Lagrangeの恒等式については小著「数学散歩」(国土社)で書いたのだが、田崎晴明さんのMathbookを見ていたら、3次元のベクトルについてのスカラー積の2乗とベクトル積の2乗の和からすぐに出てくることがわかった。
これはほとんど自明である。もっとも、これを成分で表せば、Lagrangeの恒等式であるとは田崎さんはexplicitには書いてはいないけれど。
ところがこの証明は2次元とか一般のn次元の場合には適用できない。
そのことも「数学散歩」にちょっと触れてあるが、n次元のベクトルと思ってそれらの成分の反対称のものをつくると3次元のときだけ軸べクトル(実は2階の反対称テンソル)になれるが、他の次元ではうまくいかないことがすぐわかる。それは成分の数があわないので、同じ種類のベクトルとはなれない。
もっとも佐竹一郎著「線形代数学」(裳華房)にはこの一般のLagrangeの恒等式の証明が載っていることはNさん(当時大阪工業大学)に教えてもらった。
私の一般のLagrangeの恒等式の証明は数学的帰納法だったので、面白くもなんともないものでしたが、いろいろ証明法はありそうである。これからも探してみたい。