物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

近藤康太郎さんと会う2

2025-01-29 18:13:56 | 数学
近藤康太郎さんと会って話したことは実は数学のことが主ではなかった。近藤さんは東京生まれの東京育ちだし、新聞記者としてはニューヨークに3年住んでいたとか。

いわゆる田舎暮らしとは無縁の人生しか、この10年程前くらいまでは送ったことがない方である。そういう方がなぜ急に田舎暮らしに目覚めたのかというのが、あまり都会暮らしをしたことのない私の疑問であった。

彼はいう。「田舎には言うに言われぬ魅力があるのです」。私にはその辺の理由が実感としてはわからない。水田でコメ作りをしたり、鉄砲をもって猟師になったりするというのはひょっとすると都会だけでそれまで生活してきた人には言うに言われぬ魅力なのかもしれない。

それに近藤さんは毎朝15分だが、彼の高校時代の数学の先生だった、武藤徹先生の書いた高校数学のテクストを読むという生活をされているらしい。このテクストは「高校数学読本」というタイトルだったかの6冊か7冊かのシリーズ本であり、日本評論社から発行されている。1冊1冊はそれほど高価な本ではない。

世の中にはそういう長編の数学のテクストを高齢になって書いた数学の先生もいれば、それをまた高校卒業後の何十年も経ってからコツコツ読んでいるかつての教え子の読者もいるということ。どちらもうらやましい。


『算数ひみつの7つの道具』

2025-01-25 09:06:20 | 数学
注文したことのない本が来た。アマゾン・コムからである。

タイトルは『算数ひみつの7つの道具』(かんき出版)という。著者は「あきとんとん」さん。定価は1,100円である。

この本を寄贈しますとの手紙をどこからももらっていないのだが、ブログで紹介してほしいということだと勝手に思って紹介する。

本の副題としてか何かはわからないが、「小学校で習う計算が5秒で解ける」とある。

「51/68=?」とか「25の76%は?」とかが表の表紙のところに書いてある。ちらっと中を読んで見たところだから、確かなことは言えないが、「51/68=?」の方は68-51=17だから、17が公約数で51/68=3/4であるらしい。

ちなみに、この考え方はユークリッドの互除法であろうか。

さらに25に76%をかけるのだが、かけ算の順序は入れ替えてもいいから
     25*76=76*25
として76の25%と考えようということらしい。25%は1/4だから
     76/4=19
だということらしい。

意味はちょっと問題だが、計算の数値としてはあっている。数の計算ができればあとはどうでもいいということにはならないが、数の計算が遅い私などは少しだけ劣等感から解放されるかもしれない。

著者は「あきとんとん」さんは京都大学大学院修士課程の修了した秀才である。流体力学の専攻だったらしい。学部時代は工学部電気工学科を卒業されたとか。極め付き秀才である。

以前のベクトル関係の原稿を

2025-01-23 13:26:31 | 数学
以前のベクトル関係の原稿を改訂し始めた。

最初に、ベクトル積の成分表示についてである。これは誰でもその成分がおかしいなと思うのだろうか、村上雅人さんの『なるほどベクトル解析』(海鳴社)でも訳が分からないとか書いてある。

それについてはすでにそういうことを疑問に思った先学の方がいわゆるLevi-Civitaの記号(Eddingtonのイプシロンともいう)という記号を使うということが知られており、多くのベクトル解析の書も大半はそれに従うようになって来ている。

大体は私もそれに沿った考えである。それでもその記法を知らない方も多いのだが。私自身が『数学散歩』という本を出版したのは2005.2だったろうか。この本は自費出版だったので、500部しか出版されていないので、あまり普及したとは思われない。

いまではLevi-Civitaの記号の縮約公式の導出を述べた本もないわけではないが、そのころはあまりなかった。

体積積分が面積積分に

2025-01-22 10:54:53 | 数学
体積積分が面積積分に置き換えられるというのが、ガウスの定理である。また面積積分が線積分に置き換えられるというのがストークスの定理である。

それならそういう例がベクトル解析の本の中にガウスの定理やストークスの定理の前に書かれていてもいいはずだが、と思ってちょっと探してみたが、あまりその例はないようだ。

線積分からその面積が求められるという例が『解析概論』に線積分のところにでていたくらいである。Croweのベクトル解析の歴史にはこのことは何も書いてなかったかな。さてどうだろう。

前にもどるとガウスの定理やストークスの定理の説明の後にはこれらの定理をみたす例は挙げられているが、それは事後確認であって発見法的な意味はない。

なぜベクトル解析にこれほどこだわるのかと言えば、もとを糺せば、電磁気学の納得した理解がほしいためであった。

友人のNさんによれば、彼は『ファインマンの物理学講義』(岩波書店)の電磁気学の部分を読んでよくわかったといっていた。私はこのNさんと比べると20年以上遅れているということだ。ひょっとすると30年以上遅れているのかもしれない。

このNさんはもともとは実験化学者だが、中年以降になって大阪工業大学で物理学の講義を多年されていたと伺っている。彼はいまはどこかの会社の顧問をしているとか本人から聞いた。

このNさんはMITの名物教授だったStrangの線形代数の講義をインターネットで見るのが趣味というすごい人である。

ガウスの定理とスートークスの定理の前に

2025-01-21 23:06:25 | 数学
ガウスの定理とスートークスの定理の証明の前にどういうことを、ベクトル解析の本の著者が書いているのかに注目して、これらの本を読んで見たいと考えるようになった。

どういうことについて注意して読みたいかというのは、ちょっと企業秘密なのでここでは明かすことができない。

私自身が持っている本でもベクトル解析の本が10冊以上はあるであろう。それにいわゆる物理数学の本の中にも、もちろんベクトル解析の説明のある本は多い。

それから微分積分学の本にもストークスの定理とガウスの定理について述べてある本も多い。それに最近では微分形式の本の中にもこれらの定理は書かれている。「一般化されたストークスの定理」という名前であるが。

要するに発見法的にどうやってこれらの定理に到達することができるのか、できないのか、そういう関心がやはり強い。

残念ながら、私はまだ解答には到達していない。

ベクトル解析のことを

2025-01-21 10:40:21 | 数学
ベクトル解析のことをかなり前からこのブログに何回も書いていることがわかった。

それくらいどうも私にはベクトル解析は難しい。というのかどうか。単に頭がわるいのだろう。

微分形式ができてベクトル解析でのガウスの定理やストークスの定理の意味が分かってきたし、これは微分積分学の基本定理の曲線上や曲面上の微分積分学としての拡張であることも知られて来ている。

太田浩一さんの『ナブラのための協奏曲』(共立出版)のように微分積分学の基本定理をばんと最初に書いている書などもある。これが微分形式という分野が得た現在の視点であろう。

ただ、それがどういう風にして発見法的に得られた観点なのかというのが私の持っている疑問である。こうしてみると個人的にはなかなか納得は得られそうにもないのだが。

またベクトル解析のこと

2025-01-20 10:35:37 | 数学
先日、『物理数学入門』I がベクトル解析の書として良書だと述べた。その評価は基本的には変わらないのだが、ベクトルの面積分の箇所はなかなかこれをチェックするのは難しい。他書を参照しなくてはフォローできない。

ここはちょっと飛ばして直交曲線座標系の箇所を先に読むしかないだろう。

私が始めから終わりまで初めて読んだという村上雅人『なるほどベクトル解析』(海鳴社)だが、少なくともストークスの定理やグリーンの定理のところはタネ本だと思われる書がわかった。

これはSpiegel『ベクトル解析』(オーム社)であるらしいことがわかった。もっとも村上さんは訳書ではなくて元のマグロウヒルの原書に拠ったのだろう。

だからといって、『なるほどベクトル解析』がつまらないとかいうつもりはない。だれでもするする読めるベクトル解析の書であることはまちがいがない。

どうしてそういう判断をしたのかというと、積分定理の確かめる例題がSpiegelの書とほとんど同じだからである。もちろん「ほとんど同じ」であって「全く同じではない」。

Spiegelの書で示唆を得たところはストークスの定理やガウスの定理を積分の平均値の定理を使う導出である。その導出自身は前からあることを知っていたのだが、それが積分の平均値の定理を使う導出であるという事実を知らなかった。

『差分方程式講義』

2025-01-19 11:47:53 | 数学
広田良吾『差分方程式講義』(サイエンス社)は詳しく読んだことがないのだが、持っている。

これは昔、広田さんが愛媛大学に集中講義に来られたときに、rotとかdivとかの意味が差分ではよくわかると言われていたことを知っていたので、特にこのことに関心があって持っている。

それはこの本の付録Aに「離散空間でのベクトル解析」があるためである。図がいくつか描かれているが、今私が読んで見たところではどうもいくつかの小さな正方形が連なって描かれている、それぞれの小さな正方形の中心に書かれた数値はまわりの数値の代数和とあうように設定されたとしか思えない。

これでは広田さんには悪いが、あまり発見法的とは言えないのではなかろうか。もっともまわりの数値の和を各正方形の中心に置いたのが、広田さんの創意なのかもしれない。それだと評価は相半ばするかもしれない。

これは、ストークスの定理とガウスの定理についての一つの考え方の紹介である。

広田さんは、微分形式については何かよくわからなくても計算だけができる不思議な仕組みとかいう風な言い方であまり評価しているとは思えないが、しかし、微分形式はベクトル解析にいい見通しを与えたと思う。

ベクトル解析の解説としては

2025-01-17 15:59:45 | 数学
ベクトル解析の解説としては『物理数学入門』I (丸善)はなかなかの良書である。

これは少なくともベクトル代数についてはそうである。Levi-Civita記号を使ってベクトル代数の公式を導くことを基本に置いているからである。

私もこの本とは別にほとんど同じような論旨の展開をしたエッセイを方々に書いたことがあるので、私の主張とどう違うのかを詳細に検討してみたいと考えている。

『物理数学入門』は発行が1996.1である。私のLevi-Civita記号を用いたベクトル代数とかのエッセイは1997.12とか2001.9とかであり、その元となった「テンソル解析の学習における問題点」の改訂版は1998.3である。もっともこの版の原版は1985.3である。

もっともこれらはいずれも愛数協の機関誌「研究と実践」に掲載されたものであり、ほとんど一般の人の眼に触れることはなかったろう。それらをまとめた小著『数学散歩』(国土社)は2005.1に発表されてようやく少しは世間に知られるようになっただろうか。それでも一般にはあまり知られてはいないだろう。

私がなぜLevi-Civita記号を知ったかというと1967年に取り組んでいた私の学位論文で光子とパイ中間子の相互作用のハミルトニアンに4次元のLevi-Civita記号が出てきて、その縮約の公式が計算のために必要になったからである。

その縮約公式自身は有名なランダウ=リフシッツの『場の古典論』(東京図書)にも出ていたが、それがどうやって導かれたかがわからなかった。それでその導出を指導教官だった米澤穣さんに導出の方針を示してもらったという経緯があった。

「テンソル解析の学習における問題点」では実は米澤穣さんに導出してもらった方法は書いてなくて、穂苅四三二著『テンソルの理論』(生産技術センター)(再版)にあった一般化されたクロネッカーのデルタによって導いたと思う。

その後、昔のノートを引っ張り出して解読して書いたのが、「Levi-Civitaの記号の縮約」再論である。これが実は学位論文の研究で納得した「Levi-Civitaの記号の縮約公式」の導出法であった。

その後、ベクトル代数については「数学・物理通信」に何回か掲載している。これは前に書いたことがあるエッセイの改訂版である。

「数学・物理通信」はすべてのバックナンバーが名古屋大学の谷村省吾先生のサイトにあるので、検索すれば見ることができる。

もっとも「テンソル解析の学習における問題点」は改訂して「数学・物理通信」に掲載したいと思いながら、うまく改訂できていない。

太田浩一さんの『ナブラのための協奏曲』(共立出版)に改訂のヒントがあると思うので、改訂できればいいのだが。

『ナブラのための協奏曲』は多分ベクトル解析についての最高の書とは思うが、これはなかなか私にとっても難しい。物理学者は別として、一般の人はなおさらであろう。もっともこれが読み解けるようなら素晴らしいと思う。





ようやくブログを書ける

2025-01-15 16:45:14 | 数学
DDOSのせいか何かで、午前中からブログを書けなかった。ようやく書けるようになってほっとしている。

ベクトル解析の学習を続けている。いまはWongさんという方が書いた『物理数学入門』I(丸善)のテクストの訳書のはじめを読んでいる。

簡潔な説明だが、いいのではないかと思っているので。訳者は私も存じ上げていた故小林澈郎(東京都立大学名誉教授)さんである。

Levi-Civitaの記号の説明もある。はじめはガウスの定理、ストークスの定理(pp.49-63)を読んだが、その後p.5からp.33まで読み進めて、現在の残りp.34からp.48の14ページが残っている。

『なるほどベクトル解析』4

2025-01-13 11:29:57 | 数学
『なるほどベクトル解析』をはじめから最後まで余すことなくようやく読んだ。

数学の本で端から端まで読んだ本は始めてである。自分の書いた本は別だが。

私の一番よく読んだことのあるのは矢野健太郎『微分積分学』(裳華房)である。この本は教養部時代の大学の数学のテクストで問題は大分解いたとは思うが、本文はあまり詳しくは読んではいない。というか読んだところも十分にはわからなかった。

他の本で割と詳しく読んだことがあるのは高橋健人『物理数学』(培風館)である。これも学部時代の物理数学のテクストである。他の本であまり数学の本を読んだことがない気がする。

『なるほどベクトル解析』では11,12,13章はいわゆる狭い意味のベクトル解析ではない。それでこれらを読まないでもベクトル解析の学習としては十分だったのであろうが、1冊の本を読んだ経験を持っておいた方がよかろうと考えてこれらの章を読んだのである。

さて、つぎに何を読んで見ようかと考えている。



『なるほどベクトル解析』3

2025-01-06 10:33:45 | 数学
昨日2編のブログを書いたので、新しくことを書く材料はないのだが、もう一度書いておきたくなった。

大体、他にもベクトル解析のテクストを10冊近く持っているのだが、どれもこんなに全体を通して読んだことがない。

多分、他のどのベクトル解析の本も私には読み通せないのである。それだのにこの本は前にもかなり読んだことがあったのはやはり読みやすいということでベクトル解析の本とはどうちがうためなのかわからない。

今回はまだ読んでいない3章の「図形とベクトル」の章でも前にこの章を読んだらしく、いくつかの書き込みが赤ペンですでになされている。だから今回はまだ3章は読み返していないもののまったくの未読ではない。

もう老齢なので、別のベクトル解析のテクストを読み通せるという自信はない。ということはこの1冊を何回も繰り返し読んで、それを元に別のベクトル解析の本を拾い読みする方法でこの分野の知識を完全にする方向がいいのかもしれない。

(2025.1.7付記)計算が詳しいのがこの本が読みやすい理由かもしれない。他のベクトル解析の本だとここまでくわしくは計算を示していないのが普通だと思う。

そうだとすると計算を書き連ねるのはわるいという判断は間違っているのだろうか。本当のところを突き詰めたい気がする。



『なるほどベクトル解析』2

2025-01-05 21:58:03 | 数学
いま22時だが、第1章から第10章までの中で今読んでいるのは第2章である。第2章は6ページほど読むと終わりだが、今日読み終えることができるかどうか。今日はかなり多く読んだので疲れた。

第3章の「図形とベクトル」が残りそうである。他は全部読んだ。もっともこの本にはいわゆるベクトル解析ではない「固有値と固有ベクトル」とか「行列と座標変換」だとかについても書かれている。

ちょっと小説を読むくらいのスピードでこの本を読んでいるので、読む方としてはちょっと雑である。しかし、これはいままでの蓄積の上になるので当然でもあろうか。

ちょっと村上雅人さんとしては筆が走りすぎて間違ったと思える箇所もある。
アンペールの電流が流れると磁場が生じるというマクスウエル方程式を電磁誘導の方程式とまちがえた記述がある。

これは海鳴社の社長で物理学科出身だった、故辻信行さんの校正の眼から逃れたミスだろうか。その後すでに修正をされているのだろうか。ちょっと調べてみる必要がある。

だが、こういうミスがあるとしてもこの本にはなんかわからないが、読みやすさがある。私はこの本を推奨したいと思っている。

もっと発見法的にベクトル解析を書けるとは思うのだが。

『なるほどベクトル解析』

2025-01-05 14:22:44 | 数学
今日は日曜日なので昔だったら、ブログはお休みの日である。最近は日曜日でもあまりブログをお休みにはしない。

いま、村上雅人『なるほどベクトル解析』(海鳴社)を読んでいる。9章、10章の「ベクトルの積分」、「ベクトルの積分公式」を読んだ後で、4章、5章、6章を読んだ。

5章、6章はベクトルの微分に関係した章である。まだ、7,8章が残っている。特に8章は特に難しそうである。

いつものように自分の一番関心のある章から読んでいる。一番最後が1,2,3章となるであろう。3章は「図形とベクトル」であり、ここはひょっとすると面白いかもしれない。

この本の全体を通読したことはなかったのだが、それでもかなり読んでいたとみえて、ところどころミスプリントの修正やら、計算の修正やらを書き込んでいる。

海鳴社のホームページにこれらの修正がすでにでているのであろうが、そこをまだ参照したことはない。

書き方に注文を付けたいところも大いにあるが、しかし読みやすい本である。どうしてなのだろうか。式の表示もそれほどよくはないのだが。



早くも3日になった 

2025-01-03 11:16:07 | 数学
新年を迎えたと思ったのに早くも3日になった。

こうして昨年も足早に過ぎていったのだろう。微分形式のことを考えていたのに昨日はStokesの定理のベクトル解析での証明を読み返していた。少し納得できそうになった。

他の箇所も読んでみたいと思うようになった。これは村上雅人『なるほどベクトル解析』である。これは海鳴社の辻信行さんから頂いたものである。

長い間、義理の娘にこの本を貸していたが、数年前にもどしてもらったが、その前にある程度読んでいたのとその後返却してもらったときに一部を読んだ記憶がある。

私のもっているベクトル解析のテクストの中でいちばんreadableのものである。

もちろん、字の小ささとかベクトル記号があまり好みに合わないとかもあるのだが、それでも読みやすいことは確かである。