北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌-横須賀のシカゴドック,本場に磨かれた美味

2021-05-23 18:28:32 | グルメ
■榛名さんの総監部グルメ日誌
 榛名さんの総監部グルメ日誌の今回は横須賀基地の日米艦船が並ぶ横須賀を巡ってみましょう。

 横須賀、自衛艦隊司令部が置かれ文字通り我が国海上防衛の要衝であるとともにアメリカ海軍横須賀施設として空母がアメリカ本土から前方展開する世界唯一の軍港都市でもあります。そして日常に護衛艦や駆逐艦の出入港も多く、こうした背景から街は国際色豊か。

 首都東京と太平洋正面を睨む。横須賀と云うのは不思議な街です。四条でニューヨークベイクドチーズケーキとかメニューに並んでいても少々ドン引きして、いやサヴァランだろうと突っ込んでしまいますが、横須賀ですとなにかこう、アメリカンが馴染むのですよね。

 モーニングコーヒー。横須賀で朝を迎えた際には散歩したいのは基地を一望する海沿いのヴェルニー公園、ウッドデッキを透き通る潮風と共に出入港の艦艇と支援する曳船や行き来する警備艇を眺めつつ、京急汐入駅前を通り過ぎますとMIKASACAFEというお店が。

 シカゴドックを朝食に。重いと思われるかもしれませんが横須賀故に御理解いただきたい、それで理解してくれるのが横須賀という街です。このお店ではドリンクセットで頂くと若干お得になりまして、ケチャップとマスタードを並べていざ朝食準備万端だというところ。

 イリノイ州シカゴ、その名物というシカゴドックは五大湖に面している故に海産ではなく100%の牛肉をフランクフルトソーセージとしてバンズに挟み込み、そして様々なトッピングが独特と云い、ファストフードたるホットドックの中でも異彩を放っているのですね。

 レリッシュというホワイトオニオンと刻んだセロリに角切りのトマトとを併せ持った付け合せをこうもっそりとフランクフルトの上に載せるのがシカゴ、何故かドイツとアメリカの地名が並ぶものを両手で少しこう削ぐよう摘まんで頂き、そして愉しむコーヒーの香り。

 ホットドックながらピクルスも添えてレリッシュとともに華やかと仕上げるのがシカゴ流らしい。早めに散策し、その際の朝食は時間の余裕もあり、たっぷりのコーヒーと文庫本をお供にシカゴドックをお皿から零れないよう口に運び、かみ砕いて咀嚼する、美味い。

 不思議な満足感とともに店を出ますと薫る潮風、ここは横須賀なのだなと再認識したうえで、さて稜線を散策して東京湾を遠望するハイキングか、それとも隣のどぶ板横丁からショッピングとしてみるか、少し待って横須賀軍港巡り遊覧船乗り場にでも行ってみるかな。

 MIKASACAFEは横須賀にてアニメーションとのコラボレーション企画でもグルメスタンプラリーの常連となっているところでして、実は最初の御縁はこうした企画の際でした。しかし横須賀基地に近い当地は本場の味を知る方々に磨かれたホンモノが味わえるという。

 横須賀に散策としますと、どうしても今までは自衛隊や米軍の艦艇、記念艦三笠、と限られたところを堂々巡りしていたようなものですが、グルメももちろんですが寺社仏閣も横丁も商店街も街並みも含めて、海軍の街“横須賀”なのだよなあ、そんな事を実感ですね。

 本場のグルメは本物を知る人たちによって成り立っているのだなあ、とは考えるところです。実際、コーヒーのように本場を知っている人たちが増えてゆきますと培われてゆく風味も納得の美味となってゆくのですけれども、シカゴドック、ちょっとまだ定着は遠い。

 コロナの時代故に、しかも変異株の感染力の高さを思い起こしますと横須賀は遠い。すると、米軍基地で頂いた本場の物に近いと感じたピザでも頂くのが、今のところの限界というところでしょうか。ペパロニのピッツァはゲキうまだでえ、とはよく聞くところですが。

 しかし、明日から東京と大阪ではワクチン大規模接種会場が運営開始されますし、緊急事態宣言による自粛が功を奏しまして感染拡大に歯止めがかかる事が期待されます、時間は掛かりそうですが、もう少しで横須賀など散策できる日常が戻る光明は見えてきました。

 ほんもののニューヨークはやはり遠いですが、本場のシカゴドックが頂けるのも、そう遠い話ではないでしょう。コロナの時代故に社会的な息苦しさと制度的な圧迫感を感じるところではありますが、もう少しの我慢だ、こう考えて今の日常を愉しみたいところです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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総火演!令和三年度富士総合火力演習,東富士演習場畑岡地区で本日実施-陸上自衛隊Web公開

2021-05-22 20:00:43 | 防衛・安全保障
■COVID-19下の総火演2021
 富士総合火力演習、本日実施されWebにて中継されました。今回は過去の写真とともに新しい自衛隊の動静などを視てみましょう。

 本日、富士総合火力演習が静岡県御殿場市の東富士演習場畑岡地区にて公開されました。富士総合火力演習は日本最大の公開演習、例年八月に行われ一般公募により広く公開されていますが東京五輪の関係から前倒しとなり、2020年に続き2021年もCOVID-19感染拡大を受け報道公開のみ、招待客無で一般にはライブ配信により公開される事となりました。

 陸上自衛隊の教育演習として開始された富士総合火力演習は、同時に我が国防衛力のあり型と陸上自衛隊の練度を広く国民に広報すると共に、諸外国武官を招き我が国の上威力の練度と防衛への決意を誇示する国威発揚の場でもあります。もっとも、本年は悪天候に悩まされ、人口密集地に隣接する関係上特に航空部隊の参加が限られたのは残念ともいえる。

 富士学校が実施する富士総合火力演習ですが、AAV-7水陸両用車の迫力が目立ちました、これは近年は島嶼部防衛の重視を受け、長崎県相浦駐屯地に司令部を置く水陸機動団による展示部分が大きくなったことを受けてといい、今年度は更に水陸機動団の新装備“汎用軽機動車”も初公開、陸上防衛の本質的な変容を物語るものと云えるのかもしれません。

 汎用軽機動車は陸上自衛隊の新装備です、従来であればCH-47輸送ヘリコプターと高機動車を空中機動に用いていましたが、陸上自衛隊は新しくV-22輸送機を導入、オスプレイの愛称で知られる可動翼機卓越した飛行速度と長大な行動半径を誇るものですが、機内にはCH-47輸送ヘリコプター程搭載することはできません、その為に国産の新装備を導入です。

 60mm迫撃砲、偵察戦闘大隊へ装備へ。M6C-210/60mm迫撃砲は水陸機動団の新装備とされていますが本年の富士総合火力演習にて各師団や旅団へ新編される偵察戦闘大隊へも装備されると発表され、また軽装甲機動車により機動していました。これはオーストリアのヒルテンベルガー社製小型迫撃砲です、射程1600mといい片手で保持して射撃可能です。

 F-2戦闘機は悪天候により低空飛行を断念しました、ただ、後段演習では戦闘機の爆音が確認できましたので遠州灘上空で待機していたのでしょう。レーザーJDAM精密誘導爆弾による攻撃が地上設置のTNTにより再現されていましたが、気になりましたのはレーザー誘導爆弾全般は曇天の天候では充分機能しないのですよね。低空飛行以上に気になりました。

 UH-60JA多用途ヘリコプターとともにUH-1J多用途ヘリコプターなどが参加しました、意外だったのは最新型のUH-2多用途ヘリコプター、2019年に一般公開されている装備ですので2021年あたりには訓練に参加せずとも展示飛行のお披露目式くらいはあるものと考えていただけに拍子抜けでした。すると陸上自衛隊のV-22参加は、更に先となるのやも。

 ヘリコプターについてはカナダ製の狭域無人機スカイレンジャーとオーストラリア製の中域無人機スキャンイーグルが登場、悪天候の為にスキャンイーグルは映像でも確認できませんでしたが、引退したOH-6D観測ヘリコプターの代替はスキャンイーグルという印象でした、導入費用では1セットあたりの機数で割ればOH-6Dとスキャンイーグルはほぼ同じ。

 対戦車ミサイルについては一式参加しました、一式というのは、01式軽対戦車誘導弾、87式対戦車誘導弾、装甲戦闘車車載の79式対舟艇対戦車誘導弾、中距離多目的誘導弾、96式多目的誘導弾、と。並べると国産力の凄さと誇示したいところですが、それより前に種類が多くなり過ぎたような印象も否めず、もう少し統合と多用途化と改良型を期待したい。

 特科火砲については、FH-70榴弾砲、99式自走榴弾砲、19式装輪自走榴弾砲、203mm自走榴弾砲などが一式参加しました、ただし19式装輪自走榴弾砲については射撃せず。その一方で19式装輪自走榴弾砲は年度末から部隊配備が開始されると紹介されていましたので、来年度当たり、部隊行事が再開した際には展示される事でしょう。楽しみに待ちたいもの。

 富士総合火力演習、数年前までは毎年第7師団や第2師団に第11旅団や第5旅団と、北海道の重装備部隊が90式戦車などを連ねて参加していましたが、コロナ禍下で北海道からは参加できないのかと考えつつ、しかし水陸機動団は長崎から参加している訳ですので、戦車部隊の関して、我が国周辺での防衛情勢の大きな転換期を迎えているとも感じました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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令和三年度五月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2021.05.22-2021.05.23)

2021-05-21 20:17:09 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 COVID-19緊急事態宣言下ですが今週末は富士総合火力演習本番が行われますので、懐かしい写真と共に。

自衛隊行事は行われませんがオンラインで明日1000時より令和三年度富士総合火力演習が実施されます。富士学校が実施し、一般公開される国内最大の実弾演習、二年連続でのオンライン配信となりました富士総合火力演習、今年度は幾つか陸上自衛隊の新装備が展示されるとのこと。東富士演習場の天候次第でWeb配信に影響がないと良いのですが、ね。

令和三年度不意総合火力演習での陸上自衛隊新装備、恐らく20式小銃やUH-2多用途ヘリコプターと水陸機動団による汎用軽機動車が展示されるのでしょう、また木更津に暫定配備中の最新鋭V-22輸送機、オスプレイの名で親しまれる可動翼機も飛行するのかもしれません。配信が中断したなら最新鋭の電子戦装備の初登場、ではないのかもしれませんけど。

 今週末も自衛隊関連行事は執り行われません。世界的なワクチン不足からなかなかに進まないワクチン接種、接種してはやくこの現状を終わらせたいものの現物がない、いまのところ治療薬が無く支持療法に依存するのみの状況で、そして従来株よりも感染力が増大している変異株の増大による感染拡大、現実はなかなかに厳しい。しかし希望もあります。

 東京の新規感染者数は本日1500時時点で649名、一週間前の金曜日よりも205名減少しており減少傾向は8日間連続、大阪の新規感染者は昨日の時点で501名、着実に減少しています。もっとも昨日だけで大阪では32名が亡くなられていますが、緊急事態宣言前の数日内に万の大台さえみえた状況を思い返しますと、自粛要請は着実に成果を重ねる。

 アンソニーファウチ博士の発言としましてワクチンについて厳しい現実が本日付けCNN報道にありました、ワクチンを一回接種しただけでは免疫は永続しないため、インフルエンザワクチンのようにCOVID-19については今回の世界的流行禍が終息したのちも、定期的にワクチン接種する必要が生じるだろう、と。世界規模でのワクチン量産体制が必要だ。

 変異株の感染力はイギリス変異株N501Yと従来株の1.7倍、その後限界警戒されているインド変異株L452Rは更に感染力が増大している暫定研究結果が示されており、これは自粛主体の感染対策では効果が上がらないのではないかとの危惧と共に静観していました、要するに都市封鎖ロックダウンが必要なのではないか、と。しかし東京大阪は確かな効果が。

 北海道と沖縄は緊急事態宣言への踏切を躊躇したことが厳しい結果を呼んでいます。北海道は本日1500時報道の暫定数で720名以上、これは過去最高であった13日の712名を越えており、札幌市だけで420名という状況、甘く見ますと大変な状況となります。また沖縄も20日の新規感染者が198名に達し、人口が多くない県だけに懸念すべき状況が進む。

 緊急事態宣言は不自由なのか、と原点に立ち返りますと、思い切って都市封鎖を一ヶ月程度行うよりはまだ、飲食もある程度自由ですし、なにしろわたしたちは欧州が都市封鎖やむなしの状況まで経済を回した結果、都市封鎖解除後も現在の日本の緊急事態宣言よりも遙かに厳しい制限が一年以上続く現状を報道で知っている為、不自由は少ないのでは、と。

 ニールファガーソン教授がインド変異株について補足が。インド新変異株B.1.617.2の感染力は速報されていたほど強くない、と発言しました。教授はイギリスのインペリアルカレッジロンドン教授でSAGE英国緊急科学助言群の一人です。ただ、ワクチン接種が進むイギリス変異株の発生地イギリスでインド変異株が広がっているのも厳しい現実なのですね。

 日本の感染対策を戦時中の竹槍のようだと揶揄した広告が新聞広告に載せられましたが、無知の極みです、感染対策なしに経済を回したのは昨年三月までの欧州の一部、その後の北米、続いてインドと南米諸国、日本は感染を封じ込めるウィズコロナと新しい日常により感染を抑えています、無理に戦えとか経済を回し大量死を招く選択肢は避けられました。

 ワクチン不足は現実ではありますが、言い換えればワクチンが完成しつつあった昨年10月の時点で報じられたワクチン副作用の方がCOVID-19の懸念よりもリスクが低い状況に抑えられていた証左であり、結果的に副作用リスクを呑まざるを得なかった多くの国々よりも感染を抑えられていた事は成果で、現実問題として感染対策成功の国ほど接種率は低い。

 台湾、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、北朝鮮、そして日本、COVID-19については感染対策成功の国ほど接種率は低い。この前提を忘れる事は、単純な朝三暮四のポピュリズムに堕してしまう事に他なりません。そして我が国は自粛主体、世界で政府強権に自由を委ね私権制限により感染対策を行う中で自粛だけで成果を重ねている、これは誇るべきと思う。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・今週末の行事なし
・富士総合火力演習ライブ配信・・・https://www.mod.go.jp/gsdf/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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榛名防衛備忘録:パトリアAMVは2両で一個小隊を運べお得!?自衛隊96式装輪装甲車後継候補

2021-05-20 20:01:16 | 先端軍事テクノロジー
■フィンランド装備の意外な実力
 96式装輪装甲車後継車両として三菱の機動装甲車と並び有力な候補にフィンランド製のAMVがあります。

 パトリアAMV,実は安価な装甲車とできるのではないか。これはパトリアAMVが乗員2名に加えて12名の人員を輸送できる、という点からです。小銃分隊の自衛隊の定員は7名乃至8名、つまりパトリアAMVは2両で3個分隊を輸送可能なのですね。1個分隊の輸送に軽装甲機動車を2両充て、1個小隊で7両の軽装甲機動車を必要としていると考えれば。

 自衛隊では現在、96式装輪装甲車に続く次期装輪装甲車を選定中です。これは三菱重工が16式機動戦闘車をもとに開発した機動装甲車、整備を共通化できる。そしてピラーニャ装輪装甲車として知られるシリーズの最新型であるLAV.6.0、またフィンランドのパトリアAMVが検討されており、AMVは試験車両2両が納入、厳しい評価試験が開始されている。

 96式装輪装甲車で3両必要な輸送力をパトリアAMVならば2両で対応できる。もちろん、それでもパトリアAMVの方がもともとの費用は高いという批判が成り立ちます、それほどに96式装輪装甲車は取得費用を圧縮することに成功していますから。しかし、装甲車としての性能は、特に防御力において圧倒的にAMVの方が有利でして、この点も魅力的です。

 ロソマクM-1,これはパトリアAMVをライセンス生産したポーランド仕様の装甲強化型ですが、2007年にアフガニスタンにて待ち伏せ攻撃を受け、車輪全損車体大破という大損害を被った事例がありました、先頭車は車内で負傷者もでています。しかし、驚くべき点はこの先頭車が受けた損害の大きさと戦死者が出なかった点にあるといえるかもしれない。

 ポーランド軍の車列は152mm砲弾を転用したIED簡易爆発物数発により、ここで車輪を破壊、動けなくなったところにRPG対戦車擲弾が同時射撃され、少なくとも先頭車に3発が命中、更に機関銃弾が200発以上、それも7.62mm徹甲弾を含め弾痕が確認されたのですが、防御力の高さからこの状況で戦死者が出なかったという。装輪装甲車でこれは凄い。

 正面装甲は標準型増加装甲で30mm機関砲弾耐弾を想定していまして、これはもともとフィンランド軍が隣接するロシア軍のBMP-2装甲戦闘車が搭載する30mm機関砲の攻撃を想定しているためで、大胆な傾斜装甲と乗員区画の後方配置により防御力を確保した。我が国周辺では30mm機関砲を運用する戦闘車両も多く、正面装甲30mm耐弾は重要です。

 AAV-7両用強襲車ほどではありませんが浮航能力があり。10km/hで航行可能に。日本で運用する場合は沿岸部や河川の場合に船舶免許が必要ですが、道路交通法では警察庁の見解として水没していても適用されるといい、要するに道路上であれば水陸両用機能は重宝します。変な話ですがこの法規制を想定し訓練することは強引であるが違法ではありません。

 パトリアAMVを自衛隊が採用し即応機動連隊へ大量配備するならば、水陸機動団と協同し、特に水陸機動団は重火力をAAV-7と重迫撃砲に依存していますので、海岸堡確保を水陸機動団に任せつつ、上陸第二波を即応機動連隊のパトリアAMVが担う、という運用も可能でしょう。実際正面装甲の防御力ではAAV-7よりもパトリアAMVの方が厚いのですから。

 パトリアAMV,先ず、国内で運用するには法的制約が大きい、車幅は道路運送車両法で特殊大型車両となるため、16式機動戦闘車のように一般道通行時は道路管理者への届け出が必要です、つまり演習場近くの駐屯地は別として、千僧や信太山、守山や金沢に久居といった駐屯地に配備しますと、演習場への移動は面倒にはなります、この平時運用制約はある。

 エンジンはスカニア製ですので、自衛隊が導入するならば三菱製に切り替え整備性を確保する必要性はあるかもしれません。もっとも、パトリアAMVはライセンス生産の事例がポーランドのロソマクと南アフリカのバジャーということで豊富に実例がありますので、小松でも三菱でも日立でもライセンス生産か現地合弁会社で国内生産は実際可能でしょう。

 16式機動戦闘車派生の機動装甲車の方が整備互換性があるのではないか、こう反論されそうですが、即応機動連隊に関する際にはこう一概にも言えません、それは普通科連隊の重迫撃砲中隊とは異なり、火力支援中隊という特科部隊の支援を受けられない状況での火力戦闘部隊を有しているためです。すると、パトリアNEMOという自走迫撃砲システムが。

 NEMOは自動装填方式の120mm迫撃砲システムですが驚くべき事に行進間射撃が可能となっています、間接照準射撃を行う火砲は標定され反撃されないよう素早い陣地変換が常々求められ、その時間短縮に心血を注いでいましたが、行進間射撃が出来れば、もう敵砲兵は怖くないこれは若干言い過ぎですが、生存性はかつて無いほど高いといえましょう。

 火力支援中隊にNEMOを配備するならば、いや実はNEMOは砲塔システムで、16式機動戦闘車にも搭載できなくはないのですが、メーカーが同じパトリア社ということでAMVにより試験が実施され、行進間射撃の試験もこのAMVにて行われています。すると、普通科中隊と火力支援中隊で車両の統合化が可能となり、機動装甲車に拘る必要はなくなります。

 いい装備なのだけれど値段がね、こういう反論に対しての決定打が、でも2両で一個小隊運べますよ、となるようにも。パトリアAMVは後部兵員室が13平方米もあり広く、ポーランド軍では迫撃砲小隊も対戦車小隊も活用しています。一個中隊全体で考えますと、車両単体費用は高くとも防衛力整備計画全般では、それほど顕著に影響しないといえます。

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【京都幕間旅情】知恩院(華頂山知恩教院大谷寺)青椛の新緑溢れる石段上の大伽藍を探訪

2021-05-19 20:17:33 | 写真
■華頂山は法然上人の吉水禅房
 東山の美しい古刹と伽藍の中にかつて吉水禅房と呼ばれた法然上人所縁の大伽藍が広がります。

 知恩院。青椛の季節は騒がしい桜花々の季節よりも活力に満ちた感慨がありまして、芽吹く木々は桜花と違いまさに百木繚乱という故でしょう。ふと独り散策へ。ここは華頂山知恩教院大谷寺、京都市東山区新橋通大和大路東入三丁目林下町に広がる浄土宗大本山です。

 東山は八坂神社界隈を慎重に歩み進め上りますと確たる威容、この知恩院三門が石段上に凛として力強く鎮座する。この壮大三門は徳川二代将軍秀忠が寄進したもので高さ実に24m、これは我が国寺院山門にあって最大の二階二重門であり国宝に列せられているもの。

 浄土宗。ここ知恩院は金戒光明寺にも程近く、かの黒谷山からはここ知恩院も望見でき、そしてかつては対立しました比叡山の頂きも感じる事が出来る立地には晩春が初夏へ移ろう香りが近江は琵琶湖の冷涼な風とともに運び、少々小高い石段の上の御堂へといざなう。

 勢至堂、美しい御堂は室町時代享禄3年こと西暦1530年の建築で室町後期の風情を湛えています。建立当初は本堂に位置付けられていまして、阿弥陀堂造営と共に本堂の座を譲りました。勢至堂、印象に受ける通り大きなものではなく、しかし知恩院で最も古い建物だ。

 法然。承安5年こと西暦1175年、浄土宗宗祖法然房源空が専修念仏に思想開眼した際、最初に営んだ東山吉水草庵がこの壮大寺院の始りといい、ここは知恩院勢至堂付近にあったという。法然は43歳から80歳の晩年までここ知恩院を浄土宗の中心に位置づけました。

 嘉禄の法難こと嘉禄年間西暦1227年に一時は延暦寺衆徒の攻撃を受け破壊されましたが、後に四条天皇より華頂山知恩教院大谷寺の寺号を賜わり、復興となります。宗教は心の平安であるべきものですが、現代世界の凝縮図はこの通りであったようで、そして続いて。

 応仁の乱、宗教対立の後には政争に巻き込まれる事となり、知恩院二十二世周誉珠琳は総覧の煙がうず高く迫る前に早々と近江国伊香立、山を隔てた大津市伊香立は金蓮寺に御本尊はじめ多くを移し、新知恩院を建立しますが、その頃に再度にして此処は灰燼に帰した。

 寺院は城塞と似た立地や伽藍の造形を結ぶのは、やはりこの歴史に由来するものではないかと考えるものですが、戦国時代は天正年間の西暦1575年に正親町天皇による浄土宗本寺としての承認を受け、織田信長や豊臣秀吉の時代には営々と再建を進める目処が就きます。

 徳川家康の時代、浄土宗徒であった徳川家康は慶長13年の西暦1608年より知恩院の寺地を拡大し、山城国愛宕郡と山城国葛野郡そして山城国紀伊郡の一部を寺領としました。実はこの頃まで、知恩院は今の様な大伽藍というものではなく、創建当時の庵の気風が続く。

 三門と修理なった本堂こと御影堂など壮大伽藍が造営されましたのは江戸時代に入っての事でして、しかし浄土宗総本山としての門徒と檀家による寄進というものではなく、徳川幕府による手厚い保護という背景があったようです。これは一種の調和を目指したもの。

 京都御所を見下ろす知恩院は二条城とともに京都における徳川家拠点と位置付けられ、この背景には幾多と天皇の保護を受けた寺院との関係を幕府が強く持つ事で、天皇を奉護し、しかし立地からは朝廷を眼下に収め牽制するという、政治文化の曖昧な協調を示しました。

 歴史と共に、しかし今は八坂神社から銀閣寺や平安神宮へと続く東山の情景の一つとなっていまして、この長い御寺の歴史は一つ、なるようになるさ的な悟りをも感じるようです。昨今情勢は中々に緊迫の度合い保ち且つ緊張を帯びていますが、散策は心の清涼剤ですね。

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【防衛情報】F-22ラプター2030年廃止,アメリカ空軍4+1機種構想とNGAD次世代制空機

2021-05-18 20:00:26 | 国際・政治
■特報:世界の防衛,最新論点
 F-22の廃止が決定した、戦略計画部副部長からの驚きの発言がありました。勿論今日明日でも来年再来年でも無く2030年頃からのというものですが、あと10年ありません。

 日本の唯一の同盟国であるアメリカの国防計画は日本の防衛に大きな影響を与えます。こうした中でアメリカはF-35戦闘機の量産が進む中、空軍参謀総長のチャールズブラウン空軍大将が発した“変革を停止しては生き残る事は出来ない”との号令一下、巨大な変革に挑む最中です。こうした中、最強と謳われたF-22戦闘機廃止開始という報道がありました。
■F-22廃止へ,クリントン中将
 F-22時代の終焉を伝えたのは5月13日版エアフォースマガジンでした。

 アメリカ空軍はF-22戦闘機について2030年頃から段階的に廃止する、アメリカ空軍戦略計画部副部長のクリントンヒノテ空軍中将が5月13日版エアフォースマガジンにおいてアメリカ空軍の次世代航空体系の構想を示しました。F-22戦闘機は世界初の第五世代戦闘機として開発された航空機で、制空戦闘機を超えた航空支配戦闘機と表現される機体です。

 F-22戦闘機はステルス性と超音速巡航能力という、従来の世代の戦闘機には有さなかった特性を有し、第五世代戦闘機という新しい時代を切り開いた航空機です。特にステルス性は機内の兵装庫にミサイルを全て搭載しハガキ程度のレーダー反射面積しか発しないという徹底した設計配慮が為されており相手に見つからず一方的に撃墜するという運用を執る。

 F-22戦闘機の2030年からの用途廃止開始は、同時に2030年までにNGAD次世代制空戦闘機の開発を進める事を意味するとのこと。ただ、F-22の運用終了時期は明確化しましたが、これがそのままF-22の能力向上の終了を意味するものではないとも付け加えており、NGAD次世代制空戦闘機とともに全く別の新しい航空機開発も進められるとのことです。
■NGAD次世代制空戦闘機
 NGAD次世代制空戦闘機については次世代制空航空機なのか次世代制空戦闘機なのかは未知数でしたが。

 NGAD次世代制空戦闘機は、ここ数カ月の間に急な前進が示された構想です。もともと部分試作として2019年から2025年までに90億ドルの開発費、2021年だけで10億ドルが計上されていますが、もともとはF-22戦闘機やF-35戦闘機などの第五世代戦闘機を補完する航空機との認識でした。しかし、F-22戦闘機の退役はこの位置付を大きく変化させる。

 こういうのもNGADは航空支配に資するステルス航空機ではあるものの、単なる空対空ミサイルを大量搭載した爆撃機のような大型機となる可能性も、ステルス性を有する早期警戒機と戦闘機の中間とも考えられていたのですが、空軍はこの当たりまだ研究中としています。しかしF-22後継として位置付けられるならば、これは戦闘機となる事を意味します。
■深刻なF-22稼働率低迷
 NGAD次世代制空戦闘機という構想は最近突如外郭が示され始めましたがF-22を補完する機体と考えられていたものの事実上置換えを目指すようです。

 アメリカ空軍参謀総長のチャールズブラウン空軍大将は2030年代のアメリカ空軍を構想するうえで“変化を加速するか失うか”との号令を掛け、空軍改革を提示しています。この一環にNGAD次世代制空戦闘機の導入が挙げられており、変化を加速する為にこれまでの空軍の象徴的な戦闘機であったF-22について費用対効果の秤に掛けられるのでしょう。

 F-22戦闘機廃止開始、この衝撃的な発表についてアメリカ空軍ではF-22の幾つかの限界が冗長性ある航空作戦体系の構築に影響を及ぼしているとの認識はあるようです。第一にはF-22の機数が少なすぎる事で、F-22戦闘機の量産機は187機、全世界で行動するには第一線へ作戦機供給体制を考える上でF-22の可動数に確証が持てない状況があるようです。

 F-22は低稼働率にも悩まされています、これはトランプ政権時代のマティス国防長官が海空軍及び海兵隊戦闘機稼働率を80%以上に上げるよう長官命令を出したものの、F-22は一年のご稼働率は51%と水準を大幅に下回る状況がありました。背景に保有機の一割近くがハリケーンにより破損する事情もあったのですが、F-22の低稼働率は問題視されています。
■ソフトウェアファクトリー
 戦闘機に直接関係或るものではありませんがソフトウェアファクトリーという興味深い試みが在るようです。

 アメリカ軍にソフトウェアを納入するロッキードマーティン社は新たにソフトウェアファクトリーを設立しました。これは主としてソフトウェア開発とセキュリティ及び保守管理などを体系化したソフトウェアパイプラインという電子空間の製造ラインにより12の開発ラボを直結、従来数カ月を要していた開発作業等を数週間に劇的に短縮させるものです。

 アメリカ軍のソフトウェア開発は、特に核兵器体系の早期警戒システムや核兵器運用制御やサイバー攻撃による核兵器誤射の絶対阻止などから重要視されています。ただ、同時にアメリカ空軍は今後の航空機作戦体系についても、ソフトウェアの頻繁な能力向上により性能を維持させる視座を採っており、ソフトウェアパイプラインの応用が考えられます。
■空軍が目指す4+1機種体制
 4+1機種体制へアメリカ空軍は大きく舵を切るようです、単に機種転換の過渡期から世代交代完了へすすむだけでも無いようですね。

 2030年F-22廃止開始という衝撃的な将来計画とともにクリントンヒノテ空軍中将は空軍戦闘機体系を現在の7機種から4+1機種体制へと転換する方針を発表しました。現在過渡期にあるアメリカ空軍では制空戦闘機としてF-22とF-15C、多用途戦闘機としてF-35AとF-16C、戦闘爆撃機としてF-15Eと最新型のF-15EX、それに攻撃機としてA-10が並ぶ。

 4+1機種体制とは、F-35戦闘機とF-15EX戦闘機、NGAD次世代制空戦闘機及びF-16後期型とし、+1としてはA-10攻撃機を示すものとのこと。F-16後期型とは現在のF-16Cを近代化改修するのか、チャールズブラウン空軍参謀総長が否定したF-16Vの新規調達を見込むのか、F-16後継の准第五世代戦闘機新規開発型をF-16派生型とするのかは未知数だ。

 NGAD次世代制空戦闘機は螺旋階段状の段階近代化改修を続ける構想といい、定期的にプログラムを書き換える事で次世代航空プラットフォームとしての機能を維持するとのことで、これは五年ないし八年という短期間で行われる。これは恰もWindows95やWindows7といった更新がWindows10にに切り替わり定着したような方式を彷彿させるものですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【防衛情報】AJAX装甲偵察車試験とCV-90追加調達,BMP-3F両用装甲車とBMP-2M近代化

2021-05-17 20:01:50 | インポート
■週報:世界の防衛,最新10論点
 今週は各国の装甲戦闘車の話題を中心に戦車以外の重装甲車両の話題を中心に10の最新情報を視てみましょう。

 イギリス陸軍は2月、運用するAJAX装甲偵察車について信頼性検証試験を実施したとのこと。試験については2019年にも納入開始予定であったAJAXが試作車による評価試験を経て中々実運用への量産開始に進まず、評価試験の進捗状況を情報公開する意味合いもあります。信頼性検証試験はイギリス国内で製造されている40mm機関砲塔が対象という。

 AJAX装甲偵察車はオーストリアとスペインが共同開発したASCOD装甲戦闘車を原型として高性能偵察マストと偵察兵4名を乗車できるよう改修した上でラインメタル社が設計した40mmCTA機関砲を搭載したもので、イギリスはスカウトSUVとして採用、のちにAJAXとして当面は589両を導入予定です。当初は120mm砲搭載型も採用予定でした。

 ASCOD装甲戦闘車は設計自由度の高い装甲戦闘車で、もともとはオーストリア軍4A4FA装甲車とスペインのM-113装甲車が新たに導入した第三世代戦車レオパルド2に対し機動力で随伴できない為に開発された高い機動力を有する装甲戦闘車ですが、採用国の兵站体系に併せてエンジンや駆動系等を自由に選択でき、軽戦車型はアメリカ軍に提案中です。
■ノルウェーCV-90追加配備
 89式装甲戦闘車がとうの昔に製造終了となったのに対して改良型が連綿と開発されるCV-90装甲戦闘車は装備の理想形だ。

 ノルウェー陸軍は新たにCV-90装甲戦闘車20両を取得するべくBAEシステムズ社との間で5000万ドル以上の契約を結んだとのこと。CV-90はスウェーデンが開発した装甲戦闘車で開発当時は装甲戦闘車用として世界最大口径であるボフォース40mm機関砲を搭載した装甲戦闘車として誕生、軽戦車さえ置換える重武装と云う事で世界から注目されました。

 CV-90をノルウェー軍はCV-9030Nとして1994年に104両を導入、ノルウェー軍仕様では機関砲を運用環境と戦術要求から30mm機関砲に改めて採用しています。ノルウェー軍はその後60両を追加調達し、現在144両を取得しています。既存車輛はCV-9030NF-1へ改修されており、今回の増強調達によりノルウェーは164両まで増強される事となります。

 5000万ドルでCV-90を20両調達する今回の契約では、ノルウェー軍は30mm機関砲塔に代えて12.7mm重機関銃RWS遠隔操作銃搭の搭載型を取得するものとみられ、このRWS搭載型は開発国スウェーデンでも販売を担当するBAEシステムズ社でもアルマジロ重装甲車として、従来の箱型車体を有する装甲人員輸送車APCよりも高い防御力を強調している。
■指揮通信型ACV-Cを初受領
 ACV水陸両用装甲車、アメリカ海兵隊が装輪装甲車でAAV-7を如何にして置換えるかは関心事です。

 アメリカ海兵隊は2月19日、最新型のACV水陸両用装甲車の指揮通信型ACV-Cを初受領したとのこと。ACVはイタリアのイヴェコスーパーAVを原型として装軌式のAAV-7両用強襲車の一部を置換える装甲車として導入を開始したもの。ACV-Cは多数のデジタル通信機器を搭載し航空部隊や両用戦艦艇と協同しACV部隊の運用統制に当る最新型の一つ。

 ACV水陸両用装甲車は現在、2020年12月から本格的量産に移行しており、現在の基本的な武装は遠隔操作銃搭に12.7mm重機関銃を備えるのみですAAV-7の12.7mm機銃40m擲弾銃より非力ですが、供給を担当するBAEシステムズ社ではACV-30として30mm機関砲塔搭載型を製造中であり、この他にACV-Rとして装甲回収車型の製造も進めています。
■両用型BMP-3F装甲戦闘車
 アメリカは水陸輸送車両を装甲化する発想でAAV-7を開発しましたがBMP-3F装甲戦闘車は元々が水陸両用戦車という。

 ロシア海軍の水陸両用戦部隊である海軍歩兵はBMP-3F装甲戦闘車2個大隊所要の受領を開始するとのこと。太平洋艦隊隷下の海軍歩兵に最初に受領される計画です。BMP-3FはBMP-3の最新型でシーステート3の海面上でも浮揚を維持でき、シーステート2の海面上でも推進が可能、原型のBMP-3よりも水上航行能力と安定性が強化されているものだ。

 BMP-3Fは従来、輸出に重点が置かれており、これまでに採用されたのはインドネシア海兵隊へ輸出された54両のみであるが、ロシア海軍隷下の海軍歩兵には各艦隊に一個旅団、小艦隊隷下には一個連隊、太平洋艦隊隷下に2個旅団が置かれている。永らく冷戦時代のPT-76両用戦車とMT-LB装甲輸送車を装備し続けたが、近年近代化を強化に転じている。

 海軍歩兵にはT-80戦車及びBMP-2M装甲戦闘車の配備が大隊規模で進み、ここにBMP-3Fが加わる構図である。BMP-3は元々PT-76設計を発展させたもので浮航性能は高い、ロシア海軍は当初、BMP-3車体に軽量なBMP-2砲塔を搭載したBMMP水陸両用装甲車を配備する計画だったが、BMMPの評価は芳しくなく、そのままBMP-3を調達した構図である。
■BMP-2にsb4-2近代化改修
 89式装甲戦闘車と比較すると性能面はともかく量産され戦術に内部化されているBMP-2装甲戦闘車は凄い装備です。

 ロシアのウラルガード戦車工場はBMP-2装甲戦闘車近代化改修型であるBMP-2M装甲戦闘車10両をロシア軍へ納入したとのこと。BMP-2はソ連時代に開発された30mm機関砲搭載の装甲戦闘車で、73mm砲搭載のBMP-1を補完するべく大量生産されている。sb4-2近代化改修として試作されていた改修型と、更に改修したsb4-3近代化改修したものがある。

 BMP-2M- sb4-2近代化改修では30mm機関砲などはそのままに車体正面部分と側面部分に大規模な増加装甲装着が行われると共に、砲塔には二発のコンクルースM対戦車ミサイルが連装配置された。BMP-2は浮航性能を有する一方、車体部分の装甲の薄さが問題視されており、車体正面下側に厚い増加装甲、車体側面は銃眼を塞ぎサイドスカートを強化した。

 BMP-2M- sb4-3近代化改修ではアクティヴ防護装置の様なものが確認されるほか、増加装甲の装着範囲が車体側面にも正面と同程度の車体全周に渡り施されており、ロシア軍発表写真では車体と砲塔に更に鳥籠状のスラッド装甲を備えている。BMP-2M装甲戦闘車はソ連時代からの精鋭部隊として位置付けられる第6親衛自動車化狙撃師団へ配備されている。
■スペイン,チェンタウロB1延命
 チェンタウロB1戦車駆逐車は自衛隊の16式機動戦闘車はじめ各国に装輪車両で威力偵察以上の対戦車戦闘能力という概念を付与した筆頭ですね。

 スペイン軍は84両を運用するイタリア製チェンタウロB1戦車駆逐車の延命改修についてスペイン防衛企業コヘモ社との間で新たな契約を結ぶことで合意しました。これは2022年までの定期整備を行うとともに、2025年までの定期整備延長のオプションを含むものとしています。コヘモは2019年よりスペイン軍へチェンタウロ予備部品を供給していました。

 チェンタウロB1戦車駆逐車はスペイン陸軍がレオパルド1主力戦車の後継として1990年代に導入したもので、52口径105mm砲と砲塔に14発、車体に26発の砲弾を搭載し、装輪装甲車としての極めて高い戦略機動性を発揮しています。開発国イタリアでは120mm砲を搭載するチェンタウロ2が開発されましたが、スペインでは採用の動きはありません。
■インド軍バジュラT配備
 バジュラTというとマクロスFのような印象です、インド軍はバジュラTかっているのか、というね。

 インド陸軍は2月17日、韓国設計K-9自走榴弾砲第100号車のライセンス生産車輛を受領したと発表しました。インド軍は砲兵近代化の為に幾つかの国産次世代火砲を開発しましたが何れも開発に失敗、これにより安価ながら52口径長砲身砲を搭載した高性能な韓国製K-9自走榴弾砲をバジュラTとしてインド国内にてライセンス生産する事としました。

 K-9バジュラT自走榴弾砲のライセンス生産は42カ月間で100両の量産計画を立てており、これが完了した事となります。インド陸軍は中印国境において中国人民解放軍の重戦力と対峙しており、近年は散発的な国境衝突が再燃しています。こうした中で30km以遠の目標を攻撃できるK-9自走榴弾砲はインド軍にとり重要な長距離砲兵火力といえましょう。
■パンツァーリS1とS-400
 パンツァーリS1複合防空システムとは要するに87式自走高射機関砲とP-SAMをトラックの荷台に搭載したようなもの。

 ロシア軍は無人機脅威に対応する一環としてパンツァーリS1複合防空システムをS-400広域防空システムへ統合する指針を発表した。これは2020年末にクリミア半島において実施された軍事演習におけるもので、低空からS-400ミサイルシステムへの攻撃を試みる複数の無人機を想定し、ミサイルシステム接近前に高射機関砲により制圧したとのこと。

 パンツァーリS1複合防空システムはトラック上にツングースカ自走高射機関砲と類似したガンSAMハイブリッド砲塔を搭載したもので、射撃統制装置と索敵レーダーを一体化させた独立運用能力の高い防空システムである。主として3km圏内の無人航空機に威力を発揮し、無人航空機の飛翔する高度50m前後の目標へも30mm機関砲が弾幕を張り無力化する。

 S-400ミサイルシステムは射程300km以遠を狙う広域防空システムだが、超小型無人機が建物よりも低い高度で接近する運用への防空は想定しておらず、近年はこの種の無人機がこう言いミサイルシステム攻撃を行い、防空システムを麻痺させたうえで本格的な航空攻撃に展開する懸念が指摘されている。いわば近接防空システムが必要された形となった。
■フィンランドのER-GMLRS
 冷戦終結後の欧州でMLRSは大量に廃棄されていますがロシア脅威再燃と共に大事なものを廃棄した事に気付くという。

 フィンランド軍はMLRS用ロケット弾最新型のER-GMLRS-AWロケットを導入する。これはアメリカ国務省が2月22日に有償軍事供与決定を発表したもので、MLRS関連装備に関する輸出は全体で9120万ドルに達する契約となります。フィンランド軍は現在、NATO諸国より余剰となったM-270-MLRSについて22両を取得し現在も運用中となっています。

 ER-GMLRS-AWはGPS誘導型のM-30ロケット弾を含むもので、これは自衛隊も運用するM-31と同系列となっています。ただ、自衛隊の運用するM-31はGPS誘導とともに単弾頭型を採用していますが、フィンランドが導入するER-GMLRS-AWのM-30はM85改良型子弾を404個内臓したクラスター弾薬となっています。射程は100kmに上るという。
■アイアンドームを改良
 アイアンドームミサイル防空システムは拠点防空用のシステムですが今後は輸出用に機動運用型が開発されるのでしょうか。

 イスラエル国防省は現在拠点防空用に配備されているアイアンドームミサイル防空システムの能力向上型評価試験を本格化したと発表しました。アイアンドームは射程10km以下の、しかし同時多数による飽和攻撃を撃退するべく開発されたもので20連発射装置を3基、射撃単位へ配備しており、都合数十発のミサイル飽和攻撃を迎撃可能となっています。

 アイアンドームはイスラエルが国内の人口密集地域へ行われるイスラム過激派ロケット弾攻撃を以下に防衛するかが長年の課題でした。過激派ロケットとはいえ、カッサムロケットという122mmから130mm級ロケット弾は一発でコンクリート建築物を破砕し、年間千数百発の単位で撃ちこまれ、また民間居住地域から発射される為に反撃もままなりません。

 能力向上型は海上配備型に搭載されるものですが、イスラエルでは本土防衛用アロー2及びアロー3弾道ミサイル迎撃システムの近接防空用にもアイアンドームを活用する方針です。アイアンドームにより数十発のロケット弾が数分間で打ち込まれた場合に人口密集地に落下する目標を瞬時に火器管制装置にて識別し危険な目標のみを迎撃、効果を上げています。

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榛名防衛備忘録:徘徊式弾薬は無人機かミサイルか?武力攻撃か武力行使かのグレーゾーン

2021-05-16 20:18:32 | 先端軍事テクノロジー
■政府は飛来前に議論し結論を
 徘徊式弾薬は無人機かミサイルか、これはもはや武力攻撃なのかまだ武力行使なのかのグレーゾーンを明確化する為の重要な論点です。

 政府は近年増加する徘徊式弾薬をミサイルの一種として考えるか、無人機の一種として区分するかを明確にすべき時かもしれません。周辺国が常時持続的に徘徊式弾薬を周辺地域において無人機として飛行させ示威行動に移る前に、徘徊式弾薬を排他的経済水域内で使用されることを無人機として容認するか、ミサイルとして武力攻撃事態と見なすのか。

 台湾海峡や南西諸島では現在、中国大陸からの国籍不明無人機の飛翔が確認されています。もちろん無人航空機はRQ-4グローバルホークなどをアメリカ軍が運用していますし、ガーディアン無人機の運用試験は海上保安庁が九州などで開始しています。故に日本の施政権下の領域や政府公船へ外国無人機が日常的に飛来する状況も時間の問題といえましょう。

 しかし、これが徘徊式弾薬となった場合はどうでしょうか、海上保安庁巡視船上空などを徘徊式弾薬が飛行し、いつでも撃沈できると示威行動をとりつつ、政府が外交ルートで非難した場合には、これは無人機であり平和的なものだ、こう反論された場合にはどうするのでしょうか。撃墜してしまえば相手に軍事介入の口実を与えかねず、この対応が難しい。

 ミサイルなのかドローンなのか、現在、徘徊式弾薬という突入型無人航空機の普及が始まっています、2020年のナゴルノカラバフ紛争においてアゼルバイジャン軍がイスラエル製徘徊型弾薬を組織的に大量投入し大きな威力を発揮しました。ミサイルは目標を定めて誘導しますが、徘徊型弾薬は戦場上空を飛行し索敵、目標を発見次第突入するというもの。

 ドローンともいえる、目標を発見できなくとも発射し数十分にわたり戦場上空を飛行します、そして攻撃方法は体当たりですから。しかしミサイルとも言える、発射前に照準するか発射後に照準するかは一種の中間指令誘導方式とも言え、これは射程の大きなミサイルでは目標情報の更新が普通ですから。もっともこれをミサイルというには飛翔速度は遅い。

 徘徊式弾薬、この装備はイスラエルのハーピーが有名ですが発想そのものは実は無人機が普及本格化する直前、1990年代末に開発されたものでした、当時は自爆型無人機と呼ばれていまして、その時点ではまだグローバルホークが評価試験中、無人攻撃能力の高いMQ-9リーパーはまだ構想さえされていない時代のもの、無人機は無人偵察機という扱いでした。

 RQ-2パイオニア無人機が1980年代からイスラエル軍が運用しており、アメリカ海軍が当時現役であったアイオワ級戦艦の406mm艦砲の着弾観測に採用しています。偵察に特化した無人機ですが、無線操縦でTV電波によりリアルタイムの画像情報を伝送可能で、万一撃墜されても人的被害はないが、得難い情報を常時持続的に伝送する、そんな装備です。

 1980年代には便利な装備でした、イスラエル軍は危険なロケット弾射撃陣地などをRQ-2で発見した瞬間にM-109自走榴弾砲が155mm砲弾を撃ち込めば良い、しかし、無人機の行動範囲が増大しますと、155mm榴弾砲の射程外の脅威目標を発見することもあった、この場合AH-64A戦闘ヘリコプターの出番でしたが、タイムラグはどうしても生じてしまう。

 無人機が脅威度の切迫した目標を発見した場合では体当たりもやむなし、無人機を失うことにはなるが代え難い切迫時には、攻撃されて犠牲者がでるよりは無人機の費用で済むならば致し方ない、これが自爆型無人機の発想でした。しかし無人機の低価格化とともに徘徊式弾薬として独立した装備体系となり、非常に大きな威力を発揮するようになるのです。

 陸上戦闘体系から考えた場合、徘徊式弾薬は近接航空支援を受けにくい地域では予め友軍地上部隊上空に待機させることで、即座の脅威に対し即応対処することが可能です。イスラエルが開発したハーピーの滞空時間は9時間、しかもイスラエルは中国へこのハーピーを輸出していまして、中国は本装備をデッドコピーしたASN-301を開発し量産中です。

 ハーピー2徘徊式弾薬は、200km圏内で管制が可能で航続距離が1000kmに達しています。往還飛行が可能で目標がなければそのまま着陸、無人偵察機として飛行し高付加価値目標を発見した場合には体当たり攻撃を行う、最高速度は420km/hとミサイルよりも格段に遅いですが滞空時間は9時間、暖冬重量は23kgであり、戦車さえも破壊する威力があります。

 この種の装備が無人機の平和的な飛行として日本周辺を飛行し始めた際に対処を考えても手遅れです、運用された場合は相手が軍以外の組織であるとしてもグレーゾーン事態として武力攻撃着手と見なすか、無人機として考えるならば、こちらも同種の徘徊式弾薬や武装無人機による哨戒飛行を南シナ海などにおいて検討する、こうした準備が必要です。

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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌"舞鶴":城下町西舞鶴の美味しい駅前寿司

2021-05-16 18:11:16 | グルメ
■榛名さんの総監部グルメ日誌
 榛名さんの総監部グルメ日誌は今回は日本海防衛の要衝、舞鶴地方総監部の置かれています舞鶴です。

 舞鶴というと海鮮、でしょうか。肉じゃがもおいしいところはあるのですが呉市のように専門店と言いますか居酒屋の定番というほどではありません、すると、やはりここは日本海の恵みという海鮮です。お寿司もおいしい。ただ舞鶴散策していますと困るのは不便さ。

 昼からお寿司をいただけるところは特に東舞鶴ですと回転寿司くらいという不便さです、寿司屋がやっていたぞと勇んではいると昼はオウドンだけよ、ということもあります。西舞鶴、お寿司といいますと西舞鶴の方がお昼楽しめるところもありまして、助かりますね。

 西舞鶴、さすがは田辺城の城下町だ、と唸らされるところです。ここは西舞鶴駅前、お隣にはビーフシチューで有名になってしまい、実は20年近く散策している界隈で某艦隊をこれくしょんするゲームの同人誌で有名になり入ることが難しい人気店となったのは驚き。

 こういう時こそ、隣のお寿司屋さん。風情というのは、実は家具を選ぶときはこう深い木の色合いが好きなのですが寿司屋となりますと明るい木材の色調、そしてカウンターもその色の方が不思議となじむものがあります。もちろんカウンターに陣取りまして、さて。

 もともとにぎり寿司は江戸時代からの伝統的なファストフード、これを手早く頂きたい。昼時というのは、実は頼めば一通りの握りも天ぷらも土瓶蒸しまで出してくれるところもあるのですが、ランチのみの店、また土日祝日となりますと並か上だけというところも。

 敷居の高さと思われるところですがここは舞鶴、案外と手軽で、そして満足感も大きい。上寿司。舞鶴ですので上寿司を注文して間違いはありません、なにしろ丹後半島と日本海は若狭湾の海産物、まあ丹後半島でかにさんなど目一杯頂くと、出費は相応に嵩みますが。

 そしてなによりも新日本海フェリーにて北海道小樽から本場の海の幸がピストン輸送されていますので。しかし、上寿司にしても並寿司にしても迷うのはなにからいただくか、ということ。旬が大事、というお寿司では、どれが美味しいか、最初の一つは気になる。

 旬の魚、まあ昨今は旬などその都度インターネットさんで調べられるお手頃時代なのですが、上寿司で大将に任せれば旬と定番を織り交ぜてくれますので間違いはない、そして美味しい。鮪から行くか定番は最後に残して白身か光り物をどの時機でいただくか、とも。

 甲殻類も良いがいっそ考えずに右端から順番に口に運ぶか箸で掴みやすいものを順番にいただくか。鮨に合うのは清酒に決まっているのですが昨今はどうしても情勢の時節からとそう簡単に一献潤す事が出来ないのは、口惜しい、この言葉そのままの印象を感じます。

 駅前寿司、舞鶴線がそんなに本数がありませんので電車をまつの間に旅行という非日常を楽しむには一つの選択肢です。もうひとつ付け加えると西舞鶴駅は駅弁をやっていない、コンビニ弁当を並べているだけですので旅行情緒を楽しむには美味しいものは駅前で頂く。

 海鮮に合うのはまずはビールで口を潤して、それから清酒を地酒で、まず一通りいただいてから巻き寿司と焼酎で楽しむか、寿司を頼む前に適当に切り身を肴に一献嗜んでから握りを締めにいただくのか、こう考えるのですがコロナ時代、不自由多い。それでも美味しいのは不思議だ。

 アルコールはどうしても呼気が多くなる、古希までコロナ時代を生き延びるには呼気の多い状態で特急まいづる号なんかに乗り込んでは一発感染さようなら、となりかねませんので、これはもう少し我慢するしかないのだなあ、と。しかしそれを差し引いても、美味い。

 安全な会食は難しい、しかし日本医師会の中川会長が実践した様な、飲食を伴わないパーティーならば、安全なのか。こう実感したのは自粛を呼びかけている中川会長が政治化資金パーティーに出席した事を良く調べずに糾弾している方々の滑稽な様子から思いました。

 飲食を伴わないパーティーならば安全なのですが、楽しいのかは別という。要するに体裁として行わなければならないもの以外は、例えば家族より大きな単位での会食は、社会的距離が動線を含め3m離隔を採れる状況でもなければ難しいのかな、と考えてしまいます。

 私の場合はもうN501感染拡大後は外食では個室を使えるところ、若しくはデッキなど屋外で周りに人のいないところ、馴染みのお店にて人のいない時間帯、ちょっと慎重すぎると思われるかもしれませんが、このくらいしか安全と考えられるところがもう無いのですね。

 乗り切ってしまえば後世話のタネにできる、日本の感染状況はまだこうした状況です。ただ、欧州の幾つかの国のように100万人あたり数千人が死亡する状況となっては此れは成立ちませんし、欧州では既に15名に一人が感染、ここまで来ると、もう洒落になりません。

 日本の場合は感染拡大前に手を打ったことで、今の大阪も含めて、無茶苦茶な都市封鎖を行わず低空飛行状態で維持でき、ワクチン接種の遅も副作用の健康被害の方がCOVID-19よりも重視される程、余裕はあったといえるのですね。破綻点に至らぬよう、もう少し我慢したいものです。

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【防衛情報】アイアンドームが迎撃するハマスA-120ロケット弾と射程200kmのM-302型

2021-05-15 20:01:39 | 先端軍事テクノロジー
■特報:世界の防衛,最新論点
 緊張続く中東情勢について、先ず情報としてどのようなロケット弾が用いられているかを提示し報道を理解する一助となる話題を緊急特集します。

 イスラエルのパレスチナ自治区ガザ地区からのイスラエルへのロケット弾攻撃が激化し、イスラエル軍はアイアンドーム迎撃システムによる迎撃に加え空爆を強化、ガザ地区周辺に3個旅団を展開させ榴弾砲による攻撃も開始しました。しかし双方とも非戦闘員居住地区を市街戦でない状況で攻撃している。軍人には自国民他国民問わず市民を守る矜持が欲しい。
■多連装型のA-120ロケット弾
 ロケット弾による攻撃はかなり想像以上に長射程のものが多数含まれているようです。

 イスラエル国防省はイスラム武装勢力ハマスより5月からイスラエル主要都市に撃ちこまれているロケット弾について、新型のA-120ロケット弾であると発表した、エルサレムポストが報じました。これは2014年にイスラエルを攻撃したR-120ロケット弾を多連装化したもので、従来ハマスが多用したカッサムロケットよりも遥かに射程が延伸しています。

 A-120ロケット弾は射程が120km、これはハマスが実効支配するガザ地区一部地域からイスラエル主要都市を射程に収めるもので、ロケット弾はイスラエルメディア報道では八連装のコンテナ発射装置から連続発射が可能となっています。このコンテナ発射装置は報道映像を見る限り全周旋回式のものを地上に設置、ロケット弾は人力装填する構造でした。

 R-120ロケット弾は単発発射装置により運用され、トラックにより単発発射装置2基を輸送可能となっていますが、A-120の最大の相違点は8連装発射装置による投射能力の強化でしょう。これはロケット弾攻撃の多くがイスラエルのアイアンドームミサイルにより迎撃されていますが、単一弾道を同時多数投射する事で迎撃能力が飽和される懸念が出ます。
■テルアビブ狙うM-320
 今回のロケット攻撃はガザ地区からかなり距離を隔てたテルアビブ等に到達しています。

 イスラエルへのガザ地区からのハマスによるイスラエル都市攻撃には新型のM-302ロケット弾が用いられています。射程200km程度のロケット弾が少数でない規模で投入されており、これは新型のM-302ロケット弾である、5月13日付BBCが報道しています。ガザ地区から距離を隔てるイスラエル行政中枢テルアビブへの攻撃はM-302ロケット弾と推測できる。

 M-302ロケット弾の攻撃について、数は多くはありませんが、イスラエル軍が都市防空に充てるアイアンドームミサイル防衛システムに対し分散を強要する機能が考えられます。アイアンドームは優れたシステムですが、イスラエルの経済力では全土を同時防衛するには数が不充分、しかしテルアビブが標的とされるならば一定の配備を割かねばなりません。
■カッサムロケット飽和攻撃
 当初疑問だったのは何故イスラエル軍はガザ地区周辺にアイアンドームを展開させ地区内で迎撃しないかという事でしたが、各種飽和攻撃が行われているもようです。

 イスラエルへのイスラム武装勢力ハマスによるロケット弾攻撃は5月10日の開始以来三日間で1000発以上を超えました。ハマスには様々な射程のロケット弾が配備されています。最も射程の短いものは大量に製造されているカッサムロケットで射程10km、カッサム2とも呼ばれるクッド101ロケットは射程16km、カッサム3ことセジルが射程55kmです。

 都市部を標的とする長射程のA-120ロケットやM-302ロケット等がありますが、カッサムロケットと同時に射撃する事で、ガザ地区周辺に配備されたイスラエルのアイアンドーム迎撃ミサイルには、どのロケット弾が長距離ロケット弾であるかを欺瞞する効果があると考えられ、実際にハマスは最初の38時間で実に1050発ものロケット弾を発射しています。
■イスラエル防空艦2番艦
 イスラエル海軍はガザ地区を恒常的に海上封鎖し、オスロ合意で認められたパレスチナ自治区領海内での天然ガス掘削も行っていますが、ドイツはイスラエルに新型艦を売却しました。

 イスラエル海軍はドイツのティッセンクルップ社において建造していたサール6型コルベットの二番艦オズの引き渡しを受けました。サール6型はイスラエル海軍が初めて導入する防空艦で2016年に4隻の船体建造を4億5000万ユーロにて契約しています。武装はイスラエル独自のものが計画されており、今後イスラエルにて艤装工事を行うとのこと。

 サール6型コルベットはドイツのブラウンシュバイク級コルベットの派生型として建造されており、満載排水量は1900t、全長90m、ディーゼルエンジンにより26ノットを発揮します。ELM-2248多機能レーダーを搭載すると共に武装はバラク8対空ミサイル32発と76mm艦砲、そして航空機格納庫を有し、SH-60Fヘリコプター1機の運用が可能です。
■人道危機に繋がる地上戦の懸念
 このままイスラエル軍がガザ地区へ展開し地上戦となれば非戦闘員に膨大な死者が凄惨な結果となりかねません。

 地上部隊侵攻はあり得るのか。イスラエル軍は、ハマスロケット弾陣地や物理封鎖されているガザ地区へのロケット弾関連物資搬入には過去、トンネルを用いた密輸が行われています。実は前回にガザ地区へイスラエル軍が侵攻した2014年には軍事作戦の目標がトンネルの破壊と位置づけられ、7年後の今日改めてトンネルを無力化する可能性は、あります。

 地上戦闘、しかしイスラエル軍には課題もあります。イスラエル軍の主力戦車はメルカヴァMk4,防御力を重視した設計で知られますが2006年の南レバノン紛争へ投入した際に初日で機雷により全損しました、地雷には強いのですが遥かに強力な機雷を武装勢力ヒズボラが敷設していたのですね。防御側には時間がある為、イスラエル軍の損害も免れない。

 市街戦では2014年のガザ地区侵攻に際し、ハマスは建物による戦車攻撃を行いました。従来は戦車の弱点であった上部装甲をビル上からロケット弾により狙う手法がありましたが、ガザでは四階建て規模のビルを爆破解体し、道路上のイスラエル軍戦車上に圧し潰すように倒壊させる手法も用いられ、重装甲を誇るメルカヴァ戦車も圧潰した事例がありました。

 重要なのはロケット弾攻撃がいつまで続くのか。これは同時に迎撃に用いるイスラエル軍のアイアンドームミサイルの備蓄が払底する前に、ロケット弾陣地を破壊する必要がある。ただ、ハマスのロケット弾攻撃は低調化、ロケット弾の方も備蓄が払底している実情があります。地上戦前段階として砲兵隊が展開していますが、ここで停戦できれば幸いと思う。
■理想はPKOでの兵力引離し
 人道危機を回避するには兵力引き離しが必要です、ハマスは自治区を実効支配した正規軍としての側面も持ち、ここからの文民居住地への攻撃も問題なのですからね。

 人道危機。理想論はPKO部隊を派遣し、兵力引き離しを行うという選択肢です。もっとも2002年以降のPKO任務は元々の国連総会と安保理による措置ではなく、安保理決議を根拠とした派遣である為、アメリカとロシア中国の合意が必要となる制約は大きいのですが、イスラエル軍の侵攻阻止と、ハマスによるイスラエル非戦闘員居住地への攻撃の阻止と。

 ルクレルク戦車のような戦車部隊の派遣が必要となる。これは2006年のイスラエル軍レバノン侵攻に際しUNIFIL国連レバノン暫定軍増強部隊ではフランス軍はルクレルク戦車を含む機械化部隊を展開させました。当初AFP通信がルクレルク戦車90両を派遣と報道し、これは2個戦車連隊規模の部隊ではないかと驚かされたものですが、重装備部隊を送った。

 UNIFILへは強襲揚陸艦ミストラル、ドック型揚陸艦シロッコ、フリゲイトのジャンバールとジャンドヴィーヌが派遣、ルクレルク戦車13両と装甲車両等が派遣、落下傘部隊を中心に1700名が派遣され兵力引き離しに当りました。ルクレルク戦車はUN塗装、120mm戦車砲を有する主力戦車の派遣は、機関銃の携行さえ躊躇した日本では驚かされますが。

 ルクレルク戦車が派遣された際には、停戦が崩壊した状況で実力にて戦闘を阻止するには戦車が不可欠というものであり、PKO部隊と保護する文民の安全を考えての派遣でした。フランスF2ニュースなどでは難民に接近するイスラエルのアチザリット装甲車部隊をルクレルク戦車が文字通り体を張って阻止、戦闘を回避した事例もあり、派遣は正解でした。

 PKOを送り兵力引き離しをガザでも実施できれば、理想ではあります。現在のPKOは安保理決議という法的拘束力に基づくものですので受入国の合意は必ずしも必要ではない。ただ、相当な危険が伴い、まさか自衛隊の戦車連隊を送る必然性も無く何処がリスクを引き受けるかという課題があります。ただ、どこかが覚悟を決めなければ、悲劇の連鎖は続きます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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