『学力喪失』(岩波新書)のp.19に中学生になっても数学の弱点というか克服されていない項目として4項目が書かれている。
詳しくは上記の書を購入して読んでいただくのがよいが、項目的に挙げておく。
1.数量を「数学の記号」として表現できない。数字や記号の意味も方程式の意味も分かっていない。
2.分数とか割合の意味が理解できていない。
3.たし算、ひき算、かけ算、わり算の意味がわからない。
4.数学を学ぶ意味がますますわからなくなっている
とでも要約しておく。
中学生に固有の悩みとしては1.であるが、その前に2.と3.とが問題であろう。
これらを積み残しているのなら、やはり4.の数学を学ぶ意味はわからないだろう。
もっとも分数を理解する「記号接地」として分数を含む数のカルタのゲームによっていわゆる「記号接地」ができそうだ。分数を数として量分数として学ぶという考え方なのはよかった。
まだ割合分数として教えるのが主流ならどうしようかと思った。もちろん1/2とか2/3とかの分数の意味としての説明で割合としての意味を教えるのはありだろう。
しかし、それは意味の導入としてはあろうが、あくまで連続量の大きさを表す数として位置付けるということであろう。
数のカルタのゲームはとてもいいと思う。
割合自身はいろいろ難しいところがある。割合の意味するところについての分析は数学者の遠山啓さんが詳しくされており、それを教える体系もできていると思うが、その細部にわたってはいろいろ各論の余地はあろうかと思う。
私もお教えを受けたことがある、故矢野寛(ゆたか)先生などもそれについて解説を幾度となく書いておられるので、ここでは紹介できないが、どこかで公表できたらいいと思う。
すでに矢野先生がまとめた書を愛数協のブックレットして発表なさっている。
ただ、それが一般の数学の先生に知られるところまではいっていないと思う。