昨日、武藤徹著『新しい数学の教科書』I,II(文一総合出版)を購入した。中学校の数学のテキストである。これは朝日新聞の読書欄に紹介が出ていたのだ。
武藤さんは1925年の生まれというからかなりのお年である。高校の先生をされていた方で、NHKの高校数学の初代の講師をされた方と紹介があった。
もっともこの教科書は武藤著となっているのに数人の方が編集員会をつくっている。編集員会の編纂で、この著者の代表が武藤さんなのか、それとも武藤さんの著をこれらの編集委員が編纂したものなのかがわからない。その説明も本を読んだ限りではわからない。
武藤さんは本来数学の思想を研究された方らしい。中学校の数学に限っているが、なかなか興味深い書き方である。数式を文字タイルで表すこともある程度取り入れていて、これは私がつくったe-Learningのコンテンツと一部同じところがある。
ただ、よくは分からないが、(a-b)^{2}を「文字タイル」でどう表しているかはっきりしない。私たちは-b^{2}の文字タイルを影をつけたり、色をつけて表している。そこらあたりがちょっと違うような気がする。そして私たちは(a-b)^{2}は(a+b)^{2}と同じく長方形の形で表すのである。そこがちょっと違うのだろうか。
このごろはこういった種類の数学の教科書(検定外の)がいくつか現れている。ブルーバックスの『新体系・高校数学の教科書』上・下(講談社)もそうだし、また数研出版の数学の教科書もそうである。もっともこの二つはまだ手に入れていない。
私のe-Learningのコンテンツは『科学を志す人のための基礎数学』(アグネ)に啓発されたものである。この書は最近 50 年ぶりに復刻された。
しかし、e-Learningのコンテンツはむしろ愛媛県数学協議会の創始者の一人のYさん(姓は偶然に私と同じ方だが、親戚ではない)の主張を取り入れた書き方をしており、前記の本とは書き方が異なっているつもりである。だからそれなりのオリジナリティをもっている。
また、特徴のあるテキストとして、かなり以前に購入した、『大道を行く高校数学』(現代数学社)3冊本もある。これもかなり本格的な高校の数学教科書である。
ただ、私は高校数学とか中学数学とかに枠がはめられるのを好まない。確かに人生の何年間かは中学生や高校生ではあるのだが、人生の大部分はそれだけではなくそれ以外の人生の方がずっともっと長い。
私も教師であったから、教師としての視点から抜け切れないかもしれないが、やはり人生の大部分は学校とは関係なく人は生きるのである。その観点がなくてはなるまい。
(2012.7.4付記) 上の武藤先生の本は武藤さんの個人的な著作であるらしい。これは先生に尋ねてわかった。編集員会はそれを単に出版するためであったらしい。