサイルで射程は55km、旧ソ連が1981年に開発したRPK-7の射程が100kmでした。この種のミサイルは長射程化しても潜水艦の位置を捕捉できなければ無意味です。

 インド海軍では中国海軍潜水艦部隊のインド洋進出を背景に対潜装備の強化を急いでいますが、640km先まで対潜ミサイルを開発しても、640km先を索敵する手段が限られます、イタリアのミラスは艦載対潜機がアグスタ212という搭載能力が限られた為の長射程でした。ただ、インド海軍が海底ソナー網を整備するならば、大きな抑止力となりましょう。

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【日曜特集】中部方面隊創隊五〇周年記念祭【3】徒歩部隊の観閲行進(2010-10-17)

2020-11-01 20:01:36 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■信太山37普連&高知50普連
 中部方面隊創隊五〇周年記念祭は陸軍分列行進曲とともに普通科部隊の徒歩行進が進みます。

 第50普通科連隊は2010年3月に高知駐屯地へ移駐した。しかし地元の早い駐屯の要望は厚く、駐屯地完成前には連隊創設記念行事と地元の運動公園で実施したといいまして、地元に愛される連隊という。日本全国では工事により駅前で式典を行った名寄の例がある。

 装甲車両よりもヘリコプターを重点的に自衛隊は配備を続けてきた歴史があるため、考えれば軽量の普通科連隊という部隊編成は軽量さを活かして、即応機動連隊よりも機動力を発揮できるように思います。別に空挺等ではなくともフェリーで迅速に機動できましょう。

 普通科部隊はあらゆる地形と転向を克服する、と説明される唯一の職種です。戦車であっても歩兵部隊に500m以内に接近されると間合いが取りにくくなり150m以内に間合いを詰められますと、対戦車火器により一挙に戦車が不利となります。ある意味凄いのですね。

 一個中隊を広角レンズいっぱいで真横から眺めますとなかなかの人数だ。普通科中隊は陸上自衛隊の戦闘基幹部隊でして、200名規模と縮小編成大隊に近く、本部管理中隊以下、旅団普通科連隊は三個中隊、師団普通科連隊は五個中隊と重迫撃砲中隊を基幹としています。

 第37普通科連隊が連隊長大庭秀明1佐とともに徒歩にて観閲行進へ臨みます。旧陸軍大阪歩兵第37連隊衛戍地と信太山駐屯地からの警備隊区大阪府が重なる事から歩兵第37連隊の愛称、菊水連隊、その名を引き継ぎまして菊水連隊と称されていて、パッチも菊水紋だ。

 菊水連隊。この呼称は後醍醐天皇を奉じて武勲の名が今も響く楠木正成が500名の手勢で10000名の敵、太平記には30万というが流石に、しかし少なくとも20倍の敵を抑えた千早城が大阪府の金剛山地にありまして、この際に掲げた菊水紋を継承したというものです。

 日本史には、無茶な戦いで勝利した事例が。対馬領主宗貞盛が700名の手勢で李氏朝鮮侵略軍30000を撃退してしまった1419年の糠岳の戦い、1592年に島津豊久が朝鮮春川城にて兵力500名で駐屯中に60000万の攻撃を受けたが鉄砲と逆襲部隊を駆使し撃退したなど。

 楠木正成の旗を受け継ぐ第37普通科連隊、大阪唯一の普通科連隊で有ったりもします。この編成は、本部管理中隊、第一中隊、第二中隊、第三中隊、第四中隊、第五中隊、重迫撃砲中隊です。戦略機動師団の様な対戦車中隊は有りませんが普通科中隊に対戦車小隊が。

 政経中枢師団としての第3師団と戦略機動師団としての第10師団、戦略機動旅団である第13旅団と第14旅団、この1990年代の改編は更にこれらすべてを即応近代化師団、即応近代化旅団としましたが編成は共通でなく、今後即応機動旅団や地域配備師団へ改編される。

 地域配備師団は地域を防衛する、移動運用を想定しない師団という事ですが、それでは陸上自衛隊は危急存亡のときにも遊兵を許した旧海軍の戦艦部隊再来となってしまいかねず、地域配備師団も例えば軽装備でも軽量を活かした遠征機動師団のような区分が必要と思う。

 第3偵察隊、戦闘車両らしい一段がこちらへ向かってきます、2021年には第3戦車大隊と統合し偵察戦闘大隊へ改編される。師団から2個中隊の74式戦車が廃止され1個中隊の16式機動戦闘車が配備される。個人的には1個中隊の10式戦車が必要だとおもうのです。

 第3偵察隊の観閲行進。戦闘車両が堅そうな音を響かせる、82式指揮通信車と軽装甲機動車がならぶ。偵察隊は師団の先鋒を担う部隊で、一昔の編成では隊本部以下、斥候小隊2個と電子偵察小隊という編成でした。威力偵察は機関砲を搭載する87式偵察警戒車が担う。

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