前に書いた「四元数の発見」を改稿している。
本質的な改稿ではないが、前書きを書き改め、本文もすこし書き換えている。これはつぎの『数学・物理通信』10号または11号の原稿である。
また、これだけではなく「続四元数の発見へ」を書いた方がいいのかなと思っている。これは堀源一郎著『ハミルトンと四元数』(海鳴社)の「四元数の発見」の章の解読が必要かと考え始めたからである。
なかなか、この書の「四元数の発見」の章は読み難い。それで解読が必要かと思っているのだが、うまく解読ができるかどうか。
堀さんの本の解読ではなくて、本家のハミルトンの「四元数の発見」のいきさつはある意味では解読をできたと思っているが、それだけではすまないところがハミルトンの思考には残っているようである。
一言で言ってしまうと、絶対値の条件がハミルトンの四元数発見の指導原理であった。
そのことを日本人の著作でも訳書でもまだ読んだことはない。それをすでに愛数協の『研究と実践』に2009年に発表しておいたが、これを見た人はほとんどいなかったはずである。
また、それを読む機会をもてた人がいたとしても内容については大抵の人の理解を超えていたことだろう。
もっともその内容が普通の人にとって難しいという意味ではない。それは一般の人にとって、四元数など必要性を感じないということを意味するだけである。
だから、今度はその改稿されたエッセイを『数学・物理通信』に載せようとしている。
だが、いずれにしてもこの『数学・物理通信』もマイナーな媒体であることは間違いがない。ただ、インタネットでアクセスがいまは可能である。
(2014.8.29付記) 『四元数の発見』というタイトルで私の一連の連載が書物として9月中に海鳴社から発行される。
定価は2,000円であるのでそんなに高くはない。ページ数は210ページをちょっと越えたくらいである。
空間回転と四元数についての発見法的な記述とか、Hamiltonの四元数の発見の経緯を述べた。
また、球面線形補間 (sherical linear interpolation) について詳しく述べてあるのも本書の特色の一つである。
取り扱った内容にもかかわらず初等的な内容であり、ほとんど高校数学で理解できるはずである。
もっとも行列のかけ算の演算とかベクトルのスカラー積とベクトル積との定義は知っている必要がある。
自画自賛で悪いが、こういう書籍は世界的にも類がないのではないかと密かに思っている。
機会があれば、英訳して世界の人々を対象にしてこの書を提供したい。
(2020.12.24付記) 2014.10.1発行の『四元数の発見』(海鳴社)はいくつかの書にすでに引用されている。
今野紀雄『四元数』(森北出版)
松岡 学『数の世界』ブルーバックス(講談社)
結城 浩 『数学ガールの秘密ノート・複素数の広がり』(SB Creative)
等である。またインターネットでは「四元数を発見法的に学ぶ」という記事は私の『四元数の発見』の説明の啓蒙版といってよい。
それぞれの本はそれぞれの存在価値を持っているので、私の本だけがいいなどとということはいうつもりはない。
私の本の書きぶりとは違うが内容的には『数の世界』がもっともよく似ている。もっともこの本にはエピソードの類も入っているので読みやすいかもしれない。
そういうエピソードも私が森毅さんの本とかから知っていたが、四元数に説明を集中するためにわざと省いたことである。それを全く後悔はしていない。
アマゾンコムの評では『数の世界』の四元数の箇所は秀逸との評がある。私の本のアマゾンコムの評ではそういう評を得ていないが、その『数の世界』の評の幾分かは私の本に由来するのではないかと密かに思っている。
また英訳だが、これはその後に『数学・物理通信』に掲載している、「四元数 補遺」の記事もすでに数回書いているので、それらの記事を含むことはその他の関連記事もいくつか書いているので、それらを含めて考えたいので英訳にはごく一部を除いてとりかかれていない。そういうことで私の生前にそれが叶うかどうかはあやしい。
ただ、いままであまりなかった四元数の本を書いたという自覚はしているので、できれば生前に英訳を達成したいと思っている。ただその望みが叶うのかどうかは神のみぞ知るであろう。