Attendre et esp'ererアッタンドル エ エスペレ (待て、そして希望せよ)
これは昨日のNHKの「100分で名著」の中の第4回目のデューマの「モンテクリスト伯」の最後の印象的な言葉だという。
待つだけではなく、その間に十分な準備をしながら待てという。これはゲストで来ていた作家の安部譲二さんの解釈である。若い時には勉強して教養をつけよ。その教養が花開くときがある。希望せよと。
今日が2月の最後の日だから、朝日新聞の天声人語の「今月の声から」に似てくるが、今朝新聞で見た印象的な言葉を挙げておこう。
「声」欄の編集長・松浦和夫さんは作家・森沢明夫さんの小説「あなたへ」で出会った言葉として
「他人と過去とは変えられないが、自分と未来は変えられる」
という言葉をときおり自分に言い聞かせていると書いている。
社説余滴で編集委員の潮智史(さとし)さんは「スポーツと相いれないもの」と題して次のように書いている。
海外から来た(スポーツの)指導者の多くが「日本人は指示されたことは忠実にこなすが、自分で判断できない」「ミスを恐れてチャレンジしない」と指摘すると。
また、サッカー2010年W杯でベスト16に入った当時の岡田武史監督が「education(教育)の語源はラテン語で引き出すという意味だという。私はずっと、指導とは空のコップの中に何かを入れるものだと思っていたけれど、違った。中にはいっていないと引き出せない。だから、選手に気づかせてやればいいんだと」(注)
これは何回か日本人の音楽演奏家が語っているのを聞いたことがあるのだが、音楽でピアノとかバイオリンを演奏者を目指して欧米に留学する若者が決まって先生から言われる言葉がある。
「あなたはこの演奏を通して、何を表現したいのですか」と。人に先生に言われたまま演奏するだけではダメだ。「自分の気持ち、感情、主張、個性を表現できるようになれ」。
(注) ドイツ語のErziehungは「引き出すこと」という意味である。ドイツ語だけのことかと思っていたが、これはラテン語の語源の忠実な翻訳だと知った。どうも教育といわれると岡田さんではないが、何もないところから作るような感じがしてしまうのは否定しがたい。
「外国語を知らない人は自国語も知らない」とゲーテが言ったというが、こういうこともあったかもしれない。