以下は「四元数と線形代数」に対するsioさんのコメントの一部を編集してここに掲載します。
全体は「四元数と線形代数」のコメントして載っています。そこを見てください。
これはですから私の意見ではなく、sioさんのお考えです。sioさんに全面的に賛成という訳ではありませんが、聞くべきご意見だとは思っています。
(以下引用)
最近の学生がユークリッドやアポロニウスの原典をろくに知らず(これらには邦訳がある)、ニュートンのプリンキピアやマクスウェルの電磁気学の原典をろくに知らないのと同様だ。
最近の数学者や物理学者たちはベクトルの起源はせいぜい四元数だということしかわからず、詳細はろくに知らないに違いない。
なんせ彼らはギリシャ語やラテン語はおろかドイツ語やフランス語すら読めない文盲が大半だから、過去がどうなっていても知る由もないし別に困らない。
19世紀以前の著作は著作権が切れているのでGoogle bookなどにも大量にあるが、数学オリンピックや物理オリンピックで金メダルを取るようなエリートですら誰も読みやしないのだろう。
問題を解く能力を軽視するつもりはないが、テストで点を取るという教育だけでは、古典を読んだり問題を作るという能力は育たない。オイラー著作集やガウス全集を原文で幼少時から読んでいましたなんて奴はエリートにすらなれない狂った国だからな。
非ユークリッド幾何ですら総合幾何学的手法を捨てて微分幾何などを使ってやるご時世だから。ちょうど初等幾何や解析幾何が教育で重視されずに数式を使う代数学や解析学が発達したのと同様に幾何的な四元数はベクトル解析や線型代数に汚損され失われてしまった。
最近の学生は総合幾何学的円錐曲線論や立体解析幾何や四元数的幾何学など原典レベルで学んだことがないにちがいない。
そもそも教育に費やせる時間が有限なせいで、大学院修士までにカリキュラムが収まり切らなくなってしまったからこういう古典をじっくり学ぶということも不可能になってしまったと岡潔も嘆いていたよ。
だからといってオルタナティブスクールなどを調べても、このような科学エリートの教育はなぜかどこでも行われていないようである。科学エリートは日本では中高一貫、海外では全寮制のスパルタ教育などによってしか育たないのだろうか?
結局こういう教育やりたければ学校教育機関に行かずにホームスクールで全部自力でこの境地に到達するしかないわけだ。10歳未満で大学理学部に入るようなエリートはみんなこうしている。ただし彼らも、古典まで読んでいる者は皆無だろう。
コーシー全集やラプラス全集など、読んでいる時間がない。テレンスタオもそのような古典を全巻読破しているわけではない。教育や寿命という壁にぶつかってしまうほど数学や物理学は肥大化している。
近代数学を極めるには幼稚園ぐらいで欧州の言語数カ国語をマスターしていないと無理だろう。それで30歳ぐらいまでずーーーっとお勉強で、ようやく「近代」数学の原典をマスター。しかし20世紀のものは消化すらできない。20世紀に生み出された数学は19世紀以前までの数学をはるかに上回る。。。
初等幾何ベースの古典力学とか、四元数ベースの電磁気学の教科書とか、今更出版されないだろうからなあ。力学や電磁気学や熱力学などもモダンな数学で記述した理論は多々見られるが、こういうクラシカルな数学で記述した本はろくに出版すらされていない。
マッハやヘルムホルツなど、もはや名前すら知られていないのではないか。本来、こういうものこそ文庫や電子書籍に入れておいて数百円で入手可能にしておくべきだ。全て絶版で数千円、数万円するのでは、若者には存在を知って入手するまでのハードルが高すぎるだろう。
そもそも良い作図ソフトがないので、数式の電子化については相当技術が発達したが、二次元・三次元の簡単な図形すら電子化が難しく19世紀以前の昔の論文の復刊や邦訳とか、本文はTeX化されてても図がスキャンで酷いのが多いからな。。。
青空文庫にも、なぜかエッセイや科学哲学ばかりで科学の古典は皆無、解析学の専門書はなんと一冊もない。
だいたい、最近の科学者は英語以外の外国語が文盲なので、老人世代が生きている内に彼らに古典を翻訳させたほうが、いいだろう。昔は数カ国使えないとだめだったからな。高木貞治も英仏独語で論文を出しているし。それが今やもはや理系でロシア語など読める人材すらろくにいない。
19世紀以前の数学や物理学の専門書も、年数冊ぐらいなら邦訳が出てるから、文芸復興と称してどこかの出版社がやってくれないかな。
(引用おわり)