私の最近好んで飲んでいるワインに「いづつワイン」というエコワインがある。
酸化防止剤を含んでいないワインで、この甘口のワインはフルーティーな味がして、後口がとてもいい。
これは有機農業協同組合の「自然派」というところからとっている長野県塩尻の白ワインであり、長らく甘口のモーゼルの白ワインをひいきにしてきたが、最近はこのいづつワインをもっぱら好んで飲んでいる。
モーゼルは日本では辛口のワインだという風に教わったが、現地に行って試飲してみると、甘口のものもあり、私などはモーゼルワインは辛口だと思ったことがない。
このワインは緑色の瓶に入ったもので、これもSp"ateleseとかAusleseとかだととても飲みやすく、さわやかである。
もちろんドイツワインといえば、ラインワインが有名であるが、私はもっぱらモーゼルワインを好んで飲んできたのだが、最近はいづつワインに魅せられている。
今後ワインの輸入関税が下がるかも知れないが、当分値段の点でもこの塩尻産のエコワインにはかなわないであろう。
酸化防止剤が含有していないので、長く置いておくことはできないけれども、そのために飲んだ後に悪い味が残るというようなことがまったくない。
モーゼルでも現地で飲めば、そうなのであろうが、輸出するためにはどうしても酸化防止剤を添加しなくてはならないだろう。
そうすると値段の点だけではなく、飲んだ後のさわやかさも考慮しても、いづつワインの方がいいのではないかなどと思っている。
さる4月に大学の研究室の卒業生の小さな同窓会を松山でしたときに、このワインをもって行って飲もうとしたが、十分に飲物があったので、先輩に進呈をした。
そのときにその方がラベルをじっと見ていたが、後で自分の勤めていたR大学の知り合いの妹さんの婚家がそのいづつワインの生産者だと言われていた。
知り合いの、知り合いのまた知り合いへとつながったという次第である。
今日は火曜なのでまたまたTEDカンファランスの話である。
Dan Barberはレストランの腕利きのシェフである。あるとき旨い魚の料理を食べて感心してその魚を提供した養魚場にどうやってその魚を育てて、どんな飼料を使っているのかを尋ねたことがある。
そのときに会社の代表者もどのような飼料を魚に与えているかはわからなかったので、つぎつぎにたらいまわしにされて、最後に飼育に携わっているある生物学者のところへ電話が回ったという。
そして結局わかったことは飼料として魚に与えられているものは、チキンだということがわかって幻滅をした。これはもちろんアメリカ国内のことである。
もう一つはスペインの話で、ある会社が広い範囲の沼沢地の水をすべて川に流すようにしたら、そこは不毛の地になった。そしてその会社は結局そこから撤退を余儀なくされた。
そこを買ったのは環境に関心をもっているある企業でこの企業は前の企業ととは全く正反対のことを行った。すなわち、自然の生態系の循環を大切にした。
その結果としてそこからはとてもおいしい魚がとれるようになった。ダンがその養魚場で取れた魚を食べたときにその魚は焼きすぎだったというが、それにもかかわらずとてもおいしかった。
それでダンはその養魚場のことを調べて、その責任者のミゲルに質問した。どのような養魚場がいいのかと。そしてわかったことは自然にしてその自然環境に渡り鳥のフラミンゴが来てそこで十分鳥たちがお腹を満たすことのできるような環境だという。
もちろんフラミンゴは自然の環境の一部としてその典型として挙げたものであって、そのほかのあらゆる自然環境に生息する生物が重要である。
一見経済性とは相反する自然な環境がいいということであった。それで最上の養魚場とはいろいろな生物がその天敵も含めてバランスをもって生活できているようなそういう自然な環境である。
ミゲルは魚の飼育の専門家ではなかった。彼は環境が調和をとれて、均衡していることを気にかけている。そういう人が結局は最上の「養魚場」である、自然環境をつくることに尽力したから最高の魚がとれた。
ダンの発見は極めて自然なところへ落ち着いたが、そういう再発見を人間はしなければならない。