『変数変換型数値計算法』(岩波書店)という名の本を購入した。実はこの本が私が現役のときに解決できなかった、微分方程式の固有値問題の数値計算法に役立つのではないかと思っていたのだが、税抜きで定価が7,200円だったのでなかなか購入にふみきれなかった。
だから、ほぼ半年遅れでようやく購入したわけである。直接に私の解いていた微分方程式の固有値問題に役立つかどうかはわからない。
Milneによる微分方程式の固有値問題をSchroedinger方程式に適用したところではあまり不都合はなかったと思うが、これを一般化したSturm-Liouville型の微分方程式の固有値に適用したときにはうまく行かない場合があった。それを大学を定年になるまでに解きたかったが、アイディアがなく難しかった(注)。
私の方法ではSpline関数を使うところが工夫であったが、区間の端点で発散する場合には積分がうまく評価できなかった。
これが変数変換でうまく行くかもしれないと思い始めている。もし変数変換でうまく行くなら、元のSpline関数を使うことだって諦めてもいいのかもしれない。
大学生協の書籍部にこの本を注文したら、1部在庫していたとかメールでもらった。どなたかが購入してくれるのではないかと思って書籍部として購入したのだと思うが、誰もE大学では購入してくれなかったらしい。
これは現在大学の使える予算が極端に少なくなっているので、こうした学術書は私のようなある種の好事家によってしか購入が期待されないからであろう。
ほぼ十年以上前に私が『四元数の発見』(海鳴社)を書いた、その印税で購入した高瀬正仁訳『オイラーの解析幾何』(海鳴社)は10,000円の高値がついていた。これは上巻にあたる『オイラーの無限解析』(海鳴社)のほぼ倍の定価がついていた。もちろん、このときに二冊とも購入したのだが。
これは下巻は上巻ほどは売れないためにこういう定価をつけているのだとその当時に社長の辻信行さんから伺った覚えがある。
そういえば、知人の森田克貞さんの『四元数・八元数とディラック理論』(日本評論社)だってそうだったのかもしれない。この本を購入したときに4,800円の定価は身が縮む思いがした。ところがこれくらいの定価の本は今では珍しくはなくなった。
(注)Milneによる微分方程式の固有値問題をSchroedinger方程式に適用したのは昨年亡くなった江沢洋さんとそのグループである。私はそれに倣っただけであるが、Spline関数を導入したところが私のオリジナリティである。そういう縁で江沢洋さんとのつながりができた。もちろん、彼の従弟が私の友人だという縁もある。