来年、愛媛大学での「湯川・朝永生誕百年展」が実際に開けるかどうかの決定がそろそろなされる時期が来ている。以前にこの展示の開催については愛媛大学の方で一応の同意をもらったのだが、実は開催のために費用が思いのほかにかかりそうである。そこに大きな問題点がある。
開催にあまり経費をかけない方法もありうるのだが、日本で最初と2番目にノーベル賞を受賞した物理学者である、湯川秀樹と朝永振一郎の名声はとても大きい。そのために中途半端な展示会では愛媛大学の恥をさらすようなものになっても困るという考え方が一方であり,それはまた無理からぬ考えである。
そうなるとある程度多額の出費は覚悟して展示をやるか、まったくやらない方に舵を取るかのどちらかしかない。愛媛大学で「湯川・朝永の生誕百年展」をしたら、すぐになにかのご利益があるという話ではない。もちろん、愛媛県内または四国内での愛媛大学に対する世間の評価は上がるだろうけれども。
若い人がこの展示を見て、感銘を受け、その成果が現れるというのはまさに百年のオーダーの話である。百年はいいすぎだが、少なくとも20-30年後の話だろう。だが、意欲をもってやらねばならない。特に忙しくなった近頃のご時勢であるから、百年後を見据えた計画をすることも必要である。私は個人的に湯川先生と面識があったということもあってぜひ愛媛大学での展示を実現したいと切望をしている。
直接的には「若者の理科離れ」の防止にもつながる試みである。しかし、そんな短期的な見通しではなく、若い子どもや生徒や学生になんらかのインパクトを与えられたらというのが、私の希望である。学問への憧れを持たせたいものだ。
いま全国の大学のうちで、北海道、金沢、新潟、広島、九州、愛媛、宮崎大学がこの展示を来年したいと希望を申し出ている。すでにつくば大学では展示が終わり、いま京都大学で展示が行われている。来年の1月から3月までは大阪大学で展示が行われる。