岩波書店から南部陽一郎著「素粒子論の発展」が発行されて、編者のE先生から本を頂いた。もっとも直接にではなく友人のEさんに送ってこられたのをEさんが昨日持って来てくれたのだ。
家に帰って昨夜はこのごろにしては珍しく深夜の2時半くらいまで拾い読みをしてしまった。南部さんの書いたものは気をつけて読むようにしていたつもりだが、読んだことのないものもあった。私は武谷三男のことを調べているので、彼との関連を中心にして読んだ。
かなりページ数の多い本であり、値段もそれ相応に高いのだが、いくつかの英文のエッセイを一々訳されたE先生のはたらきにはいつものことながら頭が下がる。勤勉なことこの上なしである。私もそれほど怠け者ではないつもりだが、E先生の勤勉さにははるかに及ばない。G大学を退職されてから、この数年の間に数冊の本を出版され、外国に講義に行き、論文を書かれ、はたまた今度の南部さんの本の編者になられているのだから。
南部さんの本はブルーバックスの「クォ―ク」と「素粒子の宴」を除いて日本語の本はなかったと思うので、一般の人に南部さんの業績が紹介されるのはとてもいいことだと思うが、H大学出身の私としては南部さんの目には私の先生たちの一連の研究はほとんど目には入っていないのだと残念に思ったことである。