野原三郎(札幌の出身だったと思う)という名を聞いて懐かしいと思う人は相当のお年に違いない。旺文社のラジオ大学受験講座の英文法で有名な講師の先生であった。
特にその単語を口調で教えるというところがまさに独特であった。
私も一つだけまだ覚えている。businessという語だが, その意味を(商売、義務、事務、a 事件、a 店)というのである。不定冠詞aがbusinessにつくと事件とか店という意味になるという。
高校生の頃にはそういう語をかなりたくさん知っていたのだが、今ではもう覚えていない。
野原先生がデビューしたのは「考え方」で有名だった日土講習会での(英語)単語塾だったらしいがその辺はよく知らない。
中学校の頃に英語が得意だった私を友人のO君が野原先生の書いている英語の言い回しを覚えてきて、私に尋ねて「私が知らない」といって得意になっていた。そのころの旺文社発行の雑誌の野原先生の講座はまったく面白いものだった。
野原先生の口癖は「花より単語」であり、これはもちろん「花より団子」をもじったものである。
先生には「英文法の要領」という著書があり、長いこと持っていたのだが、甥に貸したら帰ってこなかった。昨日インターネットで調べたら、2300円の値段がついていた。甥がまだもっているか聞いてみようかしら。
「親ばかちゃんりん、蕎麦屋の風鈴」は英語ではIt is a wise father that knows his son(これはもちろん反語である。「自分の息子のことをよく知っている父親は賢い父親だ」とは本当は「そういう父親はほとんどいない」ということだ)にあたるという。それでこの英語のことわざを覚えた。
野原四郎という現代中国の専門家の方が居られたが、彼は三郎先生の弟さんではないかと思いながらそれを確かめたことはない。
なんでこの野原先生を思い出したかというと「私も親ばか」だからである。二男のことを自慢したいと思ったことが野原先生を思い出した理由である。