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物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

楕円関数のことが

2025-04-17 10:17:11 | 数学

楕円関数のことがまだ十分にわかっていないのに、前に読んでいた四元数の本のある章が気になって昨夜読み返した。

この本はいろいろ書いてあるいい本なのだが、その中のある章の書き方が気に入らない。これは単に私の好みに合わないというだけでわるいというわけではないかもしれない。単に好みに合わないのなら、自分好みに自分だったらどう書くかを実際に示せばよいのではないか。

そう思って読み直したのだが、まだきちんとその章にあたる部分を書き換えられるという自信はまだないが、人に文句を言う暇があるなら、自分でやって見よということであろう。一通り読んだので、少し構想を立てられそうになってきた。きちんと書き直す構想ができたということではまだない。少しめどがついてきそうだという感触にしか過ぎない。

やれやれ、なんと強欲なものか、私は。楕円関数のことをまだ十分に決着をつけてはいないというのに。

 


楕円関数の初心者

2025-04-16 21:54:34 | 数学

楕円関数の初心者くらいにはなった。

今日の午後から戸田盛和『楕円関数入門』(日本評論社)のヤコビの楕円関数のところを数ページを読んだ。ちょっとこの本に明瞭なミスプリがあるので、他の本とか同じ本の巻末の公式のところとかを参照してミスプリの修正しながら読んでいる。

他に公式集の記述とかも参照している。これは以前に書いた数学エッセイの「関数の定義」で楕円積分と楕円関数とを混同していることに気がついたのだが、元の文章はそのままにして無知な私の恥をさらして、そのエッセイの付録で戸田さんの本を参照したヤコビの楕円関数のことを要約しておくのがよいと判断している。

「関数の定義」というエッセイはもう36年も前に書いた数学エッセイで、間違えた箇所を黙って修正して知らないふりをするのもありだとは思うが、やはり人間だれしも間違いを犯すということで自分の無知の恥をさらした方がいい。

要は「楕円関数は楕円積分の逆関数として定義をされている」ということを知らなかった。そのことはいつだったか「関数の定義」を書いた後でかなりの年数がたってから知ったのだが、数学エッセイの「関数の定義」のその箇所を修正をするチャンスがいままでなかった。まあまちがえているけれど、「まあいいや」とおざなりに考えていた。

もっともその箇所をそのままではいけないといつか思ったらしく、書き換えをしかけていた文書を最近発見して、あわてて修正にようやく乗り出したというのが実情である。

 

 


楕円関数とは

2025-04-16 14:58:37 | 数学

楕円関数とはどういう関数か。よくは知らない。楕円関数の本をもってはいるが、1冊か2冊である。ひょっとしたら元技術者だった、亡き父の蔵書の中にも1冊か2冊はあるかもしれないが、あったとしても楕円関数の単独名の書籍だったとは思わない。

それで、できるだけわかりやすい説明の楕円関数の本を昨日の午後インターネットで調べ始めたのだが、さすが日本にはけっこう楕円関数の本は出ていることがわかった。

E大学図書館の蔵書を調べてみたら、重複もしているが、19冊もあった。こういう国はあまりないのではなかろうか。もっとも英語を読める人口は多いので、英語で書かれた楕円関数の本を調べるともっと多いだろう。だが、英語と日本語以外の他のある一つの言語で書かれた楕円関数の本は20冊近いなどということはないのではあるまいか。

現在の日本の科学政策ばかりではなく、アメリカの科学政策の軽視もまちがっているとは思うが、日本の場合にはそれでも科学技術の底力は潜在的にひょっとしたらあるかもしれない。だが、残念ながら、その底力を発揮できる状態には全くないことだけは確かである。

三角関数と同じくらいにこの楕円関数が一般に普及する時代が来るとおもしろいとは考えているが。


4月13日が終わるころに

2025-04-13 23:31:04 | 数学

4月13日が終わるころにこのブログを書いている。

お気に入りのNHKドラマ「アストリッドとラフェル」2が放送されているだろうに。これが新年度からまた放送が再開されたのはよかった。もっともこれが吹き替えでなくてフランス語で放送されて字幕で見れたら、フランス語学習者としてはもっとうれしいのだが。

今日は久ぶりに自宅に帰って大河ドラマを見て仕事場に帰ってきた。途中で昼間は居眠りとか近くにあった紙片に四元数の計算を少しだけしたりはしたのだが。

これはある四元数の本での計算が間違ってはいないのだが、どうやってそういう計算結果になることが分かったのだろうと不思議に思ったからである。このことのきちんとした解明はまだ最終的にはできていないが、その手掛かりはつかめたかと思っている。そういうところまで含めて書いてほしいのだが、無理な注文なのだろうか。

もっともこの本は私の本とは違ってオーソドックスないい本である。だから、もし悪口だと取られると心外である。

もうひとつわからないことがある。ちょっとした代数の本にはどれにも書いてあるのだが、相似という概念である。それがどういう風に重要なのかがもうひとつピンとこない。相似と書いたが、これは平面幾何における図形の相似のことではない。このことについて詳しくその重要性を説明した代数の本はないのだろうか。

高木貞治『代数学講義』(共立出版)だったかにもその重要性についての具体的な説明は書かれていなかったような気がする。相似という概念への言及はあったと思うが。


数の「発見」の物語

2025-04-12 11:48:19 | 数学

『数の「発見」の物語』(ジュニアスタートブックス)という本が岩波書店から出版される。これは今朝の朝日新聞の岩波書店の広告で見た。

その広告の紹介文の中には四元数のことにはまったく触れてはいないが、中味としてそのことを書いていないとは思い難い。だから短いかもしれないが、なんらかの言及がされているのではあるまいかというのが私の想像である。

そしてひょっとしたら八元数についても何か書いてるかもしれないなどと想像を逞しくしてしまう。さて現実はどうなんだろうか。私の好奇心を満たしてくれるようなことが書かれているんだろうか。この本を買って読んでみたいという気がとても強く起こっている。

大体、私は数にはあまり関心がなかった。いまでもどちらかといえば、関心がある方だとはいえない。それだのに『四元数の発見』だなどという数に関する本を書いてしまった。およそ10年ほど前のことである。

もともとの関心はCauchy-Lagrangeの恒等式といわれる恒等式があって、その恒等式の証明にどのようなものがあるのかを調べていて、四元数による証明を見出したということから話が始まっているのだから、アニメに関心があってアニメのフィギュアを動かすことに関心がある人から見れば、およそ異端のきっかけである。

いまではインターネットを見れば、私が日本ではじめてどこかから得た知識で書いた「球面線形補間」の説明をさも自分が導いたかのごとく堂々と述べているサイトまである。それも記号まで同じだが、私の本から学んだとかはどこにも書かれてはいなかった。

もっとも私もイギリス人だったかの3Dグラフィックスの本のインターネットで読めた箇所に出ていたコピーを読んで知ったことだったが。しかし、私は情報の出所はきちんと書いたつもりである。

もっとも最近読んだ、私の古くから持っていた資料のコピーによるとその考えもどなたかがすでに論文に書いてあったものらしい。もともと「球面線形補間」の式はShoemakeという方が論文で発表されたのであるが、この論文には結果の式は出ているが、その導出法の記述はなかったと思う。聞くところによれば、Shoemakeはこの「球面線形補間」の式を会社の数学のよくできる同僚に導いてもらったらしい。もちろんその式を導く意義はShoemakeがその同僚に十分に説明をしたのだろうが。

それでいろいろな方がいろいろな考え方で「球面線形補間」の式を導いているのだが、それらをまとめて『四元数の発見』で紹介してある。

たぶん、きちんと日本語で書かれた最初の「球面線形補間」の補間式の導出であったと思う。もっとも訳書ではいくつかの訳書で説明があったのだが、細部まできちんとした説明はなされていなかったと思う。それらをだれでも理解可能な形で説明をしたつもりである。

金谷一朗さんという方がクォターニオン(四元数)のこの分野では日本語で解説の本とかインターネットのサイトで解説を先駆的に書かれていて、この分野の日本における先駆者なのだが、彼の説明はなかなかわかりずらかった。少なくとも私には理解が長い間できなかった。

どうも単なる本の紹介のつもりがなんだか恨みつらみをまたまた書き連ねてしまった。そういう鬱屈した心を抱いているという証拠でもあるのだからしかたがない。

 


少しでも明確にしたいこと

2025-04-10 10:08:01 | 数学

少しでも明確にしたいことをいくつか持っている。そしてその疑問というか、明確にしたいことをいくつかの文献を読んですこしでも明確にしたいと思っている。

その明確にしたいことの「あること」のために、ある本のある章を読んでいる。ところがその空間回転の説明がわからない。わかったようなわからないような説明である。こういうのは嫌いである。

「いや、お前の頭がわるくて理解力がないだけだよ」といわれればそうかもしれない。だが、もっと明確に書けないものかと思っている。いや実は同じようなことを私も自著の中で書いた覚えがあるのだが、その私がわかったような、もう一つわからないような気がする。

もっとぴちっと明確に書けないものだろうか。この本の著者は優秀な物理学者である。ひょっとしてもう物故された方だったろうか。もし生きておられるならば、90歳近いはずだ。

ところが、この本が全体としてわかりずらいということもなさそうなのは大いに助かる。全体としてのこの本から受ける感じは明確で明瞭なのである。この箇所をもっと明確にできないものか。


四元数から八元数へ

2025-04-09 10:58:25 | 数学

八元数とはわからないものだ。そういう印象だったが、少しずつその暗雲が取り払われていく。だが、なかなかその暗雲はまだきっちりとは私には取り払われてはいない。

そういう感じが今している。だが、世の中には少数だが、八元数に魅入られる人もいる。その中に故森田克貞さんがいた。5千円近い定価の本『四元数、八元数とDirac理論』(日本評論社, 2011)を出版されている。彼の著書はたぶん日本語で「八元数」でいう語が入った初めての著書であったろう。

もちろん、訳書を除いての話である。訳書までも含めると『四元数と八元数』(培風館, 2006)という訳書がすでに2006年に出版されている。

『数の世界』(講談社ブルーバックス, 2020)を書かれている、松岡学さんも八元数に魅入られた人の一人だろうか。

松岡さんと言えば、やはり物理学者だった方に名古屋大学で以前に研究されていた、松岡さんという方を知っているので、学さんはひょっとするとこの私の知っている松岡さんのご子息かもしれないとも思っているが、確かめてはいない。ただ、『数の世界』に掲載されている著者の写真を見て、私の知っている松岡さんに似ているのではないかと思っただけである。

全くブログにこういうことを書くつもりではなかった。筆が滑るというのか何が書かれるのかは私にも予想がつかないという次第である。

あまり個人的な情報を書くと世間から、どういう嫌がらせを受けたり、いろいろ私たちの予想外の反応があったりするので要注意なのである。いい予想外の反応ならいいのだが、そうでばかりでは世間がないのは残念である。

以前には自分の書いた「数学・物理通信」の原稿にはメールアドレスを入れていたが、ジャンク・メールがわんさとくるようになったので最近はメールアドレスを入れるのを止めた。これは機械的に文書を検索して広告とか詐欺のメールを送り付ける業者や第三者が多いからである。


ヴィジュアル複素解析

2025-04-07 07:17:52 | 数学

『ヴィジュアル複素解析』だったかなんとかいう分厚い本があったなと思ってアマゾンコムのサイトを探したが、書名が出ているだけで本そのものはもう売ってなかった。

いや古本だと2万5千円くらいの値がついていた。もともとの本が5、000円くらいだったのでしかたがないのだが、これでは買えない。

私の本で書いた本にも14,000円くらいの値のついたものもあったが、これなら著者の私自身が買う気が起こらないくらいの高額である。これが定価が1,200円(税抜き)の本でそれもまだ100冊以上私の手元に在庫があるという代物である。もっとも神田の古書店明倫館に10冊くらい寄贈したので、定価1000円で古本として売られているので、いまでは安価に入手できるはずである。

『ヴィジュアル複素解析』にかえるとこの本はいろいろな複素解析の概念を図で示しているという優れモノの本である。もっとも本の実物を購入しなくてもE大学の図書館に行けば、いつでもこの本を借り出せるので問題はなさそうである。

こういうマニアックな本はあまり借り出す人も少ないと思う。それに開架書庫には1冊あるが、もしそれが万一借りられていたら、書庫にもまだ別の1冊がある。これはたぶん私が大学在籍中に購入していた1冊だと思う。

以前にも借り出していたことがあったが、そのときにはあまり読まないで返却した覚えがある。何について調べたいと思って借り出したのだろうか。


もう長年のことだが、

2025-04-05 11:55:14 | 数学

もう長年のことだが、朝方の夢うつつのときにいつもなんかを考えているらしい。考えていることはその時々でちがってはいるのだが。

今朝もそういう朝方の夢うつつの状態から7時ころ目がざめた。昨夜は私にしたら幾分早めの就寝ではあった。いまの関心事は四元数に関係したことでもあり、また八元数とも関係がある事項である。

しばらくぶりに「四元数ダイアリ」を書こうと思って少し早めに起きてきた。

現在四元数に関するわたしの問題点は少しは解決方向に進んだようでもあり、全く進んでいないようでもある。なかなか曰くいいがたい。

今朝思いついたことは、要するに今の問題点を文章にして書き出しておくこと。それに関係した文献を記しておくこと。そしてそれらの文献を読むことである。

問題点のあり方をきちんとして、それらについてできるだけ納得のできる説明ができるようにしたい。こういうことに尽きる。日本語で書かれた文献はかなり読んできたのだが、これからは英語の文献をも読まなくてはならないだろう。


今日はまだブログを書いてなかった

2025-04-04 19:42:29 | 数学

今日はまだブログを書いてなかった。今やっと気がついた。

今日は午前中までは孫と子どもがおり、午後帰京したので『フーリエの冒険』(ヒッポファミリクラブ)を取り出してきて読んでいるうちに居眠りしてしまった。例によって途中の「eとi」という章を読んでいるうちに寝てしまったらしい。目を覚まして残りを読んだが、私としては特に新しいことはなかった。もちろん結構面白く書かれているのだが。

『フーリエの冒険』を話題になったころに購入して持っている。私はもっと単刀直入に外国語の習得とは別の観点から、このテーマを書いた方がいいのではないかという意見である。

こんなことを言うと外国語嫌いだと思われるかもしれないが、そうではない。むしろ外国語学習は好きな方である。だが、こういう感じの本はかえってうるさいとしか思えない。数学は数学で単独で話をした方が好ましいような気がする。昔にもそういう風にこのブログに書いた記憶があるが、それがいつだったか全く覚えていない。

ただ扱っているテーマは数学としても興味深いので、要点を記した本をいつか自分で書いてもいいとさえ思っている。

 

 

 

 


日本文を英訳する

2025-04-02 07:23:00 | 数学

生成AIの話の続きである。英語と日本語の対訳の精度であるが、ある会社の翻訳ソフトが本当に精度が上がってきているという。

翻訳された英語の文章がおかしいなと思ってその部分の日本文を見たら、実は日本文がよくなかったという。これから察するに生成AIでほぼ完ぺきに日本文と英文の翻訳ができるようになったらしい。

もっともこれは実用の英文だから、小説とかの文学作品には話が及ぶのかどうかはわからない。私なども自著の四元数の本を増補改訂してどこかの外国の出版社で出したいと長年思っている。それが比較的簡単にできるような時代になってきたということだ。

ところがその翻訳に時間と手間とがかかるのが問題であったが、私の本当の問題はそういう時代ではないということになった。やはりいくつかの点できちんと納得しないと本の増補改訂版を書けないところがある。

もう一つは私の四元数の本についていえば、本として出ている分と同じか、またはそれ以上ではないだろうが、それに近いくらいの分量をその後かなり補遺として数学・物理通信に書いている。それも英語で出すつもりならなんとか統合しないといけない。だからまずは日本語の新しい改訂版をまず書きたいのだが、出版社はとりあえずもうすこし利益を確保したいであろう。

まず、私の本の定価はかなり安い。税込みでは2,200円であるのだから。そうすると出版社としてもちょっとくらい売れたとしてもあまり利益は出ないからだ。出版社として「もうちょっとくらいもうけさせてよ」と思うその気持ちはよくわかる。

ただ、著者である私はわがままである。そんな出版社の利益よりも自分気持ちを優先したくなる。これはお互いに立場が異なるから仕方がない。

しかし、私も出版社の事情がまったくわからないわけではない。いずれにしても第2刷が2022年10月だったかに出た。初刷は2,000部と聞いているから、初刷の2,000部がよく売れたものだと思う。初刷で絶版になっても文句を言える筋ではなかった。

第2刷の冊数を聞いていないが、500部であろうか。そうすると年に70部売れたとしても7年以上かかることになる。今年は3年目だからまだ在庫もたくさんあろうか。

その後、2007年に出版されていた、『ハミルトンと四元数』も私の第2刷の後だったかに、第2刷がでた。初刷が出てから10年以上経ってからである。

『ハミルトンと四元数』は私の本のようには簡単に読める本ではないが、価値のある本だとは思う。ページ数もあるし、定価も3,000円を超える。私もこの本は読み通すことはできていない。自分の本を書く以前はかなり読んではいたと思うけれども。それでもときどき引っ張り出してきて参照することがある。

いつものように話題にしようとしたテーマからの脱線が激しいが、ブログの読者にはその方がおもしろいかもしれない。


数学の楽しさって何でしょう

2025-04-01 06:25:43 | 数学
以下の文章はアマゾンコムに載った私の本の書評をそのままコピーしたものです。名前のところはイニシャルが入っていましたが、引用にあたって削除しました。以下の文章を「素直に」まずは読んでみてください。
5段階評価の2に評価されています。
 
(引用はじめ)

2025年2月28日に日本でレビュー済み

 
内容はわかりやすく四元数を理解する助けにはなるが、いかんせん文体が「教えてやろう」「オレはいろいろ知っている」的な昭和以前の特徴的「先生様型」であり嫌味が出ている。実業を経験していないことが特権と勘違いしているのだろうが、もっと素直に数学の楽しさを表現してほしかった。
 
(引用終わり)
 
この評価は個人の見解ですから、どう言われても仕方ないのですが、引っかかるのは「もっと素直に数学の楽しさを表現してほしかった」というところです。
 
この部分にひっかかって今日は早くに目が覚めてしまいました。寝坊の私には珍しく。私は田舎大学の元一教師にすぎませんが、この点について皆さんはどうお考えになりますか。
 
皆さんのお考えを聞くチャンスもあるかと存じますが、現在の私の考え方を述べてみます。
 
まず、私は数学を作る側の人間ではありません。数学者ではないので。ただ、私は数学の知られた事実でもどうやったらそういう風な発見ができるのだろうかということに大きな関心があります。これは中学生3年のとき数学の先生からポーヤの『問題をいかにして解くか』(丸善)という本が出たねという話を授業での聞いてから関心をもっていました。
 
問題を解くためのヒントとかをなかなか思いつけないドンなタイプの人間だったので、その数学の問題を解くヒントをどうやって見つけられるのだろうかという関心がありました。多分頭の鋭敏な方なら絶対持たないような悩みです。
 
要するに何でも自分で発見できれば、または発見に近い体験を持てれば、やはり喜びや楽しさや満足は感じるのであろうと考えました。それが私が数学における発見法的理解にこだわる大きな理由です。
 
私は四元数についてある程度それを行えたのが、小著『四元数の発見』(海鳴社)だろうと思っています。不十分な点はまだこの本にまだいくつか残っていますが。ただ、私は東京大学の数学科出身でもありませんし、その他の一流有名大学の出身者ではありません。こういうと卑屈になっているという風に取られるかもしれませんが、そうではなくて事実をいっているだけです。
 
だが、少なくとも一部の人には私の四元数の発見法的理解のよさが届いているのだなとの感触はあります。ちょっと話がそれました。
 
もう一つの私の数学の楽しさと思っているのは同じ一つの事実や定理でもああも考えられるし、こうも考えられるというところにもあるのではないかと思います。事実は一つでも考え方や理解の仕方は幾通りもある。それも数学の楽しさの一つと言っていいのではないでしょうか。『解析概論』(岩波書店)の著者として有名な高木貞治先生はそれを「数学の自由性だ」と表現しておられます。
 
二つの複素数 x, yの積 xy の複素共役は \bar{xy}=\bar{x}\bar{y}ですが、これが二つの四元数 x, yの積 xy の共役では \bar{xy}=\bar{y}\bar{x}とx, yの積 xy の逆順になります。この事実はもうすでに四元数が発見されたときからわかっているので、数学としてはそのことを簡潔に示せばよい。そうする以外の理由はない。数学愛好家の方はそうお思いかもしれません。
 
私もそういう考えに全く反対ではありません。しかし、もっと新しい解決すべき問題(ここでいう問題とは学校や入学試験に出る問題を意味しませんが)に自分が出くわしたときにそれを自力で解決できるような能力を少しでも持てるようになれないかと考えます。こう考えれば、証明が事実を単に事実と事後追認する証明は私はあまり好まないのです。それがいかに簡潔であっても。
 
どうやってこの証明をした人はこの考えに到達したのだろう。またはそのような考えにどうやったら自分も到達できるような能力を持てるのであろう。いやこれは私にはまったく叶わない夢だろうが、それでもそういう人に少しでも近づきたいと考えています。
 
私に「数学の楽しさ」を語る資格があるのどうか。それは分かりません。
 
(-1)*(-1)=1になることの実感を与えてくれた説明に、ある数に (-1) をかけることは数直線上の数(これらはすべて実数です)を原点 0 のまわりに数直線を平面上で180度反時計方向に回転させることを意味する。中学生の数学で負の数を教える先生方がこういう説明を授業でされているかどうはわかりませんが、それを知ったときは感激したと思います。
 
それを藤森良夫先生の『解析の基礎』続編(考え方研究社)で知ったのは高校3年(1957年)のときだったと思います。遠山啓先生の『数学入門』上(岩波新書)で大学になってから(1959年)ほぼ同じ説明に再会したときにはその説明の徹底ぶりに感心した覚えがあります。これには虚数単位 i の導入も詳しく書かれています。藤森良夫先生の本にもあったかもしれませんが、記憶があまりはっきりしません。
 
そういうこともふんだんに『四元数の発見』には入れてあります。また最近ではもっとこれらの敷衍した説明をインターネット等で見かけることのできる時代となっています。
 
ご意見があれば、コメントを下さい。同じ内容を2回、3回くりかえし投稿されることは困りますが、そうでないのなら受け入れる気持ちをもっています。あくまで一探究者として謙虚に話ができれば、それにまさる喜びはないでしょう。

続『セガ的・・・』

2025-03-31 20:26:09 | 数学

『セガ的基礎線形代数講座』の8章「回転の表現II」の全部と7章「回転の表現I」の[7.4.4]3次元空間回転の大域的構造の一部を入院中に読んだ。

この書のいいところは私の小著『四元数の発見』の弱点でもある、3次元空間回転と単位クォータニオン・パラメータ領域についてきちんと書いてあるところである(パラメータの二重被覆)。この部分は『四元数の発見』を書いた時にはまだ気がつかなったところであり、そのうちに気がついて書き加えるべきだと思って果たせてない。私は喜んでこの書を推薦できる。

他の回転を取り扱った本でも書かれている項目ではあるが、ここまで詳しく書いた本はなかったのではなかろうか。[7.4.4]3次元空間回転の大域的構造の箇所はまだ十分に読んではいないのだが、(パラメータの二重被覆)の問題はほぼ解消した感じである。

先日、球面線形補間の箇所は分かりにくいと書いたので、全体を否定的に受け止めた人が多かったらいけないのだがと思った。この本の特色のある、いいところはLevi-Civitaの記号の導入がいいことと、この記号の説明が優れていることである。

この点については私にもそれについて書いたこともあり、この箇所の記述はいわばライヴァルである。この点は『セガ的・・・』は独自の立場でそれはそれでいいと思っている。自分のライヴァルであるから、尊敬の念を抱いても相手をけなすなどという気持ちはまったくない。Levi-Civitaの記号の私の理解よりも深いのではないかと思っている。

Levi-Civitaの記号の私の掘り下げ方も一つの成果ではあると思うのだが。

ちょっと我田引水のPRになるが、『物理数学散歩』(国土社)の終わりの方にも詳しく触れているし、名古屋大学の谷村省吾教授のサイトにもあるはずの最新刊の「数学・物理通信」15巻1号にもその一部が改訂された原稿で読むことができる。

「数学・物理通信」ではうまくヒットしないことがあるので、名古屋大学の谷村省吾教授で、検索してその中に出てくる「数学・物理通信」を読んでみてください。


『セガ的・・・』の球面線形補間

2025-03-26 09:30:16 | 数学

『セガ的基礎線形代数講座』(日本評論社)の巻末に書かれた、球面線形補間の解説を昨夜読んだ。まずは代数式による導出については面倒な計算を行って、確かにそれで球面線形補間の式が導出されることを確かめた。

これについてはあまり詳しい言及はこの書にはない。球面補間の式の係数の求め方の方針だけが示されているが。

ところが問題はそこではない。詳しい図形が描かれてあってそれに簡単な説明があるのだが、なかなかわからなかった。これは私が物分かりが悪いこともあるだろうが、やはり書き方がよくないと思う。

たぶん、球面線形補間のことを日本で一番よく知ってるかもしれない私だと自負(これはもちろん、誇大広告です)しているが、その私が読んですぐには理解できなかった。一時、いい加減なことを書いているのではないかと、ちょっと腹が立つ時間帯もあった。

しかし、説明ではなくて描かれた図をよく見ているうちにわかってきた。やはりこれは説明があまりよくないのではないかと思っている。ごまかしとは全くないことがわかったが、説明はよくない。

きちんと図を使った説明をすべきであった。言葉でちょこちょこと簡単であるかの如く書いたのでは、これはすぐには理解できないだろう。いや、世の多くの方は、この説明で十分理解できる秀才と才媛の方ばかりなんだろう。著者自身が秀才なんだろうから。

この本はたぶん四元数のことに関心がある人も購入して読むだろうが、ここは書き換えてほしい。それは間違っているからではなく、わかりやすくするためである。球面線形補間についてわかりやすく知りたい方はもちろん小著『四元数の発見』(海鳴社)を読めばよい(注)。

だが、きちんとした説明がこの本『セガ的・・・』にも出ている。説明をわかりやすくしたいとの気持ちはわかるが、それに成功はしていないだろう。かえってこの説明では読者に難しく感じさせてしまうのではないか。

おかげで私にはこの『セガ的・・・』の球面線形補間について補助的な説明をするという仕事ができた。『セガ的・・・』の著者様、ありがとうと感謝すべきかもしれない。新しい仕事を与えてくださったのだから。

 

(注)4つの方法で球面線形補間の式の導出を書いたためだろうか、アマゾンコムの『四元数の発見』の書評で「先生面をして、いけ好かない」とか「俺はこんなことまで知っている」といった風なことまで書かれている。

まあ、他人がどう思おうと他人の思うことをコントロールできないが、そういう気持ちはまったくなかったことだけは断言できる。あれは自分が自分を納得させるために書いたのだから。


ようやく『セガ的・・・』を

2025-03-24 12:17:12 | 数学

ようやく『セガ的基礎線形代数講座』(日本評論社)を手に入れた。2週間前には E 大学の生協書籍部には届いていたのだが、行く暇がなかった。

線形代数の本というタイトルだが、四元数とも関わった本である。またベクトル代数とも関係のあるLevi-Civitaの記号も詳しく出ていてもう私の出る幕ではないくらいの感じである。この書が大いに売れて学生のためになることを願っている。また多分そうなるだろう。

回転の表現をいろいろ説明している点でもすばらしい。球面線形補間についても説明がある。私がしなくてはと思っていたことはほとんどする必要がなくなったかもしれない。