ベクトル解析の多くの公式を導くときに、もしかテンソル解析の初歩を知っているとほとんどの式が自分で比較的簡単に導出することができる。
これはちょっとテンソル解析の初歩を学んだ人なら、だれでも知っていることだが、このときにLevi-Civita記号を縮約したときに成り立つある恒等式を知っている必要がある。
ところが世のベクトル解析のテクストにはその結果は書いてあるが、きちんと証明したテクストはすくなかった。
いまでは、そのことを簡潔に述べてある書もちらほらと出てきたが、そのことをあからさまにエッセイに書いたのは私である。そして、そのことが載っている小著『数学散歩』(国土社)は別に著者が喜んでいるわけではないが、無料のpdfのコピーがインターネットのサイトで得られる事態となっている(注1)。
いまその『数学散歩』に掲載したエッセイをすべて改訂した原稿をlatex入力しているのだが、その中の「Levi-Civita記号の縮約」再々論というエッセイを入力中である(注2)。
ところが、昨日latex入力しているときに、この恒等式の導出法がわからなくなっているいることに気がついた。
昨日は自分で紙面で計算して見る時間がなかったので、今朝ちょっと時間をとって、手を動かしてみた。それらの恒等式をすぐに導けたのだが、『数学散歩』の当該エッセイの2つ前のエッセイを見たら、実はそこで計算の詳細が示されていた。そのことも忘れていたのだ。
このことはともかく、「徳島科学史雑誌」に投稿した、論文の校正が昨日来たので、ここ数日はその校正で忙しいだろう。
(注1)『数学散歩』のpdf文書を無料で提供するというサイトは私の確認しただけでも10箇所近くある。これははっきり言って、著作権侵害だが、出版社に苦情を言っても、適切に処理してくれないようだ。
『四元数の発見』(海鳴社)の方はなんとか無料pdfコピーのサイトはなくなったみたいだが、こちらは出版社のご尽力の賜物であろう。
(注2)latexというのは数式を入力できるソフトである。これはワードでの数式入力ではなく、ある種のプログラム言語みたいなものである。Knuthというアメリカ人の情報科学者(数学者?)がつくったものである。理工系の研究者はこれで数式や論文を書いている人が多い。
だが、最近ではワードの数式の表示がよくなったという理由でワードに戻ったという人もかなりいる。